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「ユーイング肉腫」は“何年以内に再発”すると生存率が5%に?医師が解説!

 公開日:2026/01/24
「ユーイング肉腫」は“何年以内に再発”すると生存率が5%に?医師が解説!

ユーイング肉腫は、小児や若年者に発症しやすい骨のがんです。

症例の少ない希少がんで、治療法の研究は発展途上となっています。

ユーイング肉腫で心配なのが再発です。再発すると治療成績に影響が出てしまうためです。

今回はユーイング肉腫の再発について知っておきたいポイントを、ユーイング肉腫の検査法や治療法といった基礎知識と一緒に解説します。

患者さんや家族も知識を持って、協力して治療を受けられるようにしておきましょう。

眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

ユーイング肉腫とは?

ユーイング肉腫とは、骨や骨の内部である軟部組織に発生するがんです。骨の関節部分から離れた、骨幹部に発生しやすい点が特徴です。発症部位は骨ユーイング肉腫の場合、約50%が四肢であり、ほかに骨盤や肋骨にも生じます。
一方で骨外性ユーイング肉腫の場合は、体幹や四肢遠位部などに多く発症します。
以下ではユーイング肉腫の再発原因や治療法に触れる前に、基礎知識として知っておきたいユーイング肉腫の特徴から詳しく解説するので参考にしてください。

若い世代にできる希少がん

ユーイング肉腫は、10歳代の小児期から青年期の世代に多く発生するがんです。小児の骨に発生するがんでは、骨肉腫に次いで2番目に多く、日本では年間約50人が発症しています。
日本でがんと診断される患者さんは、上皮内がんの患者さんを除いて年間約945,000人です。比較すると、ユーイング肉腫が希少がんであるとよくわかるでしょう。ユーイング肉腫は希少がんであるために治療データや研究データが少なく、病態解明や治療開発は発展途上にあります。

遺伝子により罹患しやすくなる

ユーイング肉腫は、染色体内にある遺伝子に生じた異変をきっかけに発症しやすくなることが解明されています。異変が生じる染色体は、22番染色体・11番染色体・X染色体の3つの染色体です。これらの染色体で生じた異常から生成された融合遺伝子が、ユーイング肉腫の発症を促していると解明されました。
同じようなメカニズムで発症する疾患に、未分化神経外胚葉腫瘍とアスキン腫瘍があります。これらの疾患は骨ユーイング肉腫・骨外性ユーイング肉腫とまとめて、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)と呼ばれます。

腫れやしこりが症状の一つにあげられる

ユーイング肉腫を発症すると、以下のような症状が現れます。

  • 断続的な骨の痛み
  • 骨周辺の腫れ
  • 足の動かしにくさ
  • 排尿障害

ユーイング肉腫の患者さんは思春期の患者さんが多いため、骨の痛みや違和感を成長痛と混同してしまい、病気の発見が遅れるケースが少なくありません。
症状から見極めることは大変困難ですが、いつも同じ場所が痛かったり、日中も痛みが出たりする場合は一度医療機関で検査を受けることをおすすめします。

限局性や転移性といった種類に示される

ユーイング肉腫は腫瘍の広がり方から、限局性と転移性に分けられます。腫瘍が原発部位に留まっている、または領域リンパ節を越えて広がっていないならば限局性です。
一方で、体内に転移が見られるならば転移性です。ユーイング肉腫の転移は、全体の25%のケースで見られます。肺・骨・骨髄に転移するケースが多い点が特徴です。
ユーイング肉腫は限局性と転移性で生存率が大きく異なることを知っておきましょう。限局性の場合は治療法が確立されているため、3〜5年の無病生存率は約70%です。しかし、治療法が確立されていない転移性の場合、3〜5年の無病生存率は約20%に留まっています。

ユーイング肉腫が再発したら?

ユーイング肉腫と診断されてから2年以内に再発が起こると、治療をしても元の健康状態を取り戻せないリスクが高まると考えられています。
今のところ再発後の治療法は確⽴されていません。化学療法を中心に治療を行いますが、治療効果は十分ではありません。ただし、肺のみへの転移であれば、一定の治療効果が見込めます。

ユーイング肉腫が再発する原因

希少がんであるために研究が遅れていたユーイング肉腫ですが、発症や再発のメカニズムが解明されつつあります。ユーイング肉腫研究の前進に伴って、治療法の開発や進展が期待されています。

