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「大腸がんの生存率」はご存知ですか?ステージ別の症状も医師が解説!

 公開日:2024/08/16
「大腸がんの生存率」はご存知ですか?ステージ別の症状も医師が解説!

大腸がんの生存率とは?Medical DOC監修医が大腸がんのステージ別の生存率・年齢別の生存率・ステージ別の症状などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は一般外科、消化管内視鏡検査、生活習慣病を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、高砂内科・消化器科クリニックに勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。

「大腸がん」とは?

大腸がんは、大腸粘膜に発生する悪性腫瘍です。初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な検診が早期発見に繋がります。進行すると、血便、下痢、便秘、腹痛などの症状が現れることがあります。

大腸がんのステージ別の余命・生存率

ここではステージ別の余命の参考になる生存率を解説します。ここでの生存率は純生存率(純粋にがんのみが死因となる状況を仮定して計算する方法)を示します。5年生存率は2014-2015年の統計から、10年生存率は2011年の統計を用いて解説します。ここで示すデータは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての人に当てはまる値ではありませんのでご注意ください。

大腸がん・ステージ0の余命・生存率

ステージ0は、がんが粘膜内にとどまっている状態です。2000-2004年の統計でステージ0の5年生存率は94.0%とされています。内視鏡治療で根治切除ができ、ほとんどの場合、完治が期待できます。内視鏡的治療は消化器内科医が行います。

大腸がん・ステージ1の余命・生存率

ステージ1は、がんが粘膜下層まで浸潤している状態です。ステージ1のうち、がんが粘膜下層までにとどまり、浸潤距離が1mm未満のものは内視鏡的切除、それを超えるものは手術療法が選択されます。ステージ1の5年、10年の純生存率はそれぞれ92.3%、80.4%です。ステージ1のがんの深達度が浅いものは消化器内科にて内視鏡的治療を行い、深達度が深いものは消化器外科で手術療法を行います。いずれにしても根治を目指して治療を行い、経過観察中の再発がなければ、完治となる症例も多いです。ステージ0との違いはリンパ節転移の可能性が出てくるため、内視鏡治療に加えて、手術療法も考慮される点です。

大腸がん・ステージ2の余命・生存率

ステージ2は、がんが大腸の壁の筋肉層まで浸潤している状態です。5年、10年の純生存率はそれぞれ85.5%、69.8%です。ステージ2の大腸がんは手術を行うことで比較的良好な予後が期待できます。ステージ1との違いは内視鏡的治療が適応にならず、消化器外科医による手術療法だけが唯一の根治を狙える治療になる点です。

大腸がん・ステージ3の余命・生存率

ステージ3は、がんから近いリンパ節に転移があるものです。ステージ3の5年、10年の純生存率はそれぞれ75.5%、61.2%とされています。ステージ3では再発のリスクが上昇し、生存率がやや低下します。ステージ2との治療面での違いは、再発のリスクが高い症例では再発予防のために補助化学療法(手術の後に抗がん剤治療を行うこと)が勧められる事です。手術は消化器外科が担当し、抗がん剤治療は外科または腫瘍内科の医師が治療にあたります。

大腸がん・ステージ4の余命・生存率

ステージ4は、肝臓や肺、脳、骨などに遠隔転移があるものです。治療は手術、抗がん剤治療、放射線治療などを組み合わせて行います。5年、10年の純生存率はそれぞれ18.3%、11.1%です。ステージ4の場合、遠隔転移巣が手術で切除できる場合は手術を行います。手術で切除できない場合は抗がん剤治療や放射線治療が選択されます(これらの治療でがんが縮小し、手術可能になる場合もあります)。ステージ3と違い、ステージ4では手術療法が選択できない場合があり、その場合、抗がん剤治療や免疫療法、治療症状の緩和を目的とした治療が選択されます。診療科は外科や腫瘍内科だけでなく、放射線科、緩和医療科など集学的治療が行われます。

大腸がんの年齢別の生存率

大腸がんは、年齢が上がるにつれて発症率が高くなりますが、ここでは院内がん登録2014-2015年の集計から年齢別の5年純生存率、2011年の集計から10年純生存率について解説します。

