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「男性乳がんは何科」を受診するべきかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

 更新日:2023/12/22
「男性乳がんは何科」を受診するべきかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

乳がんは女性のがんの中でも罹患率が高く、年間約9万5,000人もの人が発症する病気です。そのため乳がんといえば女性の病気と思われがちですが、男性にも乳がんは発症します。

もし男性が自分の胸にしこりがあるなど、疑わしい症状があったときには何科を受診すればよいでしょうか。

この記事では、男性乳がんの主な症状・原因・注意すべきポイントなどを解説します。また、乳がんの疑いを抱いたらまず受診したい病院についても紹介しています。

最後までお読み頂ければ男性乳がんの基本と対処法について理解できるでしょう。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

男性乳がんとは?

男性乳がんの患者さんは、女性を含む乳がん患者約150人に対して1人と診断数はまれです。発症者の大部分は60〜70代で、女性の患者さんに比べて発見時には既に症状が進行していることが多いです。
また15〜20%の男性乳がん患者さんには、乳がんを患った家族がいるとのデータがあります。男性乳がんは女性よりも遺伝性が高いことが知られており、乳がんの家族歴は危険因子のひとつです。基本的に男性乳がんへの対応は、女性の治療法と同じです。完全切除ができる状態であれば手術により切除し、状況によって薬物や放射線治療を行います。一方、病巣が広がり切除が難しい場合には、薬物治療によってがんとうまく付き合っていく方法を模索します。

乳がんは男性の場合も乳腺科を受診

乳がんの疑いがあると不安を感じたとき、どこに相談すればよいか分からない人もいるでしょう。まずは乳腺科のある病院を受診して、専門の医師の診察を受けることが大切です。

乳房にしこりができたら乳腺専門の医師の診察を受ける

乳がんの診断には、高度な知識と豊富な経験を持った専門の医師の診察が必要です。そのため、しこりがあるなどの症状があれば、まず専門の医師のいる乳腺科で診てもらいましょう。がん診断のために実施されるのは、視診や触診のほかマンモグラフィー、超音波検査などです。
これらの検査結果で乳がんの疑いが強い場合には、直接細胞組織を採取する針生検を実施して最終的に乳がんの診断を確定します。乳がんと診断された後はリンパ節転移の可能性の有無やがんの種類などを判定し、手術の方法や治療法を決定します。自分の病状に適した治療法を見つけるには、専門の医師による正確な診断と判断が欠かせません。

受診しづらい場合はパートナーと一緒に受診する

男性乳がんの患者さんは女性乳がんの患者さんに比べると少ないため、乳腺科には女性が多く来院していることが少なくありません。男性が乳腺科を受診することを特に気にする必要はありませんが、女性ばかりの環境では気が引けるという方もいるのではないでしょうか。
その場合は、妻や女性のパートナーと一緒に受診するとよいでしょう。女性の患者さんの付き添いで男性が同席しているケースもよくあるため、安心感を得られます。また、配偶者やパートナーにとっても自身の健康状態は重要な要素であり、一緒に受診して結果を共有することは今後の生活を考えるうえで大切です。

男性の乳がんの症状

ここでは、男性乳がんの代表的な3つの症状を解説します。自分と似たような症状があるか確認してみましょう。乳がん治療は早期発見が鍵です。あてはまる症状があれば、一度病院を受診することをおすすめします。

ボタン電池のようなしこり

男性乳がんの代表的な自覚症状は、胸にできたしこりです。女性の乳がんでは乳房の外側付近にできることが多いのに対して、男性の乳がんは乳頭乳輪付近にできます
なぜなら男性の乳腺は、乳輪付近にしか存在しないためです。しこりにはさまざまな種類がありますが、乳がんのしこりはボタン電池のような硬さで、触っても痛みはありません。

乳頭からの出血

男性乳がんの症状のひとつとして、乳頭からの出血や色のついた分泌物が出ることがあります。
分泌物は良性の乳管内乳頭腫による可能性もありますが、乳がんとの関連が疑われる場合、分泌物を採取してその細胞を検査します。また、場合によっては細い針を使って乳管に造影剤を注入し、マンモグラフィーで異常分泌の原因を調べる検査なども行われるでしょう。

乳頭の陥没

乳頭の陥没も乳がんの可能性を示す症状のひとつです。もともと乳頭が陥没している場合は問題ありませんが、最近乳頭が以前とは違う形になり陥没していることに気付いたら要注意です。

