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「胃ポリープを放置する」とがん化する可能性はあるのか?原因も医師が解説!

 更新日:2025/11/17
「胃ポリープを放置する」とがん化する可能性はあるのか?原因も医師が解説!

胃ポリープとは、胃の内側に形成される小さな腫瘍であり、ほとんどが無害ですが、中には悪性化する可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、胃ポリープを放置するとどうなるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 胃ポリープの症状
  • 胃ポリープを放置するとどうなるのか
  • 胃ポリープの治療法

胃ポリープを放置するとどうなるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

胃ポリープとは?

胃ポリープは、胃の粘膜がいぼのように盛り上がる病変を指し、大きく「胃底腺ポリープ」と「過形成性ポリープ」「胃腺腫(胃腺腫性ポリープ)」に分けられます。

胃底腺ポリープは、分泌腺の細胞が異常増殖して形成されます。がん化するリスクは低いとされています。

過形成性ポリープは基本的にがん化のリスクは低いとされていますが、大きさが2cmを超える場合や特定の形態を示す場合にがん化のリスクが高まることがあります。 また、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌によって縮小・消失することもあります。

一方、胃腺腫は胃がんになる可能性のある前癌病変とされているポリープです。

胃ポリープはほとんど自覚症状がなく、健康診断の上部消化管造影検査や内視鏡検査(胃カメラ)で発見されることが少なくない疾患です。 そのため、無症状の方から日常的に胃部の不快感を感じている方まで、自覚症状に関わらず定期的な検査を受けることが重要とされています。

胃ポリープの原因

胃ポリープは何が原因で発症するのでしょうか?以下で原因別に解説します。

胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープは、ピロリ菌感染がない清潔な胃で見られるポリープです。胃の底部にある胃底腺が肥大し、隆起することで形成されます。 このポリープの具体的な原因は明らかではありませんが、女性に多く見られることから、女性ホルモンとの関連が示唆されています。

さらに、プロトンポンプ阻害薬などの胃酸を抑える薬を長期にわたって服用している場合、胃底腺ポリープの数や大きさが増大するといわれています。 これらの薬を中止すると、ポリープが縮小するか消失することも多く、薬剤との関連性が考えられています。

過形成性ポリープ

過形成性ポリープは、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した胃で発生しやすいとされています。 胃粘膜が損傷を受けた際、修復と再生の過程で細胞が異常に増殖し、ポリープを形成すると考えられています。このタイプのポリープは、一部ががん化するリスクを持っているため、注意が必要ですが、基本的にがん化のリスクは低いとされます。

また、過形成性ポリープは慢性胃炎のある人に見られる場合がありますが、直接関係していない場合もあります。 総じて、日常生活のストレスや食生活の乱れが影響している可能性があるため、健康的な生活習慣を心がけ、定期的な胃の検査を受けることが大切です。

胃腺腫

胃腺腫は、白色でこぶ状の見た目を持ち、胃の腺細胞から成るポリープです。通常は良性ですが、異型上皮細胞の変化により構成されているため、一部ではがん化するリスクがあります。 胃腺腫の多くは、胃粘膜の局所的な損傷や炎症による過剰な修復反応から生じると考えられていますが、発生原因は完全には解明されていません。 そのため、胃腺腫がある場合、状態が変化していないか、定期的な検査が重要となります。

胃ポリープの症状

胃ポリープは、多くの場合自覚症状がなく、健康診断などで行われる内視鏡検査や上部消化管造影検査で発見されます。 ただし、一部の胃ポリープでは、胃粘膜から出血を引き起こすことがあり、それが原因で貧血になる場合もあります。

また、胃ポリープがある方は慢性胃炎を併発している場合もありますがこの場合には胃もたれ、胃痛、食欲不振などの症状が現れることがあります。

これらの症状は胃ポリープ自体ではなく胃炎によるものである可能性が高いですが、胃ポリープの存在に気づくためにも、定期的な内視鏡検査が重要であり、40歳以上の方や胃がんの家族歴がある方、ピロリ菌感染の可能性がある方などは特に注意が必要です。

