”小児”に多い「急性リンパ性白血病の初期症状」とは? 風邪との違いも医師が解説!

お子さんが急性リンパ性白血病と診断された場合、家族はどのような知識を持っていればよいでしょうか。
今回は基礎知識として知っておきたい、小児の急性リンパ性白血病の症状や検査内容、治療方法をわかりやすく解説します。
これから急性リンパ性白血病の治療を始める患者さんと家族や、お子さんの症状から白血病ではないか心配している家族に役立つ内容です。
適切な治療を受けるために、患者さんと家族も知識を持って診察や治療に臨みましょう。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
急性リンパ性白血病とは?
急性リンパ性白血病(ALL)とは、血液ががん化して白血病細胞となり、骨髄内で増殖することでさまざまな症状を引き起こすがんの一種です。
急性リンパ性白血病は、未熟なリンパ球であるリンパ芽球に由来する白血病で、骨髄系前駆細胞が由来の急性骨髄性白血病(AML)とは明確に区別されます。
白血病は小児期に起こるがんのなかで、特に多い疾患です。急性リンパ性白血病は、日本では1年間に450〜500人のお子さんが診断されていると推定されています。
小児の急性リンパ性白血病の症状
お子さんが急性リンパ性白血病を発症した際に見られる、代表的な症状を解説します。
急性リンパ性白血病で見られる症状の原因となるのは、白血病細胞の増加と血液の質低下です。
これは急性リンパ性白血病を発症すると、骨髄内に白血病細胞が増殖し、血を作り出す機能が低下するからです。
造血機能の低下に伴って正常な白血球や赤血球、血小板も減ってしまうため、免疫低下や身体の不調などが生じます。以下でさらに具体的に解説していきます。
めまい・だるさ
急性リンパ性白血病を発症すると、だるさやめまいが生じるケースがあります。正常な赤血球が体内で減少し、細胞に十分な酸素が供給されなくなるためです。悪化すると臓器の機能にも影響が表れます。
類似した症状に頭痛や吐き気、嘔吐がありますが、こちらは脳や脊髄などの中枢神経系で白血病細胞が増殖しているサインです。これらの症状が見られる場合は早急な治療が必要となります。
血が止まりにくい
血が止まりにくくなるのも、急性リンパ性白血病の症状のひとつです。
正常な血小板が体内で減少し、血を止める役割が十分に果たされなくなるためです。血が止まりにくくなると怪我をした際に大量出血につながるだけではなく、脳や肝臓などの臓器から出血してしまうケースもあります。
お子さんに鼻血が出やすくなった、身体にあざができているなどの出血症状がないかも併せて確認しましょう。
骨の痛み
急性リンパ性白血病になると、骨に痛みが生じることがあります。白血病細胞が骨髄内で増殖するためです。お子さんが身体に痛みを訴えている場合は注視しておきましょう。
発熱
発熱も急性リンパ性白血病の代表的な症状です。急性リンパ性白血病の発熱は大きく、感染症に起因する発熱と、白血病細胞の増殖に起因する発熱の2つに分けられます。発熱が長く続く、何度も繰り返す場合は医師に相談しましょう。
肝臓・脾臓のはれ
急性リンパ性白血病によって、肝臓・脾臓のはれが表れることもあります。肝臓と脾臓は血液中の異物処理に関わる臓器です。肝臓と脾臓が血液中を流れる白血病細胞を異物と判断して取り込み、臓器内に白血病細胞が溜まることで大きくはれていきます。
進行すると身体の外からも触ってわかるほど、腫れることがあります。白血病細胞が肝臓や脾臓のほか、リンパ節にも蓄積し、首や足の付け根などにしこりが見られるケースも少なくありません。
感染症にかかりやすい・治りにくい
急性リンパ性白血病になると、感染症にかかりやすくなり、治りにくくなることが心配されます。
正常な白血球が減少し、免疫力が低下してしまうためです。通常の免疫力ではかからないような感染症にも、かかりやすくなるため注意が必要です。
感染症症状が長引く、繰り返す際は、血液中の白血球が白血病細胞に置き換わっていないか検査を行います。
小児の急性リンパ性白血病の検査
小児の急性リンパ性白血病が疑われる場合は、以下の検査で患者さんが白血病か、白血病の種類は何か調べます。
- 血液検査
- 骨髄検査
- 染色体検査・遺伝子検査
- 超音波(エコー)検査・CT検査
白血病の治療効果を高めるために、白血病の種類を特定することは重要です。
白血病が急性か慢性か、リンパ性か骨髄性かの特定は上記のような検査を通じて行います。急性リンパ性白血病のなかでもさらに、B前駆細胞型、成熟B細胞型、T細胞型の3種類に分類されそれぞれ治療法が異なります。
患者さんと家族も検査の重要性を理解したうえで、協力的に検査を受けましょう。
小児の急性リンパ性白血病の治療方法