大腸がん・0歳~30代の生存率

0歳~30代の5年純生存率は73.9%、10年純生存率は66.2%とされています。40-60代よりもやや生存率は低い結果でした。海外の報告では若年者で罹患する大腸がんは進行度や悪性度が高い傾向が示唆されているので、その影響が数値に現れている可能性があります。特に、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝性疾患の家族歴がある方は、若い年齢から医療機関を受診して医師に相談しましょう。万が一、大腸がんが見つかった場合は、標準治療を行うことで完治や良好な予後が期待できるので、主治医と適切な治療について相談しましょう。

大腸がん・40〜60代の生存率

5年純生存率は40代で76.4%、50代で76.6%、60代で75,5%、10年純生存率は40代で69.4%、50代で67.4%、60代で66.3%とされています。他の年代よりも生存率は高い結果でした。大腸がん検診が始まる年齢でもあるので、早期発見や早期治療ができている影響が現れている可能性があります。特に、糖尿病や大腸がんの家族歴がある方は積極的に大腸がん検診を受けて、早期発見、早期治療に努めましょう。万が一大腸がんが見つかった場合は、標準治療で完治や良好な予後が期待できるので、主治医と適切な治療について相談しましょう。

大腸がん・70〜80代の生存率

5年純生存率は70代71.8%、80歳以上で59.3%、10年純生存率は70代で58.2%、80歳以上で36.3%とされています。他の年代よりも生存率の数値は低い結果でした。70代、80歳以上で手術療法や抗がん剤治療を受ける場合は身体への負担が強くなり、治療の合併症も増える影響が懸念されます。もちろん、高齢者でも標準治療を行って完治される方も多くいらっしゃいます。自身の身体の状態に最適な治療を主治医と相談しましょう。

大腸がんのステージ別の症状

大腸がんは初期症状が現れないことが多いですが、進行するにしたがって症状が出てくる頻度が増えます。気になる症状がある場合は早めに消化器内科を受診しましょう。

大腸がん・ステージ0・1の症状

ステージ0・1では、自覚症状がないことがほとんどです。便潜血検査で陽性になることがあります。40歳以上の方は症状がなくても、大腸がん検診を受けましょう。また、検診で便潜血が陽性になった方は医療機関を受診し、大腸カメラを受けましょう。

大腸がん・ステージ2の症状

ステージ2では血便、下痢、便秘、腹部不快感などの症状が現れることがあります。便潜血の検査での陽性率も上がります。血便や気になる症状がある場合は近くの消化器科の受診や、医療機関で大腸カメラを受けることをおすすめします。

大腸がん・ステージ3の症状

ステージ3では腹痛、腹部膨満感、悪心、嘔吐、体重減少などの症状が現れることがあります。大腸がんが大きくなって腸閉塞を起こす場合もあります。何日も排便がなく、腹部膨満や吐き気を伴っている場合は緊急性がありますので、すぐに医療機関を受診してください。

大腸がん・ステージ4の症状

ステージ4では、大腸がんが遠隔転移した状態であるため、様々な症状が現れます。お腹に水が溜まってお腹が張る場合や肺に転移があれば呼吸困難、腰骨に転移があれば頑固な腰痛などが出現する場合があり、多彩な症状が想定されます。気になる症状があるときはすぐに近くの医療機関を受診してください。

「大腸がんの生存率」についてよくある質問

ここまで大腸がんの生存率などを紹介しました。ここでは「大腸がんの生存率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんのステージ4と診断された場合、平均で何年生きられるのでしょうか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

ステージ4の大腸がんの平均余命は、診断時からの生存期間の中央値で約2年とされています。ただし、これはあくまで統計的な数値であり、個々の患者さんの状態や治療の効果によって大きく異なります。

編集部まとめ 大腸がんは早期発見が大切。定期的な検診を!

大腸がんは、早期発見・早期治療が重要です。早期に発見されれば、生存率が高いがんといえます。このため、定期的な検診を受け、気になる症状があれば、早めに専門医を受診しましょう。特に40代以降では大腸癌の患者数が増加し始めます。定期的ながん検診を受けることが大切です。

「大腸がんの生存率」と関連する病気

「大腸がんの生存率」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

大腸がんは早期発見・早期治療で治癒できる可能性が高い病気です。これらの病気がある方は、大腸がんになりやすい、もしくは大腸がんに合併しやすいです。定期的な検診と、気になる症状があれば早めに専門医を受診することが大切です。

「大腸がんの生存率」と関連する症状

「大腸がんの生存率」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状がある場合には、消化器内科を受診しましょう。症状のみでは診断ができません。気になる症状があれば早めに専門医を受診することが重要です。

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