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「50代の血圧正常値」はどれくらい?異常値や発見できる病気についても医師が解説!

 公開日:2025/08/21
「50代の血圧正常値」はどれくらい?異常値や発見できる病気についても医師が解説!

50代の血圧正常値をご存じですか?Medical DOC監修医が男女別の血圧正常値のほかに、異常があった場合の主な原因、考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

健康診断の50代の血圧正常値とは

健康診断では、血圧と脈拍数を同時に測定します。健康診断で自分の血圧がどのくらいか知り、生活習慣病の予防や健康維持に役立てましょう。ここでは50代の血圧正常値について解説します。

血圧測定とは?

血圧測定とは、血管を流れる血液が血管の壁を押している力を測ることです。主に上腕(二の腕)にカフ(腕帯)を巻いて測定します。身体の状態を知る、脳卒中や心臓病などの生活習慣病リスクを早期発見する、薬を服用している・治療中の方は効果を確認する、といった目的で行われます。 家庭で測定する「家庭血圧」と医療機関で測定する「診察室血圧」の2種類があります。一般的に、家庭血圧は診察室血圧よりもやや低めに出る傾向があります。高血圧の診断では、家庭血圧の値が優先されます。

血圧とともに脈拍数を測るのはなぜ?

脈拍は心臓が1分間に何回拍動しているかを示し、血圧は血液が血管を流れる際の圧力を示します。これらを同時に測定することで、心臓のポンプ機能や血管の抵抗、循環動態のバランスを総合的に把握できるメリットがあるのです。 たとえば、不整脈や心不全、高血圧などの異常がある場合、脈拍と血圧の変化が連動して現れることが多く、早期発見やリスク評価に役立ちます。また、急な血圧低下や脈拍の異常は、重篤な心血管疾患を発見する手掛かりとなります。 正常時の脈拍は、安静時では大体1分当たり50〜100回ほどとされています。しかし健康診断を受診した人たちの平均値は、男性64±10拍/分、女性66±10拍/分という報告もあり、明確な基準が定められているわけではありません。

男女別の血圧正常値は?

血圧の正常値は年齢に関係なく決められており、測定する環境によって分かれています。正常血圧の具体的な値について、詳しく見ていきましょう。

男性の血圧正常値

日本高血圧学会が定めた正常血圧 は性別・年齢関係なく以下のようになっています。(単位:mmHg)  
分類 診察室血圧 家庭血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 <115 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
高血圧 140 かつ/または 90以上 135 かつ/または 85以上
高血圧の中でも180/120mmHg以上になると、脳や心臓、腎臓、血管などに「高血圧緊急症」と呼ばれる急性の障害を起こすことがあるため、注意が必要です。

女性の血圧正常値

女性の血圧も、正常血圧は男性と同様です。性別や年齢は関係ありません。前述の「男性の血圧正常値」をご参照ください。

健康診断の血圧の再検査が必要な数値とは

健康診断の血圧測定で再検査とされる値は、2回測定の平均値が収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上です。

健康診断の血圧の異常値・再検査基準と内容

「高血圧」と診断される血圧の値は、診察室血圧で収縮期血圧が140mmHg以上かつ/または拡張期血圧が90mmHg以上、家庭血圧で収縮期血圧が135mmHg以上かつ/または85mmHg以上とされています。年代は関係ありません。 高血圧の中でも、180/120mmHg以上になると、脳や心臓、腎臓、血管などに「高血圧緊急症」と呼ばれる急性の障害を起こすことがあるため危険です。 健康診断で再検査や精密検査を勧められた場合、放置せずになるべく早めに受診しましょう。かかりつけ医や近隣の内科のクリニックに健康診断の結果と可能であれば自宅血圧の測定値を記載して持参してください。もし専門的な検査が必要と判断された場合は、大学病院などの規模が大きい医療機関に紹介される可能性もあります。 血圧測定は、現段階の診療報酬制度では初診料・再診料の中に含まれ、個別に料金を請求できないとされています。健康診断の再検査や精密検査の受診には健康保険が適用されるため、
  • 初診料:3割負担の場合は約900円~
  • 再診料:3割負担の場合は約400円~
が費用の目安です。 血圧測定のみで金額は発生しませんが、受診した医療機関の施設基準や、検査、治療の有無などにより費用は変わります。具体的に知りたい場合には、受診する医療機関に問い合わせをしましょう。再検査・精密検査の結果、治療が必要と判断された場合、生活習慣の改善から始まり、必要に応じて降圧剤の服用が検討されます。原因疾患が判明した場合、その疾患の治療が行われます。

