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「鼻から胃カメラ」はつらい?検査できない人の特徴についても医師が徹底解説!

 公開日:2025/08/08
「鼻から胃カメラ」はつらい?検査できない人の特徴についても医師が徹底解説!

Medical DOC監修医が鼻から入れる胃カメラのメリット・デメリット・鼻から入れることができない人の特徴・嘔吐反射をなくすコツ・発見できる病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

胃カメラ(胃内視鏡検査)とは?

胃カメラ、正式には胃内視鏡検査は、細い管状のカメラを使用して胃や食道、十二指腸の内部を直接観察する検査です。この検査は消化器の病気の早期発見や診断に非常に有効で、多くの医療機関で実施されています。特に鼻から挿入する方法は、より快適な検査を可能にする選択肢として注目を集めています。しかし、中には胃カメラ検査はしんどいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回の記事では、胃カメラ検査について鼻からの場合と口からの場合、それぞれのメリットやデメリットについて解説します。さらに、検査をできるだけ楽に受けるためのコツについてもご紹介します。

胃カメラ検査は鼻からと口からどちらがいいの?

鼻からの胃カメラと口からの胃カメラ、それぞれにメリットとデメリットがあります。口からの胃カメラはやや太めのスコープを使用するため、高画質で詳細な観察が可能ですが、嘔吐反射を誘発しやすいという難点があります。一方、鼻からの胃カメラは細いスコープを使用するため、嘔吐反射が起こりにくく、比較的快適に検査を受けられるのが特徴です。ただし、鼻腔が狭い場合や炎症がある場合には適用が難しいこともあります。

胃カメラを鼻から入れることができない人の特徴

ここでは、胃カメラを鼻から入れることができない可能性がある人の特徴について紹介しましょう。

鼻腔が狭い人できない人の特徴

中には、もともと鼻づまりがあり呼吸しづらいと感じる人もいるでしょう。こうした症状の原因の一つに、鼻腔、つまり鼻からの空気の通り道が狭い可能性があります。鼻腔が狭い場合には、構造上スコープが通過できないことがあります。

鼻炎や副鼻腔炎がある人できない人の特徴

鼻炎や副鼻腔炎などがあると、スコープの通過が困難になる場合があります。

鼻血が出やすい人できない人の特徴

スコープの挿入によって鼻粘膜が傷つき、出血するリスクがあります。

過去に鼻の手術を受けた人

例えば、鼻中隔湾曲症などで鼻の手術を受けたことがある方は、鼻の構造変化によりスコープ挿入が難しいことがあります。

胃カメラを鼻から入れるメリット

鼻から入れる胃カメラには以下のようなメリットがあります。

嘔吐反射が少ないメリット

口から入れる場合と比較して、舌の付け根が刺激されないため嘔吐反射が起こりにくいです。

会話が可能メリット

検査中に簡単な意思疎通ができるため、安心感が増します。

ストレスが少ないメリット

検査中の不快感が軽減されることで、よりリラックスした状態で受けられます。

胃カメラを鼻から入れるデメリット

一方で、鼻からの胃カメラには以下のデメリットもあります。

鼻の痛みや違和感デメリット

スコープ挿入時に、どうしても鼻が痛いと感じたり、不快感を感じたりする場合があります。

鼻血のリスクデメリット

鼻粘膜が敏感な人では、出血することがあります。しかし、ずっと鼻血が止まらないと心配されるような場合はまれです。時間が経てば、自然に鼻血が止まることがほとんどです。また、鼻血を予防するために、検査前に薬剤(血管収縮薬)を霧吹きのようなもので噴霧してから行うことが一般的です。

視野がやや制限されるデメリット

口からのスコープに比べて細いスコープを使用するため、画像の解像度が劣ることがあります。

大きな病巣の切除は原則できない

鼻からの内視鏡検査でも、異常な組織を少量採取することは可能です。しかし、大きな病変の切除は原則できません。

胃カメラの嘔吐反射をなくすコツ

ここでは、嘔吐反射を最小限に抑えるためのコツをいくつか紹介します。

口から入れる場合

口から入れる場合のコツとしては、以下の様な方法があります。

  • 口から入れる場合についてリラックスを心がける: 深呼吸をすることで筋肉の緊張を和らげます。
  • 医師の指示に従う: 飲み込むタイミングや、検査中の呼吸のコツを医師が教えてくれる場合があります。

