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「卵巣がんはエコーでわかる?」検査が必要な症状やなりやすい人の特徴も解説!

 公開日:2023/12/13
「卵巣がんはエコーでわかる?」検査が必要な症状やなりやすい人の特徴も解説!

卵巣がんはエコーでわかるのでしょうか?Medical DOC監修医が卵巣がんの検査方法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

  • ・卵巣がんとは
  • ・卵巣がんはエコーでわかる?
  • ・卵巣がんの検査方法

卵巣がんの検査方法について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣がんは、女性の卵巣に発生するがんです。卵巣は子宮の両脇にあり、卵子の成熟や女性ホルモンの産生などの重要な役割を果たしています。しかし、卵巣がんは初期はほとんど症状が現れないため、早期発見が難しいとされています。

一般的に、卵巣がんの初期症状はわずかで、病気の存在を気付かせることが難しいことがあります。例えば、服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりを感じる、食欲が低下する、といった初期の兆候があるかもしれません。しかし、これらの症状は卵巣がんが進行してから現れることが多いため、注意が必要です。

他にも、頻尿や便秘、足のむくみ、お腹に水が溜まり腹部が膨らむといった症状が進行期に見られることがあります。これらの症状はがんが周囲の臓器や組織に圧迫をかけることによって引き起こされるため、がんが進行している可能性が高いことを示唆しています。

卵巣がんは早期発見が難しく、一般には進行した段階で診断されることが多いとされています。そのため、定期的な健康診断や異常を感じた際には、早めに医療専門家に相談し、適切な検査を受けることが重要です。発見が早ければ、治療の成功率が高まり、生存率も向上することが期待されます。

卵巣がんはエコーでわかる?

卵巣がんの診断について、エコー検査やCT・MRI検査だけでは確定診断が難しいことがあります。最終的ながんの有無を確定するには、組織診断が必要です。このため、卵巣の組織を見るには手術が必要になります。手術を受けなければ診断が難しい状況となります。

卵巣がんの疑いがある場合、内診やエコー検査、CT・MRI検査、腫瘍マーカー検査などのさまざまな検査を組み合わせて行います。これらの検査を通じて、腫瘍の大きさや形状、他の臓器やリンパ節への転移の有無などを評価し、良性か悪性かの推定診断を行います。

この推定診断は、手術方針を決定するために重要です。手術中に腫瘍組織を採取し、それを詳細に検査することで最終的な診断が行われます。卵巣がんの早期発見や診断は難しいことがありますが、適切な検査と医療の提供により、がんの治療と管理が行われることで、患者の健康と生存率の向上が期待されます。

卵巣がんの検査方法

卵巣がんの早期発見は重要ですが、その診断は単純な検査だけでは難しいことが多いとされています。

内診

内診は卵巣がんの診断に重要な役割を果たす検査方法の一つです。この検査では、医師が腟から指を挿入して、子宮や卵巣を触診することでその状態を評価します。一部の場合では、肛門からのアプローチも行われます。内診は、腫瘍の有無や卵巣の腫れ、その他の異常を直接確認するために役立ちます。

内診は一般的に1分程度で終了します。この検査では、卵巣だけでなく子宮も評価されます。検査の精度を高めるために、エコー検査を併用することが一般的です。保険適用外のため、一般的には4,000円程度の費用がかかります。卵巣がんの早期発見に貢献する重要な検査法の一つといえますが、小さな腫瘍は触れても感じにくいため、他の検査との組み合わせが推奨されます。

エコー(超音波)検査

エコー検査は、超音波を用いて臓器の様子を観察する非侵襲的な検査法です。卵巣がんの診断において、腹部超音波検査や経腟超音波検査といったエコー検査が一般的に利用されます。この検査では、超音波を体内に当て、その反射を映像として表示し、卵巣の状態や腫瘍の大きさなどを観察します。

エコー検査は非常に痛みが少なく、容易に受けられます。通常、内診と組み合わせて行われ、診察時間は約5分ほどです。費用は保険適用外で、およそ5000円程度かかります。

ただし、エコー検査でも初期の小さな腫瘍は画面上にはっきりと表示されないことがあり、見落とされる可能性があります。そのため、内診とエコー検査を組み合わせて行うことが多く、より正確な診断に役立ちます。

