「骨導聴力検査のやり方」はご存じですか?医師がノイズを流す理由や見つかる病気を解説!

骨導聴力検査とは?メディカルドック監修医が検査方法や気導聴力検査との違い・結果の味方、発見できる病気などを詳しく解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
骨導聴力検査とは?
骨導聴力検査は、耳の奥にある内耳や聴神経の働きを評価するために行われる聴力検査です。
気導聴力検査と併せて実施することで、難聴の原因や種類をより正確に判断できます。
骨導聴力検査の特徴・検査でわかることとは?
骨導聴力検査は、音を骨の振動として直接内耳へ伝え、聴覚の感知機能を調べる検査です。外耳や中耳を経由しないため、内耳や聴神経そのものの状態を評価できる点が特徴です。
この検査により、感音難聴の有無や程度、伝音系の障害を除いた純粋な聴力レベルを把握できます。
気導聴力検査と骨導聴力検査の違いとは?
気導聴力検査は、イヤホンから出る音が外耳・中耳・内耳を通って聞こえるかを確認する検査です。一方、骨導聴力検査では骨振動を用いて内耳の反応のみを調べます。
両者を比較することで、伝音難聴・感音難聴・混合性難聴の鑑別が可能になります。
骨導聴力検査のやり方は?
骨導聴力検査は、専用の機器を用いて短時間で行われる検査です。
正確な結果を得るためには、検査機器の装着方法や測定中の注意点を理解しておくことが重要です。
骨導レシーバーの装着方法
骨導聴力検査では、専用の骨導レシーバーを耳の後ろにある骨の部分へ装着します。装着位置や当て方が適切でない場合、実際の聴力よりも低く、あるいは高く測定されてしまうことがあるため注意が必要です。
レシーバーは、耳介の後方に位置する乳様突起部と呼ばれる部分に当てます。この部位は皮膚のすぐ下に骨があり、振動が内耳へ伝わりやすいのが特徴です。装着の際は、骨導レシーバーが皮膚に均一に接するよう調整し、浮きや傾きが生じないようにします。
また、骨導レシーバーは一定の圧力で固定される構造になっていますが、強く押し付けすぎると不快感や痛みの原因となり、検査への集中を妨げることがあります。一方で、圧が弱すぎると振動が十分に伝わず、正確な測定ができません。そのため、違和感は少ないが安定して固定されている状態が理想とされています。
眼鏡を使用している場合は、つるがレシーバーの位置に重ならないよう、一時的に外すか位置をずらします。また、髪の毛が厚く挟まっていると振動が減衰するため、装着前に耳の周囲を整えてから測定を行います。
検査中にレシーバーの位置がずれた場合、結果に影響することがあるため、違和感があれば我慢せず検査担当者に伝えることが大切です。適切に装着された状態で検査を行うことで、骨導聴力検査の精度が保たれます。
骨導聴力検査のやり方
骨導聴力検査は、骨導レシーバーを装着した状態で、さまざまな高さの音を順に聞き取っていく検査です。検査自体は痛みを伴わず、短時間で終了しますが、正確な結果を得るためには検査の流れを理解し、落ち着いて受けることが大切です。
検査では、低い音から高い音まで複数の周波数の音が使用されます。一般的には、500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzといった、日常生活での会話に関係する周波数帯が中心となります。これらの音は、音の大きさを少しずつ変えながら提示され、聞こえるかどうかが確認されます。
音が聞こえたと感じたら、検査機器のボタンを押す、または手を挙げるなど、あらかじめ説明された方法で合図をします。このとき、はっきりと聞こえた場合だけでなく、「かすかに聞こえた」と感じた段階でも反応することが重要です。反応が遅れたり迷ったりすると、実際よりも聴力が低く評価される可能性があります。
検査中は、体や頭を動かさず、静かな状態を保つようにします。噛みしめや会話、姿勢の変化によって骨の振動の伝わり方が変わり、測定結果に影響することがあるためです。また、検査の途中で疲れや違和感を覚えた場合には、無理をせず検査担当者に伝えることが勧められます。
骨導聴力検査でマスキングは必要?
骨導聴力検査では、音が頭蓋骨全体に伝わる特性があります。
そのため、測定条件によっては「マスキング」と呼ばれる操作が必要になります。
マスキングとは?骨導聴力検査でマスキングを行う目的は?
マスキングとは、検査を行っていない側の耳に雑音を流し、反対側の耳で音を聞いてしまうのを防ぐための方法です。聴力検査では、どちらの耳で音を感じ取っているのかを正確に区別する必要があるため、重要な役割を果たします。
特に骨導聴力検査では、音が骨の振動として頭蓋骨全体に伝わる性質があります。そのため、検査している側とは反対の耳が音を感知してしまうことがあり、本来の聴力とは異なる結果が出る可能性があります。
マスキングを行うことで、検査対象でない耳の聴覚反応を抑え、検査している耳そのものの聴力を評価できる状態を作ります。
検査中に雑音が聞こえると、不安に感じる方もいますが、これは検査を妨げるものではなく、むしろ正確な測定のために意図的に行われている操作です。マスキングは、骨導聴力検査の精度を保つために欠かせない工程の一つといえます。
聴力検査でマスキングが必要になるのはどんなとき?
