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「乳がんの放射線治療の費用」はご存知ですか?初期費用や完治までの費用も解説!

 公開日:2024/09/13
「乳がんの放射線治療の費用」はご存知ですか?初期費用や完治までの費用も解説!

乳がんと診断されたとき、不安な気持ちとともに治療方法や治療にかかる費用も心配になる方も多いでしょう。

一言で乳がんといっても進行具合や患者さんの健康状態によって治療法が異なり、さまざまな治療法が存在します。

この記事では、乳がんの放射線治療の費用や治療期間、ほかの治療費用との比較などについてご紹介します。

放射線治療を検討している方や知識を高めたい方はぜひ参考にしてみてください。

小坂 泰二郎

監修医師
小坂 泰二郎(医師)

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【経歴】
順天堂大学附属順天堂医院 卒業 (同大学で学位取得)/ 現在は佐久総合病院、佐久医療センター勤務 / 専門は乳腺外科、手術および薬物治療に従事 / 前職場であった愛媛県四国中央市HITO病院で外来業務に従事している

【資格】
日本乳癌学会 専門医
日本臨床腫瘍学会 専門医・指導医
ASUISHI 2期修了

乳がんとは?

乳がんとは、乳腺の組織や乳房の一部に発生する悪性の腫瘍です。
約11人に1人の女性が一生のうちに乳がんを患うといわれています。胸のしこりや乳頭・乳輪部の湿疹などが診断のきっかけとなる場合が多いです。
進行するとリンパや血液の流れにのって、乳房の近くの骨や肝臓、肺などに転移することもあります。
乳がんの進行具合やステージにもよりますが、主な治療法は放射線治療のほかに手術、化学療法(抗がん剤治療)、ホルモン療法などがあります。

乳がんの放射線治療の費用

初めて乳がんの放射線治療を受ける人は費用について気になるでしょう。放射線治療のほかに入院費用や通院費用、保険の適用についてまとめました。

放射線治療の費用

乳がんの放射線治療の費用は、治療期間や回数によって違ってきます。
目安として、乳がん手術後の25回〜30回の放射線治療で、費用は150,000〜300,000円程といわれています。大まかに1日10,000円で計算することが多いです。
保険適用可能なので、高額療養費制度を利用すれば1ヵ月の費用は40,000〜80,000円までに抑えられます。
あくまで一例であり、年収などによっても変わりますので病院の担当窓口にご確認ください。

入院費用

通常、乳がんの放射線治療では入院を必要としないケースがほとんどですが、医師が必要と判断した場合は入院が必要となります。
保険適用なしの総額は手術による入院の場合、7日間の入院で総額約750,000円(3割負担の場合230,000円)、14日間の入院で約1,000,000円(3割負担の場合300,000円)になります。個室代などは別途必要です。

通院費用

退院後は、通院しながら放射線治療を行う場合が多いです。通院の場合は、1回の放射線治療で5,000円〜8,000円程かかり、さらに診察代で6,000円程必要です。
患者さんによっては病院までの交通費やウイッグ代も必要になる場合もあります。

保険の適応

乳がんの放射線治療は保険適用される場合がほとんどです。自己負担額は1割〜3割になり、1ヵ月の治療にかかる費用は50,000〜100,000円程に抑えられます。
もし月の治療費が決められた限度額を超えてしまった場合は、高額療養費制度を申請すれば費用が払い戻しされます。
ただし、先進医療を使用した治療は自由診療になり、保険適用されず全額負担となってしまう場合があるので事前に確認しておきましょう。

乳がんの放射線治療の経過

乳がんの放射線治療は患者さんの状態によって治療期間や治療回数が違ってきます。こちらでは、一般的に行われる治療期間や回数などのスケジュールを解説します。

放射線治療の治療期間

放射線治療の期間は、一般的に3〜6週間かけて行われます。
病院の診療時間に合わせて、治療の間を空けないため月曜日〜金曜日の週5日が一般的です。
放射線治療は間が空いてしまうと治療の効果が低下してしまうといわれているのでなるべく毎日治療を行うのが効果的です。
仕事や家事をしながらの通院治療は大変なので医師とよくスケジュールを話し合っておくとよいでしょう。

放射線治療の治療回数

乳がんの放射線治療の回数は1日1回、合計16回または25回行われることが一般的です。
患者さんの病状によって治療回数が変わってきますが、多くの場合30回までだといわれています。
治療時間は5分〜15分程度で終了しますが、16回も25回も決して少なくない回数なので患者さんの体力やメンタルのケアが必要になってくるでしょう。

