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「膵臓がん」は”検診で早期発見”できる?暗黒の臓器で進行して現れる症状も解説!

 公開日:2026/01/20
「膵臓がん」は検診で早期発見できる?”暗黒の臓器”で進行して現れる症状も解説!

膵臓は胃と脊椎の間にある、およそ15~20cm程度、厚さ1cm程度の細く平べったい臓器です。お腹の上の方、背中側の右から左端までに位置しています。胃や腸と違い、普段の生活ではあまり意識することのない臓器かもしれません。

暗黒の臓器とも呼ばれる膵臓のがんについて解説します。なぜ暗黒の臓器なのか、膵臓がんにはどのような検査や治療が行われるのか。正しく知って、備えていきましょう。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

膵臓がんとは?

膵臓は胃の裏側にある細長い形の臓器で、インスリンなどのホルモンを分泌したり、消化を助ける膵液を分泌したりする役割があります。膵臓には全体に膵管という管が通っており、膵液は膵管を使って運ばれます。
膵臓がんの多くは膵管に発生し、がん細胞が小さい時期から膵臓の近くのリンパ節や肝臓に転移しやすいのも膵臓がんの特徴です。転移が広がって腹膜播種を起こすことも稀なことではありません。

膵臓がんは早期発見が難しいがん

膵臓は初期にはほとんど症状がみられないこと、胃カメラや大腸カメラのように直接腫瘍を見ることができないなど、早期には発見しづらい条件がそろっています。
早期の膵臓がんはCT・超音波だけではよくわからないことが多いのも現状です。そもそも膵臓は平べったく、厚みも1cmと薄い臓器のため、少しでも腫瘍が大きくなれば周囲臓器へ浸潤してしまいます。
そのため早くに進行・転移をきたしてしまうことも早期発見が難しい一因です。

膵臓がんの症状

膵臓がんは発症しても初期にはほとんど症状がみられません。そのため早期に発見するのが難しく、症状が出てから診察を受ける方が多いため、診察を受けた段階では進行してしまっていることが多いのです。
手術が難しい状況になっていることも多く、暗黒の臓器という異名がついています。進行してからみられる症状には下記のようなものがあります。

  • 腹痛
  • 腹部のハリ
  • 体重減少
  • 黄疸
  • 腰痛
  • 背中の痛み
  • 糖尿病

膵臓がんになりやすい人

膵臓がんになりやすい方の特徴は以下のようになります。

  • 血縁者に膵臓がんになった方がいる人
  • 糖尿病を患っている人
  • 慢性膵炎を患っている人
  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍を患っている人
  • 大量に飲酒する人
  • 喫煙習慣のある・あった人
  • 肥満の人

親子・兄弟・姉妹のどれかのなかで膵臓がんに罹患した方が2人以上いる家系に発症する膵臓がんを家族性膵臓がんといいます。
膵臓がん全体の5〜10%が家族性膵臓がんだと考えられており、家族性膵臓がんの家系の方はそうでない方に比べて膵臓がんに罹患する確率が高いことがわかっています。
早期診断・治療を行うための研究・調査も始まっているため、家族に膵臓がんの罹患者がいる場合には、身近な医療機関へ相談することをおすすめします。

膵臓がん検診とは?

がんの早期発見と早い時期から治療を始めるために、厚生労働省では「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」によってがんの検診方法を定めています。
しかし膵臓がんについては、定められた検診がないのが現状です。一般的に行われている人間ドックや健康診断では膵臓がんを早期に発見することは難しいため、膵臓がんの早期発見のためには膵臓ドックが推奨されます。

膵臓がんが疑われたら実施する検査について

膵臓がんを疑われた場合に行う検査方法には、次のようなものがあげられます。

  • 超音波内視鏡検査(EUS)
  • 超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査
  • 内視鏡的膵管造影検査
  • 腫瘍マーカー検査

それぞれの検査方法について、詳しくみていきましょう。

超音波内視鏡検査(EUS)

造影CT・MRIなどで膵癌が疑われた場合、まずはEUSで精査を行います。内視鏡の先端に超音波検査の機械を付けた器具を直接胃内に入れ、胃の壁にあてることにより、膵臓のすぐ近くから何にも邪魔されることなく膵臓を観察できる検査です。
この検査で必要があれば入院下で穿刺を行い、病理組織診を行うことが多く、今はいきなり内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)に行くことはほぼありません。現在はEUSで診断がつくならERCPは行なわないことも多いです。
ERCPで膵液細胞診となる場合は上皮内腫瘍(CIS)を疑った場合などですが、そういったケースは圧倒的に数が少ないです。その場合、数日間鼻から管を出して膵液を連日採取する方法(SPACE)もよくとられます。

超音波検査

超音波検査とは、超音波プローブを身体の表面にあて、臓器で反射する超音波を画像化することで検査を行います。膵臓の形や状態・がんの有無やその位置・周囲の血流の状態などを確認することが目的です。
超音波検査の特徴としては膵臓の形態や詳細観察を行えるものの、胃や腸に邪魔をされてしまい、ケースによっては膵臓が観察しづらくなる場合があります。

CT検査

CT検査では身体の周囲にX線を当てることで、身体のなかを断面図として画像化できます。膵臓がんの有無や転移の有無などを確認するために行うCT検査では、造影剤を使用することが一般的です。

