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「舌がんの代表的な症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

 更新日:2024/01/05
「舌がんの代表的な症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

口腔がんには、上歯肉・下歯肉・硬口蓋・口唇・口腔底・頬粘膜などの種類があります。その中から今回は、舌に悪性腫瘍ができる舌がんについて紹介します。

舌がんは数ある口腔がんの中でも最も患者さんが多い症状です。舌は味覚を司るだけでなく、嚥下・会話といった日常生活を送る上で必要不可欠な機能に関わっています。

その為、舌の状態が生活の質に直結するといっても過言ではないでしょう。気になる症状がある場合は放置することなく、適切な治療を受けるべきです。

若菜 康弘

監修医師
若菜 康弘(医師)

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鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

舌がんとは?

口腔がんの中で最も発症率が高く、その割合はおよそ60%を占めます。
大きく口を開いた時に見える舌の前方2/3の範囲にできるものが、一般的には舌がんとなります。
性別による患者さんの割合は男性が女性のおよそ2倍、年代別では60代~70代に多いのが特徴です。
早期発見が多いといわれていますが、中には進行した状態で見つかることもあります。早期段階でリンパ節転移し、大変早いスピードで進行していくこともあります。

舌がんの症状

今回は代表的な6つの症状を紹介します。自分自身に当てはまる症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。

舌に硬いしこりができる

舌がんが進行していくと、舌に硬いしこりができます。しかし初期の状態では、舌で触ってもわかりません。
痛みを感じるケースも少ないことから非常にわかりにくいでしょう。その為、硬いしこりが舌で触ってわかるだけでなく、顎の下のリンパ節も腫れている頃にはかなり進行している可能性があります。

舌がただれる

舌の赤みが強くなってただれるという症状は、口内炎でも現れます。その為、悪性腫瘍かどうかを判断するのは非常に困難です。
口内炎と勝手に判断してしまうこともあるでしょう。しかし2週間以上症状が続くようであれば、口内炎とは明らかに異なるので医療機関で診察を受けるべきです。

舌の動きに対する違和感

舌の動きに対して違和感を覚える頃には、舌がんが進行している可能性が高まります。
舌を動かしにくい・舌の動きが悪いと感じた場合にも医療機関を受診しましょう。

舌の痺れ

舌の動きに対する違和感と同時期に現れる症状は舌の痺れです。舌の痺れを放置していると会話や食事が困難となります。
話しにくい・咀嚼がしにくいと感じるようになったら危険です。

紅板症

紅板症は、舌だけでなく歯肉や口腔粘膜にも生じます。表面は平面的ながらも、ビロード状の鮮やかな紅色に変化するのが最大の特徴です。
他の症状とは異なり、初期症状から刺激による痛みを感じます。その為、他の症状よりも早期発見に繋がるといえるでしょう。
患者さんの年代別で見てみると、50代以上の高齢者がおよそ80%を占めています。また、紅板症のおよそ50%が悪化するので注意が必要です。

白板症

白板症は、舌・歯肉・頬の粘膜が白く変化します。白い部分を擦っても剥がれ落ちることがないのが特徴です。
舌にできた白板症は悪化する可能性が高く、口腔がんの初期症状といえるでしょう。びらんと呼ばれる粘膜の僅かな損傷が伴う白板症状もあり、この場合は食べ物・飲み物がしみる・物が接触すると痛みを感じます。

舌がんの検査方法

検査方法は、視診・触診から超音波検査、そして細胞診へと順番に行われます。いずれも腫瘍の大きさや広がり具合を診断するものです。

視診・触診

口腔内に光を当てつつ、舌を直接チェックするのが視診です。視診では腫瘍の形状やサイズを測ります。また、紅板症や白板症を発症していないかどうかも確認します。
口腔内に指を入れて疑いのある部分を直に触るのが触診です。視診と同じく形状やサイズを測るほか、しこりができている場合は硬さも確認します。