CT・MRI検査

卵巣がんの診断には、CT検査とMRI検査が一般的に併用されます。CT検査はX線を使用して体の断面を詳細に撮影する検査で、主に卵巣以外の部位やリンパ節への転移を確認するために行われます。一方、MRI検査は磁気と電波を組み合わせて体内の断面を撮影し、腫瘍の広がり、大きさ、性状などを評価します。

CT検査は、症状が既に現れている場合に、より詳細な情報を得るために利用されます。一般的に、卵巣がんの定期的な検診においては、CT検査が最初から行われることはありません。

CT検査はX線を使用するため、放射線被曝のリスクが伴います。検査時間は通常5〜15分で、全身の画像を高精細に撮影できます。また、卵巣がんの転移の有無の確認にも利用されます。

一方、MRI検査は強力な磁石と電波を利用して体の内部の断面を撮影します。MRI検査は骨盤内部を詳細に調べるのに適しており、卵巣と子宮のがんの有無や腫瘍の大きさ、位置を確認するのに役立ちます。

CT検査は被爆のリスクがある一方、MRI検査は被爆がないため危険性は低いとされています。ただし、MRI検査の検査時間は通常15〜45分と長く、費用は保険適用外でおおよそ2万円前後かかります。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、卵巣がんの診断と治療計画に役立つ重要な検査方法の一つです。腫瘍マーカーとは、がん細胞が存在する場合に増加する特定の物質を指します。卵巣がんの場合、CA125やCA19-9といった特定の腫瘍マーカーの値が上昇することがあります。これらのマーカーの検査結果は、治療前と治療後に評価され、診断や治療戦略の決定に役立ちます。

腫瘍マーカー検査は、がん細胞やそれに反応する細胞が産生する特定のタンパク質の量を測定する方法です。尿や血液の採取後、分析装置を使用して腫瘍マーカーのレベルを測定します。この検査は採尿または採血のみで行われ、迅速に結果が得られるため、入院が必要ありません。

腫瘍マーカー検査は、健康診断や人間ドックのオプションとして追加で受けることもできます。卵巣がんの腫瘍マーカー検査の価格は、保険適用外の場合で約2,000円から3,000円程度です。ただし、症状がある場合には保険が適用されることがあります。

卵巣がんの腫瘍マーカーにはCA125やCA19-9が用いられます。

細胞診・組織診

細胞診と組織診は、がん細胞の存在を確認し、その性質を評価するための検査方法です。卵巣がんの場合、細胞診は胸水や腹水から細胞を採取し、組織診は手術時に卵巣の組織を採取して行います。

細胞診では、胸水や腹水を採取するために針を使用し、液体中の細胞を調べます。この検査は卵巣がんの存在や特性を推定するのに役立ちますが、最終的な診断には組織診が必要です。

組織診は、卵巣の組織を手術によって採取し、顕微鏡で細胞の異常やがん細胞の有無を詳細に調べます。術中迅速病理検査と呼ばれる迅速な組織診も行われ、手術の範囲や方針を決定するのに役立ちます。

卵巣がんの確定診断は組織診によって行われます。検査結果が出るまでに2〜3週間かかることがあります。卵巣が深い骨盤内に位置しているため、組織を採取するには手術が必要であり、他の非侵襲的な検査とは異なります。しかし、これらの検査はがんの診断と治療計画に不可欠な情報を提供します。

尿検査

尿検査を使用したがんの診断方法として、マイシグナルという検査キットがあります。この方法では、尿中に存在するマイクロRNAという物質を検査することでがんのリスクを評価します。

尿検査は他の検査より非侵襲的で痛みを伴わず、自宅でも簡単に行えます。検査は数分程度で終わり、がん細胞が特異的に放出するマイクロRNAを測定します。過去のデータから、異なるがんの種類によって尿中のマイクロRNAパターンが異なることが分かっており、これに基づいてがんのリスクを評価します。

マイシグナルは、初期の卵巣がんを高感度で検出するための方法とされています。従来の検査より、がんの早期発見と治療に貢献することが期待されています。

卵巣がんの検査が必要な症状

卵巣がんは初期段階では自覚症状がほとんど現れないため、注意が必要です。以下で解説していきます。

おなかの張りや痛みなどがある

卵巣がんの初期症状はほとんど現れないため、注意が必要です。しかし、病気が進行するとおなかが張ったり、急激な痛みが生じたりすることがあります。腹水がたまることでおなかが膨れ上がり、膀胱への刺激によって頻尿や便秘が起こることもあります。さらに、胃や腸が腫瘍に圧迫されることで食欲が減退することも。これらの症状がある場合、早期発見が重要です。卵巣がんの疑いがあるなら、婦人科を受診し、適切な検査を受けましょう。

