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「咽頭がんは何科」を受診すればいいの?受診の目安となる症状も解説!

 公開日:2024/06/21
「咽頭がんは何科」を受診すればいいの?受診の目安となる症状も解説!

咽頭がんはのどにできるがんとして知られていますが、咽頭がんが疑われたら医療機関の何科で診療を受けたらよいのでしょうか。

また、どのような症状があったら受診すべきなのかわからない方もいるでしょう。

本記事では、咽頭がんが疑われる場合に受ける診療科や、受診の目安となる症状・治療法を解説します。

早期発見・治療のためにも咽頭がんでみられる症状を知り、気になる症状があったら早めに医療機関を受診しましょう。

渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

プロフィールをもっと見る
1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長

咽頭がんとは

咽頭がんは、のどを構成する咽頭・喉頭のうち咽頭にできるがんのことです。まずは咽頭がんがどのようながんなのか、発症部位や原因を解説します。

発症部位

咽頭がんは、のどにある咽頭にできるがんです。咽頭は鼻の奥から食道にかけて位置する飲食物・空気の通り道で、筋肉と粘膜でできている管状の部位です。
咽頭は、鼻の奥にある上咽頭・口の奥にある中咽頭・食道につながる下咽頭の3つに分けられます。咽頭がんも、発症部位によって上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんに分けられます。

原因

咽頭がんの原因は、発症部位によって異なります。
上咽頭がんは、エプスタインバール(EB)ウイルス感染や民族的背景(中国系・東南アジア系人種など)が関連しているといわれています。
中咽頭がんの原因は、飲酒・喫煙やヒトパピローマウイルス(HPV)感染です。
下咽頭がんは、過度の飲酒・喫煙が主な原因です。飲酒については、特に飲酒して顔が赤くなる人が飲酒を続けると発症リスクが高くなるといわれています。

咽頭がんは何科で診療を受ければよい?

咽頭がんが疑われたら、頭頸部を専門とする耳鼻咽喉科か頭頸科を受診するとよいでしょう。以下では、耳鼻咽喉科・頭頸科がどのような診療を行っているか解説します。

耳鼻咽喉科

のどの咽頭にできる咽頭がんは、耳鼻咽喉科で診療を受けられます。耳鼻咽喉科は耳・鼻・のどだけではなく、脳・眼球・顔の皮膚を除いた首から上の広い範囲を担当する診療科です。
対応する疾患の幅も広く、風邪・花粉症・鼻出血・中耳炎・めまいから、聴力改善・担当領域の腫瘍治療なども行っています。

頭頸科

咽頭がんは、耳・鼻・口・のど・頭頸部の腫瘍を扱う頭頸科でも診療可能です。頭頸科の診療範囲は耳鼻咽喉科と同様ですが、主に悪性腫瘍を取り扱っているのが特徴です。
頭頸科では、口腔がん・舌がん・咽頭がん・喉頭がん・鼻副鼻腔がん・唾液腺がん・甲状腺がんなど、頭頸部がんと呼ばれる疾患を診療しています。

受診の目安となる咽頭がんの症状

咽頭がんは目立った初期症状が出にくく、症状があっても軽度な場合が少なくないため見過ごしてしまいがちです。
では、どのような症状があったら受診した方がよいのでしょうか。以下では、受診の目安となる咽頭がんの症状を解説します。
気になる症状が続くようなら、早めに医療機関を受診しましょう。

首のしこり

首のしこりは、発症部位に関わらず咽頭がんで多くみられる症状です。咽頭の周囲にはリンパ節が多いため、咽頭がんは早期の段階でも首のリンパに転移しやすいのが特徴です。
首のしこりに気付いて受診する方も少なくないでしょう。がんが発見された時には、すでに喉頭や首のリンパ節へ転移していることも珍しくありません。
特に下咽頭がんは、発覚した時には約60%の患者さんに転移がみられるといわれています。首のしこりが気になったり大きくなったりするようなら、耳鼻咽喉科・頭頸科を受診しましょう。

のどの症状

初期には、のどの違和感・異物感・つかえ感などの軽度の症状が出ることがあります。進行すると、以下のような症状がみられるでしょう。

  • のどの痛み
  • 飲み込みにくい
  • 声がかすれる
  • 声がこもったように聞こえる
  • 口を開けにくい
  • しゃべりにくい
  • 息苦しさ
  • 痰に血が混じる

