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「鼻ポリープ」は”原因”によっては嗅覚が戻らない?症状と放置するリスクを医師が解説!

 公開日:2026/03/23
「鼻ポリープ」は”原因”によっては嗅覚が戻らない?症状と放置するリスクを医師が解説!

鼻ポリープの原因とは?メディカルドック監修医が鼻ポリープの原因・放置するリスク・症状・できやすい人の特徴・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

小島 敬史

監修医師
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)

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【経歴】
経歴
2006年3月 慶應義塾大学医学部医学科卒
2008年3月 佐野厚生総合病院 初期臨床研修修了
2008年4月 慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室所属
2013年9月 慶應義塾大学病院 助教として勤務
2018年8月 米国 ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科で遺伝性難聴の基礎研究に従事
2021年5月〜 国立病院機構 栃木医療センター 耳鼻咽喉科医長 (現職)
【資格等】
日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医、日本耳科学会認定医、補聴器相談医、補聴器適合判定医
所属学会:日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、耳鼻咽喉科臨床学会

「鼻ポリープ」とは?

鼻ポリープは、鼻茸(はなたけ)とも呼ばれます。頬や額の内側に位置する副鼻腔という空洞の粘膜が炎症を起こし、ゆっくり増大し、鼻の中にキノコのように飛び出てくる良性の隆起です。これができると、鼻づまりや匂いの分かりにくさ、頭痛などを引き起こすことがあります。

鼻ポリープができる原因

鼻ポリープができる主な原因は、アレルギー性の炎症が関与する慢性副鼻腔炎です [1-3]。ただし、鼻の中にできる隆起物がすべて鼻ポリープとは限らず、中には腫瘍である可能性も否定できません。そのため、自己判断せずに耳鼻咽喉科で正確な診断を受けることが非常に重要です。

好酸球性副鼻腔炎

鼻ポリープの原因として近年注目されているのが、好酸球性副鼻腔炎です [2]。これは、アレルギー反応に関わる白血球の一種である好酸球が、鼻や副鼻腔の粘膜で過剰に集まることで起こる特殊な副鼻腔炎です。この病気では、粘り気の強い鼻水、しつこい鼻づまり、そして嗅覚障害(匂いがわからない)といった症状が強く出ることが特徴です [2]。喘息を合併していることも多く、一般的な副鼻腔炎の治療では改善しにくい難治性の病気とされています。もし、両方の鼻にポリープがあり、匂いが分かりにくく、喘息もある場合は、この病気を疑い、耳鼻咽喉科専門医のいる病院を受診してください。緊急性はありませんが、放置すると嗅覚が戻らなくなる可能性もあるため、早めの受診が推奨されます。

従来型の慢性副鼻腔炎

従来の慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症も、鼻ポリープの原因となります [1]。これは、風邪などをきっかけに細菌やウイルスの感染が長引き、副鼻腔の粘膜に慢性的な炎症が起こることで発症します。症状としては、色のついたネバネバした鼻水、鼻づまり、後鼻漏(鼻水が喉に流れる感覚)、咳、頭痛、顔面の圧迫感、悪臭などが挙げられます [1]。好酸球性副鼻腔炎とは異なり、片側だけに症状が出ることもあります。これらの症状が3ヶ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎が疑われます。お近くの耳鼻咽喉科を受診し、内視鏡検査やCT検査で副鼻腔の状態を確認してもらうと良いでしょう。

副鼻腔乳頭腫

鼻ポリープと見た目が似ていても、良性であっても注意が必要な腫瘍として、鼻腔内反性乳頭腫があります。初期症状は鼻づまりや鼻血ですが、放置すると大きくなり、周囲の骨を破壊したり、まれにがん化(扁平上皮がん)したりすることが知られています。片側だけの鼻づまりや、繰り返す鼻血がある場合は、単なる鼻ポリープと決めつけず、腫瘍の可能性も考慮する必要があります[1]。この場合も耳鼻咽喉科を受診し、内視鏡検査やCT、MRI検査を受け、組織を採取して病理検査を行うことが確定診断のために必要です。

アスピリン喘息(アスピリン不耐症)

一部の鼻ポリープは、特定の薬剤に対する過敏性と関連しています。アスピリン喘息(正しくは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)過敏喘息)と呼ばれる状態です。解熱鎮痛薬(アスピリンやイブプロフェンなど)を使用すると、喘息発作や鼻ポリープの悪化を引き起こす体質の方に見られます [3]。この場合、重度の鼻づまりと嗅覚障害を伴う難治性の好酸球性副鼻腔炎を合併していることがほとんどです。解熱鎮痛薬を飲んで喘息発作や鼻づまりが悪化した経験がある方は、必ず医師に申告してください。耳鼻咽喉科と呼吸器内科、アレルギー科が連携して治療にあたる必要があります。

