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「妊娠はするけど、繰り返す流産…」妊娠生活における注意点を解説

公開日:2022/04/11

「妊娠はするけれど、何度も流産を繰り返してしまう……」。なかには、流産をすることで自分を責めてしまう人もいるかもしれません。はたして、流産を繰り返してしまう原因はなんなのでしょうか。また、妊娠生活ではどのようなことに注意すればいいのかについて、「竹下レディスクリニック」の竹下先生に教えていただきました。

竹下俊行医師

監修医師
竹下 俊行(竹下レディスクリニック 院長)

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日本医科大学医学部卒業、日本医科大学大学院医学研究科修了。その後、日本医科大学付属病院産婦人科医局長、日本医科大学産婦人科学教室助教授を経て、2003年に日本医科大学産婦人科学教授就任。2021年、日本医科大学名誉教授。東京都新宿区に「竹下レディスクリニック」を開院。日本医科大学での30年以上にわたる診療・研究の経験を活かし、不育症治療の第一人者として、最新の不育症知見に基づいた専門的な医療を提供する。日本不育症学会理事、日本受精着床学会理事、日本産科婦人科内視鏡学会監事、日本生殖免疫学会監事ほか。

なぜ、流産は起こるの?

なぜ、流産は起こるの?

編集部編集部

まず、流産について教えてください。

竹下俊行医師竹下先生

妊娠22週未満の時期に胎児が死亡してしまうことを流産としています。多くのケースで流産の原因は不明です。それ以外の原因の多くは胎児側にあり、染色体異常がその代表です。一方、母体側に原因があることもあり、放置すると後に述べる不育症となり流産を繰り返すことになります。

編集部編集部

流産は決して珍しいものではないのですか?

竹下俊行医師竹下先生

妊娠している女性の約15%が自然流産になる」と言われています。また、40歳を過ぎると流産の確率が高まり、40歳以上で30%、43歳以上で50%にものぼります。

編集部編集部

なかには、流産を何回も繰り返してしまう人もいますよね。

竹下俊行医師竹下先生

はい。妊娠はするけれど流産を繰り返してしまう人もいらっしゃいます。一般に流産や死産を2回以上繰り返す場合、「不育症」と診断されます。

不育症の三大要因

不育症の三大要因

編集部編集部

なぜ、不育症は起こるのですか?

竹下俊行医師竹下先生

様々な原因が考えられます。そのなかでも「抗リン脂質抗体症候群」、「子宮形態異常」、「夫婦いずれかの染色体異常」が不育症の3大原因と言われています。そのほかにも、「甲状腺機能異常」や「血液凝固異常」も不育症の原因になると言われています。しかし、検査により原因が特定できるのは約4割です。

編集部編集部

残りの約6割は原因不明ですか?

竹下俊行医師竹下先生

その通りで、医学の進歩した現代でも不育症の原因は特定できないことが多いのです。しかし、原因不明の不育症のなかには、染色体異常など胎児側の異常を繰り返している症例が多いことも分かってきました。

編集部編集部

なるほど。先ほどのお話にあった、3大原因についてもう少し詳しくお願いします。

竹下俊行医師竹下先生

わかりました。まず「抗リン脂質抗体症候群」ですが、これは免疫異常の一種で、抗リン脂質抗体という自己抗体が原因となって血液が固まりやすくなる疾患です。胎盤の細い血管に血栓ができると、胎児に十分な酸素や栄養素が届かなくなり、流産してしまいます。

編集部編集部

残りの2つの原因についてもお願いします。

竹下俊行医師竹下先生

「子宮の形態異常」は、子宮筋腫や子宮奇形がある状態のことで、流産を引き起こしやすくなってしまいます。そして、最後の「夫婦の染色体異常」ですが、夫婦どちらかの染色体に異常があると不育症の要因になり得ることがわかっています。なお、厚生労働省不育研究班の調べによると、抗リン脂質抗体症候群を含む血液凝固が要因となって不育症になるのは全体のうち約25%、子宮形態異常が7.8%、夫婦の染色体異常が4.6%という結果になっています。

