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「ケーラー病」になると現れる症状はご存知ですか?

公開日:2022/11/11  更新日:2022/11/10
「ケーラー病」になると現れる症状はご存知ですか?

どこかにぶつけたり転んだりしてケガをした訳でもないのに、子供が足の土踏まずを痛がっていて心配ということはないでしょうか。

その症状はもしかしたら「ケーラー病」という骨の病気の症状かもしれません。

ケーラー病とは、骨端症という小児に起こる骨の病気のひとつに分類されており、子供の骨の成長に伴って発症する病気です。

これを単なる「成長痛」だと放っておくと、痛みが強くなったり歩行が困難になったりする可能性があります。

ここでは、ケーラー病とはどのような病気か・病院受診の目安・検査方法や治療方法・家族にできるサポートなどについて解説します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(国家公務員共済組合連合会大手前病院)

プロフィールをもっと見る
2007年大阪市立大学医学部医学科卒業、2009年大阪急性期総合医療センター外科後期臨床研修医、2010年大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、2012年国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、2013年大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、2014年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医員、2021年国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長。 著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など多数。 日本外科学会専門医 日本病院総合診療医学会認定医など。

ケーラー病の特徴

足の骨

ケーラー病とはどのような病気か教えてください。

  • ケーラー病とは、「骨端症」と呼ばれる小児に起こる骨の病気のひとつです。小さなお子様の骨には元々決まった場所に骨端線と呼ばれる線のような軟骨組織があり、骨の成長に伴ってそれが増殖しながら大人の骨と置き換わっていくことで大きくなります。
  • 多くは中学生くらいになるとその成長が止まり骨端線も消え大人の骨となっていくのですが、成長の過程で骨端線がある部分に体重などの負荷が繰り返しかかってしまうことで骨への血流が途絶え壊死し骨端症を発症することにより痛みを引き起こします。骨端症が、足の土踏まずを形成する「舟状骨(しゅうじょうこつ)」という部分に起こるものがケーラー病です。
  • 土踏まずは歩く時に地面からの衝撃を吸収するクッションの役割をする重要な部分なので、ケーラー病になると歩くことが困難になります。小さいお子様がケガではないのに土踏まずに持続する痛みを訴えている場合にはケーラー病が疑われるので、いわゆる成長痛だろうと放置せずに早めに対処する必要があります。
  • ちなみに、足の指の付け根にある「中足骨頭(ちゅうそくこつとう)」に痛みを生じるものは「第2ケーラー病(フライバーグ病)」と呼ばれる病気で、こちらは思春期の女性に多く見られる病気です。

幼児・小児期に多いのですね・・・。

  • 骨端症というのは小児に特有の骨の病気で骨が成長する過程で発症するものです。ケーラー病も骨端症のひとつと定義されているので、骨が成長する幼児〜小児に多く見られます。
  • ケーラー病はあまり聞かないまれな疾患ですが、統計学的には3から5歳の男児に発症することが多い病気です。ケーラー病のほとんどが片足のみに発症する片側性であるといわれていますが、両足に起こることもまれにあるといわれています。

ケーラー病の症状が知りたいです。

  • 足の舟状骨の壊死や変形により起こる腫れや痛みが主な症状です。親指側のアーチの圧痛が最も目立ち、それが診断に役立ちます。足に体重がかかることで痛みや不快感が増すため、痛みをかばいながら足を引きずるような歩き方になるなど歩くことが困難になることが多いです。
  • 関節の動きに制限が出ることはありませんが、足を内側に返すことで痛みが生じます。小さなお子様の中には痛みの強さや場所など痛みについて正確に訴えることが難しい子もいると思うので、その場合は歩き方などを注意して見ておくと良いでしょう。
  • いつもと違う歩き方をしている・歩きたがらないなどの症状がある場合は注意が必要です。

発症する原因を教えてください。

  • ケーラー病が発症する原因は、足の舟状骨への血流不足によるものといわれています。
  • 土踏まずの舟状骨の部分に繰り返し刺激や体重による負荷がかかることによって血流が途絶え骨が壊死し変形することによって発症します。この病気は慢性的な経過を示すものであり、症状は持続し徐々に進行していくものです。
  • まれに2年ほど症状が持続することがあります。早めに対処すれば痛みも緩和でき、時間経過とともに症状が自然に軽快することがほとんどです。後遺症が残ることもないといわれています。

性別でかかりやすさに違いがありますか?

  • 理由は明らかではありませんが男児に多い病気です。発症率は女児に比べて3から6倍高いといわれています。
  • また、ほとんどが片足のみに発症する片側性であり、3分の1程度の子が両側性に発症するといわれています。

ケーラー病の検査や治療

医療イメージ

ケーラー病が疑われる場合、受診の目安を教えてください。

  • 足の痛み、特に土踏まずの部分に持続的な痛みがあること、また足の腫れや熱感があるかどうかも目安のひとつになります。足の親指側のアーチの圧痛が強いことも特徴のひとつです。
  • 土踏まずの痛みが続いている場合は、放置せずに整形外科の受診を検討しましょう。整形外科を受診される際は、いつ頃から痛みがあるのか・見た目に変化はないか・歩き方にいつもと違うところがないかなどをあらかじめまとめておくと診察室でも焦らずに医師に説明することができると思います。

