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「舌がんの原因」はご存知ですか?治療法や早期発見法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/03/01
「舌がんの原因」はご存知ですか?治療法や早期発見法も解説!【医師監修】

ストレスやウイルス感染などの影響を受けて何かとトラブルを感じやすい口腔内は、がんを発症することもあります。

この記事では、口腔がんの中でも多い舌がんの原因について詳しく解説します。口腔内は自分で発症リスクを下げるための対策ができる場所でもあるので、舌がんの原因を知って予防や早期発見にお役立てください。

若菜 康弘

監修医師
若菜 康弘(医師)

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鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

舌がんとは?

口腔がんとは口の中にできるがんの総称で、舌がん(ぜつがん)は口腔がんの中でも舌にできるがんを指します。舌がんの発生率は、がん全体の約1%です。
舌がんの初期症状としては、痛みのようなはっきりとした症状はあまり見られませんが、ヒリヒリやチクチクといった違和感を感じることもあります。舌の側面または裏側がただれたりしこりを感じるという変化や、色が白く変化したり赤みが強くなるという変化もあります。初期段階では口内炎と勘違いして放置してしまう可能性もあるため、2週間以上治らない口内炎がある場合は注意が必要です。
女性よりも男性に多く発症しやすいといわれており、舌がんの発症率、死亡率はともに増加傾向にあります。

舌がんの原因

舌は物理的な刺激を受けやすい複雑な部位であるため、舌がんの明確な原因は未だ明らかになっておらず、いくつかの因子が関連してがんの発生につながると考えられています。
ここからは、特に舌がんへの影響が大きいと考えられる7つの原因を紹介します。

口腔内の汚れ

口腔ケアが不十分で汚れが溜まった状態が続いていることは、舌がんの原因となり得ます。
細菌やウイルスに感染し炎症を起こしても、口腔内を衛生的に保てば1週間ほどで炎症は収まります。しかし、口腔内が汚れていると炎症部分に細菌やウイルスが供給され続け、炎症が悪化します。
感染状況が深刻になるにつれて、舌がんを誘発するリスクは高まるといえるでしょう。

舌や粘膜についた白苔

舌や粘膜には、白苔(はくたい)と呼ばれる白色の苔状物が付着します。これは皮膚でいう垢のようなもので、舌の動きが低下すると付着しやすくなります。
舌に付着する舌苔(ぜったい)は、細菌や唾液成分、食べ物のカス、剥離上皮細胞などから構成されており、歯垢よりも多くの細菌が潜んでいます。
口の中がこれらの細菌によって汚染された状態を放置すると、舌がんのリスクが高まる可能性があります。
歯や歯周病のケアと一緒に、舌のケアも取り入れてみましょう。

未治療のむし歯や歯並び

むし歯や尖った歯、傾いた歯や合わない義歯などを治療せずにいると、鋭利になった歯が舌を傷つける可能性があります。
食事や会話で舌を動かす時だけでなく、そういった歯が舌にあたって慢性的に擦れていると炎症を起こしやすくなります。
また、むし歯の周辺は汚れや菌が溜まりやすい状態です。繁殖した細菌が炎症や口内炎を悪化させ、舌がんへとつながる恐れがあります。

口腔内の乾燥

加齢やストレスなどによる唾液分泌量の低下で口腔内が乾燥することも、舌がんの原因といえるでしょう。
唾液には自浄・抗菌作用があるため、唾液の減少は口腔内の衛生にとって良くありません。
特に舌は乾燥の影響を大きく受ける部位です。舌苔が付着しやすくなり、細菌やウイルスの繁殖が増長してしまうので、水分補給や夜間の湿度管理が大切です。

飲酒

発がんリスクを高める生活習慣の1つは飲酒です。日頃飲酒をしない方よりも飲酒を習慣にしている方のがん発生頻度が高いことは、過去の症例から明白です。
お酒の種類によってアルコールの量は異なりますが、一般的に1日2合以上の飲酒が日常化している方は、舌がんに限らずがんのリスクが高いといわれています。飲酒量には注意しましょう。

喫煙

喫煙による発がんリスクの高さもよく知られています。
喫煙による舌への慢性的な化学的刺激と、煙に含まれる発がん性物質が舌がんにも影響を及ぼすでしょう。
飲酒と喫煙の両方を習慣にしていると、リスクはより高まるでしょう。喫煙が体に及ぼす影響は非常に深刻であることを覚えておきましょう。

歯周病

歯周病は全身疾患と密接に関わっていることが明らかになっています。
歯周病の原因菌が口腔がんの患者さんからも多く検出される傾向にあるため、口腔がんとの関連性も高いと考えられています。
歯周病菌が舌にできた傷を刺激して炎症を起こす可能性もあるため、歯周病の予防や対策は舌がんにとっても重要です。

舌がんの治療について

舌がんに限らずがんの治療においては、どのような治療を選択するかによって生活に大きな影響を与えることもあるため、治療方法を知ることは大切です。ここからは、舌がんで用いられる3つの治療方法を解説していきます。

