生存率が低い「スキルス胃がん」を”早期発見”するには?症状となりやすい人も医師が解説!

スキルス胃がんの早期発見方法とは?メディカルドック監修医がスキルス胃がんの早期発見方法・生存率・なりやすい人の特徴・症状・原因などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「スキルス胃がん」とは?
一般的な胃がんは、胃の内側の粘膜から発生し、外側に向かって進行します。しかし、胃がんの中には胃の壁を厚くさせながらしみこむように広がっていく「スキルス胃がん」と呼ばれるタイプの胃がんもあります。このスキルス胃がんは、通常の胃がんと異なり潰瘍などの粘膜の病変を作らないため、内視鏡検査などの肉眼で確認する検査ではわかりにくいことが多いです。また、進行が早く、腹膜播種が起こりやすい特徴があります。診断された時には、すでに転移を起こしていることも多く、非常に治りにくく生存率が低いがんと言われています。
スキルス胃がんを早期発見する方法
スキルス胃がんは、肉眼的に見える粘膜の所見が無いため、内視鏡検査で発見しづらい病気です。一方、バリウム検査(上部消化管造影検査)は、造影剤を飲んでX線撮影を行い、内視鏡検査ではわかりにくい胃全体の形や胃の広がりにくさ、壁の硬さなどを調べることができます。そのため、スキルス胃がんを発見するための非常に有用な検査の一つと言えるのです。しかし、内視鏡検査でも胃粘膜のひだが大きくなったり、滑らかさがなくなる所見が認められることからスキルス胃がんが発見されることもあります。早期に発見するためには、内視鏡検査もしくはバリウム検査での定期的ながん検診を行うことが勧められます。
スキルス胃がんを早期発見した場合の生存率
スキルス胃がんは発見された時にはすでに進行していることが多く、なかなか早期に発見できることが少ないです。このため、スキルス胃がんはいまだに生存率が低めです。ある報告では、全体の5年生存率は14.6%とされています。また、切除可能例では5年生存率は21.6%でした。スキルス胃がんが腹膜播種や転移がなく切除可能であれば、生存率は高くなります。なるべく早めに発見をすることが望まれます。
スキルス胃がんの検査法
上部消化管造影検査(バリウム検査)
上部消化管造影検査とは、発泡剤で胃を膨らませ、バリウムを内服して行う検査です。そして、飲んだバリウムを胃の中で薄く広げながら体位を変え、連続してレントゲン撮影をし、胃の形や胃の中の凸凹を観察します。影絵をみるように胃の内部を映しだすため、内部の色調や、わずかな色の変化や、隆起やくぼみまではわかりません。一方で、胃の全体の形や広がりやすさに関してはわかりやすいためスキルス胃がんの発見には適しています。
上部内視鏡検査
口や鼻から内視鏡を挿入し、胃の内部を直接観察する検査です。直接胃の粘膜や病変をみることができるため、病変の場所やその範囲、深さなどを確認することに優れています。また、病変をつまみ取り、病理診断をする生検を行うこともできます。
画像検査(CT検査、MRI検査)
CTやMRIなどの画像検査では、X線や磁石、電波を用いて体の断面を画像にすることができます。この検査で、病変から離れた部位での転移やリンパ節への転移、周囲の臓器への浸潤がないかを確認することが可能です。また、造影剤を使用して、血管や臓器、病変をより詳しく見えやすくして検査を行うこともあります。
スキルス胃がんになりやすい人の特徴
現在のところスキルス胃がん単独での発症原因は、はっきりしていません。しかし、通常の胃がんと同様に、複数の要因がスキルス胃がんの危険因子ともなり得ると考えられています。
ピロリ菌感染
ピロリ菌の感染は胃がんの主要な危険因子と報告されています。胃がんと同様に、ピロリ菌感染がスキルス胃がんの発症リスクを高めることが分かってきました。このため、ピロリ菌感染が確認された場合には、除菌とその後の経過観察が非常に大切です。
日本では、衛生環境が改善され、徐々にピロリ菌の感染は減少し、若い人では感染率は低くなっています。
若い女性・遺伝的要因
スキルス胃がんは20歳〜40歳代の若い女性で発生しやすいことが分かっています。この年代の女性で胃痛や嘔気、食欲不振が持続する場合には、消化器内科での相談をお勧めします。
