「セロトニンの分泌を増やす食べ物」はご存知ですか?生成を助ける食べ物も解説!

セロトニンの分泌を増やす食べ物とは?メディカルドック監修医がセロトニンの生成を助ける食べ物などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
「セロトニン」とは?

セロトニンは脳や腸で働く神経伝達物質の一つで、心身のバランス維持に関係しています。
セロトニンは、神経細胞同士の情報伝達を担う物質です。精神面では気分の安定に関与し、身体面では腸の動きや血管の収縮などにも影響を及ぼします。脳内だけでなく、体内の広い部位で機能している点が特徴です。
セロトニンはどこから分泌されるの?

セロトニンは主に腸と脳で作られ、それぞれ異なる役割を担っています。
体内のセロトニンの多くは腸管で産生され、消化管の運動調節に関与します。一方、脳内で作られるセロトニンは感情や睡眠に関係します。腸で作られたセロトニンが直接脳へ移動するわけではありませんが、腸内環境は脳内セロトニンの働きにも関係すると考えられています。
セロトニンの働き

セロトニンは心と体の複数の機能に関わっています。
気分の調節
セロトニンは、感情の安定に関与する神経伝達物質の一つです。脳内では、感情の起伏をなだらかにする働きを担い、日常生活における精神的なバランスを支えています。ストレスを受けた際も、セロトニンが一定量保たれていることで、過度な不安や落ち込みを感じにくくなると考えられています。
一方で、セロトニンの分泌が低下すると、些細な出来事に対して気分が沈みやすくなったり、意欲の低下を自覚したりすることがあります。こうした変化は一時的なものもありますが、長期間続く場合には注意が必要です。
生活習慣の面では、規則正しい睡眠や日中に日光を浴びること、適度な運動などがセロトニンの働きを支える要素とされています。それでも気分の落ち込みが続く場合は、自己判断せず医療機関へ相談することが大切です。
腸のコントロール
セロトニンは腸内でも多く作られており、消化管の運動を調節する役割を担っています。食事を摂取した後に腸が動き出す「ぜん動運動」は、セロトニンの働きと関係しています。
腸内でのセロトニンの分泌が保たれていると、排便リズムが整いやすくなりますが、分泌が乱れると便秘や下痢といった症状が現れることがあります。また、腸内環境の乱れは、間接的に脳内のセロトニンの働きにも影響すると考えられています。
食物繊維を含む食品や発酵食品を取り入れ、腸内環境を整えることは、セロトニンの働きを支える一助になります。腸の不調が長く続く場合は、消化器内科での相談が勧められます。
傷の治癒
セロトニンは、血液中の血小板にも関与しています。出血が起こった際、血小板から放出されるセロトニンは血管を収縮させ、止血を助ける働きを持っています。この作用により、出血量の調整や組織修復の初期段階を支えています。
また、セロトニンは炎症反応や細胞の修復過程にも関与するとされ、傷の治癒において間接的な役割を果たしています。精神面のイメージが強い物質ですが、このように身体の防御機構にも関係しています。
傷の治りが遅い場合には、栄養状態や基礎疾患の影響も考慮する必要があり、必要に応じて医療機関での評価が重要です。
セロトニンが不足すると現れる症状

セロトニンが不足すると、以下のような症状が現れる可能性があります。
気分が落ち込む
セロトニンが不足すると、気分の落ち込みや興味・関心の低下など、抑うつ状態に似た症状が現れることがあります。以前は楽しめていたことに対して意欲が湧かなくなったり、疲労感が抜けにくくなったりする場合もあります。
初期の段階では、生活リズムの見直しや十分な休息、日光を浴びる習慣を意識することで改善がみられることもあります。また、食事内容を整えることも一つの対策です。
ただし、気分の落ち込みが数週間以上続く、日常生活に支障をきたしている場合は、心療内科や精神科への相談が検討されます。受診時には、症状が始まった時期や生活の変化を整理しておくと役立ちます。
睡眠が妨げられる
セロトニンは、睡眠に関与するメラトニンの材料となる物質です。そのため、セロトニンが不足すると、寝つきが悪くなる、途中で目が覚めるなどの睡眠トラブルにつながることがあります。
対処としては、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、毎日同じ時間に起床するなど、睡眠環境と生活リズムを整えることが挙げられます。朝に日光を浴びることも、体内リズムを整えるうえで重要です。
それでも睡眠障害が続く場合は、睡眠外来や心療内科などで相談することが勧められます。睡眠の状態を記録しておくと診察時の参考になります。
不安になる
セロトニンの不足は、不安感の増大とも関係します。明確な理由がないにもかかわらず落ち着かない、緊張しやすいといった状態が続くことがあります。
軽度の場合は、深呼吸や軽い運動、規則正しい食事が気持ちを整える助けになることがあります。また、カフェインの摂取を控えることも一案です。
不安が強く、仕事や生活に影響が出ている場合には、心療内科や精神科での相談が必要です。症状を一人で抱え込まず、早めに専門家の意見を求めることが重要です。
セロトニンが不足する原因

