「アドレナリンの男女別の効果」はご存知ですか?分泌されやすい状況も医師が解説!

アドレナリンの効果とは?メディカルドック監修医がアドレナリンの男女別の効果・医薬品のアドレナリンの効果などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
「アドレナリン」とは?

アドレナリンは体内で分泌されるホルモンの一種であり、危険やストレスを感じたとき、また強い興奮状態になったときに多く分泌されます。主な働きは、心拍数の増加や血圧、血糖値の上昇などが挙げられます。
アドレナリンは英語では「エピネフリン(epinephrine)」とも呼ばれます。日本では日本薬局方で「アドレナリン」という名称が用いられています。
「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」の違いとは?

アドレナリンとノルアドレナリンは、いずれもストレス反応に関わる物質ですが、担っている役割には違いがあります。アドレナリンは主にホルモンとして分泌される物質で、心拍数の増加、血圧の上昇、血糖値の上昇、さらには気管支を広げる作用などに関わっています。
一方、ノルアドレナリンは神経伝達物質としての役割が中心であり、場合によってはホルモンとしても働きます。主に血管を収縮させて血圧を高めたり、覚醒状態を調節したりする働きが知られています。なお、ノルアドレナリンは体内でアドレナリンへ変化する前段階の物質であるため、両者は化学構造がよく似ているという特徴があります。
「アドレナリン」と「ドーパミン」の違いとは?

ドーパミンもまた、アドレナリンが作られる過程に関わる物質です。実のところ、食事から摂取したチロシン(アミノ酸の一種)は、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの順に変化します。
なお、ドーパミンは喜びや快楽といった感情に関わる神経伝達物質です。そのため「幸せホルモン」と表現されることもあります。これに対してアドレナリンは、危険を感じたときや強い緊張や興奮を覚えたときに多く分泌されるため「ストレスから身を守るホルモン」と言えるでしょう。
アドレナリンはどこから分泌されるの?

アドレナリンは、副腎髄質から分泌されます。副腎は、左右の腎臓上部に位置している小さな臓器です。副腎の中心部は髄質(ずいしつ)、外側は皮質(ひしつ)と呼ばれています。
【男性】アドレナリンが分泌されるとどんな効果がある?

アドレナリンは、危険やストレスに直面したときに身体を適応させるホルモンです。その働きは基本的に男女共通ですが、男性に見られやすい反応もあると報告されています。
心拍数が増加する
アドレナリンが分泌されると、性別に関わらず心拍数が上昇します。ただし、同量のアドレナリンを投与した場合に、男性は女性よりも心拍数の増加が大きかったとの報告があります。
心理的なストレス時に集中力が高まる
人前で話すことや計算課題など心理的なストレスがかかる状況では、アドレナリンとともにストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。この反応は、女性よりも男性に強いとの報告があるのです。これらのホルモンの作用によって心拍数や血圧が上昇し、注意力や覚醒レベルが高まる場合もあると考えられます。
闘争・逃走反応が出やすい
ストレスを感じてアドレナリンが分泌されると、心拍数や血圧が上昇し、身体はすぐに動ける状態となります。これは危険に直面した際に、戦うか逃げるかを選択する生理反応で「闘争・逃走反応」と呼ばれています。さまざまな研究で、この闘争・逃走反応は男性で強くみられる傾向があるとする報告もあります。
アルコールや薬物に依存しやすい可能性
アルコールや薬物への依存は、女性よりも男性に多いと報告されています。その背景には、ストレスに対する対処反応の違いが関係しているとも考えられています。
ストレスによってアドレナリンなどのホルモンが分泌されると、身体は強い緊張状態になります。一部では、その不快感を和らげるための対処行動として、アルコールや薬物の使用につながる場合があると指摘されています。
性的活動に関わる
男性の性的反応は自律神経によって調節されており、主に勃起は副交感神経、射精は交感神経が関与しています。アドレナリンは、交感神経が活性化したときに分泌されるため、性行為中一時的に血中アドレナリン濃度が上昇したとの報告もあります。一方で、アドレナリンが過剰な状態は勃起不全の原因となることもあります。
【女性】アドレナリンが分泌されるとどんな効果がある?

