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「子宮頸がんの検査方法」はご存知ですか?予防法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/03/01
「子宮頸がんの検査方法」はご存知ですか?予防法も解説!【医師監修】

子宮頸がんの検査と聞くと、抵抗があったり、不安を感じたりする方がいるのではないでしょうか。

子宮頸がんは早期に発見し、治療を受けることで治癒する可能性が高くなります。そのため、定期的に検査を受け、がんに進行する前の段階で発見することが非常に重要です。

この記事では、子宮頸がんの検査について、危険因子・予防法とともに解説します。検査の流れと趣旨を正しく理解し、検査を受ける際の参考にしてみてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんとは?

子宮頸がんとは、子宮の入り口に近い子宮頸部という部位にできるがんで、子宮がんの約70%を占めています。
最近では20〜30歳代で発症する方が増えてきており、30代後半が最も多いがんです。毎年約10,000人の方が子宮頸がんを発症し、約2,800人の方が命を落としています。
子宮頸がんは初期にはほとんど症状がなく、病気が進行していくと不正出血・おりものの変化・腹部や腰の痛みといった症状が現れることがあるので注意が必要です。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因となることがわかっているため、HPVワクチンの接種が推奨されています
また、早期に発見し治療を開始することで、治癒する可能性が高い病気です。早期発見のためには定期的に検査を受けることが重要であり、20歳以上の女性は2年に一度の定期検診が勧められています。

子宮頸がんの検査について

子宮頸がんは早期に発見し治療を開始することで、治癒が望める病気です。そのため定期的に検査を受けることが重要となります。
しかし子宮頸がん検診を受ける割合は、欧米で70〜80%なのに対して日本は42%と低いのが現状です。
子宮頸がん検診でひっかかったらどうしよう、という不安も理解できますが、子宮頸がん検診でひっかかる確率、すなわち要検査になる確率は約1.5%です。さらに実際にがんと診断される確率は約0.01%であり、がんと診断された場合も早期に発見し治療を開始できれば治癒する可能性が高いことを理解しておきましょう。

子宮頸がんの危険因子は?

近年、研究によって子宮頸がんの危険因子となるウイルスや生活習慣がわかってきました。
ここでは子宮頸がんの4つの危険因子について解説します。当てはまるものがあるか確認し、リスクがあると考えられる場合は定期的に検査を受けるようにしましょう。

ヒトパピローマウイルスの感染

ヒトパピローマウイルス(HPV)は性行為によって子宮頸部に感染し、数年〜数十年かけて子宮頸がんに進行していきます。性行為の経験がある女性の約50%が一生に一度は感染するウイルスです
HPVにはハイリスク型とローリスク型があり、ハイリスク型HPVは子宮頸がんだけでなく、肛門周囲のがんや尖圭コンジローマといった多くの病気の発生に関わっていることがわかっています。ほぼすべての子宮頸がんにはハイリスクHPVが関係しており、HPVに感染することは子宮頸がんのリスクを高めることになります

若年の性行為

近年、子宮頸がんの発症年齢が若年化しています。これは初回性交年齢が若年化していることが関係していると考えられています。さらに性行為をする相手が多いほどHPVに感染する機会が多くなり、感染が持続することも子宮頸がんの危険因子の一つです。
ただし、性行為の経験が少なければリスクが減るわけではなく、一度でも経験があればHPVに感染するリスクがあることを理解しておきましょう。

妊娠・出産

子宮頸がんのリスクの一つとして挙げられるのが、妊娠・出産です。これは性行為によりHPVに感染するリスクが上がることに加えて、妊娠・出産がHPVに感染した細胞を子宮頸がんへと進行させる要因の一つとなっていると考えられています。
どういった作用があるのか、詳しいことはまだわかっていませんが、妊娠・出産は子宮頸がんのリスクを高めることを知り、出産後も定期的に検診を受けることをおすすめします。

