「胃ポリープが出来やすい人」の特徴や食生活はご存知ですか?医師が解説!
公開日:2024/03/05


監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
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佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。
目次 -INDEX-
「胃ポリープ」とは?
胃ポリープは、胃の粘膜表面から飛び出した小さなこぶのことです。胃ポリープは、主に胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、腺腫性ポリープの3種類に分けられます。多くの場合は、過形成性ポリープと胃底腺ポリープですが、その他にもさまざまな胃ポリープがあるとされています。この記事では代表的な胃ポリープから、胃ポリープの原因やその治療方法についてまでを解説します。胃ポリープの種類
胃底腺ポリープ
胃底腺ポリープは、周りの粘膜と同じような色調の2~3mm程度の小さなポリープです。近年胃食道逆流症(GERD)などでプロトンポンプ阻害薬を飲んでいると、胃底腺ポリープが大きくなったり、数が増えたりするという報告もあります。胃底腺ポリープでのがんの発生例も報告されていますが、その頻度はきわめて低いので心配する必要はないとされています。多くの場合、無症状です。過形成性ポリープ
過形成性ポリープは、胃粘膜上皮の過剰な増殖による良性の胃ポリープです。胃粘膜のどの部位にも発生する可能性があり、一般的に赤色をしています。大きさもさまざまで、数ミリから数センチ程度のものまで観察されます。単発で発生することもあれば、複数個認めることもあります。過形成性ポリープの発生には、ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)感染による慢性的な胃粘膜の炎症が大きく関与していると考えられています。多くの場合、無症状です。しかし、大きくなると、胃の痛み、吐き気、嘔吐、出血などの症状を引き起こすことがあります。腺腫性ポリープ
胃の腺腫性ポリープは、一般的に「胃腺腫」と呼ばれています。胃腺腫は、白っぽくこぶのような形をしています。胃ポリープと似ていますが、胃ポリープは外部からの刺激によって細胞の堆積が増えるのに対し、胃腺腫は上皮細胞という細胞が変化している状態(異型上皮)で構成されています。胃腺腫の多くは良性ですが、一部はがん化することもあるため、胃腺腫は前癌病変とされています。胃ポリープが出来やすい人の特徴
胃ポリープはその原因から、できやすい人の特徴があります。そこで、この章では胃ポリープが出来やすい人の特徴と生活習慣について解説します。特徴
胃ポリープにはさまざまな原因があります。- ・加齢
- ・ピロリ菌感染
- ・遺伝性
- ・ストレスや暴飲暴食によって胃粘膜が荒れること
- ・逆流性食道炎でプロトンポンプ阻害薬という胃薬を長期間飲んでいる
生活習慣
胃ポリープは生活習慣の乱れによっても生じるとされています。具体的には、- ・過剰なアルコール摂取
- ・脂っこい食べ物の食べ過ぎなどの暴飲暴食
- ・運動不足
- ・睡眠不足
- ・喫煙
- ・肥満
- ・ストレス
胃ポリープが出来やすい人の食生活
食生活の内容によっては、胃ポリープの原因になることがあります。ここでは、過剰なアルコール摂取、脂質が多い食べ物、暴飲暴食の3つに分けて、胃ポリープが出来やすい人の食生活について解説します。過剰なアルコール摂取
アルコールは胃粘膜に直接刺激を与え、炎症を引き起こします。特に、過剰なアルコール摂取は、慢性的な胃粘膜の炎症を引き起こしてしまい、胃ポリープの原因になるとされています。ビールなどを何杯も飲んだり、アルコール度数の強いアルコール飲料は胃ポリープの原因になりやすくなります。脂質が多い食べ物
揚げ物や脂身の多い肉など脂質が多い食べ物は胃粘膜を刺激するため、慢性的な胃粘膜の炎症を引き起こしてしまい、胃ポリープの原因になるとされています。また、脂質が多い食べ物を食べると、高カロリーな食事になります。高カロリー食は肥満につながり、間接的に胃ポリープのリスクを高めます。暴飲暴食