マスキングは、すべての骨導聴力検査で必ず行われるわけではありません。主に、左右の耳の聞こえ方に差がある場合や、気導聴力と骨導聴力の間に一定以上の差が認められる場合に実施されます。
例えば、片方の耳の聴力が良好で、もう一方の耳に難聴がある場合、骨導検査の音が良いほうの耳に伝わってしまうことがあります。この状態では、実際には聞こえていない耳が「聞こえている」と判断されてしまうおそれがあります。
そのため、必要に応じてマスキングを行い、左右それぞれの耳を個別に評価します。
適切にマスキングを行うことで、骨導聴力検査の結果はより信頼性の高いものとなり、難聴の種類や原因の判断にも役立ちます。検査中にマスキングが行われた場合でも、過度に心配する必要はなく、検査の精度を高めるための通常の手順と理解しておくとよいでしょう。
「骨導聴力検査」の見方と再検査が必要な「骨導聴力検査」に関する数値・結果
ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
「骨導聴力検査」の基準値と結果・グラフの見方
骨導聴力検査では、音が聞こえた最小の大きさをデシベル(dB)で表し、その数値を周波数ごとに記録します。一般的には、骨導聴力がおおむね25dB以下であれば、日常生活に支障のない範囲と考えられています。
結果はオージオグラム上に記号で示され、縦軸は音の大きさ、横軸は音の高さ(周波数)を表します。骨導聴力は、気導聴力とは異なる記号で表示されるため、両者を見比べることが重要です。
特に注目されるのが、気導聴力と骨導聴力の差です。この差は「気骨導差」と呼ばれ、音の伝わり方に問題があるのか、内耳や聴神経に原因があるのかを考える手がかりになります。
オージオグラムは一見複雑に感じられますが、「どの音域で聞こえにくさがあるのか」「左右で違いがあるか」という視点で見ると理解しやすくなります。
「骨導聴力検査」の異常値・再検査基準と内容
骨導聴力検査の結果は、オージオグラムと呼ばれるグラフ上にどの大きさの音がどの周波数で聞こえたかとしてプロットされます。この結果を見て、聴力がどの程度保たれているのか、あるいは低下しているのかを評価します。
まず、正常の目安として一般的に使われる基準があります。純音聴力検査では、各周波数での閾値が概ね25dB以下であれば、日常生活で特段支障のない範囲として扱われることが多く、これがオージオグラムの正常領域の一つの目安です。
一方で、健康診断や人間ドックで使われる基準(例:1000Hzや4000Hzで30〜40dB以上だと要精査など)は、主に気導聴力を簡易評価するスクリーニング用の目安であり、検査の目的や方法が異なります。これらは骨導聴力評価の「診断基準」として直接転用するものではありません。そのため、聴力検査結果を評価する際には、検査の種類(気導・骨導)や測定条件を踏まえて解釈する必要があります。
オージオグラムでは、骨導聴力と気導聴力の両方をプロットし、両者の差(気骨導差)が小さいか大きいかを見ることが、どの部分に問題があるかを考える手がかりとなります。たとえば、骨導聴力が保たれているのに気導聴力だけ低下している場合、外耳・中耳に問題がある可能性が高くなります。
検査結果に基準を超える傾向がみられた場合、そのまま診断が確定するわけではなく、状況に応じて精密聴力検査や、耳鼻咽喉科での専門的な評価、必要に応じてMRIなどの画像検査が行われます。
自覚症状(聞こえにくさ、耳鳴り、左右差の違和感など)があり、オージオグラムでも基準を超える傾向が示される場合には、早めの耳鼻咽喉科受診が望まれます。
「骨導聴力検査」で見つかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「骨導聴力検査」で見つかる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
感音難聴
感音難聴は、音を感じ取る内耳や、その情報を脳へ伝える聴神経の働きに支障が生じることで起こる難聴です。骨導聴力検査では、骨を介して伝えた音に対する反応自体が弱くなっており、気導聴力検査と比べても大きな差が出にくい傾向がみられます。
背景には、年齢を重ねることによる聴覚機能の変化のほか、強い音に長期間さらされる環境、突発的に起こる聴力障害、使用している薬剤の影響など、さまざまな要因が関係します。聞こえにくさだけでなく、会話の内容がはっきり分からない、耳鳴りが続くといった症状を伴うこともあります。
感音難聴の可能性が考えられる場合には、耳鼻咽喉科で詳しい検査を受け、原因や進行の程度を確認します。その結果に応じて、治療や経過観察が行われ、必要に応じて補聴器などの使用が検討されます。
混合性難聴
混合性難聴は、音の伝わり方に関わる部分と、音を感じ取る仕組みの両方に問題が生じている状態です。骨導聴力検査では、骨を介して伝えた音への反応が低下している一方で、気導聴力検査との間に差が生じる所見がみられることがあります。
背景には、中耳の病気による音の伝達障害に加えて、内耳や聴神経の働きが低下している状況が重なっているケースが考えられます。聞こえにくさがゆっくり進む場合もあり、片側だけ違和感を覚えるなど、左右で差を感じることもあります。
