「メラノーマは手のひら」にできやすい?できやすい場所や症状も医師が解説!

メラノーマ(悪性黒色腫)は日本人の発症率と致死率が高い病気であるがんの一種です。皮膚がんに分類されるもので、皮膚が変色する特徴があります。
しかし、メラノーマ(悪性黒色腫)はホクロ・シミ・血豆などと似ているため、見逃してしまう危険性は否定できません。
さまざまな部位に発症するがんですが、本記事ではメラノーマ(悪性黒色腫)は手のひらにできるのか・できやすい場所・治療法を解説していきます。

監修医師:
高藤 円香(医師)
目次 -INDEX-
メラノーマ(悪性黒色腫)とは?
まずはメラノーマ(悪性黒色腫)がどのような病気なのかをお伝えしていきましょう。メラノーマ(悪性黒色腫)の特徴は大きく3つあります。
種類
メラノーマ(悪性黒色腫)は皮膚のメラノサイトが悪性化した皮膚がんになります。メラノサイトはメラニン色素を作る役割を持った細胞です。
メラノサイトが悪性化するとメラニン色素も異常な状態で作られるため、患部が変色します。人種によって発症率が異なり、日本人の場合は約10万人に1〜2人の発症率です。
希少がんであるメラノーマ(悪性黒色腫)は、症状や発症形態によって5つのタイプに分類されます。
- 末端黒子型
- 表在拡大型
- 悪性黒子型
- 結節型
- 粘膜型
手のひらにできるメラノーマ(悪性黒色腫)は、末端黒子型に分類されます。
上記の5つのタイプでは発症頻度が約40〜50%とリスクが高く、50歳以降から発症しやすくなるのが特徴です。
原因
外傷・紫外線・ストレスなどがメラノーマ(悪性黒色腫)を誘因するとされていますが、はっきりとした原因はまだ解明されていません。
しかし、黄色人種である日本人よりも白色人種の発症率が高いことから、皮膚の薄さや紫外線への防御機能が関係していると考えられています。
発症リスクも50歳以上から高まるため、紫外線やストレスなどのダメージが蓄積されると発症しやすくなるとも考えられるでしょう。
症状
メラノーマ(悪性黒色腫)の症状は、皮膚が変色することです。具体的には、以下のような症状が見られます。
- 褐色・茶色・淡紅色・黒色のシミ(色素斑)や腫瘤が発現する
- シミや腫瘤の形が左右非対称
- 輪郭がギザギザしている
- 色むらがある
- 大きさが6ミリ以上ある
- シミや腫瘤が大きくなる
- 色・形・かたさなどが変化する
上記のように、メラノーマ(悪性黒色腫)の場合には症状がどんどん変化するのが特徴です。
症状は水平方向に変化する傾向にあります。また、メラノーマ(悪性黒色腫)の増殖は数ヵ月単位で継続することがありますが、ひどい場合には数年単位で継続することもあります。
急にシミや血豆が発生した場合には、早めに病院へ受診しましょう。
メラノーマ(悪性黒色腫)は手のひらにできる?
結論からお伝えすると、メラノーマ(悪性黒色腫)は手のひらにできます。
むしろ、メラノーマ(悪性黒色腫)の種類でも先述しているとおり、末端黒子型に分類されるため発症リスクは高めであるといえるでしょう。
手のひらは普段から目に入りやすい部位です。もし手のひらに違和感を覚えたら、医師に相談することをおすすめします。
メラノーマ(悪性黒色腫)ができやすい場所
皮膚がんであるメラノーマ(悪性黒色腫)はさまざまなところに発現します。そのなかでもできやすい場所を4つ紹介していきましょう。
手のひら
1つ目は手のひらです。手のひらだけでなく、爪下部に発生することもあります。手のひらでは、ホクロやシミのような形から徐々に広がっていきます。
爪の場合は、黒っぽい縦筋が入り、縦筋から爪全体に広がっていくのが特徴です。色調や形が不規則で平らな色素斑が現れ、色素斑に隆起する病変が見られることもあります。
足の裏
2つ目は足の裏です。足の裏も手のひらと同様に末端黒子型に分類されます。
メラノーマ(悪性黒色腫)はホクロのがんとも呼ばれますが、色素斑の中央付近に隆起したできものが生じる傾向にあります。デキモノやいぼにも似ているといわれているため、違和感を覚えたらまずは医師に相談しましょう。
身体の中心部(背中・胸・お腹)
3つ目は身体の中心部(背中・胸・お腹)です。
平たく広がったメラノーマ(悪性黒色腫)が生じるタイプの表在拡大型に分類されます。末端黒子型は50歳以上から発症しやすくなるのに対して、表在拡大型は幅広い年齢で発症するリスクがあります。
首や顔
4つ目は首や顔にメラノーマ(悪性黒色腫)が生じる悪性黒子型です。
