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「放射線治療の回数で費用」はどのくらい変わるかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/16
「放射線治療の回数で費用」はどのくらい変わるかご存知ですか?【医師監修】

がんの治療方法として放射線治療を必要とするケースは少なくありません。

基本的に放射線治療は保険の適用が可能とはなるものの、やはり費用面を心配される方もいらっしゃることでしょう。

この記事では、放射線治療の費用について、部位や病気、保険の適用有無によってどれくらい変わるのかについて触れています。

がんの治療法として放射線治療を検討している方やそのご家族に向けて、情報収集や選択を検討する際の材料となれば幸いです。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

放射線治療とは?

放射線治療は、がんの部分に放射線をあてる治療法 です。がんの治療法としては3種類に分かれることが多く、ほかには手術や薬物療法が用いられることがあり、3大治療法と称されることもあります。
放射線治療の特徴としては、局所に対する治療ではあるものの、手術のように臓器を取り除いたりすることがない点が挙げられます。
放射線があたっても、痛みや熱を感じない点も特徴です。X線撮影と同じように考えると、痛みがないことが理解しやすいでしょう。また、手術や薬物療法と併用されることもあります。

放射線治療の回数で費用はどのくらい変わる?

放射線治療の費用は、治療を必要とする回数によって変化 するほか、公的医療保険の適用となるかどうかといった点 でも変化します。
どのような要素で費用が変化するかを解説しますので、参考にしてみてください。

治療回数は部位や病気により異なる

放射線治療は当然ながら、その回数によって価格が変動します。そもそもの治療回数は部位や病気によって異なるため、一概に指定の回数で抑えることはできません。
また、治療の効果次第でも回数が変動するため、必ず予算の範囲内で治療を終えることができるとはいえないのが現実です。

使用する放射線によって費用が変わる

放射線の種類はX線のほかに陽子線や重粒子線という種類のもの が用いられることがあります。また照射方法としても一般的な高エネルギー放射線治療のほかに三次元原体照射や強度変調放射線治療、通称IMRTといった方法が用いられることもあります。
放射線治療について不明な点がある場合には、納得してから治療を受けられるように主治医に確認することが大切です。また、これらの方法と部位によって費用が変わる点も念頭に置くほうがよいでしょう。

公的医療保険の適用で費用が変わる

放射線治療は一般的には公的医療保険の対象の治療です。
ただし、一部の病院のみで取り扱う先進医療に該当する場合など、自由診療扱いとなるケースがあるので、それぞれで比較してみましょう。

放射線治療の費用

実際に放射線治療にどれくらいの費用がかかるかを確認してみましょう。
もちろん、ご自身のケースに当てはめて考えることが大切です。検査や診察を通じてしっかりと主治医の先生に相談する必要があるでしょう。

保険診療

放射線治療は一般的には公的医療保険の対象となる治療法です。公的医療保険の対象となる場合には自己負担は3割までとなるため、費用を抑えられる点が特徴です。
先進医療の対象となることもある陽子線治療や重粒子線治療も、がんの部位によっては保険診療の対象となるため、主治医の先生としっかりと治療法を相談されることをおすすめします。
また、高額療養費制度を利用できるケース もありますので、検討してみてもいいかもしれません。
年齢や収入によって上限額が異なるため、限度額適用認定証を発行してもらい、実際の自己負担額を確認する必要があります。これらの制度も病院窓口で相談されることをおすすめします。

自由診療

保険診療や先進医療、臨床試験といった制度での適応とならない場合には、自由診療として重粒子線治療を行うケースがあります。この場合の費用は病院によって異なりますが、先進医療と同等か、それ以上の費用がかかるケースもあると考えておくとよいでしょう。
また、自由診療の場合は、病院によって費用が異なり ます。ある病院のホームページで、当院ではこの金額で治療しますといった表記がある場合にも、ほかの病院では異なった費用となる点に注意が必要です。