検査方法を教えてください。

  • まずは足の状態を観察します。甲の部分に腫れや熱感がないかだけではなく骨折・捻挫・皮膚疾患などの他の病気がないかどうかを確認します。
  • どの部分が痛むかを確認するための触診も必要です。土踏まずに痛みがありケーラー病が疑わしい場合は、X線検査(レントゲン検査)やCT検査、MRI検査などの画像検査を行い舟状骨の変化を画像で確認します。
  • 症状が出ていない方の足と比較して、ケーラー病の画像では舟状骨の扁平化(舟状骨が薄くなる)や硬化(画像上で舟状骨が白くなって見える)が確認でき、これらの情報からケーラー病と診断されます。

ケーラー病の治療方法が知りたいです。

  • 治療において一番大切なのは、歩行の際などに土踏まずに過度に体重がかからないようにし舟状骨の安静を保つことです。
  • 症状が軽度の場合は、多くは土踏まずに体重がかからないようにするための中敷き(インソール)の使用を検討します。中敷きで体重による負荷を分散させることで痛みの軽減につながります。
  • 症状がごく軽い場合は、安静のみの経過観察となることも多いです。痛みのある部分に腫れや熱感を伴う場合はアイシングも良い方法です。重度の場合は膝から下の長さの歩行用ギプスを装着し3~6週間安静を保つ必要があり、その後軽度の場合と同様に中敷きを使用します。
  • いずれの場合も激しい運動や長い距離を歩くことは禁止です。症状に応じて早めに適切な治療を行うことで、後遺症を残さずに治癒を目指すことが可能となります。

完治するまでの期間を教えてください。

  • ケーラー病は舟状骨が扁平化し硬化してから骨片組織が割れた後、自動的に修復されて治癒していくという経過をたどります。
  • 治癒するまでは定期的にX線検査を行い、舟状骨の状態をフォローしていく必要があります。舟状骨が修復され治癒するまでには1年から3年程かかるといわれ、その間は激しい運動や長距離の歩行は禁止です。
  • 比較的長期の経過となりますが、継続して状態を確認していくことがとても大切です。医師と相談しながら適切な治療や対処法を選択していくことが重要となります。

ケーラー病の予後や注意点

フローリングと子どもの足

後遺症が残ることはありますか?

  • 一般的にケーラー病の予後は良好といわれています。舟状骨の変形があってもほとんどがきれいに修復され、後遺症もなく完治するといわれています。
  • 後遺症はないといってもお子様がずっと痛がっているのも辛いので、痛みが長引かないようにするためには早めに必要な治療をしていくことが必要です。

ケーラー病を放置するリスクを教えてください。

  • 予後良好な病気ですが放置すると痛みが長引いてしまい治るまでに時間がかかったり、歩行障害が起こったりしますので十分注意しなければなりません。
  • また、土踏まずの痛みをかばって歩くことで体の他の部分に痛みが出てくることがあるかもしれないので、こちらも注意が必要です。いずれにしても放置せず早めに整形外科を受診することをお勧めします。

家族はどのようにサポートすれば良いでしょうか?

  • まずはお子様の様子を注意深く観察することです。痛みがあるかないか・痛みが強くなっていないか・歩き方は普段と比べてどうか・歩くことを嫌がることはないかなどを気を付けて見てあげる必要があります。
  • 小さな子供は痛みについて正確に大人に伝えることが難しいと思うので、大人が注意を払い確認していくことが大切だと思います。そして痛みが強い場合は放置しないことです。
  • また、治癒するまでには時間がかかる可能性がありますが、治療が始まったらきちんと通院して状態をフォローしていくことがとても大切です。痛みが軽くなってきたから大丈夫・後遺症はないから大丈夫と油断せずに定期的に受診をして経過を見ていく必要があります。
  • さらにお子様の心理的サポートも重要です。小さなお子様が痛みを抱えるというのはとても大変なことです。
  • それだけではなく、中敷き(インソール)やギプスなどを身に着けることや足を思った通り自由に動かせないことは、お子様にとって大きなストレスになると思います。ケーラー病を発症するお子様は年齢的にもちょうどたくさん遊んだり動いたりしたい時期だと思います。
  • どうかご家族の皆様は、そのようなお子様の気持ちを汲んで寄り添ってあげてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • ケーラー病という病気はあまり聞いたことがない病気かもしれませんが、成長過程のお子様に起こる骨の病気のひとつです。治療をしなくても数年で自然に治ることもありますが、症状の強さによっては中敷き(インソール)やギプスなどを使った治療が必要となることがあります。
  • お子様に足の痛みがあり原因がよくわからないという場合には、お子様が痛みを我慢し続けなくても済むようにできるだけ早めに整形外科を受診することをお勧めします。

編集部まとめ

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今回は、小児の骨の病気のひとつであるケーラー病について解説しました。

「成長痛」という言葉は良く聞きますが、ケーラー病は、子供の骨の成長過程で起こる、足の土踏まずを形成する舟状骨に起こる痛みのことです。

発達途上にある骨に繰り返し体重などによる負荷がかかることによって発症するとされています。

土踏まずは、歩く時に地面からの衝撃を和らげるために重要な部分です。そこに痛みがあるために歩行が困難になってしまい、子供の生活に支障が出てしまいます。

多くは数年で後遺症もなく治癒する病気ですが、症状に応じて中敷きやギプスを使用することで痛みを軽減することが可能です。

症状を長引かせないためには、できるだけ早めに整形外科を受診して治療をすることが必要です。

子供が特にケガをしたわけでもないのに足を痛がっている場合は、「成長痛だから」で済ませずに、一度整形外科、あるいは小児整形外科のクリニックなど受診することを検討してみてはいかがでしょうか。