健康診断の「血圧」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが途絶え、脳細胞に酸素が行きわたらなくなって起こる疾患です。主に心原性脳梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞の3タイプに分類されます。 呂律が回らない、手足がしびれる、視野が欠ける、言葉が出ない、といった症状が現れたら、すぐに救急を受診してください。「何だか様子が変だ」と感じたら救急要請しましょう。24時間以内に症状が消えたとしても、48時間以内に脳梗塞を発症するリスクが高いと言われています。脳梗塞が疑われたら、一刻も早く神経内科や脳神経外科などを受診しましょう。 脳梗塞の発症直後〜48時間までは、血栓溶解療法で詰まった血管を再開通させる治療が行われます。以降は再発予防に抗血小板薬や抗凝固薬を使用し、高血圧や糖尿病など基礎疾患の管理などを行います。

狭心症

狭心症とは、動脈硬化などが原因で心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなって生じる疾患です。安静時に胸痛が起こる不安定狭心症、身体を動かすと発作が起き、胸痛などの症状が生じる労作時狭心症、血管が痙攣して狭くなるために起こる冠攣縮性狭心症があります。 心筋梗塞の前段階にあたる状態ですので、心筋梗塞に移行させないためにも早急に循環器内科を受診しましょう。 治療では、心筋梗塞のリスクの程度によって薬物療法や外科的手術が行われます。

心不全

心臓の機能や構造の異常によって心臓が血液を全身に送るポンプの働きが弱くなった結果、低血圧となる場合があります。具体的には、心筋梗塞、不整脈、心筋症などの原因があります。呼吸困難や浮腫み、倦怠感、運動するとすぐに苦しくなる、といった症状が見られます。 薬物療法を始め、原因に合わせた適切な治療で症状は改善しますが、心不全そのものは治らず徐々に進行します。低血圧のほかに息切れやむくみ、疲れやすさを自覚する場合、一度循環器内科を受診しましょう。

「血圧」が異常値と指摘があった場合の改善法は?

血圧が異常だと指摘されても、高血圧の場合、自覚症状が。ない場合がほとんどです。もしめまい、ふらつき、頭痛などが見られる場合は合併症が疑われます。安静にして、早めにかかりつけ医を受診しましょう。 血圧の異常値の改善で大切なのは、生活習慣の見直しです。 食事は減塩を心がけ、野菜や果物、青魚などを食べるように心がけましょう。カリウムやカルシウム、マグネシウム、多価不飽和脂肪酸 などを積極的に摂るようにします。お酒の飲み過ぎは控えてください。 他にも、
  • 規則的な生活リズムを保ち、睡眠時間を確保する
  • 寝る前のスマートフォンやパソコンなど液晶画面の操作やカフェイン摂取は控える
  • 趣味や軽い運動、深呼吸、瞑想などでリラックス・ストレス発散を心がける
  • 室温管理や衣服で調整し、身体を冷やさない
といった工夫ができます。

「50代の血圧正常値」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「50代の血圧正常値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

家庭で血圧を測定した場合、高血圧の範囲はいくつですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

家庭血圧で高血圧と診断される基準は、収縮期135mmHg以上かつ/または拡張期85mmHg以上です。診察室血圧よりも、それぞれ5mmHg低く設定されています。参考までに、正常値は収縮期115mmHg未満かつ拡張期75mmHg未満です。

男女ともに更年期を疑う血圧の値はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

男女とも、性ホルモンの分泌量が低下する更年期に血圧が高くなる傾向が報告されていますが、具体的な値が定められているわけではありません。以前と比べて血圧が上がってきたら、生活習慣の見直しを行って早めに対策をとりましょう。

まとめ 高血圧を指摘されたら、早めに内科を受診しよう!

血圧の正常値は、年齢・性別に関係なく、
  • 診察室血圧で収縮期120mmHg未満かつ拡張期80mmHg未満
  • 家庭血圧で収縮期115mmHg未満かつ拡張期75mmHg未満
と定められています。 50代は男女ともに更年期を迎え、ホルモンバランスが低下する影響で血圧が上がりやすい年代でもあります。自覚症状がない場合も多いですが、放置すると脳梗塞や腎不全などの重篤な合併症を発症する可能性があります。 健康診断で高血圧を指摘された場合は、早めにかかりつけ医を受診しましょう。

「血圧」の異常で考えられる病気

「血圧」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

  • (本態性、二次性)高血圧症
  • 低血圧症

内分泌系の病気

腎臓系の病気

脳神経系の病気

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
50代は、男女ともに高血圧が起こりやすい年代です。健康診断の結果は必ず確認し、早めに対策をとりましょう。

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