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「口腔がん検診」の流れや費用はご存知ですか?自覚症状やなりやすい人の特徴も解説!

 更新日:2024/03/04
「口腔がん検診」の流れや費用はご存知ですか?自覚症状やなりやすい人の特徴も解説!

口腔がん検診を受けることを勧めている市町村が徐々に増えてきています。それはなぜでしょうか。

実は口腔がんは治療が遅れてしまうと、生きるうえで重要な機能に悪い影響を及ぼすことがわかってきました。

この記事ではなぜ口腔がん検診を受けるべきなのか、口腔がんの検査方法や口腔がんの特徴も合わせて解説します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

若菜 康弘

監修医師
若菜 康弘(医師)

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鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

口腔がんとは

口腔がんとは口の中にできるがんの総称です。口腔がんは発生部位によって呼び方が変わります。以下に代表的な口腔がんの種類と発生する部位を示します。

  • 舌がん:舌
  • 頬粘膜がん:頬の内側
  • 歯肉がん:歯肉
  • 硬口蓋がん:上顎
  • 口底がん:舌と下側の歯肉の間
  • 口唇がん:唇

このうち最も割合が多いのは舌がんで、その割合は口腔がん全体の約50%に達します。
口腔がんは男女比が3:2で男性の方がなりやすく、60〜70歳代の方で発生することが多い病気です。毎年新規の患者数が増えている点にも注意が必要な病気といえます。

口腔がん検診について

口腔がん検診の目的は口腔がんやこれからがんになる可能性のある病変をなるべく早期に発見して治療を開始することです。
口腔がんは治療が遅れると、喋るときに発音しにくくなる・食べ物を飲み込むことが難しくなるといった後遺症の危険があります。そのため定期的な検診を受けることをおすすめします。

検診の流れ

検診はまず問診を受けることから始まります。問診では症状の有無・症状があるならその経過・飲酒や喫煙の生活習慣などを質問されることが多いです。
口腔がんはがんの中では自分でも違和感に気づきやすい病気ですので気になる点があれば医師に伝えてください。
次に行われるのは視診・触診です。医師が口腔内を直接目で見て指で触って診察します。もし異常があると判断されたらその次に行われるのが画像検査・病理検査です。
画像検査・病理検査では結果が出るまでに1〜2週間ほどかかりますが、その結果をふまえて具体的な治療方針が決められます。

口腔がん検診の費用相場

口腔がん検診の費用は5,000円〜10,000円程度かかることが多いのですが、病院によっても異なりますので気になる方はお近くの病院に問い合わせてみてください。
各市町村が主体となって口腔がん検診をしている場合、要件を満たす方は500円〜1,000円程度で受けることができます。ご自身が当てはまるかどうか各市町村に問い合わせてみるのもよいでしょう。

口腔がんの検査方法

口腔がんの検査方法には以下の4つがあります。

  • 問診
  • 視診・触診
  • 画像検査
  • 病理検査

ここではそれぞれの検査の具体的な方法を解説します。検査の内容を理解することで安心して検査を受けることができるようになるでしょう。
また視診・触診は自分でもチェックできる内容なので参考にしてみてください。セルフチェックで異常が見られたらすぐに口腔がん検診を受けましょう。

問診

問診では患者さん自身が感じている違和感や生活習慣を聞き取ります。
例えば口内炎が2週間以上続いている・口内炎が広範囲に同時にできている・口内炎の見た目が普段と異なるなどの場合は口腔がんの疑いが強まるため注意が必要です。
また飲酒・喫煙・むし歯・歯科治療の経過を聞き取ることで、口腔がんになりやすいかどうかを判断することができます。

視診・触診

視診では、舌や粘膜が白く変色しているか・赤く変色しているか・潰瘍や炎症はあるかを調べます。口腔がんは外観に異常が現れやすいことが特徴のひとつです。
異常を起こしている部分があったら、口腔がんまたは口腔がんの前段階の可能性を考えてさらに調べます。
触診では、口腔内にしこりはあるか・盛り上がっている部分はあるか・首のリンパ節に腫れはあるかを調べます。特に首のリンパ節の腫れは遠隔部位への転移の可能性を考えるのに重要です。

画像検査

画像検査では口腔がんがどの程度進んでいるかを客観的に評価することができます。視診・触診で得た情報を基に検査方法が選ばれますが、よく用いられるのは以下の6つです。

  • CT検査
  • MR検査
  • X線検査
  • 超音波検査
  • PET検査
  • 内視鏡検査

これらの検査方法を組み合わせることで、腫瘍の位置・大きさ・周辺組織への拡大・転移の有無をより正確に診断することができます。

病理検査

病理検査には細胞診と組織生検という二つの方法があります。
細胞診とは口腔内を清潔にしてから綿棒やブラシを用いて患部をこすり取って細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査方法です。初診時のがんスクリーニングだけではなく治療効果の判定や経過観察にも有効で、なおかつ簡便に行うことができるという特徴があります。
組織生検とは、がんの疑いのある部分とその周辺を一部分切除して顕微鏡で観察する検査方法です。細胞診よりも正確に診断することができるので、がんの確定診断や悪性度・周囲組織への進展度・転移の有無を判定するのに非常に役立ちます。

