「メラノーマが大きくなるスピード」はご存知ですか?ほくろとの見分け方も解説!
メラノーマは皮膚がんの一種ですが、ほくろと間違われて発見が遅れる場合があります。
進行スピードが速く転移・再発しやすいという特徴があるため、早期発見・早期治療が重要です。
この記事ではメラノーマの大きくなるスピード・種類・ほくろとの見分け方について解説します。
メラノーマの特徴を知り、ご自身の皮膚に意識を向ける機会を増やすきっかけとなれば幸いです。
監修医師:
高藤 円香(医師)
目次 -INDEX-
メラノーマとは?
皮膚がんの一種であるメラノーマは色素細胞(メラノサイト)ががん化したものです。病変は褐色~黒色でほくろと似ており、悪性黒色腫とも呼ばれます。白色人種における発症率が高く、日本では症例の少ないがんです。
しかし国内の死亡者数は増加傾向にあり、高齢者だけでなく30~50歳代の若年層が発症する場合も増えています。
発生要因として挙げられるのは、紫外線の影響や、恒常的な靴擦れなどの機械的な外的刺激です。メラノーマが疑われる場合は、拡大鏡を用いた検査で病変を確認し、生検の結果により診断を確定します。
主な治療法は、手術・薬物療法・放射線療法です。治療の際は転移を含むがんの進み具合をもとに病期が決定されます。病変の切除手術を中心として、必要に応じて薬物・放射線といった化学療法が併用されます。
メラノーマが大きくなるスピードは?
メラノーマの病変が大きくなるスピードは、メラノーマの種類により数ヵ月~10年以上と幅があります。
短期間で増大することが多いのが結節型です。国内で発症率が高いといわれる末端黒子型は、病変が数ヵ月~数年かけて大きくなります。
表在拡大型は数年、悪性黒子型は10年以上かけて病変が次第に広がっていきます。
メラノーマ進行が速いケースが多い
メラノーマはほかのがんと比較して進行するスピードが速く、再発・転移しやすいのが特徴です。
進行は範囲の広がり具合のみではなく、病変の厚さで判断します。リンパ節・内臓などほかの臓器への転移がある場合、1~2ヵ月で生活が難しくなる程悪化してしまうこともあります。
できるだけがんの厚みが小さいうちに発見し、早期に治療することが重要です。
少しでも異常を感じたらすぐに受診をすることが大事
メラノーマは進行が速いですが、皮膚に発生するため自分で気付くことができる場合が多い病気です。
早期のうちに腫瘍を切除できれば、完治する確率が高くなります。
日頃からご自身の皮膚を観察する癖をつけ、メラノーマの疑いがあると感じた場合は早めに皮膚科で診察を受けましょう。
メラノーマの種類
メラノーマの病型の分類としては、下記の4つが代表的です。
ほかに目・鼻・口腔内・陰部などに発生する粘膜メラノーマがあります。粘膜にできるものは、皮膚のメラノーマと比較して治療が難しくなります。
末端黒子型
末端黒子型は足の裏・手足の爪の下の皮膚に発生します。日本国内ではメラノーマ全体の40%程度を占め、発症が多い年代は40~50歳です。
病変の初期は色・形が不規則なまだらのようなシミとして現れることが多く、進行とともにしこりができます。
爪に発生する場合は、縦に一筋黒い線を引いたような状態から始まり、進行すると病変が爪全体に広がります。
表在拡大型
表在拡大型は全身に発生しうるメラノーマです。特に発生頻度が高いのが体の中心部・足の付け根です。
日本では20%程度が表在拡大型で、幅広い年齢層で発症します。病変は黒色に近い濃い茶色であることが多く、円形に近い形で肥大していく傾向があります。
結節型
結節型では、結節(しこり)状の塊が大きくなっていきます。周囲にシミのような色素斑が現れないのが特徴です。
体のどこにでも発生する可能性があり、40~50歳代での発症が多いとされています。
進行すると黒い腫瘍が次第に膨らんでいきます。ほかの病型が皮膚上を横(水平)に広がっていくのに対し、結節型は皮膚の上下に垂直方向に広がるというのが大きな相違点です。
病変の拡大スピードが速いうえに進行の判断基準となる厚みが増しやすいため、特に気を付けておくべき病型といえます。
悪性黒子型
悪性黒子型は主に顔面に発生します。高齢者に多く、病変は時間をかけて広がっていきます。