超音波検査

エコー検査とも呼ばれる超音波検査では、超音波を体の表面に当てて臓器から跳ね返る超音波を画像に映し出します。
腫瘍のある場所は勿論、形状・サイズも把握することが可能です。

細胞診

細胞診は、腫瘍の組織の一部を採取して行います。そして顕微鏡で組織をくまなくチェックします。
がん細胞の有無・正常な細胞との違い・どのような細胞からがん細胞が発生しているかを調べることが可能です。
組織の採取には綿棒やブラシを使用したり、鉗子と呼ばれる器機を用いたりします。

舌がんの治療

治療方法は体の状態と悪性腫瘍の疑いのある部位の状態に応じて決まります。特に代表的な方法は、これから紹介する手術と放射線治療です。

手術

手術では、悪性腫瘍のある部位を切除するのが一般的です。
早期発見の場合には部分切除となり、食事や会話に大きな影響を与えずにすむとあって早期発見がベストといえるでしょう。範囲が広い場合には半側切除となります。
そして舌の半分を越えて広がっている場合には、半分以上の切除もしくは全摘出となってしまいます。範囲が広い場合や半分以上の場合には、舌の機能維持の為の再建手術も必須です。

放射線治療

体の外側から放射線を照射する外部照射が用いられます。針や管を挿入することで、悪性腫瘍及びその周辺組織に直接放射線を照射する組織内照射も行われます。
また、外部照射は組織内照射や薬物療法と併用されることもある治療方法です。ただし放射線治療には副作用があります。
起こりやすい副作用としては口腔内の乾燥・唾液量の減少・味覚障害などが代表的です。舌に全く関係のない体力低下や倦怠感も副作用として起こり得るので注意しましょう。

舌がんについてよくある質問

ここまで舌がんの症状や診察方法・治療方法について紹介しました。ここでは診察方法や手術後に関するよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

舌がんなどの口腔がんは何科を受診すれば良いですか?

若菜 康弘若菜 康弘 医師

耳鼻咽喉科もしくは歯科を受診しましょう。口腔外科学会や日本歯科医師会が実施している口腔がん検診を受けるのもおすすめです。
口腔がんは早期発見であれば5年生存率が90%を越えます。リンパ節転移前の早期発見であれば完治も夢ではないでしょう。

手術後の後遺症にはどのようなものがありますか?

若菜 康弘若菜 康弘 医師

手術後の後遺症には、摂食・嚥下障害、構音障害が挙げられます。摂食・嚥下障害は、食べ物を噛む機能や飲み込む機能が低下するものです。
構音障害は、ハッキリと言葉を話せなくなってしまいます。どちらの後遺症も質の高い生活を送る為には必要不可欠です。その為、言語聴覚士・歯科口腔外科医・歯科衛生士・管理栄養士のサポートの元、リハビリテーションを行っていきます。

編集部まとめ

生活の質を維持する上で口腔がんを発症しないことは重要です。発症の原因としてはおよそ80%が喫煙と考えられています。

さらに飲酒が発症リスクを高めるともいわれています。その為、喫煙と飲酒の両方を行っている方は発症リスクが非常に高いことをしっかりと把握しましょう。

他にも頬や舌の粘膜を噛みやすい・歯の詰め物や入れ歯の接触で痛みを感じる・偏食家であるという方もリスクが高いので、喫煙や飲酒を行っていないからと油断は禁物です。

舌がんと関連する病気

関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

これらの病気は舌がんと同時に発症しやすいといわれています。舌がんの治療にだけ取り組むのではなく、他の病気を併発しないよう気を配りましょう。
その為には生活習慣の見直しが重要です。たばこ・アルコールは控えるようにしましょう。

舌がんと関連する症状

関連している・似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 硬いしこりがある
  • 赤い斑点・白い斑点が見られる
  • 口腔内に出血が起こりやすい
  • 口臭がキツくなる

しかし症状によっては歯肉炎と区別がつきにくいでしょう。口内炎や首のリンパ節の腫れが2週間以上経過しても治らないといった症状もあるので、思い当たる節がある方は医療機関で診察を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師