また、遺伝的な要因も関係があると言われています。家族内でスキルス胃がんの人がいる場合には注意が必要です。
生活習慣
通常の胃がんでは、高塩分食や塩分の過剰摂取、喫煙や飲酒などが発症の危険因子と報告されています。スキルス胃がんでもこのような危険因子がある場合には注意したほうが良いでしょう。
スキルス胃がんの代表的な症状
スキルス胃がんの症状は、基本的には通常の胃がんと変わりないです。また、初期ではほとんど症状がみられません。
みぞおちの痛み
スキルス胃がんが進行すると、胃が位置するみぞおち辺りの痛みや不快感がみられることがあります。胃炎や胃潰瘍など他の病気でも起こり得るため、症状のみでは区別がつきません。しかし、みぞおちの痛みや不快感が持続する場合には消化器内科を受診して相談をしてみましょう。
胸やけ、嘔気
スキルス胃がんの症状は、進行すると胸やけや嘔気などの症状がみられます。数日であれば、急性胃腸炎である可能性が高いですが、1週間以上持続するような場合には何か消化器系の病気が隠れている可能性があります。消化器内科を受診しましょう。
食欲低下
スキルス胃がんが進行すると、食欲が低下し食事がとれなくなります。また、次第に体重が低下してくることもあります。食欲低下や体重減少に気が付いたときには、消化器内科で相談をしましょう。
スキルス胃がんの主な原因
スキルス胃がんの発症の原因についてはいまだはっきりとしたものはありません。通常の胃がんの様にさまざまな要因が複数重なることでスキルス胃がんが発症するのではないかと考えられています。
ピロリ菌の感染
前述している様にピロリ菌の感染は通常の胃がんと同様にスキルス胃がんの発症にも関係していると報告されています。
遺伝的要因
がん抑制遺伝子(E-カドヘリン、P53)やCDH1遺伝子、受容体型チロシンキナーゼ-RAS-MARK経路遺伝子群の異常などがスキルス胃がんの発症に関係しているのではないかと報告されています。今後これらの解明が進むと、分子標的薬などの治療をするときにどの治療薬が有効か検討する際の手助けにつながり、さらに治療法の改善が期待できます。
「スキルス胃がんの早期発見」についてよくある質問
ここまでスキルス胃がんの早期発見について紹介しました。ここでは「スキルス胃がんの早期発見」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
スキルス胃がんは何人に一人の割合で発症しますか?
和田 蔵人(医師)
スキルス胃がんの発症率についていくつか報告されていますが、ばらつきがあります。胃がんのうちで10%前後での発生頻度との報告が多いです。胃がん全体は、人口10万人当たり約87人と言われています。このため、スキルス胃がんに関しては、胃がんの10%と考えると、人口10万人当たり約9人程度と発症率は低いと考えられます。
まとめ 胃の不調が持続する場合には消化器内科を受診しよう
スキルス胃がんは非常に発見しづらいがんです。このため、発見された時にはすでに進行している例が少なくありません。まず予防としては食事・生活習慣の改善、ピロリ菌の除菌、そして定期的ながん検診が挙げられます。特にスキルス胃がんは若い方で発症しやすいがんです。若い方では、不調があってもなかなか病院へ行きにくい事情もあるのかもしれません。しかし、胃の不調が持続する場合には早めに消化器内科を受診して相談をしましょう。
「スキルス胃がん」と関連する病気
「スキルス胃がん」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
スキルス胃がんは症状が出にくく、症状が出ても他の消化器系の病気と区別がつきづらいです。胃の不調が持続する場合には消化器内科を受診しましょう。
「スキルス胃がん」と関連する症状
「スキルス胃がん」から医師が考えられる症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
胃の不調
- 胃痛
- 嘔気
- 胸やけ
- 食欲不振
- 体重減少
スキルス胃がんの初期症状は出ないことが多いです。進行すると上記の様な症状がみられることがあります。このような症状が持続する場合には消化器内科で相談をしましょう。
参考文献




