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「パーキンソン病の原因」となる可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/07/11
「パーキンソン病の原因」となる可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?医師が解説!

パーキンソン病の原因となる可能性の高い食べ物とは?Medical DOC監修医がパーキンソン病の原因となる可能性の高い食べ物・予防する可能性の高い食べ物・原因・なりやすい人・予防法などを解説します。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「パーキンソン病」とは?

手足の震えや動かしにくさ、固まるような感じ、歩き方が変、姿勢を保てない、よく転ぶ、表情の変化がないなどと言った症状で発症します。脳のなかにある中脳黒質という部分のドパミン神経細胞が減少することが主な原因となります。
パーキンソン病は、運動の障害だけではなく、精神症状などの運動以外の症状を引き起こす病気です。徐々に進行し、進行を完全に止めたり、治癒させたりする方法も解明されていない神経難病の一つです。

パーキンソン病の原因となる可能性の高い食べ物

パーキンソン病の原因となる黒質ドパミン神経細胞の減少がなぜ起こるのかという理由はわかっていません。遺伝子によるパーキンソン病のなりやすさと環境や嗜好などとが複雑に関連しあって発症するといわれます。その中でも食べ物に注目して、分かってきたことを述べていきます。まずは、摂りすぎるとパーキンソン病の発症が増えるといわれている食べ物です。

牛乳

乳製品を大量に摂取すると、パーキンソン病を発症しやすいということが分かっています。日本人にもなじみが深く、健康に良いというイメージのある牛乳もそのひとつです。
牛乳を飲む量が毎日コップ一杯(200 mL)増加するごとにパーキンソン病になるリスクが17%増加する、報告されています。

チーズ

もう一つの代表的な乳製品であるチーズもパーキンソン病の発症に関連しています。チーズを食べる量が毎日10g増加するごとに、パーキンソン病になるリスクが13%増加するとも報告されています。
牛乳やチーズといった乳製品は、特に男性の場合にはパーキンソン病になるリスクを上げる可能性があります。

アルコール

飲酒とパーキンソン病との関連には一定した見解がありません。少量のアルコールはパーキンソン病の発症を抑制するという報告もあれば、関連がないといった報告もあります。
しかし、大量にアルコールを摂取するとパーキンソン病の発症に関連するという報告もあります。30%ほどパーキンソン病になりやすいとされています。パーキンソン病の発症に関わらず、健康のためにも深酒は避ける、休肝日を設けるなどして、アルコールの摂取量を控えていきましょう。

加工肉類

動物性脂肪もパーキンソン病の発症に関わっているとされます。ウインナーソーセージやベーコンなどの加工肉類は動物性脂肪が豊富に含まれています。摂取量が多くなると、19%ほどパーキンソン病が発症しやすいといわれています。脂肪分はパーキンソン病に関わらず、栄養学的にも1 gあたり9 kcalとほかの3大栄養素に比べてカロリーが高いため、栄養過多に注意が必要です。なるべく控えてパーキンソン病の発症のみならず、健康にも注意していきましょう。

豚肉、牛肉

日本人の食生活において、和食から西洋風の食事への変化もパーキンソン病の発症に関連があることが報告されています。主菜として摂取量が多くなった豚肉や牛肉は日本人においてはパーキンソン病の発症に注意が必要です。健康的な食生活のためにも、和食の価値は見直されています。時には主菜として魚や野菜などを取り入れるようにしましょう。

パーキンソン病を予防する可能性の高い食べ物

ベリー類

フラボノイドを含む食品は、パーキンソン病の発症を予防する可能性が知られています。フラボノイドをよく摂取すると摂取しない人たちと比べて、40%ほど発症を予防するといわれます。フラボノイドをよく含む食品はベリー類です。イチゴやブルーベリー、ラズベリーなどを積極的に摂取するとよいでしょう。

野菜類

野菜中心の食生活はパーキンソン病の発症を予防します。完全菜食主義でなくとも、野菜中心の生活は18%ほどパーキンソン病の発症を予防します。そのなかでも野菜をよく摂取することは、摂取しないかたと比較して28%パーキンソン病を予防します。ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜が最も良いとされます。しかし、好きな野菜であれば、積極的に摂るように心がけましょう。

ナッツ類

野菜中心の生活に関連して、ナッツ類も良いとされます。よくナッツ類を摂取すると31%ほどパーキンソン病の発症を予防します。アーモンドやピスタチオ、クルミなどを間食やサラダのトッピングとして摂るとよいでしょう。

コーヒー

カフェインを含む飲料は多くの病気に対する保護効果があるといわれています。パーキンソン病においても発症を予防しうるといわれています。代表的なカフェイン飲料であるコーヒーにも予防効果が認められます。1日1杯以上のコーヒーを飲むと良いとされますので、カフェインが苦手でない方は摂るようにすると良いでしょう。

お茶

カフェインの観点、そして、野菜中心の食生活の観点からお茶もよいとされます。お茶は25%パーキンソン病の発症を予防するという報告もあります。普段の生活の中での水分として、お茶も取り入れるようにすると良いでしょう。

パーキンソン病の主な原因

パーキンソン病の発症に関わる原因についてお話していきます。パーキンソン病の発症には、さまざまな因子が複雑に絡み合って発症します。その代表的なものを述べていきます。

異常なタンパクの脳内蓄積

パーキンソン病の根本となる異常は、脳の中脳黒質という部分のドパミン神経細胞を中心に異常なタンパク質が溜まってくることで、症状を引き起こします。その根本的な原因は、まだまだ分かっていないことが多くあります。