暴飲暴食は胃に負担をかけ、脂質が多い食べ物を食べた時と同様、胃粘膜を刺激するため、慢性的な胃粘膜の炎症を引き起こしてしまい、胃ポリープの原因になります。また、暴飲暴食は摂取カロリーが多くなるため、肥満を引き起こし、間接的に胃ポリープのリスクを高めてしまいます。胃ポリープの治療法
胃ポリープの治療は、ポリープの大きさや形、できた場所、がん化の可能性などを考慮して選択されます。この章では胃ポリープの治療として、選択される方法を解説していきます。内視鏡的治療
出血を伴う、がん化が疑われるものに関しては、内視鏡的に切除することがあります。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といい、胃カメラとメスのようなものを用いて病変の切除を行います。この治療は、外科手術と比べて身体への負担が少なく、回復期間も短いというメリットがあります。ピロリ菌の除菌
胃ポリープのうち過形成性ポリープと腺腫性ポリープはピロリ菌が発生原因になっており、ピロリ菌の除菌治療を行うこともあります。除菌治療で、過形成性ポリープは縮小もしくは消失することもあります。 ピロリ菌の除菌では、胃酸分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を用いて除菌を行います。 この方法の除菌率は約90%です。 再発の可能性は1%未満と考えられています。 ピロリ菌除菌の副作用として、下痢・軟便などが現れることがあります。胃ポリープの予防法
胃ポリープを予防する方法は、胃ポリープの原因に対処することです。この章では胃ポリープの予防法について、その具体的な方法を解説していきます。ピロリ菌の感染の有無を確認する
ピロリ菌の感染による慢性胃炎は過形成性ポリープと腺腫性ポリープなどの原因になることが知られています。ピロリ菌が感染しているかどうかを検査し、もし感染していれば、除菌治療を行います。ピロリ菌の検査方法は、尿素呼気試験(呼気)や血液検査、尿検査、便検査、内視鏡を用いる方法などがあります。行える検査方法は各医療機関で異なるため、ピロリ菌除菌が行える医療機関で事前に相談しましょう。アルコール摂取量を減らす
アルコールは胃粘膜の炎症を引き起こします。特に、過剰なアルコール摂取は、慢性的な胃粘膜の炎症を引き起こしてしまい、胃ポリープの原因になるとされています。休肝日を作ってアルコールを摂取しない日を作ったり、ビールやワインを飲む量を1杯減らしたりすると良いでしょう。脂質の摂取量を減らす
脂質が多い食べ物は、胃粘膜を刺激するため、慢性的な炎症を引き起こし、胃ポリープの原因になるとされています。外食やファストフードなどは脂質が多くなってしまいがちなので、外食の回数を減らしたり、ファストフードではなくバランスの取れた定食に変えるなどが理想です。「胃ポリープが出来やすい人」についてよくある質問
ここまで胃ポリープが出来やすい人の特徴などを紹介しました。ここでは「胃ポリープが出来やすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃ポリープを放置するとどうなりますか?
和田 蔵人 医師
多くのポリープは良性で、心配する必要はありません。しかし、大きい場合や出血を伴う場合やがんが疑われる場合には、切除が必要になることもあります。検査で指摘された場合は、詳細な検査を受けるようにしましょう。
胃ポリープができるのは体質と関係ありますか?
和田 蔵人 医師
胃ポリープの原因は加齢やピロリ菌感染などがありますが、遺伝性がある場合もあるため、体質と関係はあります。また、ストレスなどの影響もあるため、体質の影響はゼロではありません。
胃ポリープを予防するおすすめの食事・食生活はありますか?
和田 蔵人 医師
胃ポリープは、過度なアルコール摂取や脂質の多い食事などがリスクを上げます。まずはアルコール飲料を減らし、食事も外食やファストフードの回数を減らしたりすると良いでしょう。



