「肺がんが1ヶ月進行」するとどんな症状が現れる?転移しやすい部位も医師が解説!

肺がんが1ヶ月進行するとどんな症状が現れる?Medical DOC監修医が肺がんから転移しやすい部位・末期症状などを解説します。

監修医師:
羽田 裕司(医師)
名古屋市立大学医学部卒業。聖隷三方原病院呼吸器センター外科医長、名古屋市立大学呼吸器外科講師などを歴任し、2019年より現職。肺がんを始めとした呼吸器疾患に対する外科治療だけでなく、肺がんの術前術後の抗がん剤治療など全身化学療法も行う。医学博士。外科学会指導医/専門医、呼吸器外科学会専門医、呼吸器内視鏡学会指導医/専門医、呼吸器学会専門医。
目次 -INDEX-
「肺がん」とは?
肺がんは、肺を構成している肺胞(はいほう)や肺胞まで空気を送り届けるための道である気管支などから生じる悪性の腫瘍(できもの)のことです。
肺がんにはいくつかの種類があり、小細胞肺がんと、腺がんや扁平上皮癌といった非小細胞肺がんに大きく分けられます。
肺がんは、初期の段階ではほとんど症状が現れない場合もあります。しかし、進行するにしたがって咳や痰、血痰などの症状がみられるようになります。
そもそも肺がんの進行速度は早いの?
肺がんの進行速度は、がんの種類や発見された時点でのステージ、患者さんの状態などによっても異なります。
がんの種類に着目すると、小細胞肺がん、扁平上皮がん、腺がんの順で、肺がんの増殖スピードが速い傾向がみられるとされています。
傾向をみるにあたって、原発性肺がんの患者さん約2,300人を対象にした研究の結果を紹介します。この研究では、肺がんが2倍の体積になるまでの時間の中央値は139〜357日であり、平均では213日だったと報告されています。つまり、肺がん全体として、半年程度で2倍の大きさになることが多い、ともいえるでしょう。
肺がんが1ヶ月進行するとどんな症状が現れる?
肺がんが1か月でどれくらい進行するのかは一概には言えません。そこで、ここでは肺がんが進行すると出現する可能性がある症状について解説します
なかなか治らない咳
肺がんによる症状のなかでも、咳はよく見られるものの一つです。肺がんの方の約6割の方で咳がみられるという報告もあります。
咳は、上気道炎などの感染症などによっても起こります。しかし、2週間以上長引くような場合には、内科や呼吸器内科を受診するようにしましょう。
血痰
血痰は、痰に血が混じる状態を指します。肺がんが生じた際に、壊死した組織から出血したり、気管支の粘膜に腫瘍が及んだりすることで出血する場合があります。
血痰は、肺がんのほかにも肺結核や気管支炎などでも出ることがあります。もしも血痰が続くようであれば、内科や呼吸器内科などへの受診をおすすめします。
胸の痛み
がんが進行し、肺のまわりに水がたまることや、がんそのものが胸膜や肋骨にも及ぶことで、胸の痛みが生じる場合があります。ただし、肺がん以外にも心臓や食道などの消化器の病気などによっても胸の痛みが引き起こされることがあります。
胸の痛みが続くような際には、内科もしくは呼吸器内科、循環器内科、消化器内科などを受診しましょう。
肺がんが1ヶ月進行するとどこに転移しやすい?
肺がんが進行すると、リンパの流れに乗って、あるいは血液の流れによって他の部分にも転移しやすくなります。
リンパ節への転移の場合、まずは肺がん病変に近い、肺門のリンパ節や縦隔のリンパ節から、そして反対側のリンパ節にまで広がります。
以下では、リンパ節以外での、肺がんが転移しやすい臓器について解説します。
脳
脳は、肺がんの転移部位として多くみられる臓器です。
肺がんのなかでも、特に小細胞肺がんでは脳転移などの中枢神経系への転移が多いです。
患者さんの約10%は診断された際にすでに脳転移を有し、3分の1以上の方は肺がんの経過中に脳転移を発症するとされています。
脳のなかで大きくなった肺がんの転移巣が、頭蓋内圧を高め、頭痛や吐き気、視覚や精神状態の変化をもたらします。また、脳卒中でみられるような手足の麻痺やろれつ困難などの症状が現れる場合もあります。けいれん発作を起こす方もいます。
肺がんの脳転移に対する治療には、薬物療法や手術、放射線治療などがあります。
肺がんと診断されている場合でも、そうでない場合でも、これらのような症状があるときには一度脳神経内科を受診するようにしましょう。
骨
肺がんは血液の流れを介し、全身の骨に転移することがあります。扁平上皮がんや腺がんなどの非小細胞肺がんでは、患者さんの30〜40%の方で骨転移を発症するという報告もあります。
肺がんの骨転移は、脊椎や肋骨、骨盤、四肢の骨など多彩な部位に生じえます。
骨転移が起こると、それ自体の痛みや骨関連事象(Skeletal Related Events;SRE)が引き起こされるケースがあります。SREは、骨転移によって発生する、骨折や麻痺、高カルシウム血症などを指します。
症状がある骨転移に対しては、放射線治療が選択されます。病的な骨折の危険性が高いと考えられる骨転移や、脊椎への転移によって脊髄が圧迫される可能性がある場合には、外科的な治療が考慮されます。また、SREの抑制のために、骨修飾薬による治療も推奨されています。
肝臓
肺がんは肝臓にも転移する場合があります。すると、肝機能が悪化することや、身体の白目や皮膚が黄色くなるような黄疸などの症状が現れます。
肺がんが肝臓に転移した際の治療としては、全身化学療法が一般的と考えられます。局所症状の緩和目的で、放射線治療が選択されるケースもあります
肺がんが進行すると現れる症状(末期症状)
肺がんの末期には、以下のような症状が現れます。
体重の減少
肺がんが末期になると、がん自体がエネルギーを大量に消費するようになります。また、食欲低下や嚥下障害、治療の副作用などが重なり、体重減少が起こる場合があります。
食事量が減るだけでなく筋肉まで落ちるため、本人の努力では改善しにくいのが特徴です。
