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「脳幹出血の余命」はご存知ですか?そ寝たきりになった場合の余命も解説!

 公開日:2026/01/20
「脳幹出血の余命」はご存知ですか?そ寝たきりになった場合の余命も解説!

脳幹出血の余命とは?Medical DOC監修医が脳幹出血の余命や症状・原因・検査法・治療法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

「脳幹出血」とは?

脳幹出血は、脳の中心部にある「脳幹」で起こる脳内出血です。脳幹は中脳・橋・延髄の3つの部分からなり、呼吸や血圧調整など生命維持に不可欠な働きを担います。
脳出血全体の約5~10%とまれですが、重要な神経が集中しているため、小さな出血でも命に関わる重い症状が出やすいのが特徴です。主な原因は高血圧による脳動脈の破裂です。
症状は、軽い出血なら麻痺や嚥下(えんげ)困難など神経症状が現れます。大量の出血では、突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害、重度の呼吸障害に陥り、命の危機に直面することもあります。
脳幹出血は、脳卒中の中でも特に重篤で、発症から急速に容体が悪化するケースが多い。

脳幹出血の余命

脳幹出血は予後(病気の見通し)が非常に厳しく、正確な余命データは少ないものの、生存率は低い傾向にあります。生命維持に不可欠な脳幹の機能を担うため、重篤な場合は発症後数時間から数日で命を落とすケースも少なくありません。
脳幹出血を含む「脳出血全体」の平均余命は約12年です。生存率調査では、1年生存率約38%、5年生存率約24%、10年生存率約24.1%との報告があります。
ただし、これらの生存率は、年齢、出血量、発症時の意識状態、合併症の有無、医療体制など多くの要因で変わります。特に若い方(50歳以下)は高齢者(70歳以上)より5年生存率が高い傾向にあります。高齢者は回復力が低く、持病を抱えることが多いためです。
残念ながら、脳幹出血から完全に元通りに回復(完治)できるケースは多くありません。発症から3ヶ月後に良好な回復が見られたのは約6.1%にとどまり、半数以上が亡くなったデータもあります。ごく軽い出血で重要な機能へのダメージが少ない場合は、リハビリ次第で後遺症がほとんど残らない可能性もありますが、多くは運動麻痺や嚥下障害など何らかの後遺症が残り、社会復帰が難しいと言われています。

脳幹出血で寝たきりになった場合の余命

脳幹出血で重い後遺症が残り寝たきりになった場合、健康な方に比べて寿命は短くなる傾向があります。
脳卒中全体のデータでは、重度要介護状態(寝たきり)の方の平均余命は、50代で約7~9年、60代で約5~7年、70代で約3~5年、80代で約2~3年です。
脳幹出血でも、寝たきりになるほどの重症例では、誤嚥性肺炎や尿路感染症などの合併症リスクが高く、平均より短い余命となる傾向があり、完治は極めて困難です。
脳幹の重度障害により、自力で起き上がれず、意思疎通が難しい状態になった場合、神経細胞の損傷は元に戻らないことが多く、基本的に介護や医療的ケアが続きます。長期の寝たきりは、健康な人に比べ平均余命が約1/4程度に短縮するという報告もあります。リハビリや看護・介護で機能改善や合併症予防は可能ですが、完全に元に戻ることは期待しづらいのが現実です。ご家族は、誤嚥性肺炎や褥瘡(床ずれ)の予防、拘縮(関節が固まること)予防など、できる範囲でケアを続け、患者さんの状態を安定させ生活の質を保つことが目標となります。

脳幹出血で手術ができない場合の余命

脳幹出血は、脳幹が生命維持に不可欠な機能が集中する部位であるため、原則として血腫(出血した血液の塊)を取り除く外科手術は行われません。これは、脳幹が脳の非常に深い場所にあり、手術によるアプローチが困難なこと、そして血腫を取り除く操作自体が、周囲の重要な神経組織をさらに損傷させ、かえって状態を悪化させるリスクが非常に高いためです。出血で破壊された脳の神経ネットワークは、血腫を取り除いても回復しないと考えられています。
そのため、脳幹出血は手術をしない「保存的治療」が一般的です。手術ができない場合の余命についても、これまでに説明した通りです。

