「腹部エコー検査の注意点」は?当日控えた方が良い服装・行動・食事を医師が解説!

腹部エコー検査を受ける際に気をつけることは?メディカルドック監修医が、検査前の食事・水分の制限、当日の服装、検査の流れや注意点を詳しく解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
腹部エコー検査(腹部超音波検査)とは?
腹部エコー検査は、超音波を用いてお腹の臓器を観察する検査です。放射線を使用せず、体への負担が少ないことから、健康診断や人間ドックでも広く行われています。まずは検査の仕組みや特徴を確認しておきましょう。
腹部エコー検査の仕組みと特徴
腹部エコー検査は、体表から超音波を当て、臓器や血流の状態を画像化する検査です。検査時は腹部にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる機器を当てて観察します。X線被ばくがなく、繰り返し行える点が特徴です。リアルタイムで画像を確認できるため、臓器の形や大きさ、腫瘤の有無などを評価できます。
腹部エコー検査で何がわかる?
肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈、膀胱などが主な対象です。脂肪肝、胆石、腫瘍、嚢胞、結石、動脈瘤などの有無を確認します。臓器の腫大や萎縮、内部構造の変化も評価可能です。血流を観察できるドプラ法を併用することもあります。
腹部エコー検査前の流れ
受付後、検査室へ案内され、ベッドに仰向けになります。腹部を露出し、ゼリーを塗布して観察を行います。必要に応じて体位を変えたり、息を止めたりする指示があります。所要時間は通常10〜20分程度です。
腹部エコー検査前の注意事項とは?
腹部エコー検査では、事前準備が画像の質に影響します。食事や水分、薬の服用などについて確認しておくことが大切です。正確な評価のために、検査前の注意事項を押さえておきましょう。
腹部エコー検査前の食事制限は必要?
食事を摂ると胃腸内にガスが発生し、超音波の通過が妨げられます。また、胆のうは食後に収縮するため、観察が難しくなります。
翌日の午前に検査がある場合は前日の22時以降、午後の場合には、検査6時間前からは固形物や乳製品の摂取は避けるようにします。
腹部エコー検査前はいつまでなら水を飲んでも良い?
脱水予防のため、水や白湯などについては検査の2時間前まで、1日200ml程度を目安とした摂取は可能です。
一方、牛乳やジュース、コーヒーなどは胃内容物や胆のう収縮に影響するため避けます。直前の大量摂取は画像に影響するため控えましょう。
腹部エコー検査当日は薬を飲んで来ても良い?
高血圧や心疾患の薬は通常通り服用するケースが多いですが、糖尿病薬やインスリンは絶食と関連するため注意が必要です。低血糖のリスクがあるため、必ず事前に医師へ確認します。自己判断で中止せず、指示に従いましょう。
腹部エコー検査当日の注意点は?
当日の過ごし方や服装も、スムーズな検査に影響します。検査中の対応や、体調不良時の対処についても確認しておきましょう。
腹部エコー検査の流れ
ベッドに横になり、腹部にゼリーを塗って観察します。技師の指示に従い、息を吸って止めるなどの呼吸調整を行います。膀胱を観察する場合は尿を溜めておく必要があります。痛みはほとんどありませんが、圧迫感を感じることがあります。
腹部エコー検査当日の服装は?
上下が分かれた服装が適しています。検査用の着衣がないような医療機関の場合には、ワンピースは避け、腹部を出しやすい服を選びましょう。ゼリーが付着する可能性があるため、汚れても問題ない服装が無難です。通常は下着を含めて脱ぐ必要はありません。
腹部エコー検査中に痛みなどの不調を感じた時は?
基本的には腹部エコーは検査を受ける方にとって負担の少ないものです。しかし、ときに強い圧迫や体位変換で不快感が出ることがあります。腹痛やめまいなど体調変化があれば、我慢せずに伝えます。呼吸が苦しい場合も遠慮なく申し出ましょう。安全に検査を行うための重要な対応です。
腹部エコー検査と他の検査との注意点とは?