進行すると、徐々に症状が強くなっていきます。咽頭がんは早い段階でも転移しやすいため、上記のようなのどの症状が続く場合は早めの受診がおすすめです。

鼻の症状

上頭がんが進行して腫瘍が大きくなると、鼻出血・鼻づまり・鼻水に血が混じるなどの症状が出てきます。
上咽頭は鼻の奥にあり耳や鼻とつながっているため、腫瘍からの出血が鼻の症状として現れることがあるでしょう。また、耳と鼻をつなぐ耳管が腫瘍によって閉塞すると、鼻づまりが続くこともあります。
鼻出血が続く・風邪や花粉症でもないのに鼻づまりが続く場合は、医療機関を受診するとよいでしょう。

耳の症状

上咽頭がんの場合は、耳の違和感・閉塞感・聞こえにくい・中耳炎などの症状が出ることがあります。
耳の症状は、腫瘍によって耳管が詰まると起こります。また、進行すると耳の奥に痛みが生じることもあるでしょう。
耳の気になる症状が続くようであれば、早めに耳鼻咽喉科または頭頸科を受診しましょう。

咽頭がんの主な治療法

咽頭がんの主な治療法は、外科的手術と放射線治療です。手術・放射線治療を単独で行うか組み合わせて治療するかは、発症部位や病期によって異なります。
場合によっては、抗がん剤を使用する化学療法を組み合わせることもあります。

外科的手術

中咽頭がん・下咽頭がんでは、病期に関わらず外科的手術を行うケースが多いでしょう。早期の場合は口から内視鏡を入れ、腫瘍を切除します。
進行している場合は、喉頭・食道の一部・頸部リンパ節も切除するケースが多く、発声や食事への影響は避けられません。
そのため、手術による切除とともに自身の体の一部を移植する自己遊離組織移植を行い、機能再建を図ります。

放射線療法

放射線療法は、放射線を体の外から照射してがん細胞を死滅させる治療法です。
上咽頭がんは手術が難しい場所にあり、放射線治療が効きやすい腫瘍が多いといわれているため、放射線療法を中心に行います。
進行している場合は、抗がん剤を使用する化学療法と組み合わせる化学放射線療法を行うこともあるでしょう。中咽頭がん・下咽頭がんでも、手術と併用して根治を目指す場合があります。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染がある中咽頭がんでは、化学放射線療法が有効だといわれています。
また、進行した中咽頭がん・下咽頭がんでも機能を残すために手術せず、放射線治療を優先して行うケースも少なくありません。

咽頭がんは何科についてについてよくある質問

ここまで咽頭がんの診療科や受診目安となる症状・治療法などを紹介しました。ここでは、「咽頭がんは何科」に関するよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

  

咽頭がんの検査方法を教えてください。

咽頭がんかどうか調べるには、以下の検査を行います。

  • 視診
  • 内視鏡検査(咽喉頭ファイバー)
  • 病理検査
  • 画像検査(CT検査・MRI検査・超音波検査など)

内視鏡では腫瘍を確認し、画像検査ではがんの広がりや転移の有無などを確認します。咽頭がんの確定診断には、腫瘍の組織を一部採取して詳しく調べる病理検査が必要です。以前は咽頭がんは早期発見が難しいとされていましたが、内視鏡技術が進歩し、腫瘍が小さいうちの発見も可能となってきています。

健康診断・人間ドックで咽頭がんは見つかりますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

咽頭がんの検査は、健康診断や人間ドックの検査項目にありません。咽頭がんは半数以上の患者さんが進行した状態で見つかるといわれているので、早期発見のためにも気になる症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。また、飲酒量が多い方・ヘビースモーカーの方は咽頭がんの発症リスクが高いため、年に1回耳鼻咽喉科または頭頸科でチェックしてもらうことをおすすめします。

編集部まとめ

本記事では、咽頭がんが疑われる場合に受診する診療科や、受診の目安となる症状・治療法を解説しました。

咽頭がんは、耳鼻咽喉科・頭頸科で診療を受けられます。

初期症状に乏しく進行した状態で見つかることも少なくないため、気になる症状が続くようなら早めに医療機関を受診しましょう。

咽頭がんと関連する病気

「咽頭がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

上記の病気は、咽頭がんと同じ頭頸部がんです。咽頭がんの転移とは別に、同時期もしくは時期をずらして口腔がん・喉頭がん・食道がんが発生することもあります。
口のなかやのどに気になる症状がある場合は上記の病気の可能性もあるので、ぜひ医療機関を受診しましょう。

咽頭がんと関連する症状

「咽頭がん」と関連する症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

のどや鼻の症状は風邪の症状と似ており、首のしこりも風邪によるリンパ節の腫れだと思って見過ごしてしまうケースも少なくありません。
また、聞こえにくさや飲み込みにくさも、軽度であれば放置してしまうこともあるでしょう。気になる症状があったり症状が続いたりするようなら、早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師