脳幹出血の代表的な症状や特徴

脳幹は生命維持に不可欠な機能が集中しているため、脳幹出血は突然発症し、非常に重い症状が現れることが多いです。少量出血でも意識障害や両手足の麻痺が生じることがあります。突然死につながる可能性もあるため、以下のような症状には注意が必要です。
病院以外での処置には限りがありますが、もし倒れて吐いており、呼吸がしづらそうな場合は、横向きに寝かせ、吐いたもので窒息しない姿勢にしてください。すみやかに救急車を呼び、脳神経外科か神経内科がある救急病院へ搬送してもらいましょう。

意識状態の悪化

脳幹出血では、突然**呼びかけに反応しなくなったり、意味のある応答ができなくなったりする「意識障害」が見られます。軽度から、呼びかけても全く反応がない重篤な意識障害(昏睡など)まで、出血量や部位によって様々です。
脳幹には意識を保つための網様体賦活系という領域があり、大出血でここが障害されると深い昏睡状態に陥るため、出血量が多い場合に意識障害が急速に進行します。

呼吸の障害

脳幹出血では、呼吸をコントロールする中枢(呼吸中枢)にも影響が及ぶため、異常な呼吸や呼吸の停止、いびきなどが生じることがあります。
具体的には、呼吸が浅く速くなったり、不規則になったり、自分で呼吸ができなくなる(自発呼吸の停止)こともあります。顔色が急に悪くなり、呼吸音がおかしい場合、普段いびきをかかない人が急に大きないびきをかき始めたら要注意です。
もし呼吸が止まっている場合には、直ちに心肺蘇生法を開始するのが望ましいですが、まずは救急車を要請し、救急隊からの指示を仰ぎながら可能な範囲で対応してください。

手足の麻痺

脳幹には、手足を動かすための重要な神経の通り道(錐体路など)が通っているため、出血によって手足の麻痺が生じます。特徴的なのは、出血が橋(脳幹の真ん中の部分)に及ぶと左右両方の手足が麻痺してしまい、「四肢麻痺」となることです。出血が小さく片側だけなら、片側の手足が麻痺することもあります。麻痺の程度は、軽い力の入りにくさから、全く動かせない状態まで様々です。

激しい頭痛・嘔吐

脳内出血ではしばしば激しい頭痛や吐き気・嘔吐が起こります。脳幹出血でも、特に発症直後に「今まで経験したことのない激しい頭痛」や突然の吐き気に襲われることがあります。これは出血による急激な脳圧(脳の中の圧力)の上昇や、くも膜下腔(脳の周りの空間)への血液の漏れによる頭痛と考えられます。意識がはっきりしている段階では、患者さんは頭を抱えてうずくまり嘔吐することが多いです。

脳神経症状

脳幹には、眼の動きや顔・喉の筋肉を動かす「脳神経」の中枢が数多く存在するため、小さな出血でもこれらに対応する症状が現れます。代表的なものとしては、複視(ものが二重に見えること)、顔面神経麻痺(顔の片側が動かない)、嚥下障害(食べ物・飲み物が飲み込みにくいこと)などです。他にも、難聴、発声障害、激しいめまいなど、様々な症状が組み合わさって現れることがあります。

脳幹出血の主な原因

高血圧

脳幹出血の最大の原因は高血圧です。長年の高血圧で脳の細い動脈の壁が動脈硬化(血管が硬くなること)でもろくなり、脳幹部へ栄養を送る小さな動脈が破裂して出血が起こります。高血圧性の脳出血は、塩分の摂りすぎな食生活や喫煙など、生活習慣の影響が大きいです。
高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれ、自覚症状なく進行します。ある日突然、脳出血として発症し、頭痛・麻痺・意識障害など急な症状が出ます。
日頃から血圧が高めと言われる方は、発症前に内科(循環器内科)で治療を受けてください。脳出血を起こしてしまった場合は、脳神経外科の治療領域です。
高血圧の方で頭痛や神経症状が現れたら、ためらわず救急車を呼びましょう。慢性的な高血圧は、日頃からの管理が肝心で、定期受診と薬の服用を怠らないようにしましょう。

