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”うつ病”補助診断のひとつ「光トポグラフィー検査」はご存じですか?費用も医師が解説!

 公開日:2026/05/13
”うつ病”補助診断のひとつ「光トポグラフィー検査」はご存じですか?費用も医師が解説!

うつ病の光トポグラフィー検査とは?メディカルドック監修医が、診断の補助として注目されている「光トポグラフィー検査」の仕組みや、どのような病気を見分ける手助けになるのか、費用の目安や注意点について解説します。

前田 佳宏

監修医師
前田 佳宏(医師)

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・和クリニック 院長
・精神科/心療内科医
・精神保健指定医
「泣きたくなったら壁を押せ」著者
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。
島根大学医学部卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

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うつ病の補助診断のひとつ、光トポグラフィー検査(NIRS)とは

うつ病の診断は、問診や症状の経過をもとに総合的に判断されます。そのなかで、診断の補助として用いられている検査のひとつが光トポグラフィー検査です。ここでは、その仕組みや特徴について解説します。

うつ病とは?

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、不眠や食欲低下などの症状が続く精神疾患です。仕事や人間関係のストレス、体質的な要因などが複雑に関わって発症すると考えられています。また、似たような症状を示す疾患として、双極性障害や統合失調症などがあり、これらを見分けることが診療上重要になります。

光トポグラフィー検査の仕組みとわかること

光トポグラフィー検査(NIRS)は、近赤外線を用いて前頭葉の血流変化を測定する検査です。頭部にセンサーを装着し、簡単な課題を行っている間の脳の活動を記録します。脳が活動すると血流が変化するため、そのパターンを解析することで、うつ病、双極性障害、統合失調症などの鑑別の手がかりを得ることが目的です。ただし、あくまで診断を補助する検査であり、この結果だけで病気が確定するわけではありません。

光トポグラフィー検査にかかる時間や痛みの有無

検査時間はおおよそ15分程度で、外来で実施されることが一般的です。頭皮に光を当てるだけで、放射線や強い磁場を使用しないため身体への負担は少ないとされています。痛みを伴う処置もなく、副作用の報告もほとんどありません。そのため、受けやすい検査のひとつといえます。

光トポグラフィー検査を受ける際の費用や注意点

光トポグラフィー検査は保険適用となる場合がありますが、条件や施設によって異なります。費用や実施できる医療機関について理解しておくことが大切です。

光トポグラフィー検査(NIRS)が保険適用になる条件と費用の目安は?

光トポグラフィー検査は、抑うつ症状の鑑別診断の補助として行う場合に保険適用となることがあります。診療報酬上は、実施する医師や医療体制によって点数が異なり、目安としては200〜400点程度が設定されています。自己負担額は3割負担の場合で数百円〜1,000円前後が一般的です。ただし、自由診療として行われるケースもあり、その場合は数千円〜1万円以上になることもあるため、事前の確認が必要です。

光トポグラフィー検査はどこのメンタルクリニックでも受けられるわけではない

この検査は、厚生労働省が定める施設基準を満たした医療機関でのみ実施可能です。そのため、すべての精神科や心療内科で受けられるわけではありません。受診を希望する場合は、事前に対応している医療機関を確認することが重要です。

光トポグラフィーの検査結果だけではうつ病の確定診断はできない?

光トポグラフィー検査は、脳の血流変化を可視化することで診断の参考情報を提供しますが、結果だけで病名を確定することはできません。精神疾患の診断は、症状の経過や生活背景、他の検査結果などを総合的に評価して行われます。そのため、検査結果はあくまで補助的な位置づけであり、「数値だけで判断できる検査」とは異なる点に注意が必要です。

「光トポグラフィー検査」の見方

光トポグラフィー検査の結果は、グラフや波形として表示されます。ここでは、どのような点に着目して評価されるのか、基本的な見方について解説します。

「光トポグラフィー検査」の結果の見方

光トポグラフィー検査では、前頭葉の活動に伴う血流変化をグラフ(波形)として記録し、そのパターンをもとに評価が行われます。判読では、脳の活動の強さだけでなく、「どのタイミングで反応が起こるか」といった時間的な変化も重要な要素とされています。こうした特徴を数値化した指標のひとつに「重心値」があり、波形全体の傾向を把握するために用いられます。この重心値には一定の目安があり、一般的にはおおよそ54前後をひとつの目安としてパターン分類が行われるとされています。目安より低い場合はうつ病に特徴的な傾向、高い場合には双極性障害(躁うつ病)や統合失調症などの可能性が考慮されます。ただし、すべてのケースでこの指標が有効とは限りません。脳の反応が弱く明確なピークがみられない場合には、重心値のみで判断するのではなく、波形全体の形や変化を踏まえて総合的に評価する必要があります。また、光トポグラフィー検査は保険診療において、治療に反応しにくいうつ状態の鑑別を補助する目的で用いられる検査です。結果の一致率には一定の幅があるとされており、最終的な診断は問診や症状の経過などとあわせて慎重に行われます。