喫煙

喫煙も子宮頸がんの危険因子です。喫煙は免疫機能を低下させてHPVに感染しやすくして、さらに細胞のがん化を促す作用があります。
喫煙は子宮頸がんだけでなく、子宮頸がん以外のがん・心臓疾患・肺疾患などの危険因子でもあります。喫煙者は非喫煙者に対して扁平上皮癌のリスクが2〜3倍になることがわかっているので、リスクを下げるためにも禁煙を検討しましょう。

子宮頸がんの検査方法

子宮頸がんの検査では、最初に問診・視診・細胞診を行います。その後病変が認められた場合に、精密検査に移ります。精密検査となった場合でも、必ずしもがんであるとは限りません
ここでは子宮頸がんの検査方法について解説します。子宮頸がん検査の流れと趣旨を正しく理解し、検査を受ける際の参考にしてください。

問診・視診・細胞診

子宮頸がんの検査では、最初に問診を行います。問診でこれまでの妊娠・出産の経験・月経の状態・不正出血の有無・定期検診を受けているかを聞かれることがあるので、準備をしておくと良いでしょう。
次に、内診台に座り視診を行います。視診ではクスコ(腟鏡)という器具をいれて子宮頸部の状態を確認し、内診をして子宮や卵巣の大きさを確認します。
続いて、細胞診です。細胞診はヘラやブラシを使って子宮頸部を軽く擦り、細胞を取ります。採取した細胞の形に異常がないか、がんの可能性がないかを顕微鏡で調べる検査です。
細胞診で異常がないと判断された場合は、精密検査は行いません。ただし、異常がない場合でも2年に一度の検診は定期的に受けましょう。

精密検査

細胞診で異常が認められた場合は、精密検査へと進みます。精密検査では以下のような検査を行います。

  • HPV検査
  • コルポスコピー(膣拡大鏡診)
  • 組織診
  • 画像検査(超音波やCT検査など)
  • 内診・直腸診

細胞診でACS-US(軽度病変の疑いのあるグレーゾーンの細胞)と分類されたら、HPV検査を行います。ハイリスク型HPVに感染しているかを確認し、感染していなかった場合でも1年後に再び細胞診を受けましょう。
万が一、ハイリスク型HPVに感染していた場合は、がんに進行する可能性が高いためコルポスコピーを行い、生検・組織診へと進みます。また、細胞診でACS-US以外と分類された場合はHPV検査は行わず、コルポスコピーを行います。
コルポスコピーとは、拡大鏡を使って子宮頸部を観察し、正常・異常・浸潤がんなどに分類する検査方法です。コルポスコピーでは、さらに病変部の組織を取り、組織診を行います。
組織診で子宮頸がんと診断された場合、がんの広がりの程度や周りの組織に転移がないかを調べるため、画像検査・内診・直腸診を行っていくことを知っておきましょう。

子宮頸がんは予防できる?

子宮頸がんは高い確率で予防できるがんです。子宮頸がんの予防には、生活習慣や食事の改善・HPVワクチンの接種・定期検診を受けることが重要であることがわかっています。
ここでは子宮頸がんを予防するための4つの方法について解説します。

禁煙・飲酒量を減らす

喫煙は子宮頸がんをはじめとしたさまざまな病気の危険因子です。また、飲酒量が多いとHPVの感染を持続させるリスクがあるという報告もあります。
子宮頸がんやそのほかのがんを予防するためにも、禁煙して飲酒量を減らし、健康的な生活を心がけましょう

バランスの良い食事を心がける

食生活を見直すことは、子宮頸がんに関わらず、がんのリスクを下げるために大切です。塩分を減らす・果物や野菜を摂る・熱い食べ物や飲み物は避けるなど、普段からバランスのよい食事を心がけましょう。
また、太り過ぎ・痩せすぎもがんのリスクとなります。肥満と子宮頸がんの因果関係は明らかになっていませんが、食生活を見直して適度な運動をすることは、がんの予防になると考えられます。