続いて、女性に見られやすいと報告されているアドレナリンの効果について紹介します。
収縮期血圧が上昇する
アドレナリンが分泌されると、性別に関わらず血圧が上昇します。ただし、同量のアドレナリンを投与した場合に、女性は男性よりも収縮期血圧(最高血圧)の上昇が大きかったとの報告があります。
子どもを守ろうとする行動がみられることがある
複数の研究で、女性はストレスを感じたときに、周囲と協力しながら子どもや仲間を守る傾向がみられると報告されています。危険を感じるような状況では、アドレナリンなどの働きにより、周囲に対する警戒心が高まり、子どもを守ろうとする行動につながる可能性があります。
周囲との関わりを大切にする
ストレスによってアドレナリンが分泌されると、身体は緊張した状態になります。女性ではこのストレス反応に対して、仲間と集まったり、人とのつながりを求めたりする傾向があると報告されています。
これは、前述の子どもや仲間を守る傾向と合わせて「ケアと友情の反応」と呼ばれる反応で、ストレス対処法の1つのパターンと考えられています。
対人関係のストレスに反応しやすい
人間関係のトラブルによってストレスがかかると、体内ではアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。女性の場合は、男性と比べて身近な人間関係のストレスによる悪影響を受けやすい可能性が指摘されています。こうした状況が続くと、不安感や気分の落ち込みなど、うつ症状につながる可能性もあります。
社会的なストレスに敏感になる
仲間外れのような社会的な孤立や拒絶を感じる状況でも、ストレス反応が引き起こされます。このとき、体内ではアドレナリンの分泌が高まり、さらにストレスホルモンであるコルチゾールも増加するのです。女性はこのような社会的ストレスに対して、気分が落ち込むなどの生理的な反応が強く現れる傾向があると報告されています。
アドレナリンの効果が発揮されるのは分泌されてからどれくらい?

アドレナリンは分泌されるとすぐに効果を発揮する物質です。実のところ、アドレナリンは水に溶けやすい性質をもっており、分泌されると血液とともに短時間で全身に運ばれるのです。また、効果の持続時間は短めで、数分程度といわれています。
【医薬品】アドレナリンを投与する目的

医薬品として使用されるアドレナリンは、体内で分泌されるアドレナリンと同様に、心臓や血管、気管支などに作用します。その主な目的は、心臓の働きを高めること、血圧を上昇させること、気管支を広げることなどです。また、アドレナリンには血管を収縮させる作用があるため、ほかの薬剤の効果を高める目的で併用されることもあります。
【医薬品】アドレナリンの効果

アドレナリンは主に、呼吸や循環に急激な異常が起こったときの救急治療で用いられる薬剤です。気管支を広げる、血圧を上げる、心臓の働きを高めるなど、生命に関わる症状の改善効果が期待されます。
呼吸困難を改善する
気管支ぜんそくによって気管支が痙攣(けいれん)したり、百日咳で激しい咳が続いたりすると、呼吸が苦しくなることがあります。アドレナリンには気管支を広げる作用があるため、投与することで呼吸困難の改善を目指します。
急性低血圧を改善する
さまざまな疾患に伴い、血圧が急激に低下するケースがあります。アドレナリンには血管を収縮させ、心臓の働きを強める作用があるため、血圧上昇を目的として使用されることがあります。
心臓の機能を高める
心停止では、心臓が血液を送り出せなくなります。アドレナリンには心臓の収縮力を高め、血圧を維持する作用があります。そのため、心肺蘇生の効果を高める目的で使用されます。
アナフィラキシーの症状を改善する
蜂毒や食べ物、薬などが原因で生じたアナフィラキシー反応(重度のアレルギー反応)では、呼吸が苦しくなったり血圧が低下したりすることがあります。アドレナリンは、気管支を広げたり、血圧を上昇させたりと複数の症状に同時に作用するため、アナフィラキシーの救急治療で第一選択薬として使用されています。
局所麻酔の作用を延長する
局所麻酔にアドレナリンを添加すると、血管が収縮し、麻酔薬がその部位にとどまりやすくなります。その結果、麻酔薬の効果がより持続するようになります。
「アドレナリンの効果」についてよくある質問

ここまでアドレナリンの効果について紹介しました。ここでは「アドレナリンの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
どんな時にアドレナリンは分泌されるのでしょうか?
木村 香菜(医師)
アドレナリンは「戦うか逃げるか」のホルモンとも呼ばれ、危険や強いストレスを感じたときに分泌されます。
まとめ アドレナリンは危険やストレスを感じたときに分泌されるホルモンです
アドレナリンは、危険やストレスを感じたときに分泌され、心拍数や血圧の上昇、気管支拡張などの効果があります。その作用は基本的に男女共通ですが、性別によって異なる傾向も報告されています。また、アドレナリンは医薬品として使用されることもあり、生命に関わる症状の改善を目的に用いられています。
このように、アドレナリンは私たちの身体を守るために重要な役割を担っているのです。アドレナリンの働きを知ることは、ストレスを受けたときに身体で起こっている反応を理解する手がかりにもなるでしょう。
「アドレナリン」と関連する病気
「アドレナリン」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
アドレナリンが過剰な状態では、身体に強いストレスがかかっている可能性もあります。関連記事も参考に、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
「アドレナリン」と関連する症状
「アドレナリン」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
アドレナリンの分泌異常は、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。症状が続く場合は、一度内科を受診しましょう。
参考文献