少量でも高カロリーの食品を取り入れたり、食べられる時間帯を工夫したりすることで負担を軽くできますが、無理に食べさせるのは逆効果です。
体力の低下や脱水が進む前に、がん診療科や緩和ケア科に相談することが重要です。意識の低下や極端な水分不足がある場合は早急な受診が必要です。
激しい倦怠感
末期の肺がんでは、がんの進行や炎症反応、貧血、栄養障害、薬の副作用が重なり、休んでも回復しない強い倦怠感が現れます。
横になっていても体が重く、動作や思考に大きな支障が出るのが特徴です。環境を整えて無理のない動線にする、こまめに休憩を挟むなどの日常的な工夫で負担は軽くできます。また、貧血の治療や薬の調整で症状が改善することもあります。
日常生活に支障が出るほど続く場合は、がん診療科や緩和ケア科で相談する必要があります。さらに、呼吸困難や意識障害を伴う場合は早めの受診が必要となります。
身体の痛み
身体の痛みは、肺がん末期に非常によくみられる症状で、骨転移や胸膜への浸潤、神経の圧迫などが原因となります。動くたびに痛みが増すことや、夜間に悪化して眠れなくなることもあります。しかし、適切な鎮痛薬を使用することで大きく和らぐケースもあります。そのため、痛みが強い場合は我慢する必要はなく、早めに薬物治療の調整を行うことで生活の質が保たれます。
症状が続くと食欲低下や不眠につながるため、がん診療科や緩和ケア科への相談が重要です。急激な痛みの増悪やしびれ、麻痺が出た場合は緊急の受診が必要となります。
「肺がんの1ヶ月の進行速度」についてよくある質問
ここまで肺がんの1ヶ月の進行速度などを紹介しました。ここでは「肺がんの1ヶ月の進行速度」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
肺がんは一年でどれくらい進行しますか?
羽田 裕司 医師
肺がんが2倍の体積になるまでの時間の中央値は400日以下であったという報告もあります。しかし、肺がんが1年でどれくらい進行するのかは、肺がんのタイプやステージ、患者さんの状態によっても違いがあります。
まとめ
今回の記事では、肺がんがどれくらいのスピードで進行するのか、どの部位に転移しやすいのかなどについて解説しました。
肺がんの増殖の速さは一概にはいえませんが、現時点では1年に1回の肺がん検診を受けることで早期発見につながると考えられています。
肺がんの大きなリスク要因の一つに喫煙があります。まずはタバコを吸わない、またはやめて、定期的ながん検診を受けるようにしましょう。
そして、気になる症状があれば、医療機関を受診するようにしましょう。
「肺がん」と関連する病気
「肺がん」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
肺がんと関連する病気には、これらのようなものがあります。咳や痰などの症状が続く場合には、医療機関を受診しましょう。
「肺がん」と関連する症状
「肺がん」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 咳
- 血が混じる咳
- 胸、背中、肩の痛み
- 突然起こる息切れ
- 声枯れまたは喘鳴
- 飲み込みにくくなる、または飲み込むときに痛みがある
- ばち状指(指先が丸く平たく変形すること)
- 原因不明の体重減少
- 疲労感や脱力感
- 食欲不振
肺がんと関連する症状には、上記のようなものがあります。呼吸器の症状以外にも、体の他に症状が現れることがあります。気になる症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。
参考文献
- 肺がん:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
- Q3肺がんになるとどのような症状が現れるのですか-日本肺癌学会
- Q4肺がんが転移しやすい場所と症状について教えてください-日本肺癌学会
- Volumetric tumor volume doubling time in lung cancer: a systematic review and meta-analysis. European Respiratory Society. 2023
- Small cell lung cancer doubling time and its effect on clinical presentation. Clin Med Insights Oncol. 2012
- Metastases of Thoracic Origin - Madame Curie Bioscience Database
- Hemoptysis - Clinical Methods - NCBI Bookshelf
- Q4. たんに血が混じりました。 - 呼吸器Q&A 日本呼吸器学会
- Lung cancer - NHS
- Symptomatic Treatment of Cough Among Adult Patients With Lung Cancer. Chest. 2017
- Bone metastases: When and how lung cancer interacts with bone. World J Clin Oncol. 2014
- IV.転移など各病態に対する治療 1骨転移. 肺癌診療ガイドライン
- Liver Metastasis from Lung Cancer - American Lung Association
- End-of-life care in patients with advanced lung cancer. Ther Adv Respir Dis. 2016
- 肺がん末期 | 健康長寿ネット




