「大腸がんの入院費用」はどれくらいかかる?負担軽減のための制度も解説!
大腸がんと診断されたとき、不安な気持ちとともに、お金に関する心配をする方も多いのではないでしょうか。
入院費・治療費のほかにも、通院にかかる交通費や入院に必要な日用品費用など、さまざまな費用がかかります。
しかし、日本にはそれらの負担を軽減する制度があるのであまり不安にならずに治療に専念できるでしょう。
この記事では、大腸がんの入院費用やその他にかかる費用、負担軽減のための制度をご紹介いたします。
大腸がんにかかる費用について知識を高めたい方はぜひ参考にしてみてください。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
目次 -INDEX-
大腸がんとは
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)にできる腺腫とよばれる良性ポリープががんとなってできるものもあれば、大腸内の粘膜から突然できるものもあります。年間約150,000人がかかるといわれている日本人に多いがんです。
初期のころは自覚症状がほとんどないといわれていますが、進行すると血便・貧血によるめまい・嘔吐・腸閉塞などの症状があらわれます。大腸の粘膜から、血液やリンパの流れによって肺や肝臓などに転移する可能性があり、転移すると治癒が困難になるため、早期発見が重要になります。
大腸がんの入院費用は?
早期結腸がんで切除手術を行うため17日間入院した場合、入院費と手術費合わせて1,050,000円程かかるといわれています。一般世帯で70歳未満の自己負担額は100,000円程です。
これは早期発見の場合なので、がんの進行具合や抗がん剤・放射線治療の追加などにより費用は変わります。
治療以外にかかる費用
大腸がんと診断されたら、入院費・治療費のほかにも費用がかかります。
いざというときに慌てないためにも事前にどのような場面で費用がかかるのか確認しておきましょう。
通院のための交通費
入院の前後には通院が必要です。その際に、電車代・タクシー代・自家用車での通院の場合はガソリン代や高速代などがかかります。
通院が長引くと大きな金額になってくるので事前にどのくらいの金額がかかるのか把握しておくことが大切です。
付き添う家族のための費用
一人で通院・入院が困難な場合には家族が付き添う必要があります。入院に付き添う場合には食事代や付き添い用の簡易ベッドレンタル代などが必要です。
病院によって金額は変わりますが、ベッドレンタル代は1日1,000円〜10,000円程度かかるといわれています。
診断書・証明書の作成料
病気で仕事を休むときや業務調整をするとき、保険の給付を受けるときなどに診断書や証明書が必要になります。医師に作成してもらうもので、費用が発生します。病院によって金額が変わってきますが、一例として以下にまとめました。
- 普通診断書:3,300円
- 生命保険診断書(入院・手術・通院):7,700円
- 自賠責診断書:6,600円
診断書ができあがるまで数週間かかる場合もあるので、余裕をもって申し込むようにしましょう。
入院時の日用品・消耗品
入院時に必要なものは着替え・スリッパ・洗面用具やタオルなどの日用品はもちろんのこと、新聞や雑誌などの娯楽費・お見舞い品のお礼・車いすや杖などのレンタル料金などがあげられます。
一人あたり1日の自己負担額は20,000円程だといわれています。
寝衣代・テレビカード
上記で入院時に必要な日用品をご紹介しましたが、病院によって寝衣やタオル・洗面用具などの入院セットをレンタルできる場合もあります。
1日平均数百円程度です。テレビカードは専用自販機で1枚1,000円程で販売されていて、テレビと冷蔵庫に併用できる病院が多いでしょう。夏場に冷蔵庫を頻繁に使用したい方、入院中テレビを見たい方はテレビカードを購入しましょう。
長期入院になる方は金額が多くなってしまいますが、退院時に残った分の金額を払い戻しできる場合もあります。
個室代(差額ベッド代)
多くの病院は入院の際、大部屋か個室を選択できるでしょう。大部屋の方がもちろん金額は少なく済みます。費用はかかりますが、人の目が気にならない・空調を自由に管理できる・専用トイレ、シャワーがあるなど個室にもメリットはたくさんあります。
個室のタイプによりかかる金額は違いますが、1日33,000円〜110,000円(税込)程かかるといわれています。
食事標準負担額
入院時食事療養費とは、健康保険に加入している方が入院中の食費の一部を負担してもらえる制度です。1食あたりの負担額の一例をまとめました。
- 一般の方:490円