脳動静脈奇形

生まれつき脳内の動脈と静脈が異常な塊(ナイダス)を形成している脳動静脈奇形は、若い方の脳出血の重要な原因です。高血圧とは異なり、血管の構造異常で、20~40代で初めて脳幹出血を起こすことがあります。症状がない場合もありますが、出血すると突然の麻痺や意識障害を引き起こします。出血しなくても、てんかん発作を起こしたり、慢性的な頭痛を呈することもあります。疑われる場合は脳神経外科を受診します。MRIや血管造影検査で診断が可能です。一度出血していれば緊急性が高いですが、未出血の場合でも、将来的な出血リスクがあるため、計画的な治療が検討されます。脳幹部の脳動静脈奇形は、部位によっては手術や放射線治療でナイダスを閉塞させる治療が行われることもあります。

海綿状血管腫

海綿状血管腫は、血管がコブ状にまとまった良性の血管の塊で、脳幹にも発生することがあります。一般に、脳幹の海綿状血管腫は、家族内で発生する例もあり、比較的若い段階で小さな出血を繰り返す傾向があります。少量の出血を繰り返すと、徐々に麻痺や嚥下障害など神経症状が蓄積することがあります。

抗凝固療法・血液凝固異常

心房細動などで抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を飲んでいる方や、血友病などの凝固障害がある方では、脳内出血のリスクが高まります。血液が固まりにくいため、少しの血管の損傷でも大出血につながりやすいからです。
抗凝固薬を服用中に脳出血を起こすと、出血量が多くなる傾向があり、頭蓋内圧(頭の中の圧力)が急激に上昇するため、重篤になりがちです。また、外傷後に普通なら起こらないような脳出血が起きることもあります。
基礎疾患の治療で循環器内科や血液内科にかかっているはずなので、処方医に脳出血リスクについて相談しましょう。必要に応じて薬の調整や血圧管理が行われます。
抗凝固薬を服用中に頭を打った場合や、少しでも神経症状が出た場合は、念のため救急受診してください。出血が疑われる場合、薬の効果を打ち消す治療(ビタミンKや凝固因子製剤の投与など)を早急に行う必要があります。

脳幹出血になりやすい人の特徴

中高年の男性

脳幹出血を含む脳出血は、60代をピークに発症が多くなります。特に男性は60代で発症数が最も多く、女性も60~70代がピークです。これは、年齢を重ねるにつれて高血圧や動脈硬化にかかる人が増えるためです。実際に、高血圧になる人は、男性では中年期から増え始め、女性も閉経後に増えてきます。体型としては、内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)の方は、高血圧や糖尿病を合併しやすく、脳出血のリスクが高まります。一方、痩せ型でも長年の喫煙や塩分の摂りすぎなどで高血圧になればリスクは上がります。発症しやすい生活習慣として、高血圧を放置している人、自己判断で血圧を下げる薬(降圧薬)を中断している人は要注意です。こうした方は脳出血になりやすい人と言えます。高血圧を予防・治療することが、脳卒中予防に直結します。

塩分過多・多量飲酒・喫煙習慣がある

生活習慣の中でも、高塩分食、過度の飲酒、喫煙は脳出血のリスクを大きく高めます。塩分摂取が多い人は高血圧になりやすく、結果として脳の小動脈が破れやすくなります。また1日のアルコール摂取量が日本酒換算で3合以上(ビール大瓶2本弱相当)を常に飲む男性では、全く飲まない人に比べ脳卒中の発症リスクが約2倍に高まるとの研究があります。女性でも1日2合以上の多量飲酒でリスクが1.5~2倍に上昇します。喫煙も脳出血を含む脳卒中全般の強い危険因子で、吸っている人は吸わない人の2~3倍発症しやすいことが分かっています。以上より「塩辛い食事が好き」「お酒を浴びるように飲む」「タバコが手放せない」という方は脳幹出血になりやすいタイプと言えます。なりにくい人の特徴としては、減塩を心がけ適量の飲酒に留め、さらに禁煙している人です。喫煙をやめると2~4年で脳卒中リスクが明確に下がることもわかっています

