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「肝臓がんの進行スピード」はご存知ですか?進行を左右する要因や症状も解説!

 更新日:2024/01/10
「肝臓がんの進行スピード」はご存知ですか?進行を左右する要因や症状も解説!

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、がんに罹ったとしても初期の自覚症状がないことで有名です。発覚時にはがんが進行しているケースも、決して少なくないでしょう。

ただ、ここ数年の早期発見技術・治療法などの進歩もあり、外来のみで治療できるようにもなりました。

とはいえ、危険な病気であることに変わりはありません。本記事では肝臓がんの進行スピード・種類・症状・治療方法などをご紹介するので、参考にしてみてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肝臓がん(肝細胞がん)の進行スピードは?

「肝臓がんの進行が特別速い」というよりも、「肝臓がんが発覚してからの進行が速く感じる」といったケースが多いかもしれません。肝臓がんは初期の自覚症状があまりないため、発覚した時にはすでに想像以上に進行しているケースが多いからです。
また、全ての肝臓がんが同じ速さで進行するわけではありません。患者さんの体質や肝臓の健康状態、さらに肝臓がんのステージや転移の有無などでも変わります。

進行スピードを左右する要因

がんの中でも進行が速いと考えられる肝臓がんですが、その上で進行スピードを左右するいくつかの要因も存在します。主な要因とされるのは以下の5つです。

  • がんの種類
  • 肝臓の健康状態
  • 体の免疫力
  • 肝臓がんのステージ
  • 転移の有無

ここからは、上記した5つの要因を一つひとつご説明しましょう。

がんの種類

まず、肝臓がんは「原発性肝がん」「転移性肝がん」の2つに大別されます。この中でも原発性肝がんは「肝細胞がん」「肝内胆管がん」に分けられます。
前者は肝臓細胞ががん化したもので、後者は肝臓内の胆管ががん化したものです。一般的に肝臓がんは「肝細胞がん」のことを指しますが、「転移性肝がん」「肝内胆管がん」の可能性もゼロではありません。
それぞれで進行スピードも変わり、治療方法も異なってくるのです。

肝臓の健康状態

肝臓の健康状態は、肝臓がんの進行スピードに大きく関わってくるでしょう。肝臓がんは肝硬変・C型慢性肝炎・B型慢性肝炎などから発症することが多いので、「肝臓の健康状態が悪いと罹りやすい病気」ともいえます。
肝炎や肝硬変が要因とならない肝臓がんもありますが、その場合と比べて肝臓の健康状態が悪い上での肝臓がんは、進行スピードが速くなると考えられています。

体の免疫力

現在は有効的な肝臓がん治療の1つとして、免疫治療が採用されています。これは患者さんの体内の免疫へ、がん細胞を攻撃するように促す治療方法です。この治療方法が確立されているということからも、免疫とがん細胞は密接に関係していると考えられるでしょう。
ただ、免疫力が低くなっていれば、それだけがん細胞も活発になります。がん細胞が活発になるとそれだけ進行スピードも速くなるので、患者さんの免疫力低下は避けるべきです。

肝臓がんのステージ

病気の進行度合いをステージ(病期)と呼びますが、肝臓がんの場合はがんの範囲・個数・転移の有無で分類されます。血管内にがんが侵入している「血管侵襲」があるか否かも、ステージの分類を左右するでしょう。
ステージは進行度に伴ってI期→II期→III期→IVA期→IVB期と変化していきますが、ステージが進むにつれて進行スピードも速まっていくと考えられています。

転移の有無

肝臓がんのステージを分類するにあたって、他の臓器への転移の有無は非常に重要になります。肝臓がんはリンパ節・副腎・肺・骨・脳などに転移する可能性があります。転移箇所が多ければ多いほど進行スピードが速まり、治療の難易度も高まるでしょう。
国立がん研究センターがん対策情報センターによると、がんによる死亡数の中でも肝臓がんは5番目に多いとされています。決して珍しい病気ではないので、なるべく早期の発見・治療が望ましいです。

肝臓がんの症状

ここからは肝臓がんの症状についてご紹介します。初期の自覚症状はほとんどないとされながらも、進行すればがんに侵されている範囲やがんそのものが拡大し、自覚症状を伴う苦しみを余儀なくされる肝臓がん。
その恐ろしさを知るのは怖いかもしれませんが、恐ろしさを知ることで、今まで以上に予防・検査の機会を増やしていただければ幸いです。

黄疸

黄疸は肝臓がんだけにあらわれる症状ではありませんが、肝臓とは密接な関係にあります。黄疸症状があらわれた患者さんは、肌の色が黄色く見えるのが特徴です。これは血液内のビルビリンという色素が増えることが要因なのですが、健康な状態だとビルビリンは肝臓に取り込まれ、胆管から十二指腸へ流れていくのです。
肝臓が不健康ならビルビリンは流れず、肌を黄色くする色素となります。つまり黄疸は、肝臓がんの患者さんにも多く見られる症状だということになるのです。自覚症状が出にくい肝臓がんなので、黄疸があらわれた場合はかなり進行していると考えられます。

