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「歯肉がんの症状」はご存知ですか?早期発見のポイントや治療法も解説!

 更新日:2023/11/14
「歯肉がんの症状」はご存知ですか?早期発見のポイントや治療法も解説!

歯肉がんは口腔内に発生するがんの1種です。口腔内に発生した場合でも、むし歯・歯周炎といった症状を連想し、がんの可能性を見落とす方は珍しくありません。

そのため口腔内の変化を感じた場合、歯科医院で症状が改善しない場合は、他の可能性を考え耳鼻咽喉科・専門外来での検査を受けることが重要です。

今回は歯肉がんの症状・治療法・早期発見のポイントについて解説していきます。

坪光 玄義

監修歯科医師
坪光 玄義(歯科医師)

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鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

歯肉がんとは?

歯肉がんとは、口腔がんの1種で歯茎に発生するがんを指します。口腔がんはがん全体の約2%を占めており、最も多い口腔がんは舌(ぜつ)がんです。
歯肉がんは舌がんの次に多く発症が確認されています。口腔に発生するがんは加齢とともに発症率が高まるといわれており、定期的な検査による早期発見が重要です。ここからは、歯肉がんについて解説していきます。

上下の歯肉にできるがん

歯肉がんは、口腔内の歯茎にがん腫が発生するのが特徴です。歯肉がんは上皮性(じょうひせい)組織に発生するがんで、大部分は口内の粘膜に悪性腫瘍が発生します。
発症の原因として、飲酒・喫煙は発症のリスクが高まると考えられています。また白板症と呼ばれる、擦っても取れない白い病変の発生は、悪性化しがんに変異する可能性が高く注意が必要です。

臼歯部によくみられる

歯肉がんの発症が高いと考えられている箇所は、下顎の臼歯と呼ばれる一番奥に存在する歯の周辺です。臼歯周辺に歯肉がんが多い理由として、喫煙・飲酒に加え刺激が入りやすく、細胞へのダメージが他の歯より大きいためだと考えられています。
口腔がんの発症者の約80%が50代以上ですが、まれに若年層での発症も確認されています。気になる症状が現れたら、耳鼻咽喉科の診察を受けましょう。

歯肉がんの症状は?

この病気の症状は、歯周病・口内炎に近いことが特徴です。そのため見過ごしてしまう方は珍しくありません。
ただ歯肉がんは放置し悪化すると、治療が完了しても発声に障害がでる可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。ここからは歯肉がんの症状について解説していきます。

歯がぐらぐらする

歯肉がんを発症すると、歯茎によって支えられていた歯がぐらぐらと動くようになります。この歯が動くことを動揺と呼び、歯周病をはじめとする口腔に発生する病気の初期症状として代表的なものです。
放置しておくとがんの進行が進むだけでなく、動揺も進行し最悪の場合抜歯が必要となります。奥歯は噛み合わせ・発声・表情筋に影響を与えるため、普段から気を配りましょう。

歯茎が腫れる

歯周炎・歯周病のように、発症すると歯茎の腫れが発生します。初期の歯茎の腫れから強い痛みを感じるケースはまれです。歯周炎の場合は進行すると出血・歯槽骨の吸収などが発生します。
歯肉がんの場合は腫れが大きくなる・表面がひび割れた状態で盛り上がるなど、通常の歯周炎と進行が異なるのが特徴です。歯茎の腫れがこれまでと異なると感じた場合、速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

歯茎から出血する

歯茎からの出血は初期症状では起こりません。症状が進行し歯茎の腫れ・隆起が確認できるようになると、それに比例して出血も発生します。
歯肉がんを発症した場合、出血以外に粘膜がただれる・斑点などが現れるのが歯周炎と異なる点です。特に斑点はセルフチェックでは見過ごしやすいため、注意しましょう。
また食事中に噛みにくいと感じるだけでなく、飲み込みにくさを感じる方は少なくありません。この食事中の違和感は歯周炎と大きく異なる特徴です。普段の食事に不便さを感じたら歯科医院・耳鼻咽喉科などを受診しましょう。

歯肉に口内炎のようなものができる

これまで解説してきたように、口内の粘膜にさまざまな症状が発生するため口内炎が出来ただけと誤認する方は珍しくありません。
しかし見た目だけで歯肉がん・口内炎を見分けるのは非常に困難です。そのため、発症してから完治に時間が掛かっている場合、口内炎以外の発症を疑ってみましょう。
具体的には、2週間以上口腔内の症状が治まらない際は、耳鼻咽喉科にて検査を受けるようにしましょう。

歯肉がんの治療法

歯肉がんに限らず、口腔がんは手術による治療が第1選択となります。しかし歯肉がんが進行している場合、外科手術による切除は噛み合わせ・発声など術後リスクを考慮しなければなりません
そのため放射線治療・抗がん剤を併用し、がんの進行を食い止める・小さくする治療を行うこともあります。放射線治療は外部から放射線を当てる治療法と、小線源治療の2種類が存在します。
小線源治療とは小さな放射性物質を挿入し、がん細胞を殺傷する治療法です。放射線治療・抗がん剤治療どちらも治療を行う際に制限があるため、どの症例でも選択できるわけではないことに注意しておきましょう。

歯肉がんの早期発見のポイントは?

