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「背中」にできる「メラノーマ」の症状はご存知ですか?好発年齢も解説!

 公開日:2024/08/23
「背中」にできる「メラノーマ」の症状はご存知ですか?好発年齢も解説!

メラノーマは、表皮の基底層にあるメラノサイトが悪性化した皮膚がんです。背中・胸・手足の付け根など体のどこにでも発生します。

ほくろと似ているため見分けるのが難しいのもメラノーマの特徴です。今回は、メラノーマが背中にできた際の対処法・検査法・治療法などを紹介していきます。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

メラノーマとは

皮膚のメラノサイトが悪性化しメラニン色素を大量に作るため、患部が黒色になります。ただし、メラニン色素を作る量が少ないと褐色や茶色、ほとんど作らない場合には淡紅色になるケースもあります。人種間で罹患率に差があり、白人で顕著に高いのも特徴です。
日本人では10万人あたりで1~2人程といわれており、希少がんとされています。メラノーマには、症状や形態から次のように5つのタイプに分けられています。

  • 表在拡大型
  • 結節型
  • 悪性黒子型
  • 末端黒子型
  • 粘膜型

表在拡大型は、背中・胸などの体幹や手足の付け根などの下肢にメラノーマができやすいタイプです。紫外線の照射と関係している可能性が高く、シミのような見た目で一部が徐々に隆起します。患部が黒色のものや赤色のものもあり、遺伝子変異がみられるのも特徴です。

メラノーマが背中にできた場合は?

メラノーマは、皮膚がんのため全身に生じる可能性があります。背中にもできることがあるため、注意が必要です。

メラノーマ特有の症状を確認する

黒いシミが徐々に広がっていくのがメラノーマです。ほくろと似ているため見分けるのは難しいでしょう。以下の6点がメラノーマの特徴であり、ほくろと見分けるポイントになります。

  • 形が非対称
  • 縁どりが凸凹
  • 色の濃さが不均一
  • 大きさが7mm以上
  • 隆起している
  • 大きさや形の変化

メラノーマはタイプによって進行度が変わり、進行が早いタイプもあります。上記の症状や兆候が出ている場合は、早めに医療機関で受診しましょう。

患部に刺激を与えないようにする

メラノーマの原因は明らかではありませんが、紫外線・皮膚の摩擦・圧迫などの外的刺激が関係しているとされています。
また、メラノーマの治療中は全身の免疫機能も低下します。患部への刺激によって患部自体や全身状態が悪化する場合もあるため、できる限り患部への刺激を与えないように気をつけましょう。

皮膚科を受診する

メラノーマは皮膚がんの一種で、背中・胸・手足・爪下部などさまざまな場所に生じます。気になる症状がある際には、皮膚科で受診しましょう。
また、口腔内・鼻・膣などの粘膜や眼球内などの皮膚以外に生じるケースがあります。生じた部位に応じた専門の診療科を受診し、医師の判断を仰ぎましょう。

メラノーマの検査法

メラノーマの検査は、次のように段階的に進められます。

  • ダーモスコピー検査
  • 生検検査
  • 画像検査
  • がん遺伝子パネル検査

以下で、検査の具体的な方法を紹介します。

ダーモスコピー検査

保険適用されている検査で、メラノーマの標準的な診察手技です。メラノーマは肉眼では、良性か悪性かの判断がつかないケースも少なくありません。そのため、ダーモスコープと呼ばれる医療用の拡大鏡を使って、皮膚にあるメラニンや毛細血管の状態を観察します。
拡大鏡で確認するため、身体への負担が少なく、痛みなどもなく行える検査です。皮膚に光を当て透かすことで、色調や色素のパターンなどが詳しく見られるため、メラノーマかどうかが判断しやすいでしょう。
ただし、すべての患部をダーモスコピー検査だけで正確に判断できるわけではありません。また、ダーモスコープを装備していないクリニック・病院もあるため、事前に確認してから受診するようにしましょう。

生検検査

確定診断・治療計画の立案のために行う検査です。生検の方法は、全切除生検と部分生検があります。どちらで行うかは、生検の目的・患部の箇所・大きさ・患者さんの要因などによって変わります。どちらの生検も行えるケースでは、全切除生検が選択されるでしょう。
全切除生検が行えない病変・病変全体の評価が難しいケースでは、部分生検が選択されます。ただし、部分生検では診断が確定しなかった場合や腫瘍の厚みを評価できない場合には、部分生検後に全切除生検も行われます。
ダーモスコピー検査でメラノーマと確信できた場合には、生検検査を行わずに切除する場合も少なくありません。