先進医療

先進医療制度は保険診療との併用が認められています。陽子線治療、重粒子線治療などの粒子線治療は、公的保険の適用となるがんが決まっています。ただし指定の医療以外でも、先進医療として検討が進められているため、利用する患者さんもいらっしゃることでしょう。
先進医療を利用する場合の費用としては、一般的に全体で3,000,000円前後が必要になるとされています。もちろん病気の部位や状態によっても異なりますが、参考にできるといいでしょう。
また、医療保険で先進医療特約を付加している場合には自己負担が軽減されるケースもありますので、ご自身の契約状況を見直してみることも大切です。

放射線治療の種類

放射線治療について検討する際には、放射線の種類だけでなく照射方法についても知っておく必要があるでしょう。
ここでは代表的な治療の種類を紹介します。

高エネルギー放射線治療

直線加速器と呼ばれる機械で高エネルギーのX線を多方向から照射する方法 です。がん細胞を死滅させる一般的な治療方法です。
具体的な治療方法や照射の回数は、病状や治療目的により主治医が判断します。

定位放射線治療

病巣に対し多方向から放射線を集中させる方法 で、ピンポイント照射や定位照射とも呼ばれる方法です。周囲の正常組織にあたる線量を減少させるといった効果が期待できる方法といえるでしょう。
γ線を利用したガンマナイフという装置を利用することが特徴です。 先述の高エネルギー放射線治療でも、架台や治療ベッドの回転を組み合わせることで同様の効果を得られるケースもあるので、主治医と治療法の相談をしっかりと行うことをおすすめします。

粒子線治療

粒子線治療とは、陽子や重粒子といった粒子放射線を病巣に照射する放射線治療 を指します。
粒子放射線の、体内表面近くではエネルギーをあまり放出せず、停止する直前にエネルギーを放出する性質を利用し、病巣に線量を集中できる点が特徴です。
一部の部位に対する治療は公的医療保険の対象とならず、先進医療という扱いになることがあるため、念頭において治療計画を検討しましょう。

密封小線源治療

密封小線源治療とは、内部照射の方法の1つです。放射線が強く照射される範囲が極めて限定的となることから、副作用が少ないといった特徴 を持ちます。
組織内照射、腔内照射という方法を用いて、放射性同位元素を体内に挿入し埋め込み、身体の内部から放射線を照射する治療法です。
前立腺がんの治療ででよく用いられる方法です。

放射線治療の回数による費用についてよくある質問

ここまで放射線治療の回数・費用・種類などを紹介しました。ここでは「放射線治療の回数による費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

放射線治療を保険診療で受けられますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

放射線治療は一般的に公的医療保険の対象となる保険診療が受けられます。一部の部位に対する治療法として先進医療の対象となったり、自由診療となる放射線治療の種類があるので、主治医に確認するほうがよいでしょう。

放射線治療の費用を抑える方法はありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

公的医療保険の対象となる治療法を活用することで、治療費を抑えることが可能となる場合があります。主治医や看護師、ケースワーカーといった専門家と相談し検討しましょう。また、治療費を直接抑えることが困難となる場合でも、公的医療保険の対象となる診療の場合には、高額療養費制度の利用や医療保険の活用といった方法を用いることで負担額を抑えることができる場合もあります。念頭において検討されることをおすすめします。

編集部まとめ

いかがでしたでしょうか。放射線治療は、回数によって費用が異なることはもちろん、その回数を決める要素として病状や部位といったさまざまな要因があります。

予算の範囲内で治療を終えることが難しいケースも想定されるため、経済的に不安を抱えている場合には、医師やケースワーカーとしっかりと相談されることをおすすめします。

放射線治療と関連する病気

「放射線治療」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

これらのがんの治療において、放射線治療は重要な役割を果たします。がんの種類や進行度に応じて、局所治療として、または全身治療の一部として使用されます。副作用もありますが、多くの患者さんにとって有効な治療法です。

放射線治療と関連する症状

「放射線治療」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲労感やだるさ
  • 食欲不振
  • 貧血
  • 出血

放射線治療は、がん治療において有効ですが、これらの症状が現れることがあります。こういった副作用があらわれたときは、医師の指導のもとで管理し、対処することが重要です。

この記事の監修医師