歯肉がんは歯周炎・口内炎といった口内疾患と初期症状が似ているため、気づいても放置して進行してしまう方は珍しくありません。
早期発見のポイントとなるのは症状の発生を認識してから、完治までに時間が掛かっているか・斑点が発生していないか・腫れにしこりがあるかなどです。
そのため歯周炎・口内炎が、セルフケアを行っているにも関わらず完治しない・進行していると気づいた場合は、口腔外科・耳鼻咽喉科を受診しましょう。気になる不調を放置しないことが、早期発見に重要です。

そのほかの口腔がんの種類

口腔がんは舌・歯茎・粘膜・唇などさまざまな部分に発生します。発生箇所次第では発声や咀嚼といった口腔機能に悪影響を与えるため、早期治療が重要です。ここからはその他の口腔がんの種類・症状について解説していきます。

舌がん

舌がんは舌のふちに出来ることの多いがんです。初期症状は舌のふちが白・赤に変色する程度にとどまるため、代表的な口腔がんでありながら早期発見が難しいのが特徴です。
進行すると、炎症から傷が抉れたようになる潰瘍・しこりが発生します。これらの症状が出ると痛みを伴うため、発症を自覚する方は少なくありません。治療は切除手術・放射線治療が一般的です。
がんが広範囲に広がっている場合は、患者の皮膚・筋肉を移植し機能を回復する手術を行います。

口腔底がん

口腔底がんは舌と歯茎の間に存在する、くぼんでいる部分に発生するがんです。初期症状は舌がんと同様に白・赤に変色が見られるだけですが、進行すると口腔内に出血が発生します。
発生箇所が歯茎に近いこともあり、進行状態によっては舌・歯茎・顎の骨の切除も視野に入るため、早期発見が重要です。

頬粘膜がん

頬粘膜がんは、頬の内側に存在する粘膜に発生するがんです。初期症状は舌がんと同じく白・赤色に変色が見られ、進行するとしこり・しこりからの出血が発生します。
一見すると口内炎と同様ですが、上記の症状の改善が遅いことや、口が開きにくくなるなど異なる点が複数存在します。
進行した場合頬の皮膚・筋肉だけでなく、骨を移植する場合もあるため早期発見が重要です。

口蓋がん

口蓋(こうがい)がんとは、喉に近い柔らかい部分の軟口蓋・前歯に近い硬い部分の硬口蓋に発症するがんです。進行につれて痛みが強くなるのが特徴ですが、最初の痛みはピリピリとした痒みに近いという特徴があります。
見た目の変化はないがピリピリとした痒みを感じる場合は、耳鼻咽喉科での検査を検討してみましょう。

口唇がん

口唇(こうしん)がんは唇の粘膜に発生するがんです。初期症状は頬粘膜がんと同様に白・赤色の変色ですが、進行すると粘膜がただれる・しこりが生まれるなど症状が変化します。
症状が進行した場合、再建手術も並行して行う必要があるため、早期発見を心掛けましょう。

編集部まとめ

今回は歯肉がんについて解説してきました。歯肉がんは歯肉炎・歯周病と誤認しやすい症状のため、進行してから発覚することは珍しくありません。

外科手術・放射線治療などで完治は可能ですが、治療が遅れると歯・発声など口腔内にさまざまな悪影響が発生します。

口内ケアをしているにもかかわらず、口腔内の環境が改善しない場合は、一度耳鼻咽喉科で検査を受けてみましょう。

歯肉がんと関連する病気

「歯肉がん」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

歯肉がんは前がん病変として白板症・紅板症など、口内に斑点が発生する口腔粘膜疾患が現れます。鏡で口内を確認する・歯科医院で定期検診を受けるなど、口内環境の変化に気を配りましょう。
歯肉がんは口腔がんの1種ですが、確定診断には病理検査が欠かせないため症状を自覚したら、速やかに検査を受けることが重要です。

歯肉がんと関連する症状

「歯肉がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 歯茎から血が出る
  • 歯茎が盛り上がる
  • 粘膜に斑点が現れる
  • 歯がグラグラする

歯肉がんは周囲炎・歯周病と症状が似ていることが特徴です。そのため症状が発生しても軽く考え、治療が遅くなるケースは少なくありません。
治療が遅れると歯の喪失・発声障害・嚥下障害など、口内の働きに悪影響を与えます。症状を自覚した場合、速やかに検査を受けましょう。

この記事の監修歯科医師