「心電図検査の費用はいくらか」ご存じですか?発見できる病気も医師が徹底解説!
公開日:2025/08/04

心電図検査の費用はいくら?Medical DOC監修医が健診の保険適用の有無や会社員・自営業・後期高齢者の受診額相場等を解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
目次 -INDEX-
心電図検査の費用はいくらかかるの?
心電図検査は、不整脈や狭心症、心筋梗塞などの心臓の病気の診断に役立ちます。体への負担はほとんどなく、簡便な検査であり、健康診断で心電図検査を受けられたことがある方も多いのではないでしょうか。心電図検査には、安静時12誘導心電図や運動負荷心電図、24時間ホルター心電図などの種類があります。この記事では、心電図検査の費用がどれくらいかかるのか、解説していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。心電図検査の費用
心電図検査の費用は、受ける心電図検査の種類や保健適用になるかどうかによっても変わってきます。ここでは、それぞれのケースごとの心電図検査の費用について説明していきます。 なお、保険点数は、安静時12誘導心電図は130点、ホルター型心電図は24時間装着の場合には1750点です。さらに、運動負荷心電図検査の一つであるトレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査は1600点となります。 そのため、心電図検査の費用の目安は、以下のような表になります。これらに初診料や再診療などが上乗せされますので、詳しくは検査を受けようとする医療機関に問い合わせ確認してみましょう。| 項目 | 1割負担 | 3割負担 | 全額自己負担 |
|---|---|---|---|
| 安静心電図検査 | 200円前後 | 600円前後 | 2,000円前後 |
| ホルター心電図 | 2,000円前後 | 6,000円前後 | 20,000円前後 |
| トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査 | 2,000円前後 | 6,000円前後 | 20,000円前後 |
心電図検査の費用の目安・保険適用で3割負担になる?
健康診断の心電図検査で異常を指摘され、精密検査を病院で受けることになった場合、心電図検査は保険適用となります。日本では、小学校入学後から69歳までは医療費の自己負担は3割になります。なお、小学生入学後でも自治体によって医療費の助成が行われている場合があります。自営業など個人で受診した心電図検査の費用の目安・保険適用がないと自費?
自営業の方でも、健康診断の精密検査や何らかの胸部症状があった場合に医療機関を受診して受けた心電図検査は保険適用になります。日本では原則的に誰もが公的医療保険に加入しています。そして、自営業の方は国民健康保険に加入している場合が多いと思われます。費用はその方の保険料の負担割合によって変わります。小学校入学後から69歳までの方は3割負担、70歳から74歳までの方は2割負担(現役並みの収入があれば3割)、75歳以上の方は1割負担となります。 健康診断や人間ドックなどをご自身で受けた場合などは保険適用外です。その際は、10割負担の金額となりますが、自治体による検診などを受ける場合には補助が出ることもあります。この際は、無料から比較的安価で検査を受けることが可能です。高齢者が受診した心電図検査の費用の目安・保険適用で1割負担になる?
高齢者の方で、公的医療保険制度として1割負担になるのは75歳以上の方です。何らかの症状があったり、健診の精密検査で医療機関を受診したりした場合には、保険適用になりますので医療費は1割負担になります。心電図検査の目的と検査項目
心電図検査は、心臓の筋肉に流れる電気の動きを体の表面から記録する検査です。電気の流れに異常がないかを確認することで、心臓の状態を把握できます。また、1分間に心臓で発生する電気信号の回数である心拍数も測定できるため、心臓のリズムや働きを総合的に調べることが可能です。 心電図検査では、胸部の6箇所に電極を取り付けます。そのため、検査を受ける際には、特に女性の方で検査着の用意がない場合には、脱ぎ着しやすく胸元を開けられる服装にしておくと良いでしょう。 ここでは、心電図検査の目的や検査項目、心電図検査と心臓超音波(心エコー)との違いについて解説します。心電図検査の目的
心電図検査の主な目的は、心臓の電気的な動きから心拍やリズムに異常がないかを確認することです。例えば、不整脈や心筋の負担、過去の心筋梗塞などの有無を調べることができます。この検査は、早期に心臓のトラブルを見つけるのに役立ちます。心電図検査の検査項目
心電図では、心臓のリズムや心拍数、電気的な波形(P波、QRS波、T波)を記録します。これにより、心房や心室の動き、また血液がどれだけスムーズに流れているかを把握します。簡単な方法で、数分で測定できるのも心電図のメリットです。 心臓には、左右それぞれの心房(しんぼう:小さい部屋)と、心室(しんしつ:大きな部屋。肺や全身に血液を送っている)の4つの部屋があります。P波は心房の、QRS波は心室の電気的な興奮を表し、T波は心室の興奮の電気的な回復を示しています。これにより、心房や心室の動き、また血液がどれだけスムーズに流れているかを把握します。簡単な方法で、数分で測定できるのも心電図のメリットです。 心電図検査には、安静時心電図や運動負荷心電図、24時間ホルター心電図などの種類があります。 それぞれの心電図検査については、以下のようになります。 ・安静時心電図安静時心電図は、最も基本的な心電図検査です。体の表面に電極をつけて、心臓の電気的な活動をさまざまな角度から記録します。患者さんはリラックスして静かに横になっている状態で行われるため、心臓が安静時にどのように動いているかを調べるのに適しています。
・運動負荷心電図
運動負荷心電図は、歩行や自転車こぎのような軽い運動をしている間に心電図を記録する検査です。運動により心臓への負荷がかかると、安静時には見られなかった異常が現れることがあります。この検査は、狭心症や心筋の血流不足などの問題を見つけるのに役立ちます。 運動負荷心電図の例として、トレッドミル(ランニングマシン)や、サイクルエルゴメーター(エアロバイク)を使ったものがあります。トレッドミル上で歩行や走行を、サイクルエルゴメーター(エアロバイク)に乗って漕ぐ運動をします。それぞれの運動を行いながら、心臓や肺の働きがどのように反応するかを測定します。特に運動中の心肺機能や酸素摂取量を確認し、心臓病や肺疾患の診断に役立ちます。
・24時間ホルター心電図
24時間ホルター心電図は、小型の携帯用機器を装着して、24時間にわたり日常生活の中で心電図を記録する方法です。日中の活動や睡眠中の心臓の動きを連続的に記録するため、不整脈や一時的な心臓の異常を見つけるのに有効です。
心電図検査と心臓超音波(心エコー)の違いは?