HPVワクチンを接種する

子宮頸がんの予防はHPVの感染を防ぐことが重要です。HPVワクチンは子宮頸がんを起こしやすいハイリスク型HPVの感染を防ぐことができます。ワクチンの種類によって効果のあるHPVの型が異なるので、どのワクチンを接種するかは接種する医療機関で相談してください。
公費によって接種できるのは小学6年生〜高校1年生相当の女子ですが、対象期間を過ぎてしまった方でも自己負担で任意接種することができるので、お近くの医療機関にご相談ください。
HPVワクチンによってHPV感染を防ぐことができ子宮頸がん予防につながります。とくに、HPV感染機会となる性交渉開始前の年齢でHPVワクチンの接種を受けることによって、子宮頸がんのリスクをより低下させることができます。

20歳以上で2年に一度子宮頸がん検診を受ける

HPVに感染すると、5〜10年以上の年月をかけて少しずつ細胞が変化し、がん化していきます。定期的に子宮頸がん検診を受けることで、がんになる前の段階で発見し早期に治療を開始することが可能です
子宮頸がんは早期発見・早期治療で治癒する可能性が高いため、定期的に検診を受けましょう。さらに、子宮頸がんにはHPV感染以外の原因で発生するものも報告されているため、HPVワクチンを接種している方や性交渉の経験がない方でも定期検診を受けることが大切です

子宮頸がん検査についてよくある質問

ここまで子宮頸がんの検査方法や予防法について解説しました。ここからは、子宮頸がんの検査に関するよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

妊娠中は子宮頸がん検査を受けられますか?

馬場 敦志医師

妊娠中に子宮頸がん検査を受けることは可能ですが、妊娠初期に受けるのが望ましいです。その理由として、出血のリスクがあることや、がんと認められた場合の治療や検査のスケジュールを考える必要があることが挙げられます。検査を希望する場合は事前に主治医とよく相談しましょう。

不正出血があったら婦人科を受診するべきですか?

馬場 敦志医師

不正出血はホルモンの乱れや炎症などが原因で起こることもありますが、なかには子宮頸がんをはじめとする重大な病気が原因で起こる場合もあります。放置せず、早めに婦人科を受診してください。一般的に不正出血の原因として以下のようなものが考えられます。

  • 炎症
  • ホルモンの乱れ
  • 良性または悪性の腫瘍
  • びらん
  • 妊娠

一度検査を受けても不正出血を繰り返す場合は、徐々に病気が進行している可能性もあります。かかりつけの婦人科を定期的に受診し、変化を見逃さないことが大切です。

編集部まとめ

今回は子宮頸がんの検査について解説しました。子宮頸がんの検査に抵抗がある方もいるでしょうが、子宮頸がんを早期に発見するためにも検査は非常に重要です。

20歳以上の女性は2年に一度は定期検診を受け、気になる症状があれば婦人科を受診しましょう。

子宮頸がんは20〜30歳代の若い世代でもかかりやすい病気です。しかし、早期に発見して治療すれば、治癒する可能性が高い病気でもあります。

子宮頸がんのリスクを下げるためにも、10代でHPVワクチンを接種し、20歳以降は定期的に検査を受けることをおすすめします

子宮頸がんと関連する病気

子宮頸がんと関連する病気は以下の3つです。
各病気の症状・原因・治療法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

子宮頸がん・子宮体がん・子宮筋腫は不正出血が見られることがあり、子宮内膜症と子宮筋腫は痛みをともない、不妊の原因になることもあります。子宮の病気は妊娠・出産のリスクになることも考えられるので、気になる症状があれば婦人科を受診しましょう。

子宮頸がんと関連する症状

子宮頸がんと関連する症状は以下の5つです。
各症状・原因・治療法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 臭いを伴う茶色や膿のようなおりもの
  • 骨盤・下腹部・腰の痛み
  • 尿や便に血がまじる
  • 下肢のむくみ

子宮頸がんは初期症状がほとんどなく、進行すると徐々に症状が出てくる病気です。そのため定期検診を受けることが大切ですが、気になる症状がある場合は定期検診を待たずに早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師