画像検査

メラノーマの確定診断後に、転移の有無を調べるための画像検査が行われます。実施する画像検査は、患者さんの状態・腫瘍の進行などで変わります。MRI検査・CT検査・PET-CT検査などが行われるでしょう。
ただし、自覚症状・転移の可能性が低いなど、一定の条件下では、画像検査の実施は推奨されていません。

がん遺伝子パネル検査

がん細胞の遺伝子の変化を調べ、がんの特徴が知れる検査です。がんに関連している数百の遺伝子の変化を一括で検査します。手術や生検で摘出したがん細胞が保存されている物を使って、治療に関係している遺伝子の変化を確認します。
遺伝子の変化を知ることで効果の期待できる薬・臨床試験・治験などがわかるケースもあるようです。検査結果をもとに多職種の専門家会議で議論され、担当医から治療法が提案されます。

メラノーマの治療法

メラノーマで行われる治療法は、外科療法・化学療法・放射線療法です。医師は、検査で得た情報をもとに患者さんの状態に応じた治療法を選択します。

外科療法

メラノーマの治療として推奨されているのは、患部を5mm~2cm程広く切除する方法です。腫瘍の厚さや状態によって進行度は変わり、センチネルリンパ節生検が必要になる場合もあります。
センチネルリンパ節とは、腫瘍からリンパが1番初めに流れつくとされるリンパ節のことです。センチネルリンパ節に転移がない場合、ほかのリンパ節に転移している可能性は低いでしょう。
画像検査でリンパ節への転移が認められた場合などでは、リンパ節郭清術を行います。

化学療法

手術が困難な患者さんや手術後の再発予防に、免疫チェックポイント阻害薬・BRAF阻害薬を使った化学療法が行われます。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞がブレーキをかけた免疫機能を活性化させて、患者さんの免疫機能でがん細胞を攻撃させる薬です。
皮膚障害・肝機能障害・腎機能障害などの副作用が出る患者さんもいます。分子標的薬のBRAF阻害薬は、メラノーマ細胞内のBRAF遺伝子変異を阻害してがんの増殖を抑える薬です。
日本人の患者さんの20~30%にBRAF遺伝子変異があるとされており、遺伝子変異の状態を確認して薬が投与されます。また、分子標的薬はがん細胞だけを狙い撃ちする薬ですが、抗がん剤とは違う副作用がみられるため注意が必要です。

放射線療法

X線や電子線などを使ってがん細胞のDNAを攻撃し、がん細胞を撃退させる治療法です。がん細胞は、DNAの損傷を修復する能力が低いため、放射線の影響で死滅します。
しかし、メラノーマはほかのがんに比べて放射線への抵抗性が高いため、通常は用いられることが少ない治療法です。
上記で述べた免疫チェックポイント阻害薬との併用で、メラノーマの放射線の感受性が高まり、患部が縮小するケースもあるといわれています。

メラノーマが背中にできた場合についてよくある質問

ここまでメラノーマが背中にできた場合の対処法・検査法・治療法などを紹介してきました。ここでは、メラノーマが背中にできる好発年齢・予後についてのよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

メラノーマが背中にできやすい好発年齢はありますか?

高藤 円香医師

メラノーマ自体は30~50歳、60~70歳代で好発するがんです。背中にメラノーマができやすい表在拡大型では、20歳から高齢者までと幅広い年代で発症します。

メラノーマが背中にできたときの予後を教えてください。

高藤 円香医師

メラノーマが背中にできやすい表在拡大型の予後は、5年生存率で77%です。皮膚に生じるメラノーマに比べて、鼻腔・口腔内などの粘膜にできるケースのほうが予後はあまりよくありません。

編集部まとめ

メラノーマかほくろかを見極めるのは難しいでしょう。疑わしい場合は、ダーモスコピー検査のある皮膚科で受診するのがおすすめです。

また、メラノーマと相性が悪かった放射線療法も改良されてきており、免疫チェックポイント阻害薬と放射線療法の併用で効果が出ています。

メラノーマは、ほかのがんに比べて進行度の早いがんです。気になる症状がある場合には、早期に皮膚科を受診しましょう。

メラノーマと関連する病気

メラノーマと関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

上記は、いずれも皮膚がんです。皮膚がんは10万人あたり20人程の罹患率です。がん全体から考えても皮膚がんの発症率は低く、基底細胞がん以外は発症率が低いため希少がんとされています。

メラノーマと関連する症状

メラノーマと関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 腫瘍
  • 色素斑
  • 腫瘤

メラノーマは、早期発見・早期治療で生存率が高くなる病気です。しかし、発症箇所・タイプによっては進行が早い場合もあります。肌・体の異変に気付いたら早めに医療機関で受診しましょう。

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