不規則な形のシミが徐々に拡大し、やがて中央付近が膨らんでくる末端黒子型と似たような症状が見られます。高齢者の首や顔に発生しやすいタイプともいわれています。
これまで紹介してきた4つ以外にも、鼻・口腔内・女性の小陰唇・膣などの粘膜にメラノーマ(悪性黒色腫)が生じる可能性も否定できません。粘膜は自分で見つけることが難しく、発見が遅れることもある部位の一つです。
手のひらにできたメラノーマ(悪性黒色腫)の治療法
「もしかすると、メラノーマ(悪性黒色腫)を発症しているかもしれない」と気付いたときに頭をよぎるのは、どのような治療をするのかではないでしょうか。
メラノーマ(悪性黒色腫)の治療法は主に3つあります。
外科手術
メラノーマ(悪性黒色腫)は、外科手術によって病変部分を切除するのが一般的な治療法です。
転移がない場合には、病変部分の周辺を1〜2cmと少し大きめに切除する拡大切除を行います。
転移があり、かつリンパ節まで病変が広がっていた場合には、領域リンパ節を切除するリンパ節郭清術を行うこともあります。
薬物療法
薬物療法は外科手術が難しい場合に適用されます。症状緩和・術後の再発と転移防止を目的とした治療法です。
薬物療法は病状に応じて適用されます。一次療法では、分子標的薬あるいは免疫チェックポイント阻害剤を使用して症状を抑えます。病状に応じて、二次療法の全身薬物治療を選択されることもあるでしょう。
放射線療法
がんの治療といえば、放射線療法をイメージする方も多いのではないでしょうか。
放射線療法はメラノーマ(悪性黒色腫)にも有効で、症状緩和と術後補助療法を目的としています。さらに、脳や骨などにがんが転移した場合は、手術・薬剤での治療が難しくなります。
放射線療法は通院でも治療を受けられるメリットの反面、副作用が出やすいデメリットもあるため、医師とのカウンセリングが大切な治療法です。
手のひらのメラノーマ(悪性黒色腫)についてよくある質問
ここまでメラノーマ(悪性黒色腫)は手のひらにできるのか・できやすい場所・治療法などを紹介しました。ここでは「メラノーマ(悪性黒色腫)は手のひらにできるのか」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
メラノーマかどうか調べることはできますか?
セルフチェックを行うことはできます。全身のホクロやシミを時々チェックしてみましょう。その際に、メラノーマ(悪性黒色腫)の症状で先述した内容に2つ程当てはまるなら、皮膚科へ受診しましょう。セルフチェックはあくまでも早期発見につなげるための方法です。メラノーマ(悪性黒色腫)かどうかは、しっかり病院を受診して判断してもらうことをおすすめします。
手のひらにホクロがあっても大丈夫ですか?
通常のホクロであれば大丈夫です。ホクロは色素斑が広がったり徐々に隆起したりはしません。しかし、手のひらのホクロがメラノーマ(悪性黒色腫)である可能性も否定できません。もしメラノーマ(悪性黒色腫)であった場合には、放置すると転移のリスクが急増してしまいます。少しでも手のひらのホクロに違和感や不安を覚えた場合には、ただちに病院へ受診しましょう。
編集部まとめ
メラノーマ(悪性黒色腫)は手のひらにできるのか・できやすい場所・治療法を解説していきました。
日本人でメラノーマ(悪性黒色腫)を発症することは稀であるとはいえ、発症リスクがあることは否定できません。
急にホクロ・シミ・血豆・いぼが生じたり、徐々に形や色が変化したりするようなら、皮膚がんを疑った方がよいでしょう。
がんは転移すると状況が悪化する危険性が高い病気です。セルフチェックや違和感を覚えたら病院へ受診することを心がけて、早期発見・早期治療に努めましょう。
メラノーマと関連する病気
「メラノーマ」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
上記はすべて皮膚がんに該当するものです。皮膚がんは総称であり、さまざまな症状や発症部位によって治療法が異なります。肌トラブルだと自己判断せず、病院を受診することに留意しておきましょう。。
メラノーマと関連する症状
「メラノーマ」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 腫瘍
- 色素斑
- ほくろからの出血
- ただれ
- 紅色
- 腫瘤
メラノーマ(悪性黒色腫)はいぼや血豆のように隆起することがあります。その際には色素斑と一緒に生じている傾向にあるため、上記の症状を見つけた場合には注意が必要です。
参考文献




