「食道がんは何科」を受診すればよいかご存知ですか?症状についても解説!
のどに何らかの症状が出たときは、内科や耳鼻咽喉科を受診するのが一般的です。
しかし、それらの科では異常が見つからず「もしかしたら食道がんではないか?」と不安になった場合、何科を受診したらよいのでしょうか。
この記事では、食道がんの症状や治療法についても解説します。
がんの生存率を上げるためには、早期発見・早期治療が重要です。
気になる症状がある方、がんに対して漠然とした不安を抱いている方はぜひ参考にしてください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
食道がんとは?
食道は、のどと胃をつないでいる消化管の一部です。ここにがんが発生し進行すると、熱いものがしみる感じや飲み込みづらさが生じます。
食道がんのなかでも日本人がかかる頻度の高い、扁平上皮がんの危険因子は飲酒と喫煙です。生活習慣を見直し、定期的にがん検診を受けることで食道がんの予防と早期発見に努めましょう。
食道がんは何科を受診すればよい?
食道がんの疑いがある場合には、消化器内科を受診しましょう。問診などの一般的な診察に加え、胃カメラや造影検査を行います。
食道がんと確定診断されたら、CTやMRIなどの検査でがんの深さ・広がりを確認し、病期(がんの進行度)と治療方針を決定します。検査や結果説明には大きな不安が伴うため、できれば家族にも同席してもらいましょう。
食道がんの症状
食道がんの症状がみられるのは、がんがある程度進行してからです。そのため、食道がんを疑う症状がみられた場合はすぐに病院を受診し、検査を受けることが重要となります。
初期には自覚症状が出ないことが多い
食道がんの初期は自覚症状がないことがほとんどです。
この時期に食道がんが見つかるきっかけとして、検診や人間ドックで行う胃カメラ・造影検査などがあります。がんの早期発見は生存率を上げ、治療の選択肢を増やすことにもつながります。自覚症状がなくても定期的に検査を受け、病気の早期発見に努めましょう。
嚥下障害
がんが進行して大きくなると食道が狭くなるため、飲み込みづらくなります。さらに進行すると飲み物や唾液すらも飲み込めなくなるため、点滴や胃ろうからの栄養摂取が必要です。
飲み込みづらさを感じているのであれば、早めに消化器内科で相談してみましょう。食道アカラシアなど別の病気が原因である可能性もあります。
飲食時の胸の違和感
飲み込んだときに胸がチクチクと痛む、熱いものを飲み込んだときに胸の奥がしみる場合には、早めに診察・検査を受けましょう。
食道がんの初期にみられる症状ですが、がんが進行するとこれらの症状が消失します。一時的なものだったと安心せず、すぐに受診しましょう。がんを早期発見・早期治療できるかもしれません。
体重減少
飲み込みづらさや胸の違和感が続くと、食事の量が減って体重が減少します。食事制限や運動をしていないにも関わらず、3ヵ月間で体重が5〜6kg減っている場合には注意が必要です。
また、体重変動のチェックはさまざまな病気の予防・早期発見に役立ちます。自分の健康状態を知るためにも、体重測定の習慣化はおすすめです。
胸や背中の痛み
食道の粘膜に発生したがんは、やがて食道の壁を越えて周囲へと広がっていきます。そして肺・背骨・大動脈などを圧迫すると、胸の奥や背中に痛みが生じます。
しかし、胸や背中の痛みを伝えるだけでは、心臓や肺の検査で終わってしまうかもしれません。ほかにも気になる症状があれば併せて医師に相談し、食道の検査をしてもらいましょう。
声のかすれ
食道の近くには声帯をコントロールする神経があります。この神経にまでがんが広がると声がかすれたり、しゃがれ声になったりすることがあります。咽喉科で異常がないと判断された場合には、消化器内科を受診してみましょう。
一見関係ないようにみえますが、声の異常の原因が食道にあるかもしれません。
せき
食道がんが進行して気管・気管支にまで及ぶと、刺激でせきが出ることがあります。また、痰に血が混じることもあります。ここまでがんが進行していると、早急に治療が必要な状態です。
風邪でもないのにせきや痰が続いている場合には、食道がんを疑って消化器内科を受診してみましょう。
食道がんの治療方法
食道がんの治療方法は、病期・体力・本人の希望などを考慮し、患者さん一人ひとりに合わせて選択します。
ご自身やご家族が食道がんと診断された場合、どのような治療の選択肢があるのでしょうか。ここでは4つの治療方法を解説します。
内視鏡切除