倦怠感

他の臓器からのがん転移を除けば、肝臓がんはウイルス感染による肝炎が主なきっかけとなります。もしくはアルコール性肝障害や、メタボリックシンドロームから派生した非アルコール性脂肪肝炎もきっかけとなるでしょう。
いずれにしてもやがては肝硬変となり、そこから肝臓がんが発生するのです。肝機能が低下していると慢性的な倦怠感があらわれるので、肝臓がんの代表的な症状にもなっています。

腹水

肝臓がんの患者さんからは、肝機能の低下に伴う腹水症状も多く見られます。腹水はもともと腹腔内にある程度貯められている液体で、健康な状態だと体中の血管を巡って一定量が保たれているのです。
ただ、肝機能が低下すると「アルブミン」というたんぱく質が肝臓内で作られなくなり、アルブミンの量が低下すると血管内の水分が血管外に出てしまいます。結果的に腹水も体を巡ることができなくなり、腹部が膨れるほどにまで貯まり続けるのです

肝臓がんの治療方法

自覚症状がなく、発覚時にはかなり進行しているケースもある肝臓がん。ですが現在は医療の進歩もあり、早期発見と適切な治療によって治すことも不可能ではなくなっています。
ここからは代表的な肝臓がん治療をいくつかご紹介しますので、それぞれの特徴を確認してください。

薬物療法

肝臓がんに対する薬物治療では、「分子標的薬」という薬物を使用します。がん細胞は栄養摂取のために血管を新たに作る機能がありますが、分子標的薬はその機能を抑える効果があるのです。
また近年では、免疫細胞のリンパ球にがん細胞への攻撃を促す「免疫チェックポイント阻害薬」との併用にも効果があることが判明しました。

放射線療法

肝臓がんに対して放射線治療も採用されていますが、現在では標準的なものには至っていません。ただし、腫瘍が手術などでも取り除きにくい場所にある場合、X線を用いた放射線治療が採用されることもあります。
X線以外にも重粒子線・陽子線などを用いた放射線治療が存在しますが、設備を整えている施設が少ないのが現状です。とはいえ骨に転移した際の痛みの緩和や、脳へ転移した際には放射線治療が推奨されます。

手術

手術は、がんが肝臓内に留まっている場合に採用されます。また、この際には肝機能も判断材料になるでしょう。肝機能の低下があまり見受けられないようであれば、がんを取り除く「肝切除」や、臓器提供者の肝臓を移植する「肝移植」が行われるのです。
手術の合併症で切除部分から胆汁が漏れることもあるので、その場合は再手術をします。ごくまれに、肝臓が機能しなくなる「肝不全」が引き起こされることもあるでしょう。

光免疫療法

光免疫療法はがん細胞の表面に存在するたんぱく質と結合する抗体(薬品)を投与し、そこに近赤外線を当てる治療法です。抗体が近赤外線に当たると化学物質が化学反応を起こし、結合したがん細胞にも攻撃を加えます。
がん細胞を死滅させることもでき、副作用も少ないとされているのが特徴です。また、ステージに関係なく行える治療なので、光免疫療法は最先端のがん治療法として近年注目されています。

早期発見のためのコツとは?

肝臓がんの代表的なきっかけとなる肝炎は、肝炎ウイルスに感染することで発症します。肝炎ウイルスによって肝臓が炎症を伴い、やがて肝硬変となり、肝臓がんとなるのです。
つまり肝炎患者との接触があった人や、ウイルスに感染した人は、人間ドックなどを受けることが早期発見のコツとなるでしょう。

肝臓がんの進行スピードについてよくある質問

ここまで肝臓がんの進行スピード・進行スピードを左右する要因・症状・治療方法・早期発見などを紹介しました。ここでは「肝臓がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

肝臓がんの検査方法について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

主に「血液検査」「MRI検査」「CT検査」「エコー検査」などを行います。なお、必要に応じて各検査を組み合わせることもあります。腫瘍が見つかった場合は、良性・悪性を調べるために「針生検」を行います。悪性腫瘍だった場合も針生検の結果から、発見されたのが肝細胞がんであるか、他の臓器から転移したがんであるかが判別できるでしょう。

肝臓がんは進行するとどうなりますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

肝臓がんは自覚症状がほとんどないため、発覚した時はすでに進行している可能性が高いです。黄疸・腹水・倦怠感などは肝臓がんによる肝機能の低下が原因で、さらには腹痛・下痢・食欲減退といった症状も見られます。さらに進行すると他の臓器への転移もあり得ますので、早期の発見・治療を心がけましょう。

編集部まとめ

本記事では肝臓がんについてご紹介しましたが、いかがでしょうか。

自覚症状がほとんどない病気だからこそ、今まで以上に自分の体と向き合おうと感じた方もいるでしょう。

ご紹介したように、肝臓がんは肝機能を低下させます。肝機能が低下すれば体の様々な点で異変が生じるはずなので、自覚がある方はすぐにでも医療機関に相談しましょう。

肝臓がんと関連する病気

「肝臓がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

これらは、どれも肝臓がんに発展しやすい病気です。肝臓がんと同様に肝機能低下による体の異変などが症状として現れるので、心当たりがある場合は医療機関に相談しましょう。

肝臓がんと関連する症状

「肝臓がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

特に黄疸と腹水は、肝機能の低下による代表的な症状です。肝臓がんだけの症状ではなく、肝臓がんに発展しやすい肝炎や肝硬変の症状でもあるので、肌の色・お腹の膨らみに異変を感じたら検査を受けてください。

この記事の監修医師