口腔がんの特徴

口腔がんの発生率はがん全体の約1%と、珍しいがんのひとつです。口腔がんが早期に発見された方の生存率は90%以上あり、生命予後の良好ながんといえるでしょう。
しかし注意すべきこととして口腔がんの治療によって口に備わっている機能を失う危険があります。口腔がんの治療では手術でがんを切除することが多く、例えば舌は発音・発声に関わる部位であり、舌がんを切除すると喋ることが困難になるでしょう。
同様に頬は口を開閉する動作に関わる部位なので、頬粘膜がんを切除すると食べ物を噛むことが難しくなる可能性があります。失った機能を取り戻して以前と同じように生活するためにはリハビリテーションに取り組むことが重要です。

口腔がんの主な原因

口腔内は消化器系の入り口にあたるためさまざまな刺激にさらされやすい場所です。代表的な刺激には以下のものがあります。

  • 喫煙
  • 飲酒
  • 不衛生な口内環境
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)
  • 口内の炎症(歯肉炎・歯周病など)
  • 加齢

これらの刺激が単独で大きな影響を及ぼすことはなく、複数合わさることで口腔がんが引き起こされると考えられています。

口腔がんの自覚症状

口腔がんの自覚症状としては粘膜の変色・隆起・潰瘍・ただれ・しこりがみられることがあります。口腔がんの発生初期では強い痛みを伴うことはほとんどありません。
病気が進行すると口を開けづらくなる・食べ物を噛んだり飲み込んだりしにくくなる・発音が難しくなるといった症状があらわれます。また、下顎のリンパ節に触れてしこりがあるようならリンパ節転移の可能性があるため早急に診察を受けることが必要です。

口内炎との違い

口腔がんの初期症状は口内炎とよく似ているので注意が必要です。普段よくみられる口内炎の多くはアフタ性口内炎とよばれるもので、強い痛みを伴う潰瘍を形作り、炎症はやわらかく、境界がはっきりしています。
たいていは1週間程度で治ることがほとんどです。口腔がんの場合は炎症の形がいびつであったり周囲に硬いしこりがあったりします。2週間以上経っても治らない場合は口腔がんの可能性があるので注意してください。

口腔がんになりやすい人の特徴

口腔がんの原因で大きいものは喫煙と飲酒です。
喫煙と飲酒の習慣がある人はない人と比べて男性で4倍以上、女性で9倍以上も口腔がんを起こしやすいという研究結果があります。また、むし歯の治療をしないまま放置している人や合わない入れ歯を使い続けている人は口の中が不衛生な状態にあるため、口腔がんのリスクが高まります。

口腔がん検診についてよくある質問

ここまで口腔がん検診の流れ・検査方法・口腔がんの特徴などを紹介しました。ここでは「口腔がん検診」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

口腔がん検診はどれくらいの頻度で受ければよいですか?

若菜 康弘医師若菜 康弘(医師)

口腔がん検診は毎年1回を目安に受けるとよいでしょう。ただし口内炎が2週間以上治らない場合や出血が続く場合は早めに検診を受けることをおすすめします。がんを早期に発見できれば治療にかかる負担は軽くなり、後遺症も少なくなります。

口腔がん検診で異常が見つかった場合どうなりますか?

若菜 康弘医師若菜 康弘(医師)

口腔がん検診で異常が見つかった場合は画像検査・病理検査の結果を基に治療方針を決めます。多くの場合は外科手術でがんを切除しますが、がんの進行によって転移がみられるときには放射線や抗がん剤を併用することもあります。

口腔がん検診はどこで受けられますか?

若菜 康弘医師若菜 康弘(医師)

口腔がんは口の中に生じるがんであり、頭頸部がんに当てはまります。そのため口腔がん検診は歯科口腔外科・耳鼻咽喉科で行うことがほとんどです。一般の歯科医院・歯科クリニックでも口腔がん検診を標榜している医療機関がありますので、お近くの歯科医院に問い合わせてみるのもよいでしょう。

編集部まとめ

口腔がんはがんの中では珍しいもののひとつであり、生存率が高いことで知られています。しかし油断してはいけない病気でもあります。

なぜなら口腔がんは声を出す・喋る・食べるといった生きていくのに欠かせない機能を担う部位に発生するので、治ったとしてもこれらの機能が低下してしまうおそれがあるためです。

口腔がんは患部を見たり触ったりすることでも異常に気づきやすい病気です。もし口の中に変色やしこりがある・口内炎が2週間以上治らないなどの異常があれば、口腔がん検診を受けることを検討してください。

早期発見できれば大切な機能を温存することにつながり、生活の質を維持することができるでしょう。

口腔がんと関連する病気

「口腔がん」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

咽頭がん・喉頭がん・食道がん・肺がんは口腔がんと発生部位が近いので同時期に見つかることが多いがんです。口内炎・歯肉炎は口腔がんの症状と似ているため、がんと気づかずに放置してしまうおそれがあります。判断に迷うときは歯科口腔外科や耳鼻咽喉科にご相談ください。

口腔がんと関連する症状

「口腔がん」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 口が開きづらい
  • 声が出にくい
  • 飲み込みにくい
  • 歯茎から出血する

これらの症状はがんが舌・頬粘膜の内側・歯肉にできているときに表われることがあります。違和感を覚えたらお近くの歯科口腔外科や耳鼻咽喉科にご相談ください。

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