アレルギー性真菌性副鼻腔炎

まれな原因として、真菌(カビ)に対するアレルギー反応が原因で鼻ポリープが発生することがあります。これはアレルギー性真菌性副鼻腔炎と呼ばれ、副鼻腔内にアレルギー反応によって生じた粘着性の高い鼻水や真菌の塊が溜まります。症状は片側の鼻づまりや頬の腫れ、顔面痛などが多いです。CT検査やMRI検査で特徴的な所見が見られることが多く、治療は手術によって副鼻腔内の真菌塊やムチンを除去し、副鼻腔を清掃することが基本となります[1]。

鼻ポリープを放置した場合のリスク

鼻ポリープは良性の腫瘤ですが、その原因となっている炎症を放置することには様々なリスクが伴います。

難治性の嗅覚障害

鼻ポリープが大きくなると、匂いを感じる神経がある鼻の天井(嗅裂部(きゅうれつぶ))を物理的に塞いでしまいます。また、好酸球性副鼻腔炎などでは、炎症自体が嗅覚の神経細胞にダメージを与えます [2]。初期段階であれば治療によって嗅覚が回復することもありますが、長期間放置すると神経へのダメージが回復不可能なレベルになり、治療後も匂いが戻らない、永続的な嗅覚障害に陥るリスクがあります。

喘息の悪化や合併

鼻ポリープ、特に好酸球性副鼻腔炎は、気管支喘息と密接に関連しています [2, 3]。鼻と気道は「共通した一つの道(One airway, One disease)」という考え方があり、鼻の炎症が気管支の炎症にも影響を与えます。鼻ポリープを放置すると、鼻の炎症が悪化し、それが引き金となって喘息の発作が頻繁になったり、重症化したりするリスクがあります。逆に、鼻ポリープの治療を適切に行うことで、喘息の症状が改善することも多く報告されています。

生活の質の低下

鼻ポリープによる持続的な鼻づまりは、睡眠の質を大きく低下させます。十分に眠れないことで日中の眠気や集中力の低下、疲労感を引き起こします。また、匂いがわからないことで食事の楽しみが失われたり、味覚にも影響が出たりします。さらに、頭痛や顔面痛が続くこともあり、これらの症状が複合的に関わり、日常生活や仕事、精神的な健康にまで悪影響を及ぼし、生活の質(Quality of Life: QOL)を著しく低下させることになります [3]。

鼻ポリープの症状

鼻ポリープの症状は、その大きさや発生部位、原因となっている病気によって様々です。

鼻づまり(鼻閉)

鼻ポリープの最も典型的で、多くの方が最初に気づく症状は鼻づまりです。ポリープが物理的に鼻の空気の通り道を塞ぐために起こります。特に好酸球性副鼻腔炎の場合は、両側の鼻に多発することが多く、ほぼ完全に鼻が詰まってしまい、口呼吸を余儀なくされることもあります [2]。市販の点鼻薬を一時的に使っても改善しない、あるいはすぐに元に戻ってしまうような頑固な鼻づまりが続く場合は、耳鼻咽喉科の受診が必要です。

嗅覚障害

鼻づまりとともに多く見られるのが、匂いが分かりにくくなる嗅覚障害です。ポリープが嗅裂部を塞ぐことによる物理的な問題と、炎症による神経へのダメージが原因です [3]。特に好酸球性副鼻腔炎では、嗅覚障害が早期から強く現れる傾向があります [2]。匂いの異常を感じたら速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。

鼻汁・後鼻漏

鼻ポリープの原因となる副鼻腔炎では、ほとんどの場合鼻汁や後鼻漏を伴います。好酸球性副鼻腔炎の場合は、白くネバネバとした、糊のような粘り気の強い鼻水が出ることが特徴です [2]。細菌感染を伴う慢性副鼻腔炎の場合は、黄色や緑色がかった膿のような鼻水が出ます [1]。これらの鼻水が鼻から出てくるだけでなく、喉の方へ流れ落ちる後鼻漏という症状も多く見られます。