脳内のセロトニンの量が不十分なとき、セロトニンのレベルの低下が起こります。セロトニンが欠乏してしまう原因としては、以下のようなものが考えられます。
遺伝的な要因
セロトニンの合成や受容体の働きには遺伝的要因が関与することがあります。特定の遺伝的変異がある場合、セロトニンの分泌量や作用に影響が出る可能性があります。
ただし、遺伝的要因があるからといって必ず症状が現れるわけではありません。生活環境やストレスの有無など、他の要素との組み合わせが重要です。
体調や気分の変化が続く場合は、体質だけで判断せず、医療機関で相談することが望まれます。
環境要因
慢性的なストレス、日光不足、不規則な生活などは、セロトニンの分泌に影響を及ぼします。特に現代社会では、屋内で過ごす時間が長くなりがちで、日照不足が指摘されることもあります。
また、一部の薬剤がセロトニンの働きに影響する場合もあります。服用中の薬がある場合は、医師に相談することが大切です。
薬物乱用
アルコールやニコチンなどの摂取は、セロトニンの合成や放出に影響を与える可能性があります。過剰な摂取は、気分の変動を助長することがあります。
依存傾向がみられる場合は、専門機関への相談も選択肢となります。
セロトニンの分泌を増やす食べ物

セロトニンの原料は、アミノ酸であるトリプトファンです。これを含む食品をとることで、セロトニンの分泌を増やすことができる可能性があります。
鮭
鮭は、トリプトファンを含む魚類の一つで、良質なたんぱく質源として知られています。トリプトファンはセロトニンの原料となるアミノ酸であり、食事から継続的に摂取することが重要です。
また、鮭にはビタミンB6も含まれており、これはトリプトファンが体内でセロトニンへ変換される過程に関与します。そのため、鮭は単に原料を補給するだけでなく、代謝を支える栄養素も同時に摂取できる食品といえます。
調理方法としては、焼き魚や蒸し料理など油を使いすぎない方法が取り入れやすく、日常の食卓に組み込みやすい点も特徴です。過剰摂取を避け、主菜として適量を意識することが大切です。
卵
卵は、トリプトファンを含む食品であり、たんぱく質やビタミン類をバランスよく含んでいます。特にビタミンB群が含まれており、セロトニン合成を支える栄養素を同時に摂取できる点が特徴です。
卵は調理の幅が広く、朝食や間食としても取り入れやすいため、生活リズムを整えるうえでも役立ちます。朝にたんぱく質を摂取することで、日中の活動リズムを整える一助となる場合があります。
一方で、卵の摂取量については個人の体質や持病によって配慮が必要なこともあります。食事全体のバランスを考えながら、主菜や副菜の一部として取り入れることが望まれます。
チーズ
チーズは乳製品の一つで、トリプトファンを含む食品です。手軽に摂取できることから、間食や食事の付け合わせとして利用されることも多くあります。
乳製品にはカルシウムや脂質も含まれており、栄養価は高い一方で、摂取量が多くなりすぎるとエネルギー過多につながる可能性があります。そのため、少量を継続的に取り入れることがポイントです。
チーズ単体で摂取するだけでなく、野菜や全粒穀物と組み合わせることで、栄養バランスを整えやすくなります。食事の一部として無理なく取り入れる意識が大切です。
七面鳥
七面鳥は高たんぱくで脂質が比較的少なく、トリプトファンを含む食材として知られています。海外では日常的に食べられることが多い一方、日本では入手しにくい場合もあります。
そのため、七面鳥の代替として鶏肉を利用することも選択肢となります。特に皮を除いた鶏むね肉などは、たんぱく質源として取り入れやすい食品です。
肉類はセロトニンの原料補給に役立ちますが、調理法や量によっては脂質や塩分の摂取が増えることもあります。焼く、蒸すなどの調理法を選び、食事全体のバランスを意識することが重要です。
豆腐
豆腐は大豆由来の植物性たんぱく質を含む食品で、トリプトファンの供給源としても利用できます。動物性食品を控えたい場合でも取り入れやすい点が特徴です。
豆腐は消化吸収が比較的穏やかで、胃腸への負担が少ないとされるため、体調に配慮しながらたんぱく質を補給したい場合にも適しています。
味に癖が少なく、主菜・副菜のどちらにも使えるため、食事の中で継続的に取り入れやすい食品です。他の栄養素を含む食品と組み合わせることで、セロトニン分泌を支える食事構成につながります。
セロトニンの生成を助ける食べ物

