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「膀胱がんの症状」はご存知ですか?初期症状・検査法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/29
「膀胱がんの症状」はご存知ですか?初期症状・検査法も解説!【医師監修】

膀胱がんとは、膀胱に生じる悪性腫瘍を指します。

「膀胱がんの症状にはどのようなものがあるのだろう」「原因や治療法について知りたい」など、膀胱にできる腫瘍に関して疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では膀胱がんの症状・検査方法・治療方法について解説しています。気になる症状がある方はぜひ参考にしてください。

村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

膀胱がんの症状は?

膀胱がんの症状には次の2つがあります。

  • 血尿
  • 尿が出にくい

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

血尿

排尿時に血が混じった尿がみられる血尿は膀胱がんの症状の1つです。
血尿は、膀胱がんによって引き起される腫瘍が膀胱の内壁に影響を及ぼし、血管を破壊することによって発生します。

尿が出にくい

膀胱がんによって膀胱内の通り道が狭くなることがあり、排尿に障害が生じることがあります。
そのため、頻尿や尿失禁などの症状が現れることがあります。

膀胱がんの初期症状について

膀胱がんは早期では無症状であることが多く、進行してから自覚症状として無痛性の肉眼的血尿が起こります。
また頻尿や排尿時痛を起こすこともあります。そのため気になる症状がある場合は、早めの病院受診が重要です。

膀胱がんの検査方法

膀胱がんの検査方法には次の6つがあります。

  • 尿検査
  • エコー検査
  • 膀胱鏡検査
  • CT検査
  • MRI検査
  • 骨シンチグラフィ

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

尿検査

膀胱がんの検査方法に尿検査があり、以下のように行います。
まずは尿サンプルの回収です。尿検査のために、1日における最初の排尿後に採取した中間尿または最後の尿サンプルが一般的に使用されます。トイレットペーパーや衛生用品は使用せず、きれいな容器に直接採尿します。
尿サンプル回収後に行うのが尿細胞診です。尿中の異常な細胞を調べるために行われます。尿サンプルから細胞を取り出し、顕微鏡下で観察することによって、腫瘍またはがん細胞の存在を特定することができます。
最後は尿中腫瘍マーカーの測定です。膀胱がんの診断や進行状況のモニタリングのために、特定のタンパク質や物質を測定する場合があります。これらの尿検査は、膀胱がんの早期発見や再発の検出に役立つことがあります。

エコー検査

膀胱がんの診断や評価のために、エコー検査(超音波検査)が行われます。以下に膀胱がんのエコー検査について説明します。
1つ目は検査の準備です。エコー検査は一般的に特別な準備を必要としません。ただし、尿を溜めた状態で検査を受けることで、膀胱の詳細な画像が得られる場合があります。
2つ目は検査の実施です。検査時は専用のジェルを膀胱領域に塗布し、その上に超音波プローブを当てて検査を行います。超音波は音波の反射によって膀胱の内部の組織や異常を表示するため、膀胱内部の画像を評価することができます。
3つ目は結果の評価です。エコー検査の結果は、医師によって詳細に評価されます。膀胱内の腫瘍の大きさ・形状・位置などが調べられ、膀胱内壁の異常や周囲の組織への広がりを確認することもあります。

膀胱鏡検査

膀胱鏡検査は、膀胱内部を観察するために行われる検査であり、膀胱内視鏡と呼ばれる器具を使用します。直接的に膀胱内を観察することができるため、膀胱がんの確定診断や進行状況の評価に非常に有用です。具体的には以下のような手順で検査を実施します。
まずは検査の準備をして、麻酔を実施します。膀胱鏡検査は麻酔が必要な場合が多いです。導入部位には表面麻酔剤や粘膜麻酔剤を使用し、麻酔を施します。また、場合によっては全身麻酔も使用されることがあります。
麻酔導入後は膀胱鏡の挿入です。専用の膀胱内視鏡を用いて、尿道を通って膀胱に挿入します。膀胱内視鏡は細い管の先に光源とカメラが搭載されており、画面に表示される膀胱内の映像を見ながら検査を進めます。
最後は膀胱内の観察と評価です。膀胱内の異常な組織・腫瘍・ポリープ・炎症などを確認します。疑わしい組織や異常がある場合は、生検を行ったり、写真やビデオで記録したりすることもあります。

CT検査

膀胱がんの診断や進行の評価の一環として、CT検査が用いられます。
CT検査は、断層撮影装置が体の周りを回転しながらX線を発生させ、体内の詳細な断面画像を取得する非侵襲的かつ短時間で行われる画像診断法です。膀胱がんの場合、検査対象の部位の近くにコントラスト剤を投与することがあります。その上で結果の評価を行います。
画像から評価できることは、膀胱内部の腫瘍の大きさ・形状・位置・および隣接組織への広がりです。また、リンパ節の腫れや他の臓器に転移があるかも確認されます。