放射線治療とほかの治療方法の費用比較

放射線治療はほかの乳がん治療方法と比べると、費用のかかる治療方法なのでしょうか。ここからは、放射線治療とほかの治療方法の費用を見てみましょう。

外科手術の費用との比較

乳房部分切除術の費用が300,000〜400,000円前後で、乳房全切除術の費用が200,000〜500,000円前後になるといわれています。
外科手術は入院が必要になるのでさらに入院費や検査費などが加算されます。放射線治療と比べると少し費用がかかるでしょう。

ホルモン療法の費用との比較

ホルモン療法(内分泌療法)はホルモン剤を投与してがんの再発を防ぐことを目的としています。
ホルモン療法は2年〜10年と長期間に渡り行う治療法です。使用するホルモン剤の種類や期間によって違ってきますが、大体1年間にかかる費用は400,000〜500,000円程だといわれています。
放射線治療と比べたら期間も長くなり、費用もずいぶんと高くなっています。

化学療法の費用との比較

化学療法は抗がん剤治療のことをいいます。抗がん剤治療にはAC療法・EC療法があります。治療法別に費用をまとめました。

  • EC療法(3週間ごと4回コース)約290,000円(3割負担90,000円)
  • AC療法(3週間ごと4回コース)約130,000円(3割負担40,000円)

患者さんの状態によって治療法が分けられ、費用も変わってきます。
放射線治療と化学療法どちらも行う場合は副作用が強くなる可能性を減らすため、時期をずらして行う場合が多いです。

分子標的治療の費用との比較

分子標的治療とは、がん細胞を増幅させる働きがある分子をピンポイントに攻撃する薬を投与する治療法です。
乳がんを患う患者さんの15〜20%がHER2タンパク発現があるといわれており、それに対しての分子標的治療薬がハーセプチンです。
3週間ごとに18回投与した場合、費用は約2,160,000円になります。患者さんの状態によっては初回のみ入院(3日程度)が必要となり、別途入院がかかることがあります。

乳がんの放射線治療の費用についてよくある質問

ここまで乳がんの放射線治療の費用や期間・回数、ほかの治療費用との比較などを紹介しました。ここでは「乳がんの放射線治療の費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの放射線治療の初期費用はどのくらいかかりますか?

小坂 泰二郎医師小坂 泰二郎(医師)

放射線治療が決定したらすぐに治療を開始するわけではありません。病院にもよりますが、まずは患者さんへ治療の流れや注意事項、皮膚炎予防のスキンケアの説明などを行います。次に、正しい場所に照射をするために固定具の作成を行います。そしてCT撮影、治療計画作成を行い、治療開始です。これらの工程があるので初期費用・管理費として治療費プラス10,000〜15,000円程多くかかります。

乳がんの放射線治療は完治するまでにどのくらいの費用がかかりますか?

小坂 泰二郎医師小坂 泰二郎(医師)

治療にかかる費用は、患者さんの世帯収入などによって計算されるため、正確な数字は申し上げられません。しかし、乳房部分切除後の16回短期照射の場合、全体を通して150,000円前後となります。また、会計は原則毎日1回ごと(150,000円÷16日)となります。

編集部まとめ

この記事では乳がんの放射線治療について、費用や治療回数・期間、ほかの治療費との比較などをご紹介しました。

治療の総額は決して安いものではありませんが、健康保険適用や高額療養費制度で負担額が減ることがわかっていただけたかと思います。

さらに医療保険に加入していれば治療費が戻ってくる場合もあるので少しでもお金の心配が少なくなるでしょう。

使える制度は忘れずに申請するようにしましょう。

乳がんと関連する病気

「乳がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

どの病気も乳がんと似た症状ですが、悪性の腫瘍が原因ではない病気です。しかし、放置すると悪性腫瘍へと変化する可能性もあるので正しい治療を受けるため、医師とよく相談し、指示を受けましょう。

乳がんと関連する症状

「乳がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸のしこり
  • 乳頭からの血性分泌
  • 皮膚のひきつれ・ただれ
  • 乳房の痛み・腫れ

乳房の痛みや腫れなどの症状があらわれた場合は大半は良性腫瘍の場合が多いです。初期の乳がんは自覚症状がほとんどないといわれているため、定期的な乳がん検診が必要になります。早期発見・治療が重要なので、検診の時期以外にも気になる症状があればすぐに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師