混合性難聴の可能性がある場合には、耳のどの部分にどの程度の影響が及んでいるのかを詳しく調べ、その結果を踏まえて治療や経過観察の方針が検討されます。
中耳炎
中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳に炎症が起こる病気です。音の伝わりが妨げられることで、主に気導聴力が低下しますが、骨導聴力検査との比較によってその特徴が明らかになります。
急性中耳炎では痛みや発熱を伴うことがありますが、慢性化すると自覚症状が少ないまま聴力低下が進むこともあります。骨導聴力が保たれている場合には、伝音難聴が主体である可能性が考えられます。
違和感や聞こえにくさが続く場合は、放置せず耳鼻咽喉科での診察が重要です。
耳硬化症
耳硬化症は、耳小骨の動きが悪くなることで音の伝達に支障が出る病気です。骨導聴力検査では骨導聴力が保たれている一方で、気導聴力が低下し、両者の差が目立つことがあります。
若い年代から発症することもあり、徐々に聞こえにくさが進行するのが特徴です。初期には日常生活での気づきが遅れることもあります。
耳硬化症が疑われた場合には、詳細な検査を行い、補聴器や手術などの治療選択肢が検討されます。
聴力を「骨導聴力検査」で正しく測定するには?
骨導聴力検査は簡便な検査ですが、条件によって結果が左右されることがあります。正確な評価のために知っておきたいポイントを整理します。
骨導聴力検査の精度に影響する要因は?
骨導聴力検査の結果に影響を与える要因はいくつかあります。
代表的なものとして、骨導レシーバーの位置ずれが挙げられます。レシーバーが正しい位置からずれると、骨の振動が十分に内耳へ伝わらず、実際よりも聴力が低く評価されることがあります。
また、必要な場面でマスキングが十分に行われていない場合には、反対側の耳で音を感知してしまい、正確な左右差の評価が難しくなります。
さらに、検査を受ける人が検査の流れを十分に理解できていないと、音への反応が遅れたり迷ったりして、結果にばらつきが生じることもあります。体調や集中力、緊張の有無なども、聴力検査の結果に影響する要因の一つです。
骨導聴力検査を正しく測定するには?
検査前に検査内容や反応方法について十分な説明を受けることが重要です。音が「かすかに聞こえた」と感じた段階で反応してよいことを理解しておくことで、より正確な測定につながります。
検査中は、できるだけリラックスした状態を保分、体や頭を動かさずに音に集中することが大切です。緊張や不安が強いと、音に気づきにくくなることがあります。
また、違和感や疲れを感じた場合には、我慢せずに検査担当者へ伝えることで、必要に応じて調整が行われます。
このように、検査を行う側と受ける側の双方が協力することで、骨導聴力検査の精度はより高まり、信頼性のある結果が得られます。
「骨導聴力検査」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「骨導聴力検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
純音聴力検査では気導聴力と骨導聴力どちらを調べるのでしょうか?
木村 香菜 医師
気導と骨導の両方を測定し、総合的に判断します。
耳鼻科で骨導聴力検査を受けるときに、何か注意点はありますか?
木村 香菜 医師
眼鏡やアクセサリーは外し、検査中は静かに集中しましょう。
骨導聴力検査結果のオージオグラムの見方を教えてください。
木村 香菜 医師
縦軸が音の大きさ、横軸が周波数を示します。
骨導聴力検査は何歳からどれくらいのスパンで受けるべきでしょうか?
木村 香菜 医師
症状がなければ定期健診、異常があれば医師の指示に従います。
まとめ 骨導聴力検査のやり方は内耳や聴神経の機能を直接調べる方法!
骨導聴力検査は、難難聴の原因を見極めるうえで欠かせない検査です。気導聴力検査と組み合わせることで、より正確な診断につながります。聞こえに違和感がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
「骨導聴力検査」で考えられる病気と特徴
「聴力」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
全身疾患・その他の原因による病気
- 加齢性難聴
- 糖尿病に伴う難聴
- 自己免疫性内耳疾患
- 薬剤性難聴
聴力の異常は「年齢のせい」と思われがちですが、治療や経過観察が必要な病気が隠れていることもあります。聞こえの変化に気づいた場合は、自己判断せず、早めに耳鼻咽喉科で相談することが大切です。
「骨導聴力検査」に関連する症状
「聴力」から医師が考えられる症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 耳鳴りがする
- 耳が詰まった感じがする
- めまい・立ち眩みがする
- 頭が痛い
- 吐き気や気分不良がある
聴力の変化に加えて気になる症状がある場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
参考文献