脳幹出血の検査法

CT検査

脳幹出血が疑われる場合、まず頭部CT検査を行います。CTはX線を使った輪切り撮影で、脳内の出血は白く鮮明に写るため、緊急診断に適しています。発症直後から血腫(血の塊)を簡単に見つけられ、その形や位置から出血の広がりも把握できます。救急外来では、CTにより数分で診断が下され、そのまま治療方針につながります。撮影は数分で痛みもなく、体への負担も少ないです。脳幹出血と診断されれば、基本的にその日のうちに入院となり、集中治療が開始されます。重症度によりICU(集中治療室)に収容され、容体が安定するまで24時間体制で監視されます。脳卒中全体の平均入院期間は約77日と報告されており、リハビリを含め数ヶ月の入院になることも珍しくありません。脳幹出血の場合も、後遺症の程度によっては長期の入院治療・リハビリが必要です。

MRI検査

MRI検査も脳幹出血の診断・評価に有用です。CTが迅速な出血検出に優れる一方、MRIは脳の柔らかい部分の詳細な評価に適しています。脳幹の細かな構造や、小さな血腫、過去のわずかな出血痕、血管奇形の有無などを確認するため、状態が落ち着いた後にMRI検査が行われます。特に、海綿状血管腫などはMRIで特徴的な画像を示すため、原因検索目的で撮影されます。検査時間は20~30分程度かかります。

血管造影検査

脳幹出血の原因として高血圧以外の原因が疑われる場合、造影剤を用いた造影CT検査や、必要に応じてカテーテルを用いた脳血管撮影検査を実施します。これにより、脳幹部の海綿状血管腫や動静脈奇形など、血管の異常がないか詳しく調べることができます。脳血管撮影検査は脳神経外科あるいは放射線科で行われることが多いです。局所麻酔のもと、足の付け根などから細いカテーテルを動脈内に挿入し、脳の血管に造影剤を流してX線撮影します。カテーテル検査は原則として数日間の入院が必要です。

脳幹出血の治療法

集中治療

脳幹出血の基本的な治療は、内科的な集中治療です。具体的には、高血圧があれば、速やかに降圧薬(血圧を下げる薬)でコントロールし、脳の浮腫(むくみ)に対しては、浸透圧利尿薬(むくみを取る薬)やステロイドで対処します。また、出血により呼吸や循環が不安定になるため、必要に応じて輸血や強心薬、気管に管を入れる気管挿管と人工呼吸管理を行います。意識が悪く自分で呼吸することが難しい場合は気管挿管を行い、長期化しそうなら気管切開をして管理します。加えて、血糖値や体温の管理、脳圧を下げる薬の使用など、全身と脳の両面からの集中的なケアが行われます。

手術治療

脳幹は脳の深いところにあり、生命維持に重要な機能がぎっしり詰まっているため、外科手術による積極的な治療は限られています。一般的に、脳幹出血で頭を開けて(開頭手術)血の塊を取り除いても、周りの脳を傷つけるリスクが高く、それに見合うだけの効果が得にくいと考えられています。そのため、ほとんどの場合は手術せず、内科的な治療(薬などで全身状態を管理する治療)に徹します。
ただし、例外的に、脳の脳室(脳の中にある液体がたまる空間)に出血が広がって「水頭症」という状態になっている場合は、「脳室ドレナージ術」を行うことがあります。これは、頭に細い管を入れて、溜まった血液と脳脊髄液(脳の周りを満たしている液体)を体の外に出す処置です。
また、出血の原因が脳動静脈奇形や腫瘍であった場合、命の危険がある時期(急性期)を乗り越えた後に、それらの原因となっている病気に対する手術や治療(摘出術やガンマナイフ、腫瘍の治療など)を検討します。手術が必要と判断されれば、脳神経外科医が担当します。脳幹出血そのものは緊急の病気ですが、手術治療については患者さんの状態を慎重に見極めてから選択されます。基本的に脳幹出血では「手術できないケースが多い」ことを頭に入れておき、手術後も重い後遺症が残る可能性があることを理解しておく必要があります。

