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「血小板が減少すると現れる症状」とは?血液検査で指摘された際の原因も医師が解説!

 公開日:2025/08/07
「血小板が減少すると現れる症状」とは?血液検査で指摘された際の原因も医師が解説!

血小板が減少すると現れる症状とは?Medical DOC監修医が血液検査で血小板が減少していると診断された場合・検査の見方・予防方法・発見できる病気などを解説します。

鎌田 百合

監修医師
鎌田 百合(医師)

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千葉大学医学部卒業。血液内科を専門とし、貧血から血液悪性腫瘍まで幅広く診療。大学病院をはじめとした県内数多くの病院で多数の研修を積んだ経験を活かし、現在は医療法人鎗田病院に勤務。プライマリケアに注力し、内科・血液内科医として地域に根ざした医療を行っている。血液内科専門医、内科認定医。

血小板とは?

血小板とは、骨の中にある骨髄という場所で作られる血液の細胞の一つです。血液の細胞には、白血球、赤血球、血小板の3つがあります。白血球は細菌やウイルスと戦う免疫系を担当し、赤血球は全身に酸素を運びます。 血小板は止血と血液凝固の働きがあります。血管が傷ついて出血したとき、血小板は傷口に集まり血液の液体成分である血漿を固めて血栓をつくり、止血に作用します。そのため血小板が減少すると血液が凝固しにくくなり、なにもしていないのに出血しやすくなります。血小板は出血したときの止血作用が最も重要な役割ですが、血管の修復や炎症反応などのさまざまな機能にも重要と考えられています。 この記事では、血小板が減少するとどのような症状が現れるか、考えられる病気などについて解説します。

血小板が減少すると現れる症状

血小板が減少すると、実際にはどのような症状が起こるのでしょうか。代表的な症状を説明します。

皮下出血 症状

血小板が減少すると、ぶつけたりしていないにも関わらず皮膚にあざができやすくなります。少しぶつけるだけでも、通常より大きなあざができてびっくりすることがあります。また、点状出血という、細かい点状の皮下出血ができることもあります。 ぶつけていないのに皮下出血がみられた場合は、血液内科を受診しましょう。

血便、吐血、下血 症状

胃や腸の粘膜から出血する場合もあります。すると、血を吐いたり、便が黒くなったり赤くなったりします。便が黒くなるのは胃など上部消化管からの出血、便が赤くなるのは大腸などの下部消化管からの出血が疑われます。 放置すると大出血となり命の危険がある場合があります。特に下血や吐血が大量に出た場合は、急いで消化器内科を受診しましょう。

歯肉出血 症状

歯茎から血が出ることを歯肉出血といいます。血小板が減少すると歯ブラシで歯を磨いていると歯茎から出血し、すぐに止まらずだらだらと血が出る場合があります。歯茎を刺激しないように、柔らかい歯ブラシで歯を磨くようにしましょう。

月経過多 症状

血小板が減少すると出血が止まりにくいことから、月経量が多くなる場合もあります。普段より量が多い、なかなか生理が終わらないといった場合、実は血小板数が少ないのかもしれません。 月経量が多い場合、血小板減少だけでなく子宮筋腫などの病気が隠れている場合があります。そのため、月経の異常がみられた場合は婦人科を受診しましょう。

意識障害 症状

血小板数がとても低くなった場合、突然脳出血を起こすこともあります。脳出血によって意識障害がみられ、場合によっては命を脅かす危険性があります。

血小板が減少する主な原因

血小板が減少する原因の病気は、おもに以下のようなものがあります。

特発性血小板減少性紫斑病 考えられる原因

特発性血小板減少性紫斑病は、なんらかの原因で血小板に対する自己抗体ができる病気です。この自己抗体により血小板が破壊されるため、血小板が減少します。 発症してから6ヶ月以内に血小板数が回復する急性型は小児に多く、6ヶ月以上血小板減少が持続する慢性型は成人に多いことが知られています。自己抗体ができる原因はわかっていませんが、一部の患者さんにピロリ菌感染が関与していることが指摘されています。 血小板数が3万/μl以下の場合は出血しやすくなるため、副腎皮質ステロイドなどの治療を行います。

急性白血病 考えられる原因

血小板減少を指摘された場合、急性白血病の可能性もあります。急性白血病は、血液を作る骨髄という場所で白血病細胞が異常に増殖する病気です。これによって正常な血液の生産が妨げられ、白血球、赤血球、血小板の数が減少します。急性白血病は血小板だけでなく、ほかの血液細胞の異常も伴うことが特徴です。白血病を疑う場合、早期に血液内科を受診し医師の診察を受けましょう。

考えられる原因

再生不良性貧血とは、骨髄組織が脂肪に置き換わり血液の細胞を作ることができなくなる病気です。白血球、赤血球、血小板のすべての血液の細胞を作ることができなくなります。3種類のすべてが低下している場合、再生不良性貧血が疑われます。しかし初期の段階では血小板のみが減少することもあります。 減少する血球によって症状はさまざまですが、発熱、貧血、出血症状といった症状が起こります。再生不良性貧血が疑われる場合は血液内科を受診しましょう。

偽性血小板減少症

偽性血小板減少症は病気ではありませんが、血小板の減少を指摘された場合に日常診療で比較的よく見られます。血液検査に使用する採血スピッツ内で血小板が凝集(集まって固まる)してしまい、自動血球計数器でカウントされる血小板数が少なくなります。実際には血小板数は少なくないのに、検査では減少していると判断されてしまいます。 この場合、採血スピッツを変えて検査をすることで真の血小板の値が測定できます。

血液検査で血小板が減少していると診断されたら?

