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「膵臓がんの検査方法」はご存知ですか?検査費用や原因についても解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/21
「膵臓がんの検査方法」はご存知ですか?検査費用や原因についても解説!【医師監修】

膵臓がんは膵臓にできるがんのことで、日本では罹患者数・死亡者数ともに増加傾向にあります。

生活習慣病の延長で罹患することが多いがんです。しかし遺伝も関係していることがわかっているため、誰もが罹患する可能性があるといえるでしょう。

ここでは、膵臓がんについて解説します。検査・原因・費用などについても紹介するので、参考にしてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

膵臓がんとは?

膵臓がんとは膵臓にできるがんのことで、「膵がん」と呼ばれることもあります。日本における膵臓がんの罹患者数・死亡者数はともに増加傾向にあり、2019年ではがんによる死亡原因第4位になったことが発表されました。
小さい間から膵臓の周りの臓器・リンパ節などに転移しやすいため、見つかった時にはお腹全体に散らばっていることもあります。がんの中では進行が速いうえに、見つけにくいといえるでしょう。

膵臓がんの検査

膵臓がんで行われる検査は主に下記の7つです。

  • 血液検査
  • 腫瘍マーカー検査
  • 超音波(エコー)検査
  • CT検査
  • MRI(MRCP)検査
  • 超音波内視鏡検査
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影

これらすべての検査が行われるとは限りません。膵臓がんの進行度・症状などによって行われない検査もあります。それぞれの検査について後述で解説するので、参考にしてください。

血液検査

膵臓がんの診察における血液検査は、血液に含まれる膵酵素の値が増えていないかを調べることが目的です。膵臓で作られる膵酵素にはさまざまな成分が含まれていますが、代表的なものとして下記の3つがあげられるでしょう。

  • アミラーゼ
  • エラスターゼ1
  • リパーゼ

膵臓がんに罹患していると、これらの数値が高くなることがあります。ただし、罹患していても数値に変化がない場合もあるので確定的とはいえません。あくまで目安のための検査といえるでしょう。

腫瘍マーカー検査

膵臓がんでの腫瘍マーカー検査は、がんの診断を行う際の補助的な目的で行う検査です。主に下記5つの数値を血液検査で測定します。

  • CA19-9
  • SPan-1
  • DUPAN-2
  • CEA
  • CA50

これらの数値が高いからといって、がんの有無の確定には至りません。値に変化がみられないこともあるからです。また、値が高くてもがん以外の病である可能性もあります。

超音波(エコー)検査

超音波(エコー)検査とは、超音波プローブという片手で持てる装置を体の表面にあて、超音波を臓器に反射させて画像化する検査のことです。膵臓がんの場合、位置・形・大きさ・状態などを調べます。また膵臓がんは転移性の高いがんでもあるため、周囲に転移していないかも同時に調べるケースが多いでしょう。

CT検査

CT検査は、X線で体の断面を画像化する検査です。膵臓がんの場合は、がんの有無・広がり・転移などを確認します。その際、位置・形などを細かく正確に映し出すために造影剤が使われるでしょう。

MRI(MRCP)検査

MRI(MRCP)検査は、磁力と電波を使用して体の内部を映像化する検査です。がんの有無・広がり・転移・などを確認します。胆管・膵管を選択的に描出が可能であるため精度が高いです。膵臓がんの場合はより詳しく調べるために造影剤を使うこともあるでしょう。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影

内視鏡的逆行胆管膵管造影(ERCP)は、内視鏡と造影剤を使用して膵管・胆管を撮影する検査です。膵液の細胞を採取する検査が同時に行われることもあるでしょう。ただし、急性膵炎などを引き起こすことがあるので注意が必要です。

超音波内視鏡検査

超音波内視鏡検査(EUS)は、内視鏡がついた超音波プローブを使用して行う検査です。口から内視鏡を入れて膵臓の病変を直接検査します。胃・十二指腸などの周囲の臓器も同時に確認することが可能です。
通常の超音波検査とは異なり、近い距離から観察できるので詳細なデータが得られます。病変の組織を採取する検査が同時に行われることもあるでしょう。ほかの検査では診断が確定できなかった場合に行われることが多く、重要な検査といえます。

膵臓がん検査の費用

膵臓がん検査は下記の2パターンがあり、どちらになるかで費用には差があります。

  • 症状はないが、不安だから調べておきたい
  • 罹患している可能性あり

症状がない場合は、通常の健康診断にプラスして膵臓がん検査の腫瘍マーカーなどを追加するケースが多いでしょう。膵臓がんに特化した腫瘍マーカーは主にCEA・CA19-9を調べることになるため、相場は4,400円(税込)程度になります。参考にしてみてください。膵臓がん検診・PET検査などもありますが、これらの検査を希望する場合の相場は5~10万円(税込)だそうです。
こちらも目安の金額なので、参考にしてみてください。一方で罹患している可能性があり、大きさ・状態などを調べる検査の場合はさらに高くなります。血液検査における範囲・内容も増加し、通常の検診よりもさらに詳細なデータを必要とするからです。どのような検査が必要になるかは症状によって異なるため、一概にはいえません。
ただし、医療費控除・高額医療費制度が利用できる可能性があります。医療機関の相談窓口・自治体などに相談してみてください。