初期は色むらのあるいびつな形のシミに見えることが多く、進行すると色素斑の一部にしこりや潰瘍ができます。
メラノーマとほくろの見分け方
メラノーマはほくろに見える場合があるため、特徴を知っておくと見分けることができ早期発見につながります。
次に挙げる4点について、2つ以上当てはまるほくろ・シミがある場合は皮膚科を受診しましょう。
メラノーマは痛み・かゆみがない場合が多いため、見て違和感に気付くことが重要です。発症率が高い足の裏を中心に、定期的にご自身の皮膚を確認するようにしましょう。
左右非対称
ほくろが円形をしているのに対し、メラノーマの色素斑は左右非対称で不定形の場合が多いです。いびつな形のほくろだと感じたら注意しましょう。
境界がギザギザしている
メラノーマの色素斑はほくろと異なり、輪郭がギザギザしています。
また、周りの皮膚との境界が明瞭でない場合もあります。ほくろだけでなく、いびつな形のシミが急にできた場合もメラノーマを疑いましょう。
濃淡がある
メラノーマは1つの病変のなかで、色の濃紺(色むら)があります。
色は淡い褐色から黒色の場合が大多数ですが、まれに赤色に近い薄い色があります。新しくできたほくろやシミの色調が均一でない場合は注意しましょう。
直径が6ミリメートル以上ある
メラノーマは時の経過とともに肥大化する傾向があり、直径が6ミリメートル以上になるという特徴があります。
新しくできたほくろが徐々に大きくなっている場合はメラノーマを疑いましょう。
拡大とともに色・形・硬さが変化することが多く、表面が盛り上がってくる場合もあります。
メラノーマが大きくなるスピードについてよくある質問
ここまでメラノーマが大きくなるスピード・種類・ほくろとの見分け方などを紹介しました。ここでは「メラノーマが大きくなるスピード」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
メラノーマは早期に転移しやすいですか?
高藤 円香医師
メラノーマはその他の皮膚がんと比較して、転移しやすいがんです。リンパ管を伝う転移と血管を伝う転移が同時に発生しやすいという特徴があるためです。特にセンチネルリンパ節には、早期に転移する場合が多いとされています。センチネルリンパ節とは、病変の発生箇所からリンパ液の流れをたどり最初にあるリンパ節です。進行すると、肺・肝臓などの臓器にも転移しやすくなります。ほかの部位への転移がない場合は病変を切除する手術のみで済みますが、転移がある場合は転移先のリンパ節や臓器に対する治療が必要です。
手術を行ってもすぐに再発するケースもあるのですか?
高藤 円香医師
メラノーマは再発の可能性が高いがんで、特に手術後2~3年は再発率が高いです。病変に厚みがあった・転移があった患者さんは、再発の危険性が特に高いといわれています。そのため、病変を完全に切除できた場合でも治療後に定期的に通院し、検査を受けることが必要です。がんは治療後5年が経過すると完治とみなされることが多いですが、メラノーマの場合は5年後以降も再発の可能性があります。
編集部まとめ
皮膚がんの一種であるメラノーマは悪性黒色腫とも呼ばれ、メラノサイトのがん化により発症します。
大きくなるスピードはメラノーマの種類によって数ヵ月~10年以上と幅があります。
進行が速く再発・転移しやすいですが、目で見て気付くことができるがんです。
急にできたほくろについて、形がいびつ・色むらがある・大きくなっていると感じた場合は、すぐに医療機関を受診し医師に相談しましょう。
メラノーマと関連する病気
「メラノーマ」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
いずれも皮膚にできる悪性腫瘍です。皮膚がんはがん全体からみると発症率が低く、基底細胞がん以外は希少がんとされています。どのような病気か知っておくことで、早期発見・早期治療につなげましょう。
メラノーマと関連する症状
「メラノーマ」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 色素斑
- 腫瘤
- 腫瘍
上記はメラノーマの疑いのある病変です。定期的にご自身の皮膚を確認する癖をつけ、身に覚えのない異常に気付いた場合は早めに皮膚科の受診をおすすめします。