「大人の白血病の初期症状」はご存知ですか?検査・治療法も解説!医師が監修!
映画やドラマの影響で不治の病というイメージが強く根付いている白血病ですが、実際はどのような病気なのでしょうか。
この記事では大人の白血病の初期症状と、白血病と診断された場合の治療法などを解説していきます。
当てはまる症状はないか、ぜひチェックしてみてください。早期発見・早期治療によって高い治療効果が期待できます。
監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
目次 -INDEX-
白血病とは
白血病とは血液のがんの一種です。造血幹細胞は骨の中にある骨髄で細胞分裂を繰り返し、赤血球や白血球、血小板などの血液細胞に分化します。この過程でがん化したものが、白血病細胞です。
白血病細胞が増殖するスピードと、がん化した血液細胞の種類によって、大きく4種類に分けることができます。急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病・慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病です。白血病細胞は無秩序に増加していくため、正常な血球の生産が低下しさまざまな症状が出現します。
大人の白血病の初期症状
慢性白血病の場合、ゆっくりと進行するため初期症状はほとんどありません。急性白血病は白血病細胞の増殖が速く、突然重い症状が出現します。1週間で急激に悪化することもあるため、気になる症状があれば早急に病院受診をおすすめします。
息切れ・動悸
正常な赤血球の生産が低下すると、貧血の症状として息切れや動悸、疲れやすいなどの症状があらわれます。
いつもの坂道や階段で息切れがする、これまでと同じ量の仕事をするのに休憩が必要になった、などの変化を感じている場合は一度病院で受診しましょう。赤血球の数が減少し、貧血を引き起こしているかもしれません。
鼻血・歯茎からの出血
血小板には、血を固めて出血を防ぐ役割があります。そのため白血病細胞の増殖によって血小板の数が減少すると、歯磨きの後に歯茎からの出血が止まらない、鼻血が止まらないなどの症状があらわれます。
また、ぶつけた記憶がないのにあざができている場合も注意が必要です。
貧血
貧血の症状はめまいや立ちくらみ、顔色が悪い、疲れやすいなどです。赤血球の数が減少すると全身の細胞に十分な量の酸素を届けることが難しくなり、さまざまな症状があらわれます。
めまいや立ちくらみは転倒の危険もあるため、心当たりがある場合は早めに病院で受診しましょう。
発熱・発汗
正常な白血球が減少すると細菌やウイルスに対する抵抗力が下がり、感染症にかかりやすくなります。
多量の汗を伴う発熱がみられる場合は、すでに病原体に感染している可能性があるため病院で診察を受けましょう。肺炎や敗血症などの合併症を引き起こすと、重症化するリスクがあります。
白血病の診断に用いられる検査
ここまで、白血病でみられる症状について解説しました。白血病が疑われる場合、診断にはどのような検査が必要なのでしょうか。確定診断や治療方針の決定に必要な検査を3つご紹介します。
血液検査
白血病では、赤血球数と血小板数の減少がみとめられます。しかし、白血球の数は正常値よりも多い場合と少ない場合の両方があります。白血病細胞の増殖によって白血球数は減少しますが、感染症にかかると白血球の数は増加するためです。
一般的な血液検査で異常がみとめられた場合、顕微鏡を使って血液細胞を詳しく調べます。
骨髄検査
骨髄穿刺と骨髄生検の2種類あります。骨髄穿刺は腰の骨(腸骨)に針を刺し、骨髄液を採取する方法です。もう一つの骨髄生検では、骨髄穿刺よりも少し太い針を使用し、骨髄組織を採取します。
いずれも局所麻酔下で、検査時間は15分程度です。骨髄の中の血液細胞を詳しくみることができるため、確定診断だけでなく治療効果の判定にも使用されます。
画像診断
必要に応じてレントゲンやCT、超音波(エコー)などの検査を行います。臓器の異常や合併症の有無、病気の広がりを確認するためです。病気が進行すると、白血病細胞の浸潤によって肝臓や脾臓が腫れることがあります。
また、首や脇の下などのリンパ節が腫れている場合は、リンパ節生検を行うこともあります。針を刺して組織の一部を採取し、異常な細胞の有無を調べる検査です。
白血病の治療方法
