”4人に1人が再発”する「前立腺がんの再発原因」とは?防止策も医師が解説!

前立腺がんは男性のみが発症する悪性腫瘍で、男性の部位別罹患率では上位となっているもののひとつです。再発するケースも、決して珍しくありません。
そのため、再発に備えてどのように医療機関が対処するかは重要です。再発を可能な限り早期に発見し、適切な治療を行わなければなりません。
上皇陛下が罹患されたことでも知られる前立腺がんの再発原因・手術後の経過観察・治療法について説明すると同時に、前立腺がんそのものについても説明していきます。

監修医師:
澤田 樹佳(富山県のさわだクリニック)
20022金沢大学卒 / 2014年金沢大学大学院卒 / 現在は、富山県のさわだクリニック院長 / 専門は泌尿器科、在宅、緩和医療、東洋医学
保有免許・資格
泌尿器科専門医、指導医
医師へのコミュニケーションスキルトレーナー
目次 -INDEX-
前立腺がんとは?
前立腺は男性のみにある臓器で、ここを原発巣とする悪性腫瘍が前立腺がんです。
ここから分泌される前立腺液は、精子が動きやすくする・精子を活発にするなどの働きがあります。男性の部位別がん罹患率ではトップで、患者さんの数も増加傾向です。
しかし、死亡者数は肺・大腸・胃を原発巣とするがんよりも少なくなっています。これは前立腺がんの進行がほかのがんと比べて遅いうえ、前立腺特異抗原(PSA)という腫瘍マーカーによって早期発見がしやすくなっていることなどが理由です。
前立腺がんの再発原因
前立腺がんの手術を行っても4人に1人は再発するとされており、目に見えないがんが残っていることなどが原因とみられています。
前立腺がんの再発の目安としては、以下の2つがあります。
- PSAの上昇による再発
- 臨床的再発
PSAの上昇による再発
PSAとは前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパク質で、がんなどによって前立腺の組織が破壊されると、PSAが血中に漏出します。
がんのサイズはさまざまで、なかには肉眼では確認できない程小さいものもあるのです。しかし、それ程小さながんであっても前立腺の組織を破壊していくことは同じです。このため、腫瘍として確認できるサイズのがんがなくても、PSAの数値が大きく上がることがあります。
このようなPSAの上昇によってがんの再発が確認できるケースをPSA再発といいます。
臨床的再発
臨床的再発とは、前立腺がんの再発が腫瘍として確認できたものです。腫瘍を確認する方法としては、次の2つの方法があります。
- 直腸指診
- MRI検査
直腸指診は昔から行われている方法で、肛門から指を入れて前立腺を確認するものです。ある程度のサイズの腫瘍なら、直腸指診で発見できます。
一方、MRI検査は近年になって普及している画像検査です。精度が高く、小さな腫瘍でも発見できます。
再発を防ぐために経過観察は必要?
結論からいえば、前立腺がんの再発防止のためには経過観察が必要です。以下のような理由があるからです。
- 摘出しても再発する可能性があるため必要
- 年単位で再発を防ぐため必要
- 病状やリスク因子によっては必要
また、監視療法と呼ばれるような経過観察法もあります。
摘出しても再発する可能性があるため必要
前立腺がんの摘出手術を行っても、目に見えないがんが残っている可能性はゼロではありません。特に前立腺がんは、手術を行っても4人に1人は再発することが確認されています。
しかも、1年以内に前立腺がんの再発が確認されるケースが珍しくありません。
前立腺に限らず、がんは早期治療を行えば治る疾患です。早期発見のためにも、経過観察が必要となります。
年単位で再発を防ぐために必要
前立腺がんのなかには、手術から数年後に再発というケースもあります。すぐに再発しないからといって放置すると、数年後に再発したことに気付かないことも起こりうるのです。
前立腺がんの進行がゆっくりだといっても、発見が遅れると命に関わることはほかのがんと変わりません。年単位の再発を防ぐため、長期の経過観察も必要です。
病状やリスク因子によっては必要
摘出時点で前立腺がんが進行していた場合、再発のリスクは高いので経過観察が必要となります。
また前立腺がんの原因そのものはわかっていませんが、食習慣をはじめ罹患しやすいリスク因子があることは判明してきています。一例を挙げれば、欧米型の食習慣は前立腺がんの発症リスクを高める要因です。
