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「大腸がんを疑う自覚症状」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/02/01
「大腸がんを疑う自覚症状」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

大腸がんは、初期段階では自覚症状が少ないといわれていますが、進行するにつれて様々な症状が現れる可能性があります。
本記事では大腸がんの自覚症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・大腸がんの自覚症状
  • ・大腸がんで注意すべき兆候
  • ・大腸がんの治療法

大腸がんの自覚症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大腸がんとは?

大腸がん(結腸がん・直腸がん)とは、大腸(結腸・直腸)に発生する悪性腫瘍のことで、主に腺腫という良性のポリープからがん化するケースと、正常な粘膜から直接がん化するケースがあります。日本人では特にS状結腸と直腸にがんが発生しやすいとされています。
大腸がんは、大腸の粘膜から発生します。徐々に大腸の壁を侵し、最終的には大腸の外にまで広がり、腹膜播種やリンパ節転移、さらには肝臓や肺など他の臓器への遠隔転移を引き起こす可能性があります。時には、肺や肝臓の腫瘤として最初に発見されることもあります。

大腸は結腸と直腸に分けられ、結腸はさらに盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分類されます。大腸がんは、これらの部位の粘膜から発生し、進行すると腫瘍は大腸の深部にまで及び、サイズが大きくなります。しかし、初期の大腸がんは無症状であることが多いとされ、進行すると便の流れを妨げたり出血を引き起こすことで症状が現れるようになります。
日本では、動物性脂肪の摂取過多や食物繊維の不足などの影響から、大腸がんが増加の傾向にあります。50代から増加し始め、60〜70代の高齢者に多く見られるようですが、男女間での発症率に大きな差はありません。
大腸がんは比較的進行が遅いとされるため、早期発見できれば治癒できる可能性があります。

大腸がんの症状

大腸がんは、初期段階では特有の症状は少ないとされていますが、進行すると様々な体の変化を引き起こす可能性があります。具体的には便の変化、血便、体重の減少などが代表的な症状として挙げられます。これらの症状が見られた場合は大腸がんの可能性を疑い、医療機関での検査を受けることが重要です。

便の変化

大腸がんにおけるサインの一つが便の変化です。大腸がんが進行すると、腫瘍が便の通り道を狭め、便の形状に影響を及ぼすことがあります。これには、便秘や下痢、便の形状の変化(例えば、便が細くなる等)が含まれます。生活スタイルや食事に大きな変化が無いにもかかわらず、これらの症状が急に現れる場合、大腸がんの可能性を示唆しているかもしれません。特に、通常の便の性質が急に変わる場合は要注意で、医師への相談が推奨されます。

血便

血便は、便に血液が混じる状態で、大腸がんの典型的な症状の一つです。大腸がんが進行すると、腫瘍は「血管新生」というプロセスを経て新しい血管を作り、伸ばしていきます。こうして作り出された新しい血管は脆弱で、便の通過による軽い摩擦だけで破れやすく、その結果血便が発生します。血便が見られる場合は、ただちに消化器科を受診し、大腸内視鏡検査などの検査を受けることが重要です。血便は大腸がんだけでなく、痔など他の病気によっても引き起こされることもある為、原因の特定が必要です。

体重の減少

大腸がんや他のがんの進行に伴って見られる症状の一つが、意図しない体重の減少です。
がん細胞は、増殖する過程で体から栄養を奪い、結果として体重が減少します。特に、食事量に変化が無いにかかわらず体重が著しく減る場合は、大腸がんや他の悪性新生物の存在を疑うべきです。また、体重減少は大腸がんに限らず、他の深刻な病気の可能性も指摘されています。このような症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診し、原因を調査することが重要です。

大腸がんに自覚症状はある?

大腸がんは初期段階ではほとんど自覚症状が無いといわれていますが、がんが進行するとさまざまな症状が現れることがあります。
主な症状は血便や下血で、便の表面に血液が付着することがあります。これらの症状は痔などの良性疾患でも見られるため、見過ごす可能性があるため注意が必要です。
がんがさらに進行すると、慢性的な出血による貧血(めまいなどの症状を伴うことも)、腸の狭窄による便秘や下痢、便が細くなる、残便感、腹部の張りなどの症状が現れます。
さらに進行すると、腸閉塞による便の排出困難、腹痛、嘔吐などの重篤な症状が生じることがあります。体重減少もがんの進行に伴う症状の一つです。
また、大腸がんの位置によっても症状には差があります。
例えば、下行結腸やS状結腸、直腸に位置するがんでは腹痛や嘔吐が起こりやすく、血便や便の狭小化も認められます。
一方で盲腸や上行結腸、横行結腸にできるがんでは、進行しても腹部症状が目立ちにくく、貧血や腹部のしこりで発見されることがあります。
早期発見が重要な大腸がんですが、初期段階での自覚症状が少ないため、定期的な健康診断や検診が推奨されています。特に血便や便の変化などの症状が見られた場合は、速やかに消化器科や胃腸科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

大腸がんの検査

大腸がんの診断には、大腸内視鏡検査、MRI検査、PET検査等が利用されます。
これらの検査は、がんの存在、進行度、転移の有無を詳しく調べる為に必要です。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を詳細に観察する検査です。
この検査でポリープや他の病変を発見した場合、その一部または全体を採取し、顕微鏡を使用して病理診断を行います。病変部の表面の構造や血管の輪郭、色を強調して精密に検査する画像強調観察や、拡大観察が行われることもあります。また、大腸粘膜の表面や粘膜下層に留まっているがんの場合、内視鏡を使用して切除します。