リハビリテーション(リハビリ)治療

脳幹出血の緊急時の治療が終わった後は、体の機能を回復させるための「リハビリ」が非常に重要です。重い後遺症が残る可能性が高いため、少しでも麻痺や嚥下障害(食べ物・飲み物をうまく飲み込めなくなること)などを改善し、日常生活動作(着替えや食事など)を向上させる目的でリハビリ計画が立てられます。
リハビリは大きく、急性期・回復期・維持期に分けて行われます。
・急性期(発症から数週間):ベッド上で関節が固まらないように、介助者が動かす「他動運動」や、体の向きを変える「体位変換」、嚥下訓練などを始めます。意識がはっきりしてくれば、座る練習や、立ち上がったり歩いたりする練習も、病状に応じて早い段階から始めます。最近の研究では、発症早期からリハビリを開始した患者さんの方が、その後の経過や後遺症の改善が良好であることが示されています。
・回復期(発症から1~6ヶ月):専門のリハビリ病棟で集中的に、理学療法(運動機能の回復)、作業療法(日常生活動作の改善)、言語療法(言葉や飲み込みの機能の回復)を行い、生活動作を自分でできるようになることを目指します。
・維持期(発症から6ヶ月以降):自宅や病院の外来でリハビリを続け、機能の維持と再発予防に努めます。
緊急の治療後、患者さんの状態が安定したら、回復期のリハビリ病棟への転院を検討します。リハビリそのものは緊急の処置ではありませんが、「いつ始めるか」が重要です。できる限り早い段階からリハビリを開始することで、機能回復の可能性を最大限に高められるとされています。

脳幹出血を予防する方法

血圧コントロール

脳幹出血を含む脳出血の予防には、高血圧の予防・治療が何よりも重要です。高血圧がなければ、脳出血はかなり防げると言われるほどで、実際に健康診断で高血圧を早期に発見し、適切な治療を行うことで脳卒中の発症が減少することが証明されています。具体的には、家庭で測る血圧で130/80mmHg未満(65歳未満の方は125/75mmHg未満)を目標に管理すると良いでしょう。血圧管理には、減塩や適切な体重の維持、ストレスの軽減も有効です。必要に応じて内科で降圧薬を処方してもらい、長期にわたり血圧をコントロールしましょう。

禁煙、節酒

タバコとお酒は、いずれも脳卒中の危険因子です。喫煙は脳出血だけでなく、脳梗塞やくも膜下出血も含めた発症リスクを2~3倍に高めます。禁煙すると、2~4年かかりますが、確実にリスクが低下します。できるだけ早く禁煙し、受動喫煙(たばこを吸わない人が他人のたばこの煙を吸うこと)も避けましょう。
また、過度の飲酒は脳出血の大きなリスクです。アルコール摂取60g(日本酒2合半相当)を超える習慣的な飲酒者では、脳梗塞のリスクが約1.7倍、脳出血のリスクは約2.2倍になるとの研究報告があります。適度な飲酒量(日本酒1合程度まで)なら脳卒中リスクを下げる傾向も報告されていますが、「適度」の範囲を超えないよう注意が必要です。一般的には、男性で1日2合、女性で1日1合以下に留めるのが無難です。それ以上飲む習慣がある方は、お酒の量を減らすことや、お酒をやめることを検討してください。

食事改善と適度な運動

日々の食生活と運動習慣も、脳幹出血の予防に直結します。まず食事では減塩が最も重要です。食塩摂取量が多い人ほど脳卒中発症率が高く、最も塩分摂取が多いグループは、少ないグループの1.5倍以上も発症リスクがあったとの研究があります。和食中心の方でも、醤油や漬物の量を見直し、一日6g未満の塩分摂取を目標にしましょう。また、野菜や果物、乳製品を積極的に摂ることも有用です。野菜や果物に多いカリウムには血圧を下げる作用があり、摂取量が多い人は脳卒中リスクが約20%低下するとのデータがあります。
次に運動ですが、適度な有酸素運動は、血圧・血糖の改善や肥満解消に効果的です。週に150分程度の中程度の強度の運動(速歩や軽いジョギング、水泳など)を継続すると、高血圧や糖尿病の予防につながります。無理のない範囲で日常的に体を動かし、筋力維持も図りましょう。ただし、重いものを持つなど、瞬間的に血圧が上がる動作は控え、運動中も水分と休息を適宜とってください。バランスの良い食事と運動によって生活習慣病を遠ざけることが、結果的に脳幹出血の予防に直結します。