再発腫瘍が原発巣から枝分かれしていた

ユーイング肉腫原発部位の腫瘍と再発した腫瘍のゲノム解析を行った結果、特殊なメカニズムで再発が起こっている可能性が明らかになりました。再発した腫瘍は原発の腫瘍とは枝分かれした遺伝子構造を持っており、診断の約1〜2年前からすでに体内に隠れていたと判明したためです。
この解明によって、再発する原因はユーイング肉腫の診断がつく以前から体内に生じているため、早期から検査で再発リスクを確認できる可能性が出てきました。直接的な治療法の確立にはいたっていませんが、リスク早期発見が叶う可能性があり、今後の治療法確立の足がかりとなっています。

複数の染色体構造が異常な状態になっている

再発メカニズムの理解を深めるため、ユーイング肉腫発症の原因もここで詳しく解説します。ユーイング肉腫発症には染色体で生じる異常が関わっていると前述しましたが、具体的にはどのような異常が起こっているかも研究で明らかになっています。
ユーイング肉腫発症に関わる染色体異常とは、連環染色体断裂融合によるゲノム異常です。連環染色体断裂融合とは、複数の染色体構造異常がループ状に次々と連結していくような、複雑な異常形式を指します。連環染色体断裂融合によって形成される融合遺伝子が変異を起こし、やがてユーイング肉腫を引き起こす腫瘍や再発腫瘍に分岐していくと考えられています。

ユーイング肉腫発見のための検査法や治療法

ユーイング肉腫の検査法と治療法を解説します。限局性と転移性では治療法が異なる点も確認しておきましょう。

生検

ユーイング肉腫の確定診断のためには、病理検査が欠かせません。病理検査のなかでも、発症部位から採取した組織を観察し、腫瘍の種類を特定するため詳しく検査することを生検といいます。
ユーイング肉腫の生検では、次のようなポイントが確認されます。

  • MIC2遺伝子から作られるCD99の確認
  • NKX2.2の確認
  • EWS-FLI1あるいはEWS-ERGを含むキメラ遺伝子の有無

生検によって腫瘍の種類が特定されると、効率のよい治療が可能になります。

造血幹細胞を用いた大量化学療法

発症したユーイング肉腫が転移性まで進行していた場合、化学療法で治療を行います。具体的には、大量化学療法を併用した造血細胞移植や多剤併用化学療法を、患者さんに合わせて複合的に行います。
ただしこれらの治療法が治療成績を改善するかどうか、十分な科学的根拠は得られていません。

摘出手術

発症したユーイング肉腫が限局性の段階で治療を開始できた場合、摘出手術を中心とした複合的な治療法が適用できます。
まず術前化学療法で腫瘍を弱体化させ、可能であれば外科手術、難しければ放射線治療といった治療で腫瘍の切除や弱体化を行います。外科摘出手術を行うか否かは、患者さんの身体の状態や腫瘍の部位・サイズなどから判断します。

緩和療法

がんの治療において緩和ケアは重要です。がんを発症すると患者さんだけではなく、患者さん家族も一緒になって身体的・精神的・社会的な苦痛にさらされるためです。早期から医療スタッフや公的な相談窓口など、相談先を見つけておくことをおすすめします。

ユーイング肉腫の再発についてよくある質問

ここまでユーイング肉腫の再発原因・検査法・治療法などを紹介しました。ここでは「ユーイング肉腫の再発」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

ユーイング肉腫の再発後の予後について教えてください。

ユーイング肉腫は再発後の予後がよくありません。特に診断後2年以内の再発は大変予後が悪いとされます。診断後2年以降に再発した場合の5年生存率は34.9%である一方、診断後2年以内に再発した場合の5年生存率は5%であったとのデータもあります。

ユーイング肉腫の再発には自覚症状はありますか?

ユーイング肉腫は自覚症状だけで再発を断定するのは難しい病気です。そのため治療完了後も、患者さんには定期的に通院してもらい、経過観察を行います。経過観察ではX線検査・CT検査・骨シンチグラフィー検査などで、再発や転移がないか確認します。

編集部まとめ

ユーイング肉腫とは10歳代の患者さんが多くを占める、骨に生じるがんの一種です。

再発すると予後が悪くなる病気ですが、研究が進み再発のメカニズムが解明されつつあります。

現状では化学療法で治療を行いますが、治療効果の科学的根拠はまだ十分に確立されていません。

ユーイング肉腫と関連する病気

「ユーイング肉腫」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

粘膜や皮膚など上皮組織に発生する悪性腫瘍をがんと呼ぶのに対し、骨・軟骨・筋肉・神経などの非上皮組織に発生する悪性腫瘍を肉腫と呼びます。

骨肉腫と関連する症状

「ユーイング肉腫」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 骨の痛み
  • 腫れ
  • しこり

腫れやしこりの症状は四肢に出ると視覚的にもわかりやすいですが、骨盤などに出ると見ても触れてもわかりにくくなるため注意が必要です。気になる症状がある場合は、早めに医療機関で受診しましょう。

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