胃ポリープを放置するとどうなるのか

胃底腺ポリープはがん化のリスクがほぼないため、経過観察のみで問題ないことがほとんどです。

一方、過形成性ポリープや胃腺腫は一部ががん化するリスクがあるため、大きさの変化や出血があれば医師と相談し適切な対策を検討することが推奨されます。

したがって、これらのポリープは、定期的な検査と適切な診断を通じて、早期に対処することが大切です。

胃ポリープの治療法

最後に、タイプ別の胃ポリープの治療法について解説します。

胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープについては、がん化のリスクが低く、自然消滅するケースもあります。 健康に与える影響も少ないため、積極的な治療を必要とせず、通常は組織の採取や病理検査を行わず、経過観察となる傾向にあります。 定期的な内視鏡検査によって、ポリープの状態を観察し、必要に応じて適切な処置が行われます。

過形成性ポリープ

過形成性ポリープに関しては、サイズが小さい場合は積極的な治療をせず、年に1回の定期的な内視鏡検査による経過観察となるケースが多いようです。 しかし、ポリープが2cm以上に成長したり、出血やがんの兆候が見られたりする場合は、内視鏡的な手法によるポリペクトミー(切除)が必要となります。

また、過形成性ポリープはヘリコバクター・ピロリ菌感染と関連があることが少なくないため、感染が確認されれば除菌治療も行われます。 この治療アプローチにより、リスクを管理しつつ健康を維持することが目指されます。

胃腺腫

胃腺腫は、腫瘍性であり、特に大きさが2㎝以上あるもの、表面に赤みが見られるもの、陥凹型の形状のものはがんを含む可能性が高いため、内視鏡を用いた切除が推奨されます。 一方で、小さい胃腺腫は、半年から1年ごとの定期検査で状態に変化がないか経過が観察されます。

胃ポリープについてよくある質問

ここまで胃ポリープを紹介しました。ここでは胃ポリープについてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

胃ポリープはどのような人ができやすいですか?

五藤 良将五藤 良将 医師

過形成ポリープはピロリ菌感染者や胃炎のある方に見られる場合がありますが、直接関係がない場合もあります。 一方で、胃底腺ポリープはピロリ菌感染のない胃で見られやすく、制酸剤の長期使用やピロリ菌除菌後の人にも見られます。 したがって、ピロリ菌感染の有無や胃炎の有無がポリープ発生の要因となります。

胃ポリープの検査方法を教えてください

五藤 良将五藤 良将 医師

胃ポリープの検査方法には、上部消化管造影検査と内視鏡検査があります。 上部消化管造影検査では、X線を用いて粘膜やポリープ表面の凹凸を観察し、内視鏡検査ではポリープの観察と生検による悪性の有無の確認が行われます。

まとめ

ここまで胃ポリープを放置するとどうなるのかについてお伝えしてきました。 胃ポリープを放置するとどうなるのかについての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • 胃ポリープは、多くの場合自覚症状がなく、健康診断などで行われる内視鏡検査や上部消化管造影検査で発見されることが少なくない
  • 胃底腺ポリープはがん化の心配が少ないため経過観察されるが、過形成性ポリープや胃腺腫の一部ではがん化するケースがあり、また良性のポリープでも出血する可能性がり貧血を引き起こすことがある
  • 胃底腺ポリープの治療は必要ないが、過形成性ポリープや胃腺腫は定期的検査が推奨され、異常が見られた場合は切除が必要になる

胃ポリープと関連する病気

胃ポリープと関連する病気は9個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

胃ポリープと関連する症状

胃ポリープと関連している、似ている症状は8個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 無症状
  • 吐き気、消化管の出血
  • 黒色便
  • 吐血
  • 胃痛
  • 食欲低下
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

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