がんの進行が早期で、表面的であり、小さくて転移のない病変の場合は内視鏡で切除できます。手術やほかの治療法と比べると合併症のリスクが低く、体への負担も少ないのが特徴です。
しかし、がんの部分だけを切除するため、しばらくして再発することがあります。また、がんが深くまで浸潤している場合や広範囲に広がっている場合には、外科的手術やほかの治療法が適応されます。
手術
頸部から胸部・腹部にかけて切開し、食道・胃・リンパ節などの病変部位を切除する方法です。切開・摘出する範囲は、がんの大きさや病変部位などによって異なります。
また、食道を切除した後は食道再建術を行う必要があります。胃の上部と、首側の残った食道を縫い合わせて食道の代わりにする方法が一般的です。胃潰瘍や胃がんなどで手術歴がある患者さんの場合は、小腸や大腸を用います。
化学療法
点滴で抗がん剤を投与する方法で、多臓器への転移やリンパ節転移がみられる場合に適応となります。薬剤は血液によって運ばれるため、ほぼ全身に効果があるのが特徴です。
単独使用だけでなく、手術の前後に使用する場合や放射線療法と併用する場合などがあり、病期や患者さんの体力などを考慮して選択します。
放射線療法
病変部位に対して放射線を照射する方法です。食道粘膜の炎症や皮膚炎など副作用のリスクがありますが、全身への負担が少ないため体力のない患者さんでも治療を行うことができます。
スケジュールは週に5日、約1ヵ月照射を行うのが一般的です。多くの場合は化学療法と併せて行い、これを化学放射線療法と呼びます。がんの進行が広範囲に及んでいる場合や、患者さんの体力的に手術が適応されない場合などに選択されます。
食道がんは何科を受診すればよいかについてよくある質問
ここまで食道がんの診察を行っている診療科や、症状・治療法などを紹介しました。ここでは「食道がんは何科を受診すればよいか」について、よくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ほかの臓器への転移が疑われる場合は何科を受診すればよいですか?
甲斐沼 孟(医師)
まずは、食道がんの診察・治療を担当した医師に相談しましょう。がんの再発や転移が疑われる場合には、その範囲や程度を精査します。他臓器への転移や骨転移が認められ、他科での治療が必要と判断された場合には、これまでの病歴・治療歴を記載した診療情報提供書を作成してもらうことができます。一般的には担当の医師が紹介先を探しますが、もし希望の病院があれば相談してみましょう。治療経験だけでなく、通院にかかる時間を考慮することも大切です。
必要な治療によって診療科は変わるのですか?
甲斐沼 孟(医師)
病変部位や治療法の選択によって、担当する診療科が変わります。内視鏡切除術を行う場合は内視鏡科・手術を行う場合は食道外科・放射線療法を行う場合は放射線治療科などです。しかし通常は、これらの診療科がそろっている総合病院に通院・入院するため、その都度転院・転棟する必要はありません。診療科や担当の医師が変わることに不安がある場合は、治療開始前に医師に確認してみましょう。
編集部まとめ
食道にがんが発生すると、飲み込みづらさや胸の違和感、体重減少などの症状がみられます。
これらの症状を自覚する頃にはがんはすでに進行しているため、心当たりがある場合はすぐに消化器内科で検査を受けましょう。
また食道がんは、検診や人間ドックの胃カメラ・造影検査などで早期発見することができます。
定期的に検査を受け、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。生存率が上がるだけでなく、治療の選択肢の幅も広がります。
食道がんと関連する病気
「食道がん」と関連する病気は8個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください
食道がんの危険因子といわれている飲酒・喫煙習慣のある患者さんの場合、重複がんの発生リスクはより高い傾向にあります。食道がんに限らずさまざまな病気を未然に防ぐため、生活習慣の見直しは重要です。
食道がんと関連する症状
「食道がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 飲み込みづらさ
- 飲食時の胸の違和感(チクチクと痛む・胸の奥がしみる)
- 胸の奥や背中の痛み
- 声のかすれ・しゃがれ声
- 風邪でもないのにせきや痰が続いている
食道がんの初期は自覚症状がないことがほとんどです。上記のような症状を自覚する頃には、すでにがんが進行している可能性があります。心当たりのある方は早めに病院で診察・検査を受けましょう。