「食道がんを疑う自覚症状」はご存知ですか?検査・診断方法も解説!医師が監修!
食道がんの主な原因は、喫煙と飲酒といわれています。熱いものを好んで食べたり飲んだりする習慣がある方は、食道がんができる危険性を高めるという報告もあります。
初期症状がない場合がほとんどで早期発見が難しく、がんが大きくなったりほかの臓器に転移し発見される場合が少なくありません。
この記事では、食道がんの自覚症状と、初期にみられる症状・診断方法を解説します。
「この程度の症状は平気だろう」「自分は大丈夫」と自己判断せずに、気になる症状がある場合は最後までご覧ください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
食道がんとは?
咽頭(のど)から胃につながっている管状の臓器を食道といいます。胃や大腸などと同じく食道にもがんができることがあり、食道にできる悪性腫瘍が食道がんです。
食道のどの部分にもがんはできる可能性がありますが、半数は食道の中央付近に発生します。60~70歳の男性で発病率が高いがんです。
食道は内側から外側に向かい粘膜層・固有筋層・外膜・リンパ節から構成されています。食道がんは食道の内側を覆っている粘膜から発生し、がんが進行していくと食道の外側へ広がっていくのが特徴です。
食道壁からがんが広がり、周りにある気管や大動脈などにも広がる可能性があります。また、リンパ管や血管にがん細胞が侵入すると、肺や肝臓などのほかの臓器へ転移する場合もあります。
食道がんは初期症状が出にくい
食道がんは、発生してすぐの頃には自覚症状がない場合がほとんどです。がんが進行していくと自覚症状が徐々に現れてきます。
自覚症状が出てきた頃には、がんが進行している可能性が高く、ほかの臓器へ転移している場合もあるでしょう。
初期の段階で発見するためには、定期的な検査を行うことが大切です。
食道がんの自覚症状は?
食道がんになるとどのような自覚症状が現れるのでしょうか。代表的な症状として下記の6つが挙げられます。
- 嚥下障害
- 胸がしみるような感覚
- 体重減少
- 胸や背中の痛み
- せき
- 嗄声
ここでは自覚症状を詳しく解説します。
嚥下障害
嚥下障害とは、食べ物を飲み込む際にのどや食道に食べ物がつっかえたり、詰まったりする感覚がありうまく飲み込めない状態です。
がんによって食道が塞がれてしまうため、食べ物が通れなくなることで起こります。
がんがまだ小さい段階では起こりにくく、がんが進行している場合にみられる症状です。
胸がしみるような感覚
お口から入った食べ物が食道を通っていく際に、胸の奥がちくちくする・熱いものを飲み込むとしみると感じることがあります。
食道がんの初期の頃にみられる症状の一つです。この症状は一時的に消えることもあります。
体重減少
がんが大きくなると食道の内側が狭くなり、食べ物がつかえやすくなります。そのため、やわらかい食べ物しか通らなくなり、食事量が減り栄養が不足するため体重が減少していきます。
目安として3ヵ月で5~6kg程体重が減少した場合は注意しましょう。
胸や背中の痛み
がんが食道の組織から出てしまい周りにある肺・脊椎・大動脈を圧迫すると、胸や背中の痛みを感じるようになります。
この症状は、心臓や肺の病気が原因で現れる場合もあります。食道がんでもみられる症状のため、心臓や肺の検査だけではなく食道も検査してもらうことが大切です。
せき
食道がんの症状として、せきが出るのも特徴です。がんが大きくなると気管や気管支を圧迫します。また、気管や気管支などにがんが浸潤するとそれが刺激となり、せきが出やすくなります。
嗄声(声のかすれ)
嗄声とは、声がかすれることです。
食道の近くには声を調整する反回神経があり、食道がんが周りのリンパ節に転移すると、反回神経は麻痺するため脳からの刺激を伝えられなくなります。そのため、声を出す声帯が機能しなくなり声がかすれたり、声が出にくくなったりします。
食道がんの検査・診断
食道がんは発生した初期の段階では自覚症状がなく、発見が遅くなる場合があるため注意が必要です。
症状に気付いた時にはかなり進行している場合も少なくありません。食道がんはレントゲン造影検査では見つけにくいため、内視鏡を使った検査やがんを特定するための検査が行われます。
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
- 上部消化管造影検査(バリウム食道透視検査)
- 画像診断
- 腫瘍マーカー
ここでは上記の4つの検査方法を解説します。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