家系内に卵巣がんになった人がいる

卵巣がんはおよそ10%が遺伝性とされ、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子の変異がリスクを高めることが知られています。これらの遺伝子変異がある場合、乳がん、卵巣がん(男性の場合、前立腺がん)、膵臓がんの発症リスクが増加します。家族内で特定の症例が見られる場合、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の可能性を検討するべきです。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の特徴には以下の事例が含まれます

  • ・家族内で40歳未満の若い年齢で乳がんが発症した人がいる。
  • ・家族内に複数の乳がん・卵巣がんの発症者が存在する。
  • ・片側の胸が乳がんにかかった後、もう片方の胸が乳がんになったり、卵巣がんが発症したりする人がいる。

これらの事例が家族内で見られる場合、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の可能性が高く、遺伝カウンセリングや婦人科の受診を検討することが重要です。家族歴は早期発見と予防のための重要な手がかりとなります。

卵巣がんになりやすい方

卵巣がんになりやすいとされるリスク要因は多岐にわたります。以下で解説していきます。

10歳未満で初経が来た方

10歳未満で初経(初潮)が訪れる状況は稀ですが、この状態は卵巣がんのリスクを考える際に重要な要因となります。早発性の初経は、女性の卵巣や子宮の発育に影響を及ぼす可能性があります。これにより、卵巣がんの発症リスクが高まるとされています。

一般的に、初経は通常12歳から16歳の間に訪れます。しかし、10歳未満で初経がある場合、家庭や個人の遺伝的な要因、および栄養状態などが関与している可能性があります。早発性の初経は医師の注意を必要とし、定期的な健康チェックや卵巣がんのスクリーニングが勧められることがあります。

卵巣がんのリスク要因は多岐にわたりますが、初経の早さはその一つです。そのため、早発性の初経がある場合、適切な医療ケアと定期的な検査が重要です。

一度も妊娠したことがない方

一度も妊娠したことがない女性は、卵巣がんのリスクに関連する要因の一つとされています。妊娠と出産は、卵巣がんの発症リスクを軽減するとされています。妊娠中と出産時に女性の卵巣が休眠状態になり、卵巣にかかる刺激が減少するため、がんの発症リスクが低くなると考えられています。

そのため、一度も妊娠経験のない女性は、卵巣がんのリスクを考慮する際に注意が必要です。ただし、個人のリスクはさまざまな要因によって影響を受けるため、一度も妊娠していないからといって必ずしも卵巣がんに罹るわけではありません。定期的な健康チェックと医師の指導の下での適切なスクリーニングが重要です。一度も妊娠の経験がない場合でも、早期発見と予防に努めることが大切です。

高齢出産・閉経が遅い方

高齢での出産や閉経が遅いという状態は、卵巣がんのリスクに影響を及ぼす要因の一つとされています。女性が高齢で子供を産む場合、卵巣にかかる刺激が長期間続くため、卵巣ががんを発症する可能性が増加します。また、閉経が遅いと卵巣が休眠状態から抜け出すことが遅れ、卵巣がんのリスクも上昇するとされています。

これらの要因はホルモンのバランスに影響を与え、卵巣がんの発症リスクを高めることがあります。しかし、個人のリスクはさまざまな要因によって影響を受けるため、高齢出産や閉経が遅いからといって必ずしも卵巣がんにかかるわけではありません。

高齢での出産や閉経のタイミングに関する疑念がある場合、医師の診察を受けることをおすすめします。

肥満の方

肥満は卵巣がんのリスク要因の一つとされています。肥満の状態では、脂肪組織が増加し、ホルモンバランスが変化します。特に、脂肪組織から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの量が増え、これが卵巣がんの発症リスクを高める可能性があります。

エストロゲンは卵巣がんの細胞の増殖を促進することが知られており、そのため、肥満によってエストロゲンの過剰分泌が引き起こされると、卵巣がんのリスクが増加すると考えられています。また、肥満は炎症の状態を促進し、慢性的な炎症ががんの発症に関与する可能性も指摘されています。