こうした方法を試してみましょう。

鼻から入れる場合

鼻から入れる場合のコツとしては、まず安定した呼吸を心がけることがあります。これによって、落ち着いた状態を保てます。また、医療機関では鼻腔を広げるスプレーを使用することが多いです。これによって、スコープの挿入がスムーズになります。

「胃カメラ」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胃カメラ」に関する病気を紹介します。どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

胃がん

胃がんは、胃の粘膜から発生する悪性の腫瘍(がん)です。日本人のがんの中でも多くみられるものの一つです。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染や、高塩分食、喫煙などがリスクを高めます。
胃がんの初期は無症状であることが多いですが、進行すると胃の痛みや食欲不振が見られます。そのため、健康診断で受けた胃カメラ検査やバリウム検査などで発見されることも少なくありません。
早期の段階では、内視鏡的切除が行われます。進行した段階の胃がんに対しては、外科的な手術が主に行われます。病気の進行度などに応じ、薬物治療や放射線治療を組み合わせることもあります。

食道がん

食道がんは、食道粘膜に発生する悪性腫瘍です。内視鏡検査では、初期の異常を捉えやすく、組織を採取して詳しく調べることもできます。原因としては、喫煙や過度の飲酒、熱い飲み物の摂取などが挙げられます。
食道がんも早期段階では無症状であることが多いのですが、進行すると飲み込みにくさや胸の痛みが引き起こされます。内視鏡検査が最も有効であり、疑わしい箇所の生検(組織採取)を行います。治療法は病気の進行度により異なり、早期がんには内視鏡的切除、進行がんには手術、放射線療法、化学療法が用いられます。内視鏡検査により早期発見が可能で、治療成績の向上に寄与します。そのため、胸のつかえ感や違和感、痛みがある場合には消化器内科を受診することが大切です。

胃・十二指腸潰瘍

胃潰瘍および十二指腸潰瘍は、胃酸などによって胃や十二指腸の粘膜が傷つく病気です。内視鏡検査は、潰瘍の有無を確認するだけでなく、ピロリ菌感染の有無や出血の状態を把握するのに役立ちます。ストレスやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用が原因となることが多く、治療にはピロリ菌除菌療法や胃酸抑制薬が用いられます。潰瘍が深く、出血がみられる場合には、内視鏡的な止血術が行われる場合もあります。

「鼻から入れる胃カメラ」についてよくある質問

ここまで鼻から入れる胃カメラについて紹介しました。ここでは「鼻から入れる胃カメラ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

鼻から入れる胃カメラの前処置は何をするのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

鼻から胃カメラを入れる場合の前処置は以下のようになります。
1.前処置室では、胃をきれいにするための白い液体(消泡剤:ガスコン®水)を飲みます。
2.鼻腔を通りやすくするための薬(例:プリビナ®)を点鼻または噴霧します。
3.鼻腔内にキシロカイン®で麻酔を施します。この麻酔方法は施設により異なり、スプレーやスティックを使用する場合があります。
4.必要に応じて、のどにキシロカインスプレー®やビスカス®を使用して追加の麻酔を行うこともあります。
医療機関によっても多少異なるため、詳細については事前に問い合わせしておきましょう。

鼻から入れる胃カメラは麻酔がなくてもできるのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

基本的に麻酔が必要です。麻酔を使用することで鼻腔の通過がスムーズになり、不快感を軽減できます。

まとめ 鼻から入れる胃カメラはメリットとデメリット

鼻から入れる胃カメラは、嘔吐反射が少なく快適な検査方法として多くの患者さんに支持されています。ただし、適用が難しい場合やデメリットもあるため、医師とよく相談して最適な検査方法を選びましょう。胃カメラ検査は病気の早期発見にとってはとても有効です。健康管理の一環としてぜひ検討してみてください。

「胃カメラ」の異常で考えられる病気

「胃カメラ」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査は、胃がんや食道がんの早期発見、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無の確定診断などにも役立ちます。

この記事の監修医師