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「パーキンソン病になりやすい生活パターン」はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/08/15
「パーキンソン病になりやすい生活パターン」はご存知ですか?医師が徹底解説!

パーキンソン病になりやすい生活パターンとは?Medical DOC監修医がパーキンソン病になりやすい人の特徴・性格・初期症状・原因・セルフチェック法・予防法などを解説します。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

プロフィールをもっと見る
熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「パーキンソン病」とは?

パーキンソン病は、徐々に進行する神経変性疾患です。手足の震え(振戦)、動作の遅れ(動作緩慢)、筋肉の緊張が強く、うまく力が抜けない(筋強剛または筋固縮)、バランスがとりづらくなる(姿勢保持障害)などの症状が現れます。特に中高年の発症が多いことが特徴です。この記事では、パーキンソン病のリスクを高める生活習慣や、発症しやすい人の特徴・性格、初期症状、原因について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

パーキンソン病になりやすい人の生活パターン

パーキンソン病の発症リスクと生活習慣の関係について、多くの研究が行われています。以下に、パーキンソン病のリスクを高める可能性のある生活習慣を紹介します。

農薬に長期間さらされている

複数の研究で、パラコートやロテノン、有機リン化合物などの農薬の長期使用が、パーキンソン病の発症リスクを増加させることが示されています。
ただし、現在では食物からの摂取量では特に問題はなく、農家を職業とする方でリスクとなる、という見解が持たれています。そのため、一消費者の方では特別に心配する必要はないでしょう。

運動不足

(本文内容)
・発症しやすい生活習慣
運動が不足していることがパーキンソン病のリスクを増加させるとされています。中程度[隆神1] [香木2] 以上の運動を行うことで、パーキンソン病のリスクが低減することが示されています。中程度の運動の例としては、卓球、野球、ボウリング、ゴルフ、あるいは歩行や早歩き・自転車に乗ることなどがあります。毎日1時間、時速5kmで歩くことで、パーキンソン病になるリスクが50%減少するとの研究結果があります。

慢性的な不眠症

慢性の不眠症もパーキンソン病のリスクを高める要因とされています。3か月以上続く不眠症がある場合、37%もパーキンソン病のリスクが高まることが研究で示されています。良質な睡眠を取ることが重要です。

社会的な孤立

友人や家族などとの社会的なつながりを持っていない、社会的孤立状態にある方は、パーキンソン病の発症リスクが高くなるというデータがあります。友人や家族が全くいない、あるいは月1回ほどしか会わないという方がいるとします。訪問が週一回から毎日ある人と比較して、そうした方達においてはパーキンソン病になるリスクが有意に増えていたとのことです。友人や家族と定期的に交流することが大切です。

衝突を伴うスポーツをしている

頭部への衝撃がパーキンソン病のリスクを高める可能性があります。アメリカンフットボールなどのスポーツで頭部に繰り返し打撃を受けることで、パーキンソン病のリスクが上がる可能性があるという報告もあります。
頭部保護など、安全対策を徹底することが重要です。

パーキンソン病になりやすい人の特徴

それでは、パーキンソン病になりやすい人の特徴について解説します。

高齢

パーキンソン病は主に中高年に発症し、そのリスクは加齢とともに増加します。通常、60歳前後で発症することが多いです。

男性

世界的には、男性は女性よりもパーキンソン病を発症するリスクが高いことが知られています。しかし、日本ではほかの国々と違い、女性のほうが多いとされています。人種や遺伝的背景の違いが原因と想定されていますが、確定はしていません。

家族にパーキンソン病の方がいる

家族にパーキンソン病の患者がいる場合、発症リスクが高まります。遺伝的な要因も関与するため、同じ家系の中でパーキンソン病のかたが非常に多いときは、遺伝カウンセリングを含めた診療を受けることも考慮すると良いでしょう。

パーキンソン病になりやすい人の性格

それでは、パーキンソン病になりやすいとされている人の性格について述べていきます。

内向的

自分の内面を重視し、他人との交流をあまり好まない内向的な性格が、パーキンソン病のリスク要因とされています。

柔軟性がない

真面目でストイック、時に強迫的な傾向がある性格も、パーキンソン病と関連している可能性があります。

新しいものへの興味が薄い

新しいことに対する興味が低い性格も、パーキンソン病のリスク要因となることがあります。

パーキンソン病の前兆となる初期症状

パーキンソン病の初期段階で現れることが多い症状について解説していきます。

振戦

手や指がリズミカルに震える振戦は、パーキンソン病の特徴的な初期症状です。特に安静時に見られます。
パーキンソン病に特徴的なものとしては、親指と人差し指を前後に擦り合わせる、丸薬丸め様振戦というものがあります。

