FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. 脳疾患
  5. 「女性がくも膜下出血を発症する原因」はご存知ですか?前兆となる初期症状も解説!

「女性がくも膜下出血を発症する原因」はご存知ですか?前兆となる初期症状も解説!

 公開日:2024/05/28
「女性がくも膜下出血を発症する原因」はご存知ですか?前兆となる初期症状も解説!

女性がくも膜下出血を発症する原因とは?Medical DOC監修医が、女性がくも膜下出血を発症する原因・前兆となる初期症状・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「くも膜下出血」とは?

突然の強い頭痛はあぶないと聞いたことはありませんか?
そのあぶない頭痛の代表がこのくも膜下出血です。
頭蓋骨と脳の間には硬膜、くも膜、軟膜と3層の膜があり、くも膜下出血とはくも膜と軟膜の間の空間(くも膜下腔)に出血することで発症する病気です。突然の激しい頭痛や嘔気・嘔吐、意識障害で発症し、3人に1人は死亡、3人に1人は重度の後遺症を残すとされています。禁煙や高血圧に対しての意識が高まったことなどにより、発症率が徐々に低下し、発症年齢も高くなっていますが、脳卒中の中では50代~60代と比較的若い年齢で発症し、男性に比べて女性、特に閉経後の女性で発症しやすいため、注意が必要です。
この記事では、くも膜下出血の原因やどのような注意が必要かなどについて解説いたします。

女性がくも膜下出血を発症する主な原因

くも膜下出血には、転倒や交通事故などの外傷によるもの(外傷性)と外傷によらないもの(非外傷性)があります。非外傷性の原因のほとんど(80~90%)は脳動脈瘤の破裂であり、そのほかには脳動静脈奇形なども考えられます。

脳動脈瘤

非外傷性のくも膜下出血のほとんどは、脳動脈瘤と呼ばれる脳の動脈の膨らみが破れることで発症します。脳動脈瘤がなぜできるのかはわかっていませんが、血管の壁が弱い部分(血管の分岐部など)に発症しやすいとされています。脳動脈瘤は女性、特に閉経後に多く、最近の研究ではエストロゲンの欠乏が脳動脈瘤の発症に関与しているとの報告もあります。また、遺伝的な要素もあり、親族に脳動脈瘤の方がいる場合には、脳動脈瘤を発症するリスクが高くなるため注意が必要です。破裂前の動脈瘤は無症状であることも多いため、脳ドックなどで脳動脈瘤の有無を確認するとよいでしょう。

転倒や交通事故

転倒や転落、交通事故などで頭部を強打した場合でもくも膜下出血を発症することがあります。頭部外傷ではくも膜下出血だけでなく、脳震盪や脳挫傷、硬膜下血腫、軸索損傷などを起こすことがあるため、頭部打撲後に意識状態が悪い、様子がおかしい、強い頭痛や吐き気がある、めまいがするなど何か症状がある場合には脳神経外科や救急外来を受診し、頭部CTなどの評価を受けるとよいでしょう。

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形とは、脳血管の動脈と静脈が毛細血管を介さずに異常な吻合をつくる先天性疾患で、とぐろを巻くような異常な血管の塊(ナイダス)がみられます。ナイダスは正常な血管に比べて壁が薄く、破れることで脳出血やくも膜下出血を発症します。胎児の時期に生じる先天性異常ですが、一般には症状はなく、成人後に頭蓋内出血やてんかんなどが生じて初めて発見されることも少なくありません。無症状であってもMRIなどの画像検査で診断は可能であるため、頭部の画像検査を受けたことがない場合には脳ドックなどで画像検査を行うとよいでしょう。

くも膜下出血の前兆となる初期症状

突然の頭痛

脳動脈瘤や脳動脈奇形のある方で突然の頭痛が出現した場合には、くも膜下出血の前兆の可能性があります。警告頭痛と呼ばれており、放置して再度出血した場合には死亡する、大きな後遺症を残すような重症な脳出血・くも膜下出血となってしまう可能性があり、原因がわからない突然の頭痛がある場合には脳神経外科を早期に受診しましょう。必ずしも強い頭痛とは限らないので、脳動脈瘤や脳動脈奇形のある場合には特に注意が必要です。

視野障害、目の見えにくさ

動脈瘤はくも膜下出血の主な原因の一つですが、動脈瘤の中でもサイズの大きなものやサイズが大きくなっているものは破裂しやすいことが知られています。このような動脈瘤では動脈瘤が周囲の組織を圧迫し、それによる症状が出現することがあります。症状が出るか、どのような症状が出るかは動脈瘤のできる位置にもよりますが、代表的な症状が視神経の圧迫による視野障害や目の見えにくさがあります。緑内障などの眼科疾患でも視野障害が出現するため、目の見えにくさや視野障害が徐々に進行する場合には、眼科に受診して評価してもらいましょう。

めまい、ふらつき、吐き気、嘔吐

突然のめまいやふらつき、吐き気などもくも膜下出血の前兆の可能性があります。少量の出血により、頭蓋骨内部の圧力(脳圧)が高くなると、頭痛や吐き気、ふらつきなどが出現します。発症時間が明確にわかるほど突然に、これらの症状が出現した場合には必ず医療機関を受診しましょう。

血圧が激しく上下する

血圧が激しく上下する場合もくも膜下出血の前兆の可能性があります。血圧が大きく変動する要因はさまざまですが、血圧の変動は動脈に負担をかけるため、血圧変動をきっかけに動脈瘤が破れるなどしてくも膜下出血を起こすことがあります。