同日に他の消化管検査を受ける場合、順番に注意が必要です。検査内容によっては腹部エコーに影響が出ることがあります。
腹部エコーを胃カメラ(上部消化管内視鏡)と同時に受ける場合
一般的には腹部エコーを先に行います。内視鏡検査後は胃内に空気が残るため、画像評価に支障が出ることがあります。同日実施の場合は絶食時間を共通に設定し、医療機関の指示に従います。
腹部エコーとバリウム検査(胃部X線検査)を同時に受ける場合
バリウムは超音波を遮断するため、腹部エコーより前に実施すると評価が困難になります。通常は腹部エコーを先に行います。同日検査の場合は順番を確認して予約しましょう。
「腹部エコー検査」で見つかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「腹部エコー検査」で発見されやすい病気について解説します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂肪肝
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態を指します。現在は「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という名称が用いられています。腹部エコーでは肝実質がびまん性に高エコーとなり、腎臓より白く見える「肝腎コントラストの増強」が特徴です。進行すると後方減衰が強くなり、血管の描出が不明瞭になります。炎症や線維化を伴う状態はMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼ばれ、放置すると肝硬変や肝がんへ進展する可能性があります。
胆石症
胆石症は胆汁成分が凝集して結石を形成する病気で、結石が胆のうや胆管内に存在する状態を指します。腹部エコーでは、胆のう内に高エコー(明るく映る)構造が認められ、結石の後方に音響陰影(黒い影)が続く所見が診断に有用です。また、結石が移動して体位変換で位置が変わることも観察されます。この所見に加えて、胆のう壁の肥厚や周囲の液体貯留、ドプラ法での血流変化などから、炎症(急性胆のう炎)の有無も評価します。無症状で経過観察となる場合もありますが、右上腹部痛や発熱、黄疸を伴う場合は治療の検討が必要です。
膵臓がん
膵臓がんは、膵臓の細長い管(膵管)の上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。多くは「腺がん」と呼ばれる組織型で、初期には症状がほとんど出ないため、進行するまで気づかれにくいことが特徴です。腹部エコーでは、膵実質内に低エコー域(暗く見える領域)として腫瘍が描出される場合がありますが、腸管ガスの影響で描出しにくいことも少なくありません。また、腫瘍によって膵管や総胆管が圧迫されると、それらの拡張所見が間接的な手がかりになります。進行すると腹痛、背部痛、食欲不振、黄疸などの症状が現れることがあり、血液検査やCT・MRIによる精密検査へと進むケースが多いです。
尿路結石
尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱に結石が形成される病気です。結石は尿中のカルシウムや尿酸などが凝集して生じ、尿の流れを妨げることがあります。腹部エコーでは、結石が高エコー(明るく映る点状陰影)として描出され、後方に音響陰影(黒い影)を伴うことが典型的です。尿路が閉塞すると、結石より上流の腎盂や尿管が拡張(水腎症・水尿管症)する所見も確認されます。症状としては、激しい側腹部痛や血尿、吐き気などが多く、発熱や強い痛みが続く場合は緊急対応が必要です。治療は小さな結石なら自然排石を待つこともありますが、大きい結石や閉塞・感染を伴う場合は内視鏡的除去や破砕術が検討されます。
腹部エコー検査後の過ごし方と対処法とは?
腹部エコーは体への侵襲が少ない検査です。基本的に、終了後の制限はありません。
検査後はすぐに食事が可能です。絶食していた場合は、急に大量摂取せず、体調をみながら摂ります。ゼリーによる皮膚トラブルがあれば洗い流し、かゆみが続く場合は検査を受けた医療機関に相談しましょう。
「腹部エコー検査後の注意」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「腹部エコー検査後の注意」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
腹部エコー当日は糖尿病の薬を飲んでも良いでしょうか?
木村 香菜 医師
絶食が必要なため、低血糖のリスクがあります。自己判断せず、事前に主治医へ相談してください。
タバコやガムは腹部エコー検査結果に影響しますか?
木村 香菜 医師
嚥下により胃内ガスが増える可能性があります。検査前は控えることが望ましいです。
膀胱をエコーで診る時、尿は溜めておいたほうが良いですか?
木村 香菜 医師
膀胱内に尿がある方が観察しやすくなります。我慢できない場合はスタッフへ伝えてください。ただし、膀胱は下腹部エコーとして別枠で行う場合もあります。検査の範囲をよく確認し、必要かどうかが不明な場合にはあらかじめ医療機関に問い合わせるとよいでしょう。
腹部超音波検査の1時間前に水を飲むのはNGなのでしょうか?
木村 香菜 医師
少量であれば問題ない場合もありますが、施設の指示に従うことが基本です。
まとめ 腹部エコー検査の注意点は絶食・水分・薬の確認!
腹部エコー検査を受ける時に気をつけたい点は、絶食時間の遵守、水分摂取の管理、薬の事前確認です。正しい準備により、より適切な評価が可能になります。疑問点があれば事前に医療機関へ確認し、安心して検査を受けましょう。
「腹部エコー検査」に関連する病気
「腹部エコー検査」から医師が見つかる病気は12個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
泌尿器科系の病気
- 尿路結石
- 腎臓がん
血管外科系の病気
婦人科の病気
腹部エコー検査では、これらのような疾患が指摘されることがあります。自覚症状がなくても、異常を指摘されたら一度医療機関を受診しましょう。
「腹部エコー検査」に関連する症状
「腹部エコー検査」から医師が考えられる症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
腹部エコー検査が行われる主な症状
- 腹痛
- 腰背部痛
- 下痢
- 腹部膨満感
これらの症状が続く場合には、腹部エコーを含めた検査が必要なこともあります。放置しないようにしましょう。