加齢

年を重ねることは誰しも避けられないことです。パーキンソン病の発症は異常なタンパク質が蓄積することで発症します。パーキンソン病の発症前からだんだんと蓄積して発症しますので、年を重ねることも発症に関わる原因の一つになります。

遺伝的要素

パーキンソン病は遺伝するものと、遺伝しないものとがあります。遺伝するものは、家族性パーキンソン病といいます。このタイプは同じ家族の中で多くの方がパーキンソン病にかかります。非常に珍しいタイプで、先ほど述べたタンパク質に関連する遺伝子などに異常があり、発症します。
また、遺伝しないタイプは孤発性パーキンソン病といいます。孤発性パーキンソン病の発症には、パーキンソン病のなりやすさを決める複数の遺伝子が関わっているといわれます。

環境因子

遺伝的要素と並列して重要視されているのが環境因子です。上記の食事内容も関連しています。それ以外でよく言われるものは、有機溶媒を中心とした農薬や殺虫剤と鉛や銅の金属類です。農薬の規制も厳しくなっているので、食品からの摂取量は減っていると考えられますが、職業柄こうした薬剤などに接する方々は注意が必要です。

腸内環境

最近のトピックとして話題なのが腸内環境です。さまざまな病気で関連が言われますが、パーキンソン病もその一つです。日本を含む世界のパーキンソン病を患っている方の腸内環境を調べたところ、特定の菌が増えたり、減ったりしていることが分かりました。今後は、パーキンソン病でない方の腸内細菌を移植することで発症率が変化するかなどの研究に期待がされています。

パーキンソン病になりやすい人の特徴

性別

パーキンソン病の発症しやすい性別は国によって違います。欧米では男性に多いといわれますが、日本を含むアジア圏では、女性が多いです。およそ1.5倍から2倍程度とされます。国によりなりやすい性別に差があるのか完全には分かっていません。人種による遺伝要素の違いや食文化などの環境などが複雑に絡んでいると推定されています。

社交性

社交性が低かったり、社会的な役割がへったりするとパーキンソン病を発症しやすいといわれます。ほかの人とコミュニケーションが必須なため、自分とは違う考えや行動を経験します。さらに、自己肯定感や充足感につながり、精神的に安定します。このような刺激が脳を活性化するため、刺激が減るとパーキンソン病の発症に関連するとされます。

日中に強い眠気を感じる

日中の眠気はパーキンソン病の発症に関わっていると報告されています。昼間に強い眠気を感じている人を経過観察した研究によれば、眠気を感じていた人はそうでない人と比べて3倍以上パーキンソン病を発症するリスクが高くなると判明しました。

パーキンソン病の予防法

バランスの良い食事

今回の話の中心である食事は非常に大切です。今回示した食品を参考にすると、野菜中心の食生活が大切です。タンパク源としては、牛や豚などの肉類に偏りすぎず、魚も積極的にとるようにしましょう。和食は非常に良い選択です。間食にはナッツ類やベリー類なども選ぶようにし、飲料は水やお茶などを摂りましょう。

環境調整

原因の項でもお話しした、有機溶媒を中心とした農薬や金属類などの化学物質に日常的に接する職業の場合は、取りこまないように心がけましょう。無農薬の食品を選ぶこともよいでしょう。

運動

パーキンソン病を発症してからも運動は症状進行を緩和させることが分かっています。発症前の段階においても、定期的な運動がパーキンソン病の発症を予防することが分かっています。中等度から高度の運動が推奨されますので、ぜひ取り入れましょう。

「パーキンソン病の原因・食べ物」についてよくある質問

ここまでパーキンソン病の原因・食べ物などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病の原因・食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

パーキンソン病を発症した場合、控えた方がいい食べ物を教えてください。

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

発症した場合も、原因となる食品に似通っています。牛肉や乳製品に加えて、揚げ物や炭酸飲料全般などは症状進行に関わっているため、控えましょう。また、パーキンソン病の発症すると飲み込みにくさが出てくることがあります。できるだけ噛まなくてよく、飲み込みやすい食品や調理法の工夫が必要です。

パーキンソン病を発症しやすい生活習慣はありますか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

原因に挙げた乳製品や加工肉をよく食べ、大量飲酒をする、定期的に運動しないこともパーキンソン病の発症に関わります。

パーキンソン病を発症しやすい性格はありますか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

社交性があまりなかったり、不安や焦燥感が強かったりする性格は発症しやすいといわれます。

編集部まとめ

パーキンソン病の正確な原因はまだまだ分かっていません。そのため、これをすれば確実に予防できるといったものはありません。しかし、今回述べた内容に準じて食事内容や生活習慣を見直すことで、パーキンソン病が発症する可能性を少しでも低くすることができるでしょう。

「パーキンソン病」と関連する病気

「パーキンソン病」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

呼吸器科の病気

消化器科の病気

脳神経内科の病気

パーキンソン病は似た症状の病気も多く、一緒に起こる別の症状もあります。気になることがあれば脳神経内科を受診してください。

「パーキンソン病」と関連する症状

「パーキンソン病」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 手足がふるえる
  • 手足が動かしにくい
  • 足が出ない
  • 表情が乏しい
  • よく倒れる

体の動きに関わる症状で気づく方が多いです。体の動きで困ることがあれば脳神経内科へご相談ください。

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