MRI検査

MRI検査はCT検査と比較してより詳細な解像度を提供し、癌の広がりの評価にも役立ちます。また放射線を使用しないため、妊娠中の患者さんや放射線被曝のリスクを避けたい場合に適しています。
膀胱がんに対するMRI検査の概要は以下の通りです。
まずは検査の準備を行います。MRI検査には通常の食事や水分摂取の制限は必要ありません。しかし金属の装具・インプラント・心臓ペースメーカーなどを持っている場合は、事前に医師に伝える必要があります。
次に検査の実施です。MRI検査は、磁石と無害な無線信号を使って体内の詳細なイメージを作成する画像診断法です。膀胱がんの場合、患者さんは検査対象の部位の近くにコントラスト剤を投与することがあります。
最後に結果の評価です。MRI画像は、医師によって分析・評価され、膀胱内部の腫瘍の大きさ・形状・位置、および隣接組織への広がりを評価することができます。また、リンパ節の腫れや他の臓器に転移があるかも確認されます。

骨シンチグラフィ

骨シンチグラフィは放射性物質の使用や放射線被曝のリスクがあります。しかし患者さんの骨全体にわたる変化を確認することができ、膀胱がんの進行や骨転移の評価に有用です。
骨シンチグラフィは、放射性物質を体内に注入または経口摂取し、全身または特定の領域の放射線カメラで体全体または特定の領域の画像を撮影します。放射性物質は骨に集まりやすいため、骨転移などの変化が検出されます。
その後は、画像に基づく結果の総合的な評価です。骨シンチグラフィの画像は、医師によって分析・評価されます。骨における異常な代謝や変化・骨転移の有無・骨の損傷・骨の異常な成長の評価に使用されます。

膀胱がんの治療方法

膀胱がんの治療方法には次の3つがあります。

  • 薬物療法
  • TURBT
  • 膀胱摘出手術

以下でそれぞれについて詳しくみていきましょう。

薬物療法

膀胱がんの薬物療法にはGC療法やキイトルーダによる治療方法があります。
GC療法とは、抗がん剤とプラチン系抗がん剤を併用した化学療法です。この組み合わせは、膀胱がんの治療において有効性が示されており、進行性の膀胱がんや術後の高リスク病変の治療に使用されることがあります。
この治療は、腫瘍を収縮させることや再発・転移を予防することを目的としています。
キイトルーダは、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる種類の抗がん剤であり、転移性膀胱がんに対する治療方法です。これは膀胱がん細胞に存在するプログラム細胞死1リガンドと結合し、T細胞の抑制を解除することにより、免疫システムを活性化させるメカニズムで働きます。
この治療は、他の治療法に反応しづらい患者さんや進行した状態の患者さんに対して考慮され、治療の回数や頻度は患者さんの状態や個別の治療計画に基づいて決定されます。

TURBT

TURBTは、初期の膀胱がんの治療や、がん組織の確認に高頻度で使用される方法です。膀胱内の腫瘍だけでなく、一部の腫瘍が膀胱の壁に浸透しているかどうかも確認でき、切除された組織は病理検査により評価されます。
TURBTは全身麻酔もしくは下半身麻酔下で行われ、治療前には血液検査や尿検査から手術の適応や患者さんの体の状態が評価されます。
TURBTは尿道を通じて膀胱内視鏡を挿入し、膀胱内部にある腫瘍を切除する治療方法です。切除した腫瘍組織は病理検査に提出され、がんの種類や進行度が判断されます。
治療後の回復期間は個人によって異なりますが、通常は数日から数週間です。また治療直後の症状には、尿道からの出血・頻尿・排尿困難などの一時的な問題が起こることがあります。

膀胱摘出手術

膀胱がんに対する手術には膀胱摘出手術が挙げられます。
膀胱摘出手術とは、膀胱・前立腺・精嚢・膀胱につながる左右の尿管・前立腺につながる左右の精管を切除する手術です。

膀胱がんにかかりやすい人の特徴とは?

膀胱がんは、喫煙との関連性が非常に高いです。
喫煙による有害物質が膀胱内に長時間留まることで膀胱組織への曝露が高まります。また、喫煙の期間や本数によって、リスクは増加する傾向にあります。

膀胱がんの症状についてよくある質問

ここまで膀胱がんの症状・検査方法・治療方法などを紹介しました。
ここでは「膀胱がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

病院受診の目安について教えてください

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

膀胱がんの一般的な症状には、頻尿・尿の出が悪い感じ・血尿・腹痛などが含まれます。
これらの症状が現れた場合は、膀胱がんの可能性もあるため、迷わず受診することが重要です。

膀胱がんを早期に発見する方法はありますか?

村上 知彦医師村上 知彦(医師)

早期に発見するためには健康診断の受診が大切です。
健康診断では尿検査を受けることができます。尿検査は尿中の異常細胞や血液を検出するための検査方法であり、膀胱がんの早期検出に役立ちます。

編集部まとめ

膀胱がんの症状には血尿や排尿障害があり、初期の段階では無症状のことも多いのが特徴です。

そのため、少しでも気になる症状がある場合には早期に病院受診することが大切です。

膀胱がんと関連する病気

「膀胱がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

膀胱がんは血尿や、陰部のかゆみなどの症状から判明することもありますが、実際に膀胱視鏡検査を行うまでは他の病気と見分けがつきません。しかし、血尿などがみられた時には何かしらの病気が隠れている可能性が高いため、まずは泌尿器科を受診しましょう。

膀胱がんと関連する症状

「膀胱がん」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

膀胱がんは血尿をきっかけに発見されます。膀胱がんは早期の発見と治療することが非常に大切です。上記のような症状が少しでも気になれば、早めに病院へ行きましょう。

この記事の監修医師