膵臓がんの原因

膵臓がんの原因で倍率が高いのは、遺伝性です。遺伝性の原因で高いものでは50倍を超えているので、血縁者で膵臓がん・遺伝性膵炎などに罹患したことがある場合はこまめな定期健診をおすすめします。それ以外の原因としては、主に下記の3つがあげられるでしょう。

  • 喫煙
  • 糖尿病
  • 慢性膵炎

それぞれの原因について解説するので、参考にしてください。

喫煙

嗜好品の中でがんの原因としてあげられる代表的なものといえば、喫煙・飲酒でしょう。この2つの中でも膵臓癌の場合、喫煙は明らかな危険因子とされています。喫煙をまったくしない人に比べて喫煙をする人は発症率が1.68倍高くなるとされていますが、これは最低の数値です。喫煙本数・年数によって確率は高くなります。
ただし、禁煙をすると10年程度で膵臓がんの罹患リスク率は健康な人と同じくらいまで下がるといわれているので、禁煙をしたほうが良いでしょう。

糖尿病

糖尿病に罹患している人は、健康な人に比べて膵臓がんの発症リスクが1.94倍高くなるとされています。発症リスクが高くなるのは、糖尿病に罹患している人の血中にインスリン抵抗性が存在するからです。血中にインスリン抵抗性があると、体は血糖を下げるためにインスリン濃度を高めます。
インスリンには血糖を下げるほかに細胞を増殖させる作用があり、この作用が膵臓がんの発症リスクを高めているのです。インスリンが膵臓がんの細胞も増殖させてしまうため、小さな膵臓がんが引き金となる傾向が多くみられます。糖尿病に罹患している場合は、膵臓がんの検査も受けるようにしましょう。

慢性膵炎

慢性膵炎も、膵臓がんの原因になるといわれています。慢性膵炎に罹患している場合の発症リスクは健康な人の13.3倍です。喫煙・糖尿病よりもリスク倍率は高くなっています。膵炎に罹患している場合は、定期的に膵臓がんの検査も受けたほうが良いでしょう。

膵臓がんの生存率

あらゆるがんの中でも生存率が低いのが膵臓がんです。

  • 手術が可能だった場合:生存率は5年で10~30%
  • 手術は不可能だが、転移なしの場合:生存率は1年で30~50%
  • 転移が確認されたために手術不可だった場合:生存率は1年で10~30%

ただし、初期段階のステージ1で治療ができた場合の生存率は5年で61%と高くなっています。膵臓がんの生存率を握っているのは早期発見といえるでしょう。ただし、膵臓がんは早期発見が難しいがんでもあります。定期的な検査を受けるようにしましょう。

膵臓がんの検査についてよくある質問

「膵臓がんの検査」についてよくある質問

ここまで膵臓がんについて紹介しました。ここでは「膵臓がんの検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

検査を受ける頻度は?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

とくに明確な頻度の指定はありません。ただ、気になったら検査を受けてみることをおすすめします。
がん検診に特化したPET検査などもあるので、これらを利用してみてください。

検査の際に入院は必要ですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

病状によります。多くの検査では入院の必要はありません。内視鏡検査においても日帰りで可能なケースもあります。不安な場合は医師に相談してみてください。

編集部まとめ

膵臓がんについて解説してきました。

がんにはさまざまな種類がありますが、その中でも早期発見が難しくて死亡率が高いのが膵臓がんです。また、治療をしたあとも生存率が低い特徴もあります。

生存率を上げるのは早期発見です。糖尿病・慢性膵炎に罹患している人は、定期的に検診を受けてください。

また、喫煙は発症リスクを高める要因です。禁煙をすれば10年で健康な人と同様の発症リスクに下げることが可能なので、禁煙をおすすめします。

「膵臓がんの原因」と関連する病気

「膵臓がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

消化器内科の病気

歯科の病気

遺伝性膵炎は発症リスクが50~90倍と高くなっています。また、糖尿病も1.94倍と高めです。これらに罹患している場合はこまめに病院で検査・検診を受けましょう。

「膵臓がんの原因」と関連する症状

「大腸がんのステージ」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食欲不振
  • 膨満感
  • 黄疸
  • 腰・背中の痛み

膵臓がんは初期症状がほとんどありません。これらは進行してくるとみられる症状です。もしこれらの症状がみられた場合は、速やかに病院で診察を受けてください。

この記事の監修医師