「脳幹出血の余命」についてよくある質問

ここまで脳幹出血の余命などを紹介しました。ここでは「脳幹出血の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脳幹出血を発症すると何年生きられるのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳幹出血の余命は、出血の重症度、出血量、発症時の意識の状態、年齢、合併症の有無など、多くの要因によって大きく異なります。そのため、一概に「何年生きられる」と断定することは非常に難しいです。
一般的に、脳幹出血は生命維持に不可欠な脳幹の機能を障害するため、重篤な場合は発症後数時間から数日で命を落とすケースも少なくありません。しかし、出血量が少なく、意識障害も軽度な「軽症」の場合であれば、命が助かり、その後のリハビリによって機能回復を目指せる可能性もあります。
脳幹出血を含む脳出血全体の平均余命は、約12年程度と報告されていますが、これはあくまで統計的な平均値であり、個々の患者さんの状況によって大きく変動することを理解しておく必要があります。

脳幹出血の5年生存率を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳幹出血に限定した5年生存率の明確なデータは限られていますが、脳幹出血を含む「脳出血全体」の5年生存率は、約24%という報告があります。
この数字は、脳出血を発症した患者さんの半数以上が発症から5年の間に亡くなる可能性が高いことを示唆しており、脳幹出血が非常に重篤な疾患であることを裏付けています。
ただし、この生存率は、患者さんの発症時の意識レベル、出血量、年齢、合併症の有無、治療開始までの時間、その後のリハビリや全身管理の質など、多くの要因に左右されます。特に、若い方(50歳以下)は高齢者(70歳以上)よりも5年生存率が高い傾向にあることが示されています。また、発症時の意識レベルが重度であるほど、死亡リスクは著しく高まります。

まとめ

脳幹出血は、脳の生命維持に不可欠な中枢機能が集中する「脳幹」で起こる非常に重篤な病気であり、わずかな出血でも命に関わったり、重い後遺症を残したりする可能性が高い病気です。その余命は、出血の重症度、発症時の意識状態、出血量、年齢など多くの要因に左右され、特に重症例では予後が厳しいのが現実です。手術が原則として行われないため、治療の中心は、血圧管理や脳のむくみ(脳浮腫)の予防といった手術をしない治療(保存的治療)となります。

脳幹出血は確かに厳しい予後を持つ病気ですが、その事実だけを強調すると、患者さんやご家族に絶望感を与える可能性があります。しかし、決して回復の見込みがゼロというわけではありません。命が助かった場合、早期からの専門的なリハビリテーションは、機能回復を促し、寝たきり状態を回避し、生活の質を向上させるために極めて重要です。近年では、再生医療のような新しい治療法も、回復の可能性を広げるものとして期待されています。
最も重要なのは、脳幹出血の予防、そして万が一症状が現れた場合の早期発見と迅速な対応です。

「脳幹出血」と関連する病気

「脳幹出血」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系

内科の病気

  • 高血圧症

脳幹出血の原因となるのは脳血管の異常や、高血圧といった生活習慣病が深く関わっています。

「脳幹出血」と関連する症状

「脳幹出血」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 激しい頭痛
  • 呼びかけに反応しなくなる
  • 片側の手足の力が入らなくなる
  • 片側の手足のしびれる
  • ろれつが回らない
  • 言葉がはっきりしない
  • 飲み込みづらい
  • 食べるとむせる

これらの症状が急に出現した場合は、脳卒中の可能性があるため救急車を要請し、病院を受診するようにしてください。

この記事の監修医師