再発を防止するためにはリスク因子を排除していくことも重要で、そのためにも経過観察は欠かせません。
監視療法と呼ばれる経過観察法もある
前立腺がんの進行は遅い部類で、年単位で進行が見られないこともあります。また、尿失禁・勃起障害(ED)など手術には後遺症のリスクもあるのです。
このため積極的な治療を行わず、定期的にPSA検査・前立腺生検を行ってがんが進行しているか確認します。監視療法とは、このような方法です。
もちろん、検査でがんが進行していることが判明すれば手術をはじめとする積極的な治療に切り替えます。
前立腺がんの治療法
前立腺がんの治療法として考えられるのは、以下のようなものです。がんの進行状態に合わせて、適切な治療法を選択します。
- 放射線治療
- 内分泌治療
- 手術療法
- 薬物療法
放射線治療
前立腺がんで行われる放射線治療は外照射療法・組織内照射療法の2種類です。
外照射療法は体外から患部に放射線を当てるもので、組織内照射療法は放射性物質の封入された容器を体内に入れるものです。
副作用としては外照射療法は排便、組織内照射療法は排尿に関するものが目立つ傾向にあります。
内分泌療法
前立腺がんを進行させる原因のひとつは、男性ホルモンによる刺激です。
この刺激を抑えるために、男性ホルモンの働きを抑える薬を使用するのが内分泌療法です。女性ホルモン・副腎皮質ホルモンを使用することもあります。
副作用としてはホットフラッシュ・性機能低下などがあります。治療を長期間続けていると、効果が低下する点も問題です。
手術療法
手術は前立腺と精嚢を摘出する全摘術が主流で、がんの進行状態によってはリンパ節郭清も併せて行われます。がんが前立腺内にとどまっていることが手術の条件です。
場合によっては、前立腺の被膜を越えている状態でも行われます。完治が望める治療法ですが、術後に尿失禁・性機能低下などが起きる可能性があることがデメリットです。
薬物療法
一般的な抗がん剤治療で、前立腺がんの場合は内分泌療法の効果がなくなったときに行われます。がんの進行によって手術療法ができなくなったときの選択肢のひとつです。
経口・静脈注射によって投与されますが、重篤な副作用があると添付文書に記載されている薬剤があることが問題点です。
前立腺がんの再発についてよくある質問
ここまで前立腺がんの再発や治療方法などを紹介しました。ここでは「前立腺がんの再発」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
前立腺がんが再発しやすい人はいますか?
手術を行った場合では、がんが前立腺の被膜を越えている場合は再発しやすいとされています。食習慣も、前立腺がん再発に関わる要因のひとつです。食事が欧米型であれば前立腺がんの発症率は高く、再発もしやすくなります。
再発後に前立腺の痛みは生じやすいですか?
前立腺がんの再発初期には痛みがなく、PSAの上昇にも関わらず腫瘍が確認できないケースもあるのです。痛みが生じている場合、骨などに転移しているケースが考えられます。このような症状が出た場合は手術ができず、予後も良くありません。
編集部まとめ
前立腺がんの再発率そのものは低くないですが、進行は遅い部類に入ります。再発した場合でも年単位で進行がみられず、天寿を全うできる患者さんもいるのです。
ただ、前立腺がんも病状が進めば命に関わる悪性腫瘍であることに変わりはありません。手術を受けた人は必ず経過観察をしてもらい、再発を早期に発見できるように努めてください。
前立腺がんと関連する病気
「前立腺がん」と関連する病気は2個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
いずれも血中のPSA濃度が上昇することが共通しています。前立腺肥大症については症状も類似しているうえ、併発しているケースもあるので注意が必要です。
前立腺がんと関連する症状
「前立腺がん」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 排尿障害
- 頻尿
- 排尿痛
これらの症状は前立腺肥大症にも共通するものですし、2つの疾患を同時に発症していることもあります。上記の症状が確認されたら、重篤なケースを想定して医療機関の診察を受けてください。