検査で患者さんが小児の急性リンパ性白血病であると確定したら治療が始まります。
急性リンパ性白血病の治療は基本的に薬を使う化学療法を中心に進め、化学療法で改善が見込めないなど限られたケースで造血幹細胞移植や放射線治療も取り入れます。
治療期間は約2年間ですが、その内入院が必要な期間は長くても約1年間です。
それ以降は外来で治療を進めます。投薬の副作用はありますが、入院期間中にも患者さんの体調に合わせて外泊や一時退院が可能です。
寛解導入療法
寛解(かんかい)導入療法とは、完全寛解と症状の軽減を目指した治療法です。完全寛解とは検査や顕微鏡で確認できる範囲に白血病細胞が見られない状態を指します。
完全寛解を目指して、以下の4種類の薬剤を4~5週間かけて投与します。
- プレドニゾロンまたはデキサメタゾン
- ビンクリスチン
- L-アスパラギナーゼ
- アントラサイクリン系
同時にメトトレキサートなどの薬剤を脳脊髄液内に注射して、中枢神経系に白血病細胞が侵入しないよう予防します。
強化療法
強化療法とは、寛解導入療法で完全寛解になった後も体内に隠れている白血病細胞を減らすための治療法です。強化療法と再寛解導入療法を繰り返し行い、白血病細胞を減少させていきます。
強化療法では、寛解導入療法では使用しなかった薬剤を投与するのが特徴です。強化療法と再寛解導入療法を繰り返している期間中、中枢神経系への白血病細胞侵入予防にメトトレキサートを含む薬剤を髄注療法や点滴で投与する場合もあります。
維持療法
維持療法とは、完全寛解を維持するため、外来で通院しながら飲み薬を飲む治療法です。
メルカプトプリンを毎日、メトトレキサートを週1回内服する処方が一般的です。約1〜2年は通院が必要ですが、維持療法の期間中は通常の生活が可能です。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植とは、健康な造血幹細胞移植を移植する治療法です。以前は骨髄移植が標準でしたが、近年では臍帯血や末梢血幹細胞などからでも移植が可能になりました。
造血幹細胞移植は身体的な影響が大変大きい治療となるため、以下のような限定的なケースでのみ用いられます。
- 予後の悪い染色体異常がある
- 遺伝子異常がある
- 初期の治療反応が悪い
ほかにも再発に対して造血幹細胞移植が行われることがあります。
小児の急性リンパ性白血病の症状についてよくある質問
ここまで小児の急性リンパ性白血病(ALL)の症状・治療法・検査内容などを紹介しました。ここでは「小児の急性リンパ性白血病(ALL)の症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
再発は何年で起こりやすいですか?
急性リンパ性白血病は進行が速い病気です。以下のような症状が急に表れる場合があります。
・手足にしつこい痛みが出る
・発熱を繰り返す
・あざがたくさんできる
・リンパ節・肝臓・脾臓が大きくはれる
お子さんの様子に違和感を感じる場合は、早めに医師に相談しましょう。
風邪のような発熱・だるさがずっと続いていますが大丈夫でしょうか?
急性リンパ性白血病の初期症状は風邪の症状とよく似ており、医師でも検査するまでは判断が難しいのが現状です。一般的なウイルス感染による発熱ならば、4〜5日以内に改善するケースがほとんどです。4〜5日以上発熱が続く場合は急性リンパ性白血病に限らず、重篤な疾患が疑われるため医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
急性リンパ性白血病は進行の早い血液のがんです。白血病は小児がんのなかでも特に多いがんであるため、知識を持っておくとよいでしょう。
発症するとめまい・だるさ・止血障害・骨痛・発熱などの症状が表れます。
治療は化学療法を中心に段階的に進め、約2年間かけて完治を目指します。
風邪のような症状が不自然に長引く場合は急性リンパ性白血病の可能性も疑い、医療機関に相談しましょう。
急性リンパ性白血病と関連する病気
「小児の急性リンパ性白血病(ALL)」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
急性リンパ性白血病と上記の病気は、詳細な検査で分類されます。それぞれ特徴や効果的な治療法が異なるため、検査での見極めが重要です。
急性リンパ性白血病と関連する症状
「小児の急性リンパ性白血病(ALL)」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
急性リンパ性白血病の症状は風邪の症状とよく似ています。慢性的な風邪っぽさ、体調不良が長引く場合は放置せず、かかりつけの医師に相談しましょう。