くも膜下出血になりやすい人の特徴

非外傷性のくも膜下出血の原因の85%程度は脳動脈瘤であり、脳動脈瘤のある方で発症リスクが高くなります。脳動脈瘤は女性に多く、脳動脈瘤の指摘を受けている人が一親等以内にいる方では約4%で脳動脈瘤が見つかるとの報告があり、特に脳動脈瘤の家族歴のある方は脳ドックなどで動脈瘤の有無を確認するのが良いでしょう。
生活習慣に関わる要因として喫煙、多量の飲酒、高血圧があり、これらはくも膜下出血のリスクとして知られています。

脳動脈瘤やくも膜下出血の家族歴がある

くも膜下出血の最たる原因である脳動脈瘤は一親等以内に家族歴がある場合に保有率が高い(約4%)とされています。脳動脈瘤のサイズや形態にもよりますが、脳動脈瘤がある場合には無治療では年間に1%でくも膜下出血を発症するともいわれており、脳ドックなどでの早期の発見、治療が重要です。

痩せている女性

脳動脈瘤の保有率は女性で多いことが知られています。生活環境や遺伝など、様々な要因が脳動脈瘤の発症には関与するため、まだ詳細は分かっていませんが、最近の報告ではテストステロン(男性ホルモン)の欠乏や閉経後のエストロゲン(女性ホルモン)の低下などが発症に関与していると想定されています。
また、痩せた方でくも膜下出血が多いとの報告もあるため、過度なダイエットは控えましょう。

喫煙者やお酒好きな人

喫煙や過度の飲酒(例:1週間にビール500ml 6缶以上など)がある方ではくも膜下出血を発症リスクが高くなることが知られています。禁煙、節酒を心がけましょう。

高血圧のある人

高血圧もくも膜下出血のリスクとなります。血圧が高いことで、より動脈に負担がかかるため、脳動脈瘤や脳動静脈奇形が破裂しやすくなります。健康診断などで高血圧が指摘された場合には、放置せずに医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

くも膜下出血の予防法

禁煙、節酒

前述のように喫煙や1週間にエタノール150g以上の過度の飲酒(例:ビール 3Lや日本酒 6合、焼酎 750mLなど)はくも膜下出血の発症リスクを上げることが知られています。特に過度の飲酒はくも膜下出血の発症リスクを4-5倍に増加させると報告があり、飲酒をする場合には少量に留めましょう。また喫煙をしていると予定手術を受けられないなど、くも膜下出血のリスクを上げるだけでなく、治療にも支障が出るため、禁煙も心がける必要があります。

食事に気をつける

高血圧はさまざまな病気に関連しますが、くも膜下出血の発症リスクも2-3倍に増加させるといわれています。塩分量が1日6gになることを目安に、減塩を意識した食事を行うことがおすすめです。また健康診断を定期的に行い、高血圧を発症した場合には適切な治療を受けましょう。
肥満度はくも膜下出血の発症と逆相関するといわれています。もちろん太り過ぎは良くありませんが、過度なダイエットはせず、適度に栄養を取ることも重要です。

「女性がくも膜下出血を発症する原因」についてよくある質問

ここまで女性がくも膜下出血を発症する原因などを紹介しました。ここでは「女性がくも膜下出血を発症する原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

若い女性(20代・30代)でくも膜下出血を発症した場合、どんな原因が考えられますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

頻度は低いのですが、20−30代の女性でもくも膜下出血を発症する方がいます。妊娠中や出産時に発症することもあります。頭部打撲のようなけがのエピソードがない場合、まずは脳動脈瘤の破裂を疑います。脳動脈瘤は若年者でも見られることがあり、特に一親等以内で脳動脈瘤の保有者がいる場合によりリスクが高いとされています。親や兄弟などで脳動脈瘤の保有者がいる場合には、若年であっても脳ドックなどで脳動脈瘤の有無などを調べておくと安心でしょう。

編集部まとめ

くも膜下出血は発症すると、半数以上の方で死亡したり、大きな後遺症を残したりする怖い病気です。その原因の多くは脳動脈瘤の破裂であり、くも膜下出血を発症する前に脳動脈瘤を発見し、適切な治療を受けていれば発症を防げる可能性があります。脳動脈瘤の多くは無症状で、くも膜下出血を発症して初めて発見されることもありますが、頭部MRIや造影CTを撮影することで事前に発見できることもあります。
脳動脈瘤は親族に脳動脈瘤の保有者がいる方や女性で発症しやすいため、脳動脈瘤が心配な方は特に症状がない場合でも脳ドックなどで動脈瘤の評価を行うと安心でしょう。

「女性がくも膜下出血を発症する原因」と関連する病気

「女性がくも膜下出血を発症する原因」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • 高血圧症

脳神経外科の病気

遺伝疾患の病気

大人の場合は、脳動脈瘤の破裂が原因であることが大多数です。若い方や子供であると脳動静脈奇形が多くなります。家族内で、くも膜下出血を発症したことがある人がいる場や、脳動脈瘤を指摘されたことがある人がいる場合、上記に挙げたような遺伝疾患をお持ちの場合には、脳ドックを受けて血管の病気があるかどうか確認することがおすすめです。

「女性がくも膜下出血を発症する原因」と関連する症状

「女性がくも膜下出血を発症する原因」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 突然の強い頭痛
  • 激しい嘔気・嘔吐
  • 意識障害
  • 昏睡
  • めまい、ふらつき
  • 視野異常

くも膜下出血は急に発症する病気ですが、予防することも可能な病気です。前兆である頭痛や嘔気・嘔吐、目の異常などの症状がある場合には、すぐに医療機関で検査を受けて治療を進めるようにしてください。

この記事の監修医師