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「糖尿病」と診断される「血糖値の値」はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2025/03/14
「糖尿病」と診断される「血糖値の値」はご存知ですか?医師が徹底解説!

糖尿病と診断される血糖値の値とは?Medical DOC監修医が血糖値が上がると現れる症状・原因・基準値や上がりやすい人の特徴や食べ物・発症しやすい病気・予防法などを解説します。

増田 徹也

監修医師
増田 徹也(医師)

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関西医科大学医学部を卒業。その後、平塚市民病院、北播磨総合医療センター、上尾中央総合病院、三愛会総合病院などで勤務。現在は埼玉県三郷市にある「さつき内科」で勤務し、専門の糖尿病を中心に幅広く一般内科に従事。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医・指導医の資格を有する。

血液中のブドウ糖濃度、血糖値とは?

一般に血糖値とは血中ブドウ糖濃度を意味します。空腹時か食後など測定のタイミングにより変動します。また、その測定は糖尿病の診断や治療をおこなう上で必要な検査です。

血糖値とは何?

血糖値は血液検査で確認します。一般的には血中ブドウ糖濃度のことを指します。

血糖値の基準値は?(空腹時/食前/食後)

まず血糖値の基準について確認していきましょう。
(a)早朝空腹時血糖値が110mg/dL未満
(b)75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)での2時間値が140mg/dL未満
(a)と(b)を両方満たした場合を「正常型」と判定します。

糖尿病と診断される血糖値の値とは?

ここでは糖尿病、主に2型糖尿病についてご説明します。
糖尿病とは『インスリンの作用が十分でないため、ブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態』と定義されています。(インスリンは膵臓から分泌されるホルモンのひとつで、ブドウ糖を筋肉や肝臓や脂肪細胞などに取り込む働きがあります)
では、どのように糖尿病は診断されるのでしょうか?具体的にご説明したいと思います。

糖尿病の血糖値

糖尿病の診断は以下の手順でおこないます。
①早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上
②随時血糖値が200mg/dL以上
③75gOGTTの2時間値が200mg/dL以上
④HbA1cが6.5%以上
(随時血糖値 →食事の時間を問わないで測定した血糖値のことです。糖負荷後の血糖値は除きます。)
(HbA1c→ヘモグロビン・エー・ワンシー)
①〜④のいずれかが当てはまると「糖尿病型」と判定されます。
前に記載した「正常型」とこちらに記載した「糖尿病型」のいずれにも当てはまらない血糖値の場合は「境界型」と判定します。
1回の検査で血糖値が「糖尿病型」となり、さらに別の日にもう一度検査を行い、2回以上「糖尿病型」と確認できれば糖尿病の診断になります。(HbA1cだけが2回以上「糖尿病型」に当てはまったとしても、糖尿病とは診断しません)
また、血糖値が「糖尿病型」に当てはまり、かつ次のいずれかの条件をみたせば、1回の検査でも糖尿病の診断となります。
糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿)HbA1cが6.5%以上
確実な糖尿病網膜症 
ここまで読んでいただいて、あれ?と思った方もいらっしゃるかもしれません。
実は糖尿病という名前にも関わらず尿の中に糖が出ているかどうかは診断には用いません。そのため糖尿病という名称は今後変更される予定です(話せば長くなってしまいますので、ここでは詳細は割愛します)
また、巷でよく聞くHbA1cだけで糖尿病が診断できるわけではありません。必ず血糖値の基準を満たす必要があります。

血糖値が上がると出る症状

血糖値が上がると出る症状というものはありません!
多くの場合、初期の段階では自覚症状はありませんが、状態が悪くなるにつれてノドが乾く(口渇)、たくさん水分を飲んでしまう(多飲)、尿の量が多くなる(多尿)、しっかりと食べているのに痩せる(体重減少)などがあります。
初期の段階に症状がないというのは非常に怖いですよね。症状がない間も糖尿病の合併症(神経障害、網膜症、腎症)は進行することがあります。糖尿病にかぎらずですが、「症状がない=健康」とはかぎりません。必ず定期的な健康診断を受けることをお勧めしています。そして、健康診断で引っかかった場合には放置せずに糖尿病内科もしくは内科を受診しましょう。
また、上に記載した症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)がある場合には、かなり血糖値が高くなってしまっている危険性があります。ジュースや清涼飲料水を飲むことは控えて、できるだけ早めに糖尿病内科もしくは内科を受診することをお勧めします。

