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「がんを予防する可能性の高い食べ物」はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

 公開日:2024/02/02
「がんを予防する可能性の高い食べ物」はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

がんを予防する可能性の高い食べ物とは?Medical DOC監修医ががんを予防する可能性の高い食べ物・発症のリスクを上げやすい食べ物・がん予防のために大切な生活習慣などを解説します。

影山 広行

監修医師
影山 広行(医師)

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CT,MRI,PETなどの画像診断が専門、PET-CTを含めた健診、生活習慣治療、アンチエイジング、スポーツ医学などの実績も豊富
保有資格
放射線診断専門医
核医学専門医
PET核医学認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
抗加齢医学専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター

「がん」とは?

がんはいろいろな定義が可能です。細胞分裂のときの遺伝子情報のコピーミスなどにより、細胞の細胞分裂を活性化する遺伝子(がん遺伝子)が働きすぎ、細胞分裂を抑制する(がん抑制遺伝子)が働かなくなり、異常な細胞が増え続ける病気という考え方があります。ただし、体内には数十兆個の細胞があり、一日あたり数千個のコピーミスによる異常細胞が発生していると考えられています。それらのほぼすべては、その細胞が自殺(アポトーシス)したり、免疫系が異常な細胞であると認識して排除したりして、消滅してしまいます。

「がん」と老化

がんは一般に加齢とともにリスクが上昇するため、老化の病気とも考えられています。老化に関してはいろいろな学説があり、どれが正しいというよりは下記のいずれも正しいという考え方になろうかと思います。

  • ・フリーラジカル説(D. Harman 1956)
  • ・突然変異説(L. Szilard 1959; H. Curtis 1964)
  • ・エラー破綻説(Z. Medvedev 1961; L. Orgel 1963)
  • ・タンパク質架橋説(F. Verzar 1964; R. Kohn 1971)
  • ・異常タンパク質蓄積説(D. Gershon 1970; R. Cutler 1975)
  • ・生体膜異常化説(I. Nagy 1978)
  • ・細胞分化異常化説(R. Cutler 1982)
  • ・ミトコンドリア異常化説(D. Harman 1972; A. Linnane, 1989)

*ミトコンドリア:細胞内に存在するエネルギーを生み出すための構造物
*フリーラジカル:本来の構造から外れて、対を成していない状態の電子(不対電子)を持つ原子や分子のこと。電子が1つしかないため、周囲の物質から電子を奪ってしまい、ダメージを与えてしまう。

上記をまとめると、ミトコンドリアではフリーラジカルが発生しやすく、ミトコンドリアDNAやミトコンドリアの細胞膜が傷つき、ミトコンドリア自体の機能が低下して、ATP(人体のエネルギー)産生が障害され、細胞内で代謝障害が発生し、細胞が本来の働きができなくなります。
そのような状況で細胞分裂が起きるとエラーが発生しても修復できなかったり、ATPの不足からアミロイドなどの異常なタンパク質が細胞内に蓄積したりします。ATPの不足は適切な細胞分化を妨げるという説もあります。
これらの変化が遺伝子の変化を起こしたり、細胞や免疫系に異常を起こしたりして、がんのリスクを高めていると考えられます。

必須栄養食という考え方

筆者は抗加齢医学専門医でもあり、自身のアンチエイジングに真剣に取り組んでいます。その取り組みの中で「必須栄養食」という概念にたどり着きました。
要するに体内の代謝で合成されない栄養素を積極的に摂取して、それ以外は摂取を控えるという考え方です。

摂取すべき栄養素

  • ・炭水化物:食物繊維(野菜、海藻など)
  • ・脂質:オメガ3脂肪酸 (DHA,EPAなど)
  • ・タンパク質:必須アミノ酸が十分に含まれる(アミノ酸スコアの高い)タンパク食
  • ・ビタミン&微量ミネラル:食事での摂取に加え、サプリメントで必要最小量は確実に摂取
  • ・抗酸化物質の食事、サプリメントで意識的に摂取

摂取を控えるべき栄養素

  • ・炭水化物:糖質(デンプンの多い主食の米、麺、パンなど、お菓子や清涼飲料水などの糖)、要するに糖質制限
  • ・脂質:トランス脂肪酸、飽和脂肪酸(動物性脂肪)
  • ・ミネラル:ナトリウム(食塩)