したがって、肥満の方は卵巣がんのリスクを考慮し、健康的な体重管理や適度な運動を通じて体重をコントロールすることが重要です。また、定期的な健康チェックや医師のアドバイスを受けることで、リスクの早期発見と予防に貢献できます。

卵巣がんの検診について

卵巣がんの早期発見は重要です。以下で、卵巣がんの検診について詳しく解説します。

1年に一度検査しよう

卵巣がんの検診は、基本的には1年に一度の頻度が推奨されています。これにより、早期発見と治療の機会を確保できます。ただし、特に卵巣がんの発症リスクが高いと判断される場合、医師からのアドバイスに従うことも重要です。個々の健康状態や家族歴などを考慮して、適切な検診スケジュールを確立しましょう。卵巣がんの早期発見は治療成功率を高め、健康を守る一環として積極的に検査を受けることが大切です。

痛みを感じることがある

卵巣がんの検査は、その種類によって痛みを感じることがあるかもしれません。例えば、採血の際には針を使用するため、一時的な痛みや違和感を感じることがあります。また、内診も「恥ずかしいから嫌」と感じる人もいます。

しかし、検査方法は複数あり、個人の体調や感受性に合わせて選択できます。痛みを極力感じたくない場合、無理なく受けられる検査方法を医師と相談しましょう痛みの度合いは個人差がありますが、健康を守るために検査を受けることが大切です。

「卵巣がんのエコー検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「卵巣がんのエコー検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんのエコー検査は痛いですか?

馬場 敦志 医師馬場 敦志 医師

卵巣がんのエコー検査は、一般的に痛みを伴いません。エコー検査は非侵襲的な診断方法であり、患者にほとんど不快感を与えません。検査の際には、超音波プローブを腹部に当てるか、膣内に挿入することがありますが、これらのプロセスは通常、痛みや不快感を感じることはありません。

エコー検査は、卵巣の大きさや形状、内部の異常を観察するために使用されます。特に卵巣がんの初期段階を診断するのに役立ちます。

ただし、個々の体験は人によって異なります。痛みや不快感を感じる場合、医療提供者にその旨を伝え、検査の進行に関する質問ができます。痛みを最小限に抑えるために、専門家は患者の快適さを考慮しながら検査を行います。

エコー検査で卵巣がんを確定診断できるのですか?

馬場 敦志 医師馬場 敦志 医師

エコー検査は卵巣がんの確定診断には使用されません。エコー検査は卵巣がんの初期段階の発見や評価に役立つツールですが、最終的な診断には不十分です。卵巣がんの確定診断には、主に細胞診や組織診といった他の検査が必要です。

エコー検査では、超音波を用いて卵巣の大きさ、形状、内部の異常を観察します。これにより、卵巣に腫瘍が存在する可能性や腫瘍の性質についての情報を提供できます。しかし、エコー検査だけではがんの種類やステージを正確に確定することは難しいとされています。

編集部まとめ

ここまで卵巣がんのエコー検査についてお伝えしてきました。
卵巣がんのエコー検査はどのくらいなのかの要点をまとめると以下の通りです。

  • ・卵巣がんは女性の卵巣に発生するがんの一種ですが、初期の段階ではほとんど自覚症状が現れないため、早期発見が難しい。
  • ・卵巣がんの診断について、エコー検査やCT・MRI検査だけでは確定診断は難しいことがある。
  • ・卵巣がんは、「内診」「エコー(超音波)検査」「CT・MRI検査」「腫瘍マーカー検査」「尿検査」などの検査方法がある。

「卵巣がん」で考えられる病気と特徴

「卵巣がん」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

上記は卵巣がんの早期発見や予防に役立ちます。定期的な健康診断や家族歴の確認、健康的な生活習慣の維持が重要です。また、リスクの高い個人は遺伝カウンセリングや遺伝子検査を検討することもあります。卵巣がんの早期発見は治療の成功率を高める鍵となります。

「卵巣がん」と関連する症状

「卵巣がん」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • おなかの不快感
  • おなかの痛み
  • 腹水
  • 食欲不振

これらの症状が一般的な健康問題と重なることがあるため、注意深い医師の評価と検査が必要です。卵巣がんの早期発見は治療の成功率を高めるため、症状が現れた場合は早急な医療相談が重要です。

この記事の監修医師