血糖値が上がる原因

考えられる原因は色々と考えられます。
皆様の中には「糖尿病は食事や運動などの生活習慣が原因でしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。たしかに生活習慣に大きな影響を受けるのですが、実はそれだけではありません。そのため、「絶対に糖尿病にならない生活習慣」というのは存在しませんし、「絶対に糖尿病になる生活習慣」というのも存在しません。だからといって、もちろん好き勝手な生活を送って問題ないわけではありません。
インスリンの出やすさや効きやすさなどの複数の遺伝的な要素に食生活や運動や喫煙などの環境的な要素が加わって糖尿病を発症すると考えられています。

血糖値が上がりやすい人の特徴

一般的に日本人は欧米人に比べて糖尿病になりやすいと言われています。それはインスリンを出す力(インスリン分泌能)が比較的低いことが原因です。
血糖値の上がりやすい方の特徴は、
・親や兄弟など家族に糖尿病の方がいる
・甘い食べ物をたくさん食べる
・甘い飲み物をたくさん食べる
・周りよりも早食いである
・普段、運動をほとんどしない
・外食が多い
・太っている、太ってきている
などがあります。特に複数個当てはまった方は要注意です。

血糖値が上がりやすい食べ物

基本的にどのような食べ物でも少なからず血糖値は上がります。(ゼロカロリーのものなどは除きます)

ご飯やパンやうどんや甘い物

血糖値が上がりやすい食べ物はご飯やパンやうどんや甘い物など炭水化物(糖質)を多く含んだ物です。しかし、炭水化物を極端に控えると栄養のバランスを崩しやすくなり、健康には悪影響です。また、頭痛や便秘や口臭や体のだるさなども多くなったという研究報告もあります。時折、巷では炭水化物を全く摂らないことや過度に制限することを勧めているものを見かけることがありますが、絶対にやめておきましょう。また、どれだけ健康に良いと言われている食べ物も摂りすぎると悪影響があります。目新しさのない言葉ですが、健康にはバランスの良い食生活を心がけましょう!

糖尿病を予防する方法・改善法は?

食べ物についてですが、残念ながら「これを食べれば糖尿病にならない(予防できる)」という食べ物は存在しません。必要な摂取エネルギー(カロリー)を計算して、栄養のバランス良く食事をすることが必要です。
また、「これをすれば簡単に血糖値が下がる」というような血糖値を下げるツボはなかなかありません。遠回りに見えますが地道に取り組んでいくことが大切です。

禁煙

意外に思うかもしれませんが、「禁煙」は重要です。喫煙(タバコ)は食道癌や肺癌などの癌や心筋梗塞や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの原因になることは有名ですよね。それらに加えて糖尿病になるリスクも上がると言われています。禁煙している方はそのまま禁煙を続けて、現在は喫煙している方は是非とも禁煙をはじめましょう!

「糖尿病の血糖値」についてよくある質問

ここまで糖尿病の血糖値などを紹介しました。ここでは「糖尿病の血糖値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

注意した方がいい血糖値の値について教えてください。

増田 徹也増田 徹也 医師

本文中にも書きましたが、空腹時血糖値が126mg/dL以上では「糖尿病型」と判定しますので、該当する方は早めの受診をお勧めしています。「境界型」の110〜125mg/dLの方でも実は糖尿病の可能性はありますし、現時点で糖尿病ではなくても今後糖尿病になる可能性は十分にあります。まとめると、少なくとも空腹時血糖値110mg/dL以上では注意すべきだと考えられます。

血糖値が200以上だと糖尿病を疑うべきでしょうか?

増田 徹也増田 徹也 医師

随時血糖値でも200mg/dL以上は「糖尿病型」にあてはまります。もし健康診断で引っかかった場合など空腹時血糖値が200mg/dLだとすると、食後にはさらに高くなっていることが予想されます。いずれにせよ血糖200mg/dL以上の場合は糖尿病が疑われますので、受診をお勧めします。

編集部まとめ 糖尿病の血糖値は健康診断で早期発見!

糖尿病は症状がなくても放置してしまうと、神経障害・視力障害・腎不全になったり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしやすくなることがありますので、早期発見・早期治療を心掛けましょう!
この記事を読んでくださった方の健康な毎日を祈っております。

「血糖値」の異常で考えられる病気

「血糖値」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌内科の病気

血糖値の異常は、様々な原因によって起こります。気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが大切です。

参考文献

  • 日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2024
  • 日本糖尿病学会 糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版

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