鼻ポリープができやすい人の特徴

鼻ポリープの発生には、特定の体質や合併症が関わっていることが知られています。

気管支喘息の方

鼻ポリープ、特に好酸球性副鼻腔炎によるポリープは、気管支喘息と強い関連があります [2]。特に成人になってから喘息を発症した方や、アスピリン不耐症の方は、高い確率で鼻ポリープを合併するとされています [3]。現状、特定の体型などの特徴は明らかではありませんが、気道の炎症が起こりやすい体質が背景にあると考えられています。

アレルギー性鼻炎の方

アレルギー性鼻炎を持つ人は、鼻の粘膜が日常的にアレルギー反応による炎症にさらされています。この慢性的な炎症が、粘膜の構造変化を引き起こし、鼻ポリープの発生母地となる可能性が指摘されています。日頃から鼻炎症状をコントロールし、鼻内の炎症を抑えておくことが予防につながる可能性があります。

特定の遺伝的・環境的要因

家族内で発生しやすい傾向も報告されており、何らかの遺伝的な素因が関わっている可能性も研究されています。また、大気汚染や特定の化学物質への曝露といった環境要因が、鼻粘膜の炎症を引き起こす一因となる可能性も指摘されていますが [3]、まだ解明されていない点も多いです。現状では、喘息やアレルギー体質を持つ方が、最もリスクが高いグループといえます。

鼻ポリープの治療法

鼻ポリープの治療は、ポリープの大きさや症状の重症度、原因となっている病気によって異なります。

薬物療法

軽度の鼻ポリープや、炎症を抑えることが優先される場合、まずは薬物療法が選択されます。基本となるのは、鼻の中に直接噴霧するステロイド点鼻薬です。これは、ポリープの炎症を抑えてサイズを小さくする効果があり、安全な治療法です [1, 3]。通常、耳鼻咽喉科の外来通院で継続的に行われます。

内視鏡下鼻副鼻腔手術

薬物療法で効果が不十分な場合や、ポリープが大きくて鼻づまりが重度の場合には、手術が検討されます [1]。現在は、内視鏡を使った内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)が主流です。炎症の温床となっている副鼻腔の隔壁を開放し、鼻水が溜まりにくい構造にします [1, 3]。全身麻酔で行われることが多く、通常は数日間から1週間程度の入院が必要です。

生物学的製剤

手術をしても再発を繰り返すような重症の好酸球性副鼻腔炎に対して、新しい治療選択肢として生物学的製剤が登場しています [3]。これは、炎症を引き起こす特定の物質をピンポイントで抑える薬です。高額な治療となりますが、難治例に対して高い効果が期待できます。耳鼻咽喉科の専門医がいる施設で、外来での注射による治療が可能です。

「鼻ポリープの原因」についてよくある質問

ここまで鼻ポリープの原因について紹介しました。ここでは「鼻ポリープの原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

鼻ポリープは手術をしなくても治るのでしょうか?

小島 敬史監修医小島 敬史(医師)

鼻ポリープが自然に消えてなくなることは、残念ながらほとんど期待できません。特に、好酸球性副鼻腔炎が原因の場合、炎症が持続するため、ポリープは徐々に大きくなる傾向があります [2]。ただし、手術が必須というわけではありません。軽度であれば、ステロイド点鼻薬などの薬物療法で炎症をコントロールし、ポリープの増大を防いだり、ある程度小さくしたりすることは可能です [3]。手術をしなくても、薬物療法で鼻づまりや嗅覚障害といった症状が改善し、生活に支障がないレベルにコントロールできているのであれば、そのまま経過を見ることもあります。手術をするかどうかは、症状の重さ、ポリープの大きさ、そして患者さんご自身の生活の質(QOL)をどの程度改善したいかによって、担当の医師と相談して決めていくことになります。

まとめ

鼻ポリープ(鼻茸)は、副鼻腔の粘膜がキノコ状に隆起したもので、その多くは好酸球性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎が原因で発生します [1-3]。放置すると、嗅覚が永久に失われたり、喘息が悪化したりするリスクもあるため、早期の診断と治療が重要です。鼻づまりや匂いの異常が続く場合は、自己判断せず、必ず耳鼻咽喉科専門医にご相談ください。

「鼻ポリープ」と関連する病気

「鼻ポリープ」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

鼻・アレルギーに関連する疾患

鼻汁、鼻詰まり、臭いの障害など鼻に関係する疾患と、好酸球性副鼻腔炎に関係するアレルギー性疾患があります。また、鼻腔内の腫瘍性疾患が隠れていることがあります。

「鼻ポリープ」と関連する症状

「鼻ポリープ」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

鼻内で起こる慢性的な炎症による症状が関連します。また、副鼻腔炎による痛みが生じることもあります。

この記事の監修医師