心電図は心臓の電気信号を確認する検査ですが、心臓超音波(心エコー)は、心臓の形や大きさ、動きを画像で見ることができる検査です。心エコーは心臓の構造や血流の様子まで詳しく知りたいときに使われますが、心電図は短時間で簡単に心臓の異常がわかるため、健康診断などで広く使われています。心電図検査でわかる病気・疾患は?
ここではMedical DOC監修医が心電図検査でわかる病気・疾患について解説します。不整脈
不整脈は、心臓のリズムが通常より速くなったり遅くなったり、一定でなくなる状態です。原因には、ストレス、カフェインの摂取、喫煙や飲酒、また加齢による心臓の変化や心筋の異常などが含まれます。軽度の不整脈は治療を必要としないことが多いですが、症状が気になる場合には薬で心拍を整えたりする場合もあります。重度の場合、カテーテル治療やペースメーカーの装着が必要になることもあります。めまいや息切れ、胸の痛みなどの症状がある場合は受診を検討しましょう。特に、意識を失ったり強い動悸が続いたりする場合は早めの受診が重要です。循環器内科を受診するとよいでしょう。狭心症
狭心症は、心臓に血液を供給する冠動脈(かんどうみゃく)が一時的に狭くなることで、心臓に十分な酸素が届かず、胸の痛みや圧迫感が生じる病気です。原因は動脈硬化が多く、喫煙や高血圧、脂質異常などがリスク要因です。狭心症の治療には、血管を拡張する薬や血液の流れを改善する薬が使われます。重度の場合、冠動脈のバイパス手術やステント治療で血流を改善することもあります。生活習慣の改善も予防に効果的です。 運動中やストレスを感じたときに胸が締め付けられるような痛みが出る場合、受診を検討しましょう。安静にしていても痛みが続く場合は、緊急での受診が必要です。循環器内科を受診してください。心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈が血栓などで完全に詰まることで心臓に酸素が届かなくなり、心筋が壊死してしまう病気です。動脈硬化のほか、喫煙や糖尿病、高血圧、肥満がリスク要因です。心筋梗塞は緊急の治療が必要で、カテーテル治療や血栓溶解薬で詰まった血管を開通させます。治療後も再発防止のため、薬の服用や生活習慣の改善が重要です。突然の強い胸の痛み、息切れ、冷や汗、吐き気がある場合は、すぐに救急車を呼ぶなどして緊急受診が必要です。救急科や循環器内科での診察が必要です。「心電図検査の費用」についてよくある質問
ここまで心電図検査の費用などを紹介しました。ここでは「心電図検査の費用」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
会社員の心電図検査は自費のオプションを付けなければ無料ですか?
木村 香菜 医師
会社員の健康診断に含まれる心電図検査は、労働安全衛生法に基づき企業負担で行われるため、通常は無料です。ただし、特別な検査オプションを追加する場合は、自己負担が発生することがあります。
個人事業主の心電図検査の費用相場はどれくらいが一般的でしょうか?
木村 香菜 医師
個人事業主が心電図検査を自費で受ける場合、安静時12誘導心電図検査であれば相場は1,000~2,000円程度と考えられます。検査機関や地域により異なることもありますが、比較的安価で受けることが可能です。
心電図検査費用を会社が負担する場合、1年に何回受診した方がいいですか?
木村 香菜 医師
心電図検査は、通常、年1回の健康診断で実施されることが一般的です。心疾患のリスクが高い場合は、年に2回など頻度を増やすこともありますが、その際は企業と相談の上、負担範囲を確認するのが良いでしょう。
心電図検査の費用が3割負担ではなく全額自己負担になるケースはありますか?
木村 香菜 医師
症状がある場合や健診で異常を指摘された場合に医療機関を受診し、心電図検査を受けた場合には保険適用となります。多くの方では3割負担です。しかし、健康診断や人間ドックを受けた場合には全額自己負担となることがあります。目的に応じて確認が必要です。
まとめ 心電図検査の費用はケースバイケース
今回の記事では、心電図検査の費用について解説しました。心電図検査は検査自体に痛みもなく、心臓の働きを簡単に調べることができる検査です。ご自身の体調管理の一環として、定期的にチェックをするようにしましょう。また、何らかの症状がある場合には、健康診断を待つのではなく、早めに循環器内科などの心臓に関する専門医を受診するようにしましょう。「心電図検査」の異常で考えられる病気
「心電図検査」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。内分泌内科の病気
- 甲状腺機能亢進症
- 電解質異常(低カリウム血症など)