- 難病患者や小児慢性特定疾病患者の方:280円
- 住民税非課税世帯の方:230円
- 住民税非課税世帯で1年の入院日数が90日以上の方:180円
適用される負担額の条件が人によって違うのでご注意ください。
費用の負担軽減のための制度
手術費・治療費・入院費や、それ以外にかかるお金のことはおわかりいただけたでしょうか。
ここからは、それらの費用の負担を軽減してくれる制度を説明します。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1ヵ月の間に病院や薬局で支払う医療費が上限を超えた場合に、その分の金額を負担する制度です。上限額は、年齢や所得によって決まるので人それぞれ違います。
申請方法は、病院で行ってもらえる場合もあり、各自で申請する場合もあるので、入院前に病院の窓口で確認しておくとよいでしょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度
通常、医療や介護サービスを受けるときは健康保険が適用されて1割〜3割負担になります。しかし、それでも病院に行く機会が多かったり、介護サービス費も合わせたりすると、高額になる場合もあるでしょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度は、それらの自己負担額を抑えるための制度です。医療だけでなく、介護サービス費も適用されるのが特徴です。申請は公的医療保険の窓口になるので、必要な書類などを確認しておきましょう。
医療費控除
医療費控除とは、確定申告時に1年の間に支払った医療費や薬代が一定の額を超えた場合、所得控除を受けられる制度です。患者さん本人だけでなく、生計をともにする家族の方も合わせて対象となります。
所得控除額は、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補われる金額と100,000円を引いた額になります。上限額は2,000,000円です。
大腸がんの入院費用についてよくある質問
ここまで大腸がんの入院費・治療費以外にかかる費用・費用の負担軽減のための制度などを紹介しました。ここでは「大腸がんの入院費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大腸がんの入院期間はどのくらいですか?
中路 幸之助(医師)
患者さんの状態や、病院の方針にもよりますが、一般的な入院期間は結腸がんで5日間、直腸がんで7〜10日間だといわれています。基本的には来院での診察で手術日を決定し、その前日に入院する場合が多いようです。手術日や入院期間は、初診時にある程度の日程を伝えてもらえる場合もあるので余裕をもって準備ができるでしょう。
退院後にも費用はかかりますか?
中路 幸之助(医師)
大腸がんの手術後、再発した患者さんの95%は5年以内に再発するといわれています。退院後はフォローアップが必要なため、健診を定期的に行いましょう。最初は退院から2週間以内、その後3年間は3ヵ月に1回、4年目からは半年に1回のペースになります。健診内容は問診・血液検査・CT検査・大腸内視鏡検査を一定の期間ごとに行います。その際に治療費・検査代・来院時にかかる交通費・処方される薬の費用・場合によってはリハビリ費などがかかってくるでしょう。
編集部まとめ
今回は、大腸がんの入院費や治療以外にかかる費用、そして患者さんの負担を減らすための費用軽減制度についてご紹介しました。
さまざまな場面でお金がかかってしまうことと、申請すれば費用を抑えられる制度があることをご理解いただけだのではないでしょうか。
保険が効かない自己負担額の出費が多くある場合でも、高額療養費制度や医療費控除を利用すれば少しはお金の心配は少なくなるでしょう。
申請方法や、申請に必要な書類は事前に確認しておきましょう。
大腸がんと関連する病気
「大腸がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの病気にかかったことのある方は大腸がんになる可能性が高いといわれています。家族の病歴も合わせて確認し、定期的ながん検診を心がけましょう。
大腸がんと関連する症状
「大腸がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
なかでも特に頻度が高いといわれているのが血便です。大腸から出血し、便に血が混じるだけでなく、出血による貧血もあわせて起こりやすいです。普段から便の色を確認し、何か症状のある場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
参考文献