動作緩慢

動作が遅くなることも初期症状の一つです。歩幅が狭くなり、歩行が困難になることがあります。

筋固縮

筋肉の緊張が増し、動かす際に抵抗が強くなる状態です。ひどくなると痛みが生じることもあります。

パーキンソン病の主な原因

パーキンソン病の原因として考えられているものについて解説していきます。

ドパミン神経の減少

パーキンソン病の数々の症状の原因は、中脳という部分の黒質ドパミン神経細胞の減少です。この細胞に何らかの原因でαシヌクレインという異常タンパク質が溜まってしまいます。結果、ドパミン神経細胞の減少がひきおこされるのではないかと考えられています。なお、こうしたタンパク質の塊はレビー小体と呼ばれ、神経細胞に対する毒性を発揮し、細胞が損傷を受けてしまうとされています。

遺伝子

パーキンソン病には、家族性の原因を持つ場合があります。つまり、遺伝的な要因がパーキンソン病となっていることがあるのです。家族性のパーキンソン病は、遺伝性パーキンソン病といい、全体の10%程度とされています。
遺伝性パーキンソン病の場合には、通常よりも若い発症年齢であることが多いです。家族の方でパーキンソン病の患者さんが多くみられるといった方においては、一度専門医に相談してみるとよいでしょう。
また、遺伝性パーキンソン病でなくとも、いくつかの遺伝子の突然変異が、パーキンソン病のリスクを高めることがわかってきました。

環境的誘因

特定の毒素や環境的な要因にさらされると、のちのパーキンソン病になるリスクが高まる可能性があります。しかし、その影響は小さいと考えられています。

受診・予防の目安となる「パーキンソン病」のセルフチェック法

  • ・手や足の震えがある場合
  • ・筋肉の硬直がある場合
  • ・動作が遅くなったと感じる場合

パーキンソン病の予防法

パーキンソン病の原因はいまだはっきりとわかっていない部分も多く、確実に予防できると実証された方法はありません。そこで、ここでは、パーキンソン病のリスクを下げられる可能性のある方法についてご紹介します。

運動する

定期的な運動は、パーキンソン病の発症リスクを低減する効果があります。有酸素運動や筋力トレーニングを行うと良いでしょう。
運動は、パーキンソン病の発症予防のみならず、パーキンソン病の治療効果を高める効果もあります。WHOのガイドラインでは、中強度の運動である歩行や早歩き、自転車に乗ること、さらにジョギングやサッカー、テニスといった高強度の運動を推奨しています。

バランスの良い食事をとる

野菜や果物、赤身肉などのタンパク質、豆類、全粒穀物などをバランスよく食べることも大切です。また、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸を適切にバランスよくとるように心がけることも重要です。
また、加工食品の摂り過ぎには注意しましょう。

ストレスを管理する

高ストレス状態が、パーキンソン病の発症に関連している可能性があります。
そのため、ストレスを適切に管理するために、リラクゼーション法や趣味の時間を持つことをお勧めします。例えば、瞑想や深呼吸などのリラクゼーション法を実践したり、友人や家族との交流を大切にしたりするといったことが挙げられます。

「パーキンソン病になりやすい生活パターン」についてよくある質問

ここまでパーキンソン病になりやすい生活パターンなどを紹介しました。ここでは「パーキンソン病になりやすい生活パターン」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

パーキンソン病になる可能性の高い食べものはありますか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

肥満が非喫煙者にとっては、パーキンソン病の発症を上昇させてしまうかもしれないという研究データがあります。
そのため、肥満につながるような高脂肪食品の過剰摂取は、パーキンソン病のリスクを高める可能性があります。バターやラード、動物性脂肪を摂りすぎることは避けましょう。

編集部まとめ

今回の記事は、パーキンソン病の発症に関連するような生活パターンや特徴、性格について解説しました。
パーキンソン病は、脳にレビー小体を形成するαシヌクレインという異常なタンパク質が溜まることで、黒質の神経細胞が死んでしまうために起こるものです。しかし、なぜそれが起こるのか、その原因はまだはっきりしていません。
今のところ、自分でできるパーキンソン病の予防策としては、運動したり健康的な食生活をとったりするといったことがあります。また、社会的な孤立を防ぐため、日頃からいろいろな物事に興味関心を持ち、人との交流を続けていきましょう。ご自身でできることから始めていきましょうね。

「パーキンソン病」と関連する病気

「パーキンソン病になりやすい人」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

消化器科の病気

神経科の病気

  • アルツハイマー病
  • レビー小体型認知症

高血圧や心疾患は、パーキンソン病のリスクを高める可能性があります。血圧の管理が大切です。また、心疾患もパーキンソン病と関連がありますので、定期的な健康診断などを受け、健康管理に気をつけましょう。便秘はパーキンソン病の症状の一つです。頑固な便秘がある場合には、医療機関での相談をすることも考慮しましょう。

「パーキンソン病」と関連する症状

「パーキンソン病」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 振戦
  • 動作緩慢
  • 筋強剛(筋固縮)
  • 姿勢保持障害
  • 発汗
  • 易疲労性
  • 嗅覚の低下
  • 起立性低血圧
  • 気分が晴れない(うつ)
  • 興味が薄れたり意欲が低下したりする

パーキンソン病では、上記のような症状が現れます。気になる症状がある場合には、脳神経内科などの医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師