手術

舌がん治療の中心は、手術によるがんの切除です。がんの進行度に応じて、主に次の3つの切除術から適切なものを選択します。

  • 舌部分切除術
  • 舌半側切除術
  • 舌(亜)全摘出術

早期の舌がんで腫瘍が小さい場合は舌部分切除術を行います。腫瘍周辺のみの切除で済むため、食事や発音機能への影響が小さいのが特徴です。
舌がんが進行し腫瘍が大きくなっている場合は舌半側切除術を行います。この手術では舌根も含めて舌半分を切除しますが、腫瘍の位置や大きさによっては舌の可動部のみを切除する舌可動部半側切除術を採用することもあります。
さらにがんが進行して舌の半分以上に広がっている場合には、これらの手術では対応できません。
舌の半分以上を切除する舌亜全摘出術、もしくは舌のすべてを切除する舌全摘出術を行うことになるでしょう。
半分以上が切除された舌は舌の機能を維持するのが非常に難しい状態なので、再建手術を行うこともあります。
なお、舌がんからリンパ節へ転移するケースもあり、その場合は転移したリンパ節を周囲の組織ごと除去する頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)が行われることもあります。

放射線療法

舌を温存できる舌がんの治療法が放射線療法です。
放射線療法には、針やワイヤーを用いてがん組織及び周辺組織に直接挿入し照射する組織内照射と、体の外から放射線を当てる外部照射の2種類があります。
外部照射は単体で腫瘍を制限するのが難しいため、組織内照射と組み合わせて行われます。
放射線療法による副作用は、味覚変化、疼痛、口腔内の乾燥などです。

薬物療法

手術でがんが取り切れなかったり、再発リスクが高かったりする場合には術後補助療法として、放射線療法と併せて薬物療法を行うことがあります。
薬物療法を行うことで入院期間を短縮できるケースもあります。
副作用として吐き気、嘔吐、全身の倦怠感、腎障害などが挙げられます。

舌がんを早期に発見する方法とは?

内臓にできるがんとは異なり、舌がんは目に見える場所にできるがんなので口腔内のセルフチェックを行うことで早期発見できる可能性があります。
歯磨きの時には口腔内全体と舌の状態を確認することを習慣にしてみましょう。白っぽいできものや硬いしこりがないか、赤くただれていないか、2週間経っても良くならない口内炎がないか、これらがチェックの目安です。
セルフチェックを行い、自分の舌と口腔内の状況を知るよう心がけることで異変に気付きやすくなります。
また、歯科医院で定期検診を受けることも大切です。定期的に検診を受けることで、歯の状態のみならず舌や口腔内全体の異変にもいち早く対応できるでしょう。

舌がんの原因についてよくある質問

ここまで舌がんの原因や治療、早期発見のポイントなどを紹介してきました。ここでは「舌がんの原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

舌がんの症状にはどのようなものがありますか?

若菜 康弘医師若菜 康弘(医師)

初期段階では無症状のケースが多いですが、徐々に舌に違和感を感じるようになります。疼痛を感じることもあるでしょう。がんが発生しやすいのは舌の側面で、一見口内炎のような炎症が起こります。
がんが進行するとただれやしこりなどの変化を生じたり、炎症部分に白い斑点が生じる白板症、または赤い斑点が生じる紅板症がみられることも多くなります。白板症と紅板症は口腔内の粘膜全体に起きる病変ですが、舌にできたものは悪性化する可能性が高く、前がん病変といわれています。こうした症状が見られる場合は、舌がんのリスクが高いと判断できるでしょう。

受診の目安について教えてください

若菜 康弘医師若菜 康弘(医師)

舌がんとよく似た症状を持つ口内炎は通常、1週間程度で自然と治ります。しかし、口内炎のような症状がなかなか治らなかったり、口内炎に似た症状の周囲にしこりを感じたら、早めに歯科か耳鼻咽喉科を受診しましょう。舌がんは進行が速いため、なるべく初期段階での発見が重要です。

歯並びが悪いことが舌がんの原因になることはありますか?

若菜 康弘医師若菜 康弘(医師)

舌がんは、舌に慢性的に擦れている部分があり、舌の粘膜が繰り返し損傷することもリスク要因の1つと考えられます。そのため、歯並びが悪く常に舌が傷つく状態にある方や、歯列のアーチ(歯列弓)に対して舌が大きい方は刺激を受けやすいので注意が必要です。
舌がただ触れているだけで傷や痛みを感じないことも多いため、気付きにくいこともあります。気になる場合は、歯科矯正を視野に入れるのも良いでしょう。

編集部まとめ

舌がんは治療が遅れると舌の一部を失う可能性もあります。舌は食事や会話など生活のあらゆる面で大切な器官なので、セルフチェックも取り入れて予防と早期発見に努めましょう。

舌がんの予防には口腔内を清潔に保つこと、過度な飲酒や喫煙を控えること、定期的に検診を受けて歯周病や歯並び、むし歯治療も含めた適切な治療を受けることが挙げられます。

この記事では舌がんの原因について詳しくお伝えしてきました。舌がんの原因を知ることで、予防や早期発見にお役立ていただければ幸いです。

舌がんと関連する病気

「舌がん」と関連する病気は3つほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

舌に発症するこれらの病気は、味覚をはじめとする舌が持つ機能を低下させてしまうものです。がんではないとはいえ、治療しないままでいると生活に支障をきたすでしょう。
また、こうした病気は口腔内の環境が悪くなっているサインでもあります。舌がんのリスクを軽減させるためにも、定期検診が大切です。

舌がんと関連する症状

「舌がん」と関連する症状は3つほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 口内炎が治りにくい
  • 舌にただれ・しこりがある
  • 舌にヒリヒリ・チクチクとした異常感がある

舌がんは初期段階では自覚症状が少なく口内炎とよく似ているため、ただの口内炎だろうと放置しているうちに進行してしまう可能性があります。
上記のような症状がなかなか治らず続いていると感じたら、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師