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「食道がんステージ2」の症状・治療法はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/08/19
「食道がんステージ2」の症状・治療法はご存知ですか?【医師監修】

食道がんとは食道の内側の粘膜に発生するがんです。進行度によってステージに分けられ、ステージごとに症状や治療法が異なります。

食道がんステージ2では、がんが食道内に広がっておりリンパ節にも転移が見られ、嚥下困難や胸の痛みなどの症状が現れます。

進行するとさらにがんが広がり症状が悪化するため、注意が必要です。

今回の記事では、食道がんステージ2の特徴を詳しく解説します。また、治療法も紹介するため、ご自身やご家族が食道がんステージ2の疑いがある場合はぜひ参考にしてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

食道がんとは

食道がんとは、喉と胃をつなぐ食道の内側の粘膜にできるがんです。扁平上皮がんと腺がんの2つのタイプに分けられます。扁平上皮がんは粘膜上皮にある扁平上皮細胞ががん化したタイプ、腺がんは粘膜下層にある食道腺などの腺細胞ががん化したタイプです。
日本では扁平上皮がんの患者さんが少なくないといわれています。なお、食道は内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・外膜から構成されており、早期では粘膜内にがんが止まりますが進行すると食道の外側に広がり周辺臓器までがん化します。
さらにリンパ管や血管まで広がると、肝臓や肺などの臓器まで転移する恐れがあるため注意が必要です。

食道がんステージ2の特徴

食道がんは進行の程度によってステージ(病期)に分けられ、ステージ0〜4があります。ステージはがんの深さ・リンパ節転移の有無や個数・臓器転移の有無によって決められます。
では、ステージ2にはどのような特徴があるのでしょうか。ここからは食道がんステージ2の特徴を詳しく見ていきます。

外膜まで広がっている

食道がんステージ2は主に2つのパターンがあります。そのうちの1つが食道の外膜まで広がっている状態です。外膜は食道のなかでも外側に位置しているため、食道粘膜から食道の外側に広がっているのがわかります。隣接する臓器に広がっていなければ、手術で切除が可能です。

粘膜下層にとどまっているがリンパ節の転移がある

食道がんの広がりの深さが粘膜下層にとどまっているものの、リンパ節に転移がある状態もステージ2に分類されます。なお、リンパ節に転移している数は1〜2個程度です。この状態は手術での切除に加えて、化学療法が行われます。

食道がんステージ2の治療法

食道がんステージ2では広がりの程度や身体状態によって選択する治療法が異なります。ここからは食道がんステージ2の治療法を詳しく解説します。

外科手術

基本的に手術ができる状態であれば、外科手術を行います。食道がんの外科手術はがんが発生している食道や周辺のリンパ節を切除し、腸を使って食道の代わりになる道をつくる手術です。がんが発生する部位によって手術方法は異なります。
しかし、外科手術では合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。主な合併症には肺炎や声のかすれなどがあります。

薬物療法

薬物療法(化学療法)には主に完治のために行う治療と進行・再発防止のために行う治療があります。ステージ2で行う薬物療法は、完治のために行う術前化学療法と術後化学療法です。
一般的に手術が可能とされる場合は術前化学療法を行い、術後にリンパ節に転移がある場合は術後化学療法を行います。
薬物療法では副作用が生じるため、どの薬を使用するかは医師と相談して決めることが大切です。また、手術ができない場合は、放射線治療と組み合わせて行います。

化学放射線治療

化学放射線治療は薬物療法と放射線治療を同時に行う治療です。放射線治療を単独で行うよりも治療効果が期待できるといわれています。ただし、薬物療法が困難な場合は放射線治療のみで行うこともあるそうです。

放射線治療

放射線治療は、がんのある部分とその周辺を狙って体外から放射線を照射する治療です。基本的に数週間かけて行われます。がんのある部分に対して行うため、食道の機能を維持するのが可能です。治療の効果は内視鏡検査やCT検査などで確認します。
しかし、治療中や治療後に炎症や声のかすれなどの副作用が生じるため、注意が必要です。

食道がんステージ2の症状

食道がんの初期ではほとんど症状がない場合もありますが、進行してステージ2になると嚥下困難や体重減少などさまざまな症状が現れます。ここからは、食道がんステージ2の症状を詳しく紹介しましょう。

嚥下困難

がんが大きくなってくると食道の内側が狭くなり、食べ物が食道を通る際に詰まり感や痛みを覚えます。
さらに進行すると、水分も通りにくくなりつかえて飲み込みにくい状態になります。患者さんは食事中に苦痛を感じ、食事量が減少するケースが少なくありません。

胸部痛

胸部痛は食道にあるがんが大きくなると周辺の組織や神経に影響を与え、胸部に痛みが生じる症状です。胸部痛は継続的に発生するため、日常生活に支障をきたす恐れもあります。

体重減少

嚥下困難により食事量が減り、十分な栄養素を摂取できなくなり体重減少が起こります。体重減少は、体力低下に伴い健康状態が悪化する恐れもあります。

逆流性食道炎症状

食道がんステージ2では逆流性食道炎症状が起こる場合もあります。逆流性食道炎とは、胃液や消化中の食べ物が逆流して食道に炎症が生じる病気です。胸やけや喉の痛みなどの症状が現れます。食道の粘膜にダメージを与え、慢性的な炎症が起こる可能性があります。

食道がんのステージ2についてよくある質問

ここまで食道がんの生存率・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「食道がんステージ2」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ステージ2の生存率はどのくらいですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

がんの統計によると、ステージ2の5年生存率は約40%といわれています。なお、食道がん全体の5年生存率は約40%で、再発率は約40〜60%のようです。胃がんや大腸がんでは約60〜70%とされているため、食道がんは胃がんや大腸がんよりも治療が難しいとされています。

ステージ2になる前に発見する方法はありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

早期発見するためには、定期的に健康診断や人間ドックを受けることが大切です。また、胸の違和感は早期発見につながる症状といわれているため注意しておくとよいでしょう。初期では飲食物を飲み込んだ際に胸の奥が痛む、熱いものを飲み込んだ際にしみるような症状が現れます。食道がんは初期の段階ではほとんど症状がなく、早期発見が難しいと知られています。少しでも気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

食道がんステージ2は食道の外側に広がっているほか、リンパ節に転移している可能性があります。そのため、嚥下困難や胸部痛などの症状が現れるでしょう。

ステージ2の治療では化学療法でがんを小さくし、それから手術を行うのが標準治療とされています。ただし、外科手術が難しい場合は化学放射線治療を行います。

それぞれの治療法は合併症や副作用を引き起こす可能性があるため、医師と相談して治療法を選択するとよいでしょう。

また、食道がんは完治しても再発するリスクがあります。治療後も定期検査を行い、少しでも気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。

食道がんと関連する病気

「食道がん」と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

食道がんの約20%は、ほかの臓器と同じもしくは別の時期に発生するといわれています。食道がんを発見した際は上記のがんが発生していないか検査をしましょう。また、逆流性食道炎の発生により食道がんが発生するケースがあるため、注意が必要です。

食道がんと関連する症状

「食道がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 胸の違和感
  • 胸痛
  • 胸やけ
  • 嚥下困難

胸痛・胸やけ・咳は逆流性食道炎や食道アカラシアなどの病気でも見られる症状です。また、食道アカラシアや食道良性腫瘍では、飲食物の飲み込みにくさを感じることがあります。いずれの病気も特有の症状がほとんどないとされるため、気になる症状があれば医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師