MRI検査

MRI検査は、強力な電波と磁力によって磁場を発生させ、身体の内部を画像化する検査です。いろいろな方向から見た身体の断面図を画像化できるのが特徴です。
がんとそうではない組織を区別して映し出せるため、がんの有無や広がり方・転移の有無などを確認できます。よりはっきりした映像を得るために造影剤を使用することもあります。

内視鏡的膵管造影検査

内視鏡的膵管造影検査は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)とも呼ばれる検査です。検査は点滴によって睡眠・鎮静効果のある薬剤を投与し、眠った状態で行われます。
お口から内視鏡を挿入し十二指腸まで進めた後、胆管・膵管に造影剤を注入してX線撮影を行います。このとき、膵管の細胞を採取し、病理診断を行うことも可能です。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、主にがんによって作られる、タンパク質などの物質のこと。がんの種類や作られる臓器によって特徴が違います。
腫瘍マーカーの数値だけではがんがあるのかどうか、進行具合、転移の有無などはわかりません。診断は画像検査や病理検査などと併せて医師が総合的に判断します。
腫瘍マーカー検査は診断の補助や経過観察・治療の効果判定などを目的として行われます。

膵臓がんの治療方法

膵臓がんの治療方法には、どのようなものがあるのでしょうか。治療法をあらかじめ知っておくと治療方針も定まりやすくなります。下で詳しく見ていきましょう。

手術

膵臓がんの治療において、手術で切除が可能と判断された場合にはできる限り手術を行いますが、実際には膵臓がん全体のうち、手術を行えるのは20〜30%です。膵臓がんの手術には以下の3種類があります。

  • 膵頭十二指腸切除術(すいとうじゅうにしちょうせつじょじゅつ)
  • 膵体尾部切除術(すいたいびぶせつじょじゅつ)
  • 膵全摘術(すいぜんてきじゅつ)

膵全摘術を行うと膵臓をすべて摘出するため、膵臓からのインスリンや消化酵素が分泌されなくなり、糖尿病や脂肪肝などの状態になります。術後には定期的なインスリンの使用や、消化剤の服用などが必要です。

抗がん剤治療

膵臓がんに対しては、主に細胞障害性抗がん剤が使われます。状況によってはがん遺伝子検査を行い、その結果次第で分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(がん細胞が免疫の働きを邪魔しないようにする薬)が使われることもあります。
抗がん剤治療で使われる薬は複数あり、その組み合わせは状態によって変わるため、どのような薬を使うのかについては担当医に説明してもらいましょう

放射線治療

放射線治療には、2種類の治療法があります。

  • 治療効果を高める化学放射線療法
  • 症状を緩和するための放射線治療

抗がん剤(化学療法)と放射線治療を組み合わせた治療法で、手術のできない膵臓がんに対して行う治療法です。手術できない膵臓がんの症状の緩和に放射線治療を用いることもあります。
また、放射線の量や当てる部位によって違いはありますが、放射線治療の副作用が出る場合があります。以下にあげる症状は、放射線治療の一般的な副作用です。

  • 皮膚の色素沈着
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 白血球の減少

手術ができない膵臓がんの場合、根治を目指すことは難しく、予後を伸ばすための治療となります。その場合は、いつか必ず効果がなくなるときが来ることを頭に入れておきましょう。

膵臓がんの検診についてよくある質問

ここまで膵臓がんの検診方法を紹介しました。ここでは「膵臓がん検診」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

膵臓がん検診に必要な費用はどれくらいですか?

膵臓がん検診の費用については何を受けるか、どこの医療機関で受けるかによって変動します。血液検査(腫瘍マーカー)・超音波検査・CT検査でおよそ40,000円(税込)前後です。この検査に加えて遺伝子検査・MRI検査・内視鏡検査・内視鏡による撮影・病理検査など検査項目が増えれば金額は上がります。1〜2日かけて行われる膵臓がんドックの場合内容によっても変わりますが、1日入院でおよそ100,000〜200,000円(税込)というところもあります。

膵臓がん検診はどの病院でも受けられますか?

どこまでの検査を受けたいかによっても違いますが、MRIなどの大型医療機器のある病院は限られているため、どの病院でも受けられるわけではありません。血液検査やエコー検査のできる病院は多いので、受けたい検査内容を精査したうえで病院を探してください。

編集部まとめ

膵臓がんとその検査方法について解説してきました。初期の膵臓がんは症状がほとんどなく、発見されたときには手術や治療が難しい状態になっていることも多いがんです。

家族に膵臓がんの患者さんがいる、気がかりなことがあるという場合は、早めの膵臓ドッグをおすすめします。

膵臓がんは通常の健康診断や人間ドックでは見つけることが難しいのが実情です。適切な受診や膵臓がんドックで早期発見・早期治療を心がけましょう。

膵臓がんと関連する病気

「膵臓がん」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

これらの病気は膵臓がんになる確率をあげる危険因子です。また糖尿病は膵臓がんの手術によって発症する可能性のある病気でもあります。これらの持病がある場合は、膵臓ドッグを定期的に受けることをおすすめします。

膵臓がんと関連する症状

「膵臓がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 腰痛
  • 背中の痛み
  • 黄疸
  • 体重減少

膵臓がんは症状があらわれたときにはかなり進行していることが多い病気です。少しでも思い当たることがあったら速やかに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師