これらの症状や検査結果から白血病と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。白血病のタイプや患者さんの状態によって選択する治療法は異なりますが、ここでは3つご紹介します。
化学療法
抗がん剤を用いた治療方法です。慢性白血病では、外来に通院しながら抗がん剤の内服による治療を行います。
急性白血病に対する化学療法には3段階あり、まずは寛解導入療法を行います。抗がん剤を何種類か組み合わせて投与する多剤併用療法で行われ、骨髄の中の白血病細胞を5%以下まで減らすことが目標です。白血病細胞を減らすことで正常な血液細胞が回復してくるため、一見治ったように見える寛解状態となります。
しかし、この段階ではまだ体内に白血病細胞が残っているため、続けて地固め療法を行います。地固め療法の目標は、白血病細胞の根絶(完全寛解)です。寛解導入療法と同様、強力な抗がん剤を複数回投与し、体内に残っている白血病細胞を破壊します。
そして、完全寛解を維持するために行われるのが維持療法です。抗がん剤の内服を続けることで治癒を目指します。
放射線療法
放射線療法の目的は、白血病細胞の破壊と症状の緩和、免疫抑制です。リンパ節や肝臓、脾臓が腫れることによって生じる、さまざまな症状の緩和が期待できます。
また、造血幹細胞移植の前には放射線を全身に照射します。免疫を抑制し、移植後の拒絶反応を抑えるためです。放射線療法には以下のような副作用のリスクがあります。
- 吐き気や嘔吐
- 頭痛
- 口腔内の乾き
- 下痢
- 脱毛
造血幹細胞移植
患者さん本人、もしくはドナーから採取した造血幹細胞を輸注(点滴のように投与)する方法です。強力な化学療法や放射線の全身照射で白血病細胞をできるだけ減らした後、移植を行います。
化学療法のみで治癒する見込みが少ない、化学療法で寛解とならない、寛解後に再び白血病細胞の増殖がみとめられた場合に適応されます。
白血病の根治を期待できる一方で、命に関わる合併症のリスクもあるため慎重な判断が必要です。患者さん本人の造血幹細胞を使用する方法を自家移植、ドナーの造血幹細胞を移植する方法を同種移植と呼びます。
大人の白血病の初期症状についてよくある質問
ここまで大人の白血病の初期症状や検査、治療方法などをご紹介しました。ここでは「大人の白血病の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大人がなりやすい白血病の種類について教えてください。
山本 佳奈(医師)
大人がなりやすい白血病は、骨髄性白血病です。慢性骨髄性白血病の発症年齢の中央値は52〜56歳で、成人白血病の約2割を占めています。急性骨髄性白血病は白血病全体の約4割を占めており、子どもの発症は少ないのが特徴です。また、骨髄異形成症候群は急性骨髄性白血病に移行することもあり、患者さんの年齢の中央値は65歳です。
白血病の症状が疑われる場合の受診目安を教えてください。
山本 佳奈(医師)
- 貧血症状:めまいや立ちくらみ、顔色が悪い、動悸、息切れ
- 出血傾向:歯茎からの出血や鼻血が止まらない、ぶつけた記憶がないのにあざができている
- 感染症の症状:発熱、風邪のような症状が続いている
編集部まとめ
白血病の初期症状には貧血によるめまいや立ちくらみ、出血が止まりにくい、発熱などがあります。
一時的なものではなく、症状が継続してみられる場合には早急にかかりつけの病院で受診しましょう。早期発見によって、症状が軽いうちに治療を開始できます。
また、年に1回は健康診断を受けることをおすすめします。無症状のうちに血液の異常を発見できるかもしれません。
白血病と関連する病気
「白血病」と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの病気では貧血や出血傾向、細菌・ウイルスへの抵抗力低下などの症状がみられます。心当たりのある方は早めに病院を受診し、検査を受けましょう。
白血病と関連する症状
「白血病」と関連している、似ている症状は8個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
急性白血病の病状は急激に進行するため、これらの症状がみられたら早急に病院で受診し検査を受けることをおすすめします。また、白血病は早期治療によって治癒が期待できる病気です。定期的に検診を受け、病気の早期発見に努めましょう。