セロトニンの原料となるアミノ酸であるトリプトファンがセロトニンへと変換されるためには、ビタミンB6やB12、葉酸などの栄養素も必要です。以下のような複合炭水化物を摂ることで、体内でインスリンが分泌され、筋肉がより多くのアミノ酸を引き込み、トリプトファンが脳に届きやすくなります。
果物や野菜
果物や野菜には、ビタミンやミネラルが含まれており、体内の代謝機能を支える役割があります。セロトニンの生成過程では、ビタミンB群や葉酸が関与するため、これらを含む食品を意識的に摂取することが重要です。
例えば、パイナップルなどの果物は糖質とともにビタミン類を含み、食事や間食として取り入れやすい食品です。また、緑黄色野菜には葉酸が含まれており、セロトニン合成を間接的に支える栄養素を補給できます。
果物や野菜は単体で摂取するだけでなく、主食やたんぱく質源と組み合わせることで、栄養バランスの整った食事につながります。種類を偏らせず、日常的に複数の食品を取り入れることがポイントです。
豆類
豆類は、植物性たんぱく質に加えて、ビタミンB群やミネラル、食物繊維を含む食品です。これらの栄養素は、トリプトファンの代謝や体内環境の維持に関与します。
豆類に含まれる炭水化物は、食後のインスリン分泌を通じて、トリプトファンが脳へ届きやすくなる条件を整えると考えられています。また、食物繊維は腸内環境を支え、間接的にセロトニンの働きに関係する可能性があります。
煮豆や豆のサラダなど、日常の副菜として取り入れやすく、継続しやすい点も特徴です。過剰摂取を避けながら、主食や主菜と組み合わせることが望まれます。
全粒穀物
全粒穀物は、玄米や全粒パン、オートミールなど、精製度の低い穀物を指します。炭水化物を含み、エネルギー源として重要な役割を果たします。
炭水化物の摂取によって分泌されるインスリンは、血中の他のアミノ酸を筋肉へ取り込みやすくし、相対的にトリプトファンが脳へ届きやすくなる環境づくりに関与します。そのため、極端な糖質制限は注意が必要とされる場合があります。
白米や精製された穀物と比べ、全粒穀物には食物繊維やビタミンも含まれています。主食を全粒穀物に置き換えることで、栄養バランスの改善につながります。
ヨーグルト
ヨーグルトは乳製品の一つで、たんぱく質やカルシウムに加え、プロバイオティクスを含む食品です。腸内環境の維持に関与する点が特徴です。
腸内環境は、腸で作られるセロトニンの働きと関係すると考えられており、ヨーグルトを継続的に摂取することで腸内細菌のバランスを支える可能性があります。
また、ヨーグルトは果物や穀物と組み合わせやすく、朝食や間食として取り入れやすい食品です。糖分の多い製品を避け、食事全体のバランスを考慮しながら選択することが重要です。
納豆
納豆は大豆を発酵させた食品で、植物性たんぱく質、ビタミンB群、食物繊維などを含みます。これらの栄養素は、セロトニンの生成を支える環境づくりに関与します。
発酵食品である納豆は、腸内環境の維持に役立つとされ、ヨーグルトと同様に腸内細菌との関係が注目されています。腸内環境が整うことで、セロトニンの働きが保たれやすくなる可能性があります。
納豆は日本の食卓に取り入れやすく、継続しやすい食品です。主食や他のたんぱく質源と組み合わせ、無理のない形で摂取することが大切です。
「セロトニンと食べ物」についてよくある質問

ここまでセロトニンと食べ物について紹介しました。ここでは「セロトニンと食べ物」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
セロトニンが少ない人の特徴について教えてください。
木村 香菜(医師)
生活リズムの乱れや慢性的な疲労感、気分の落ち込みを訴えることがあります。ただし症状には個人差があり、自己判断せず医療機関で相談することが重要です。
まとめ
セロトニンは心身のバランスに関与する物質です。
セロトニンは食事、生活習慣、環境要因が複合的に関係します。特定の食品だけに偏らず、栄養バランスを意識した食事が大切です。症状が続く場合は、医療機関でも相談するようにしましょう。
「セロトニン」と関連する病気
「セロトニン」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
脳神経内科系の病気
消化器系の病気
- 過敏性腸症候群(IBS)
内科系の病気
- セロトニン症候群
これらの病気はセロトニンが不足したり、あるいは過剰になったりすることで起こる可能性があります。
「セロトニン」と関連する症状
「セロトニン」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 気分が落ち込む
- 睡眠不足なる
- 睡眠の質が下がる
- 疲れやすくなる
- やる気がなくなる
セロトニンが不足すると、これらのような症状が現れることがあります。
参考文献
- Serotonin: What Is It, Function & Levels - Clevelandclinic
- Exploring Serotonin Deficiency: From Neurobiology to Treatment Strategies-Palo Alto University
- Serotonin: The natural mood booster - Harvard Health.
- Exploring the serotonin-probiotics-gut health axis: A review of current evidence and potential mechanisms. Food Sci Nutr. 2023