血液検査で血小板が減少していることを指摘された場合、基準値より極端に減少しているときは急いで病院を受診する必要があります。しかし、正常値から少し下回った程度では症状は起こりません。その場合は急いで再検査を行う必要は少なくなりますが、重篤な疾患が隠れている場合もあるため、できるだけ数週間以内に再検査のために病院を受診しましょう。

血液検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは血小板が減少すると現れる症状について基本的なことを紹介しました。血液検査で再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

血液検査の結果や数値の見方・分類と主な所見

血小板の基準値は、医療機関によっても異なりますがおよそ15万~35万/μlとされています。しかし、正常値から少し下回った程度では症状は起こりません。
  • 5万/μl以下になると軽い外傷でも出血しやすくなり、あざができやすくなります。
  • 2万/μl以下では、鼻出血や歯肉出血が起こりやすくなります。
  • 1万/μl以下では、脳出血などの生命を脅かす出血が起こるリスクが高まります。
また、血小板だけでなく、ほかの血液細胞である白血球や赤血球数も大切です。血小板だけが低下するか、すべてが低下するかによって考えられる病気や必要な検査などが異なります。

血液検査の結果で精密検査が必要な基準と内容

血液検査で血小板が減少していることが判明した場合、再検査が必要となります。血液内科を受診しましょう。 先ほど示したような出血の症状がある場合は緊急性が高く、急いで検査を行う必要があります。正常値を少し下回っている程度の場合は症状が現れないことがほとんどです。しかし、病気が隠れているリスクもあるため、なるべく早いうちに再検査を行いましょう。 検査の結果、急性白血病が疑われる場合は、骨髄検査という検査を追加する場合もあります。

血小板が減少していると診断された時の対処法の数値を戻す対策・予防法

けがを予防する正しい対策・予防法

血小板が減少しているときは、少しのけがで皮下出血を起こすリスクが高まります。そのため、血小板が減少している場合はけがをしないよう注意が必要です。

鼻を強くかまない 正しい対策・予防法

鼻を強くかむと、鼻の粘膜から鼻血が出ることがあります。血小板が減少すると鼻血もなかなか止まらなくなります。 鼻はなるべくかまないように、かむとしても優しく行いましょう。

硬い食べ物、熱い飲み物を控える正しい対策・予防法

せんべいのような硬い食べ物は、口の中の粘膜を傷つけるおそれがあります。熱いものも口の中の粘膜を損傷し、出血のリスクとなります。 血小板が低いと指摘された場合はこれらの飲食は控えるのが良いでしょう。

「血小板が減少すると現れる症状」についてよくある質問

ここまで血小板が減少すると現れる症状について紹介しました。ここでは「血小板が減少すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血小板の減少を放置するとどうなりますか?

鎌田 百合医師鎌田 百合(医師)

血小板減少は、血小板の値に応じて出血リスクが異なります。放置すると重篤な出血を起こす可能性もあるため、血小板の減少を指摘された場合は、はやめに血液内科を受診しましょう。ただし、風邪などのウイルス感染などでも一時的に血小板は減少します。いずれにしろ、一時的なものか確認するためにも再検査は必要です。

血小板の基準値で危険な数値について教えてください。

鎌田 百合医師鎌田 百合(医師)

血小板数は、5万/μl以下に低下するとあざができやすくなるなどといった出血のリスクが高まります。2万/μl以下まで低下した場合、なにもしていなくても出血が起こるリスクが高まります。さらに低下し1万/μl以下まで低下した場合は、胃や腸からの出血や、脳出血などの命の危険性がある重篤な出血が起こる可能性が高まります。このため、5万/μl以下の場合は出血に注意が必要でしょう。

まとめ 血小板が低い場合は血液内科へ

血小板が低い原因として、重篤な病気が隠れている場合や、一時的なものなどさまざまな病気が考えられます。また、血小板が基準値から大きく外れている場合は、重篤な出血を引き起こすリスクが高まります。血小板が低いと指摘された場合は、血液内科を受診し相談しましょう。

「血小板が減少すると現れる症状」の異常で考えられる病気

「血小板が減少すると現れる症状」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

  • 吐血
  • 下血

婦人科系の病気

  • 過多月経

耳鼻科系の病気

  • 鼻出血
  • 歯肉出血

脳神経外科系の病気

血小板が低いとさまざまな部位で出血のリスクが高まります。

この記事の監修医師