MRI検査

MRI検査は、X線を使用せず磁場と電波を用いて体内の断層画像を作成します。この検査は大腸がんの腫瘍の深さやリンパ節転移、肝臓への転移の有無などを判断するために重要で、大腸がんの治療計画を立てる上で大切な検査です。

PET検査

PET(Positron Emission Tomography)検査は、放射性同位元素で標識されたブドウ糖を静脈注射し、全身の断層撮影を行い、ブドウ糖の取り込みを画像で評価する検査です。がん細胞は多くのエネルギーを消費するため、ブドウ糖の集積が認められることがあります。PET検査は主に転移や再発の診断に用いられ、他の検査では確定できない場合に行われます。
PET-CT検査は、PET検査とCT検査の画像を重ね合わせて、がんの有無やがんの位置、がんの広がり具合を診断します。大腸がんの全身的な広がりを確認するのに有効とされています。

大腸がんの治療

大腸がんの治療には、手術療法、化学療法、放射線療法、免疫療法等、複数のアプローチがあります。これらの治療法はがんの種類や、進行度、患者さんの状態に応じて選択され、組み合わされることもあります。

手術療法

大腸がんの治療において、根治を目指す主要な手段は手術療法です。手術には腹腔鏡手術、開腹手術、ロボット支援手術、内視鏡等による治療があります。

腹腔鏡手術は身体への負担が少ないとされるメリットがある一方で、腫瘍の大きさや患者さんの状態によっては適用できないこともあります。
開腹手術は短時間での施行が可能とされていますが、患者さんへの負担が大きいといわれています。
ロボット支援手術は精密な手術が得意とされていますが、手術時間が長くなることがあります。
ポリペクトミーやEMRは早期がんに対して行われ、患者さんへの負担は少ないとされています。

化学療法

化学療法は、抗がん剤を全身に行き渡らせ、がん細胞を攻撃する治療方法です。この治療は特に手術で取り除けない進行した大腸がんや、再発予防のための補助療法として用いられます。抗がん剤は脳を除く全身に作用するため、転移がある場合にも効果的とされています。副作用の程度は個人差があり、使用される薬剤によっても異なります。

放射線療法

放射線療法は主に直腸がんや転移がんの治療に用いられます。
放射線療法では、放射線を使ってがん細胞を破壊し、腫瘍を縮小させ、痛みを和らげます。しかし、放射線療法単独での根治は難しいため、他の治療法と組み合わせる場合があります。治療計画はがんの位置や進行度に応じて調整されます。

免疫療法

免疫療法は、体の免疫システムを活性化させ、がん細胞を攻撃するよう促す治療法です。免疫療法は、抗がん剤の効果が得られなくなった患者さんの一部や、効果が見込める患者さんに対して行われます。効果が見込める患者さんは、全体の約10%未満といわれています。特殊な検査によって効果が見込めるかどうかを判断します。

大腸がんについてよくある質問

ここまで大腸がんを紹介しました。ここでは大腸がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんは進行が早いですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

大腸がんは、進行が遅いとされるがんの一つです。大腸がんは、初期段階では比較的進行が緩やかで、他の臓器への転移が起きても、切除が可能な場合が多いことから、治る可能性があるといわれています。直腸がんも同様に進行が遅い傾向があり、数ヶ月から数年かけてステージが進行します。これらの特徴から、早期発見と適切な治療が重要となります。
がんの進行度を把握するためには、大腸の壁にどれくらい深くがんが広がっているか(深達度)、リンパ節への転移の有無、および他の臓器への転移の有無を調べることが重要です。特に直腸がんは、初期には大腸の内側の粘膜に留まっていますが、進行に伴い、大腸の壁の奥深くへ広がっていく傾向があります。リンパ節や他の臓器への転移が起きると、完治が困難になるため、早期発見と治療がカギを握ります。
大腸がんの治療方針を決定する際には、これらの進行度を精密検査で正確に把握することが不可欠です。

おならがよく出るのですが大腸がんでしょうか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

おならが頻繁に出ることに関して心配される方もいますが、おならは大腸がんの直接的な症状とは考えられていません。おならの増加は、過敏性腸症候群や呑気症等、消化器系の問題に起因することがあります。また、食物繊維が豊富な食品を摂取した際にも、おならが多くなることがあります。
大腸がんの初期症状としては、血便や腹痛が挙げられますが、これらの症状もがんが進行するまで現れにくいとされています。そのため、自覚症状が出る時点では、がんが進行している可能性があります。逆に言えば、症状がない場合でも大腸がんの可能性を完全に否定することはできません。
おならが多いこと自体は大腸がんの明確な指標ではありませんが、他の自覚症状がなくても、定期的な大腸内視鏡検査を受けることで、大腸がんの早期発見や予防につながります。不安がある場合は、医師に相談することをお勧めします。

まとめ

ここまで大腸がんの自覚症状についてお伝えしてきました。大腸がんの自覚症状について、要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • ・早期の大腸がんは症状を自覚しにくいが、血便や便通異常などが起こることがある
  • ・大腸がんで注意すべき兆候として、便の形状の変化、腹痛、体重減少、疲労感などが挙げられる
  • ・大腸がんの治療は、主に手術療法、化学療法、放射線療法、免疫療法などが用いられる

大腸がんと関連する病気

大腸がんと関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

大腸がんと関連する症状

大腸がんと関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師