「光トポグラフィー検査」に異常があった時の結果

血流変化のパターンに特徴的な所見がみられた場合、うつ病や双極性障害、統合失調症などの可能性が示唆されることがあります。ただし、これらはあくまで「可能性」を示すものであり、確定診断には至りません。症状が続く場合や日常生活に支障がある場合は、早めに医療機関での相談が必要です。

「光トポグラフィー検査」で見つかる病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「光トポグラフィー検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

うつ病

うつ病は、気分の落ち込みや興味の低下などが続く状態で、ストレスや体質的要因が関与すると考えられています。治療には抗うつ薬や心理療法が用いられ、生活リズムの調整も重要です。気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、精神科や心療内科への受診がすすめられます。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害は、気分が高揚する躁状態とうつ状態を繰り返す疾患です。うつ病との区別が重要であり、治療法も異なります。治療には気分安定薬が中心となり、自己判断での薬の中断は避ける必要があります。気分の波が大きい場合は早めの受診が重要です。

統合失調症

統合失調症は、思考や感情、行動のまとまりが保ちにくくなる疾患で、幻覚や妄想などがみられることがあります。抗精神病薬による治療やリハビリテーションが行われ、早期の対応が予後に影響します。違和感のある体験や生活の変化が続く場合は専門医の受診が必要です。

うつ病の不安があり光トポグラフィー検査を受けるには

うつ病が疑われる場合、まずは症状をもとに医療機関での相談が大切です。光トポグラフィー検査は診断の補助として用いられることがあり、必要に応じて実施が検討されます。ここでは、検査を受ける目安や探し方を紹介します。

光トポグラフィー検査を受ける目安になるうつの症状例

以下のような症状が続く場合は、検査や受診を検討する目安になります。

  • 気分の落ち込みが続く
  • 以前楽しめていたことに興味が持てない
  • 眠れない、または過眠になる
  • 食欲の変化がある
  • 集中力が低下する

これらが日常生活に影響している場合は、医療機関での相談がすすめられます。

光トポグラフィー検査を実施している医療機関の探し方

検査を受けるには、対応している精神科や心療内科を探す必要があります。医療機関の公式サイトや問い合わせで確認するほか、紹介状が必要な場合もあるため、まずはかかりつけ医に相談する方法もあります。

「うつ病と光トポグラフィー検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「うつ病と光トポグラフィー検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

光トポグラフィー検査結果は、どのくらい正確なのでしょうか?

前田 佳宏医師前田 佳宏(医師)

一定の傾向を示すデータはありますが、診断を確定する精度を持つ検査ではありません。信頼度は60〜70%とする報告もありますが、問診や臨床経過とあわせて評価することが前提となります。

光トポグラフィーの検査でうつ病と躁うつ病はどのように結果がでますか?

前田 佳宏医師前田 佳宏(医師)

脳の血流変化のパターンに違いがみられることがありますが、明確に区別できるとは限らず、あくまで参考情報として扱われます。

光トポグラフィー検査(NIRS)を受けると客観的にうつ病の診断書が出せますか?

前田 佳宏医師前田 佳宏(医師)

検査結果のみで診断書を作成することはなく、医師が総合的に判断したうえで診断が行われます。

うつ病のTMS治療と光トポグラフィーは異なるものですか?

前田 佳宏医師前田 佳宏(医師)

TMS(経頭蓋磁気刺激)は治療法であり、光トポグラフィーは検査です。目的が異なるため、役割も異なります。

光トポグラフィー検査で発達障害かどうかはわかりますか?

前田 佳宏医師前田 佳宏(医師)

発達障害の診断に用いる検査ではなく、判断することはできません。

まとめ

光トポグラフィー検査は、脳の血流変化を可視化することで、うつ状態の背景を考える手がかりとなる検査です。一方で、この検査だけで診断が確定するわけではなく、あくまで医師の判断を補助する役割にとどまります。気分の落ち込みや体調の変化が続く場合は、検査結果にかかわらず医療機関で相談することが重要です。

「うつ病と光トポグラフィー検査」の異常で考えられる病気

「うつ病と光トポグラフィー検査」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

精神科・脳神経内科系

光トポグラフィー検査は、これらのような疾患の診断の補助として用いられる場合があります。しかし、確定診断には他の検査も不可欠です。

「うつ病と光トポグラフィー検査」に関連する症状

「うつ病と光トポグラフィー検査」に関連する症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 気分の落ち込みが続く
  • 以前楽しめていたことに興味が持てない
  • 眠れない・または過眠になる
  • 食欲の変化がある
  • 集中力が低下する

これらの症状が改善しない場合は、うつ病などの心の不調の可能性があります。一度専門医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師