編集部編集部

流産の要因は様々なのですね。

竹下俊行医師竹下先生

はい。上述した要因以外にも、精神的なストレスや生活習慣の乱れが妊娠に悪影響を及ぼすこともあります。もちろん、リスク要因が重なっても100%不育症になるわけではありませんが、不育症の可能性がある場合は適切な検査をおこなって正しく診断し、きちんとした治療を受けることが大切です。

不育症にならないためにはどうしたらいい?

不育症にならないためにはどうしたらいい?

編集部編集部

不育症の検査は、どのようにおこなうのですか?

竹下俊行医師竹下先生

不育症の原因は様々であるため、検査の種類も多岐にわたります。例えば、採血をして染色体の異常や抗リン脂質抗体がないか調べたり、超音波や3D超音波を用いて子宮の中を観察する子宮鏡検査をおこなったりします。そのほかに、内分泌の機能や血液の凝固異常がないか調べることもあります。

編集部編集部

検査で異常が見つかった場合、治療は可能ですか?

竹下俊行医師竹下先生

多くの場合、治療は可能です。抗リン脂質抗体があればアスピリンやヘパリンを使って血液を凝固させない治療をします。また、子宮形態に異常がある場合は、外科的な処置をおこなうこともあります。

編集部編集部

不育症にならないようにするには、どのような点に注意したらいいのでしょうか?

竹下俊行医師竹下先生

現在のところ、不育症にならないための対策は確立されていません。しかし、適切に検査や治療を受けることで、次回妊娠の流産リスクを減らすことは可能です。実際にこれまでの経験では、不育症の患者さんの8割が出産に至っています。

編集部編集部

不育症だからといって、諦める必要はないのですね。

竹下俊行医師竹下先生

そうですね。不育症の人でも、きちんと医師の診断を受けて適切な治療をおこなえば出産することはできます。大切なのは「不育症診療の経験豊富な専門家のもとで、きちんとした診療を受けること」です。また、原因によって対処方法も変わってくるので、ぜひ早めに検査を受けてほしいですね。流産が2度続く、あるいは妊娠10週以降の死産を一度でも経験した場合には、不育症の検査を受けることを推奨しています。

編集部編集部

不育症の検査や治療は保険が適用されているのですか?

竹下俊行医師竹下先生

一般的におこなわれている検査や治療の大部分は保険適用となります。ただし、さらに詳細な原因を追求したり、高度な治療をしたりするような場合は、保険適用外の検査や治療もあります。詳しい内容については、かかりつけの医師にご相談ください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

竹下俊行医師竹下先生

流産をしたときは悲しみに暮れて、とても検査を受けようという気持ちにはなれないかもしれません。しかし、2回流産を繰り返した場合には、検査を受けることをおすすめします。また、流産をすると、自分を責めてしまう人が多いのですが、「何かをしたから不育症になってしまった」ということは、ほとんどありません。そのためにも、まずは冷静に検査を受けて原因を追求することがポイントです。ぜひ、元気な赤ちゃんを産むためにも、適切な検査を受けてほしいと願います。

編集部まとめ

流産を2回以上繰り返すと不育症と診断されますが、適切な検査や治療をすることで、希望が見えてくるかもしれません。検査には保険適用外のものもありますが、自治体によっては不育症検査に助成金制度が適用されることも多くなってきました。また、胎児の染色体検査が保険適用となり、不育症を対象とした着床前検査などの先進医療への適用も検討されています。こうした動きもチェックしながら、不育症の検査や治療に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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竹下レディスクリニック

竹下レディスクリニック
所在地 〒160-0017 東京都新宿区左門町13-7 磯部ビル2階
アクセス 東京メトロ「四谷三丁目駅」 徒歩3分
診療科目 婦人科