上記を簡単にまとめると、糖質の過剰摂取は血糖上昇の原因となり、細胞内外でタンパク質の架橋(AGEs:人体のタンパク質を傷つけてしまい、老化の原因になる物質)が発生しやすくなり、細胞内外に蓄積します。
また食物繊維は大腸の機能を保つために必須と考えます。
脂質は特にオメガ3脂肪酸を積極的に摂取すべきであると考えます。避けるべきものは、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸となります。タンパク質は体内で合成されない必須アミノ酸が十分に含まれる(アミノ酸スコアの高い)タンパク質を摂取します。ビタミン、ミネラルは不足がおこらないように十分摂取します。抗酸化物質も意識して摂取します。塩分はできる限り控えます。
詳細な説明は省略しますが、必須栄養素を確実に摂取するだけで、フリーラジカルの処理がスムーズになり、ミトコンドリアの異常が発生しにくくなり、酸化ストレスが低減し、抗酸化物質の保護作用も加わり、細胞膜や遺伝子へのダメージが少なくなり、老化を防ぐことができます。
個人的には細胞を構成する必須脂肪酸や必須アミノ酸の不足もエラーの発生の原因と考えており、また適切な細胞分裂や細胞分化を妨げる原因となると考えています。
以下、必須栄養食は老化を予防し、老化の一つとして発症するがんのリスクを低減させるという理論に基づいて解説します。

がんを予防する可能性の高い食べ物

野菜、海藻などの食物繊維

食物繊維は大腸の腸内細菌叢のバランスを保つために欠かせません。大腸がんの予防につながるだけでなく、その他の部位のがんやその他の病気の予防にも効果的であると考えられています。
また、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が多く含まれているものがあり、その意味からも積極的に摂取が勧められます。
ブロッコリースプラウトに含まれる抗酸化物質であるスルフォラファン、海藻に含まれる水溶性食物繊維であるフコイダンの抗がん作用も有名です。

オメガ3脂肪酸(DHA、EPAなど)

魚介類、特に青魚に多く含まれるとされるDHA、EPAの摂取は健全な細胞膜を保つために、確実に食物もしくはサプリメントから摂取しなければなりません。魚も苦手だし、サプリメントにも抵抗がある方は、亜麻仁油、えごま油がおすすめです。α-リノレン酸が多く含まれており、体内でDHA、EPAに変換されるので、代替になりえます。
オメガ3脂肪酸の十分な摂取は脳や血管の病気だけでなく、がんの予防にも効果的であると考えられています。

タンパク質

健全なタンパク質が合成されるには、決して体内で合成されることのない必須アミノ酸の十分な摂取が必要となります。必須アミノ酸を多く含む、肉、魚、豆、卵、乳製品の摂取を推奨します。腎機能障害がなければ、体重60kgであれば60g(体重1kgあたり1g)が運動をしない方の最小の目安です。運動をして筋肉をつけたい方は体重あたり2-4g摂取しても問題はないとされています。実際、たんぱく質摂取と運動による筋力の増加ががんの発生リスクを低減させたり、がん発症および治療後の予後を改善したりするという報告が多数あります。
ただし、運動量が多くないのにたんぱく質摂取が多すぎると悪影響がでる可能性はあると思います。

ビタミン、ミネラル

本来であれば上記で紹介した三大栄養素、すなわち十分な野菜、適量のくだものの摂取、魚介類の摂取、肉、魚、まめ、卵の摂取でビタミン、ミネラルは十分に摂取できるはずです。
ところが現代社会のいろいろな事情がそれを難しくすることがあります。食生活での摂取を心がけることは重要ですが、マルチビタミン、マルチミネラルなどのサプリメントで最小限度の量を確保しておくことは重要です。これらのサプリメントは決して過量の副作用を起こすことはありませんので、安心してください。
もちろん、一部のビタミンやミネラルの不足とがんのリスクは関連があるとされています。

抗酸化物質

詳細な説明は難しくなるので省略しますが、これまでにお薦めした食材を十分に摂取するとそもそも体内に備わっている抗酸化作用は最大限に発揮されます。さらに抗酸化物質を摂取した方がよいことの説明としては現代人の食べ残す部分にあると思います。黒ぶどうの種や皮、ピーナッツの薄皮にレスベラトロールという抗酸化物質が多く含まれていますが、たべずに捨ててしまいがちです。また、エビやカニなどの甲殻類の殻にはアスタキサンチンという抗酸化物質が多く含まれていますが、食べずに捨ててしまいます。
そういう意味では抗酸化物質を意識して、本来なら捨てている部分も工夫して食べてみたり、サプリメントで補充したりすることはがんの予防にも効果があるように思います。