男性乳がんで注意すべきポイント

男性乳がんに対する理解度は人によってさまざまですが、今後の対応を誤らないために以下3つのポイントに注意しましょう。日常生活や病院を受診する際の参考にしてください。

乳腺があれば男性でも乳がんになる

男性乳がんの患者数は女性の乳がんよりも少なく、検査体制も女性に比べて充実しているとはいえません。しかし、乳がんの発生個所である乳腺は女性だけでなく男性の胸にも存在するため、乳がんは男性にも起こりうる病気です。
しこりがあると気付いた、または乳頭の様子がいつもと違うなどの症状があるときは、なるべく早く乳腺科で診察を受けることが重要です。

予後不良になりやすい

男性乳がんは女性に比べて患者数が少なく乳がん検診の体制が十分ではないため、がんが進行したタイミングで発見されるケースが多いとされています。そのため、治療の開始が遅れ、予後不良になりやすいともいわれています。乳がんは男性も罹患する病気であるとの認識を持ち、早期発見のための行動を取ることが大切です。

乳房にしこりができても乳がんとは限らない

乳房にしこりができる病気は乳がん以外にも存在します。乳腺線維腺腫や葉状腫瘍などがその一例です。乳がんかほかの疾患かは自分では判断できないため、乳房にしこりなどの異常な症状がある場合には、専門の医師による診断が欠かせません。

男性乳がんと間違われやすい「女性化乳房症」とは

乳腺に関わる疾患のひとつとして、女性化乳房症があります。男性の乳房が、乳腺組織の増殖によって大きくなる病気です。女性化乳房症は乳がんと似たような症状を示しますが、病態や治療法は異なるため、乳がんとの違いについて理解しておくとよいでしょう。

乳腺が腫れてしこりになる

女性化乳房症は乳腺が腫れて肥大する病気であり、原因は女性ホルモンの増加によるものと考えられています。男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが変化し、女性ホルモンが優位になる生理的な要因や摂取している常用薬剤などが原因になることもあります。

思春期・更年期に発症しやすい

乳児期や思春期に乳腺が肥大化することがあります。これはホルモンの作用による一時的な生理現象で、およそ一年で消失することがほとんどです。また、更年期はホルモンバランスが変化する時期であり、男性ホルモンの低下により発症するケースもあります。

「男性乳がんは何科」についてよくある質問

ここまで男性乳がんの症状を紹介しました。ここでは「男性乳がんの受診」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

男性でも乳腺科を受診できますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

もちろん男性も乳腺科を受診できます。女性乳がんの患者さんも乳腺科を受診するため病院は女性の患者さんを多く扱うのが一般的ですが、男性が乳がん専門の医師の診察を受けたい場合も同じ乳腺科を受診しましょう。

どうしても乳腺科の受診に抵抗がある場合は何科を受診しますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

女性が多い乳腺科にどうしても行きたくない場合は、乳がんの診察のほかに一般の外科診療も行っている病院を受診するとよいでしょう。乳がん以外の症状で受診している患者さんもいるので、男性だけで受診しても違和感はありません。

編集部まとめ

乳がんは女性だけの病気ではなく、男性も発症する可能性があります。女性の乳がんと同じく男性も日常生活の中で、常に異常がないか触ったり目視で確認したりすることが大切です。

乳がんの代表的な特徴である乳頭付近のしこり・出血・乳頭陥没などの症状がみられたら、すぐに乳腺科や乳腺外科を受診しましょう。

しこりや乳腺肥大がみられても乳がんとは限らず、ほかの病気と診断される可能性も十分にあります。まずは専門の医師による診察を受けて、適切な治療を受けることが重要です。

「男性乳がん」と関連する病気

「男性乳がん」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

乳腺の病気

乳がん以外でも、男性の乳房にしこりや違和感を覚える病気があります。これらはがんではありませんが自己判断は危険なため、乳腺科や乳腺外科を受診することをおすすめします。

「男性乳がん」と関連する症状

「男性乳がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳輪付近のしこり
  • 乳頭からの出血・異常分泌
  • 乳頭陥没
  • 皮膚潰瘍
  • 腋窩リンパ節腫脹

これらは男性乳がんの症状の一例ですが、ほかの病気の可能性もあります。ひとつでも症状が現れた場合は、正確な病気の診断と適切な治療を始めるために専門の医師を受診しましょう。

この記事の監修医師