上部消化管内視鏡検査は胃カメラといわれる、内視鏡を使った検査です。
食道の粘膜の色や凹凸などの状態をカメラでみながら直接観察します。がんの位置・広がり具合・数・深さを確認できます。検査中に異常な部分が見つかった場合は、その場で組織を採取しがん細胞があるかを病理検査へ提出して、がんであるかの特定も可能です。
上部消化管造影検査(バリウム食道透視検査)
上部消化管造影検査はバリウム検査といわれる検査です。
健康診断や人間ドックで受けたことがある方もいるのではないでしょうか。バリウムなどの造影剤を飲み、バリウムが通過する瞬間を撮影する検査です。
がんがある場所や食道の内腔の狭さなど、食道の様子を観察します。
画像診断
画像診断の方法には、CT検査・MRI検査・PET検査があります。
がんの位置・深さ・周辺の臓器への広がり具合・リンパ節や肺などほかの臓器への転移がないかを調べます。画像検査の結果は治療方針を決定させるために重要な検査です。
CT検査は放射線・MIR検査は強力な磁気を利用した検査方法です。
PET検査は、がん細胞がブドウ糖に集まる性質を利用し、がんの進行度を確認します。ブドウ糖を含んだ薬剤を投与し、がん細胞に取り込まれたブドウ糖の状態をみることでがんの位置や広がりを診断できます。
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーとは、がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって産生されるたんぱく質などの物質です。
血液検査で測定可能で、がんの診断の指標のために利用したり、治療の効果を確認するために活用します。がんの種類により腫瘍マーカーの型が異なるため、どの部位のがんであるかを特定することも可能です。
食道がんの自覚症状についてよくある質問
ここまで食道がんの初期症状を紹介しました。ここでは食道がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
自覚症状が出た場合食道がんが進行している可能性が高いですか?
甲斐沼 孟(医師)
食道がんは、発症すぐのときには症状がないことがほとんどです。がんが大きくなることで自覚症状が出ます。食べ物が飲み込みにくい・胸がしみる感覚がある・せきが出るなどの自覚症状が現れた頃には、進行している可能性が高いでしょう。
初期症状が出にくい食道がんを早期発見するポイントを教えてください。
甲斐沼 孟(医師)
早い段階で食道がんを発見するためには、定期的に検査を受けるようにするとよいでしょう。また、せき・のどの違和感など、気になる症状に気付いたら、早めに受診し医師に相談することが大切です。「大丈夫だろう」と自己判断しないようにしましょう。
編集部まとめ
食道がんは初期の時点では、自覚症状がない場合がほとんどです。自覚症状が出たときには、がんが進行して大きくなり、ほかの臓器に転移している場合があります。
食道がんの末期では、リンパ節・肺・肝臓・脳・骨などへの転移がみられます。転移があるとすべてのがんを取り除くことは困難となり、完治を目指すことができません。
飲み込みがしにくい・胸がしみる感覚がある・体重が減ってきた・胸や背中が痛い・せきが出る・声がかすれるなどの症状がある場合、食道がんである可能性があります。
早期発見ができれば、治療できるがんです。気になる症状があれば食道がんを疑い、早めに医療機関を受診し検査を受けるようにしましょう。
食道がんと関連する病気
「食道がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
食道がんは進行すると、ほかの臓器へ転移する場合があります。定期的に検査を受け、早い段階で発見できれば治療ができる可能性が高まります。定期的な検診は、早期発見のために大切です。
食道がんと関連する症状
「食道がん」と関連している、似ている症状は7個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 食べ物が飲み込みにくい
- 胸がちくちくする
- 胸がしみる感じがする
- 胸や背中が痛い
- せきが出る
- 声がかすれる
- 体重が急激に減る
食道がんは進行するとのどや胸部の違和感などの症状が現れます。食事が困難となるため食欲が低下し、さらに体重減少につながります。上記のような症状は、何らかの異常のサインです。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。