がん発症のリスクを上げやすい食べ物

糖質の多い食材(主食、お菓子や清涼飲料水など)

血糖値の異常な上昇によりAGEsが体内で発生し、蓄積する原因となり、がんの発生から進展に関与するので、血糖値を上昇させる食材はNGとなります。
主食でも玄米、全粒粉パンおよび麺などはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、血糖上昇が軽微な程度の摂取であればメリットがあるとは思います。
お菓子や清涼飲料水については全くおすすめできません。
ちなみにスポーツのトレーニング後の筋力増強という観点からはタンパク質と糖質の同時摂取に関しては一定のメリットがあるように思います。

トランス脂肪酸(>飽和脂肪酸>オメガ6脂肪酸)

トランス脂肪酸は生体内では合成されない脂肪酸で、摂取すると細胞膜に取り込まれ、細胞膜の機能を低下させてしまいます。また、異物としても認識され、炎症の原因となります。もちろんがんのリスクも高まります 。
飽和脂肪酸については直接的には悪影響はありませんが、特に糖質との同時摂取で肥満の原因となり、肥満によるがんのリスク上昇に関連する可能性があります。
オメガ6脂肪酸は必須脂肪酸ですが、体内で相対的にオメガ6脂肪酸が増えすぎるとがんのリスクが高まることがわかっています。
ちなみにオリーブオイルのオメガ9脂肪酸については体内で合成されるので、これ自体にあまり意味はないように思われます。むしろオリーブオイルのオレウロペインなどの抗酸化物質がいろいろな病気のリスクを低下させていると考えられます。

食塩

食塩の摂取と胃がんのリスクの関連は比較的有名[龍中1] です。また、高血圧から脳心臓血管の病気の予防という観点からも控えめの摂取を心がけるべきでしょう。

がん予防のために大切な生活習慣

必須栄養食

先に紹介した必須栄養食で必須栄養素を確実に摂取して、現代人が摂取過剰となっている栄養素を減らすことががんをはじめいろいろな病気の予防になります。

運動

運動ががんの予防に効果があることは多くの研究で証明されています。また、がん以外にも生活習慣病の予防から脳心血管病の予防にも効果があることは言うまでもありません。

「がんを予防する可能性の高い食べ物」についてよくある質問

ここまでがんを予防する可能性の高い食べ物などを紹介しました。ここでは「がんを予防する可能性の高い食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

がん発症時におすすめの食べ物はありますか?

影山 広行影山 広行 医師

これまでの説明と同様に必須栄養食を意識した食事となります。また、がんの手術の直後や抗がん剤の副作用が強い時期を除いては積極的に体を動かすことが望まれます。がんの予防、発症時の食生活、発症後の予後改善はいずれも同じ方針で大丈夫です。

編集部まとめ

今回は老化ががんのリスクを上昇させるという前提に基づき、がんを予防する食べ物について解説しました。私の必須栄養食で推奨する食べものといろいろな研究から推奨されている食べ物とあまり違いはありません。
実際の診療では必須栄養食の考え方でいろいろな病気の方に食生活のアドバイスをしているのですが、少しずつでも実践できる方は投薬量が減ったり、休薬が可能になったりと医師として効果を実感しています。
加えて、自分自身も徹底して必須栄養食を実践しており、アンチエイジングに対する効果を実感しています。
少しずつ生活に取り入れると確実に効果を実感できると思います。それが面白くなってきて、どんどん積極的になっていただけると病気の治療、病気の予防だけでなく、アンチエイジングにも効果的なので、ぜひ試してみてください。

「がんを予防する可能性の高い食べ物」と関連する病気

「がんを予防する可能性の高い食べ物」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

がん発症のリスクをあげやすい食べ物を継続的に摂取すると、上記のような他の疾患のリスクも高まります。これまでご紹介したような食生活を心がけましょう。

「がんを予防する可能性の高い食べ物」と関連する症状

「がんを予防する可能性の高い食べ物」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 体重増加
  • 筋力低下
  • 風邪をひきやすくなる

がん発症リスクを上げる食材ばかりをとっていると肥満になりやすく、また筋肉を維持するのに必要なタンパク質が不足したり、免疫力の低下から風邪を引きやすくなる可能性もあります。
これまでお勧めした食事を積極的に摂取することをお勧めします。

この記事の監修医師