「MCHCが低い原因」とは？低い場合に起こる症状や対処法も解説【医師監修】

「mchcが低い」原因と対処法

健診の血液検査の項目でMCHCという指標があります。MCHCは血液の状態を調べる項目の一つです。 日本語で「平均赤血球ヘモグロビン濃度」といい、赤血球1個あたりの容積に対するヘモグロビンの量の比率を%で表します。MCV（平均赤血球容積）、MCH（平均赤血球ヘモグロビン量）などと一緒に調べられ、貧血の種類や程度を診断するのに重要です。 この記事では、MCHCが低い場合はどのような原因があり、どう対処したら良いのかを解説します。

mchcが低い原因と対処法

MCHCが低い場合、赤血球の中のヘモグロビン量が少ない状態です。 最も考えられる病気は、鉄欠乏性貧血です。鉄はヘモグロビンを作る重要な材料であり、材料がなくなるとヘモグロビンの量が減少し、MCHCが低くなります。 鉄欠乏性貧血の原因は、月経のある女性では月経による出血が多く、その他では胃潰瘍やがんなどの消化管からの出血が考えられます。 MCHCが低い場合はこのような重い病気が隠れている場合があるため、内科を受診し医師の診察を受けましょう。

mchcが高い原因と対処法

MCHCが高くなることはまれです。赤血球内のヘモグロビン濃度は通常飽和しており、それ以上ヘモグロビンが増えてMCHCが上がることは少ないとされています。 赤血球の材料であるビタミン12が欠乏して発症するビタミンB12欠乏性貧血や、葉酸が欠乏して発症する葉酸欠乏性貧血は、MCHCは正常～やや高値になることがあります。また、ごくまれな病気ですが、遺伝性球状赤血球症という疾患は、赤血球をうまく作ることができずMCHCが高くなります。

mchcが低くて赤血球が多い原因と対処法

MCHCが低くて赤血球が多い場合、鉄欠乏性貧血の、特に軽度から中等度の場合が考えられます。 がんやリウマチなどの慢性疾患があると、体内で鉄がうまく利用できない状況となります。するとMCHCが低下しますが、体の細胞に十分な酸素を運べず酸素不足となり、それを補うために赤血球の数を増やそうとする反応が起こり、赤血球数が増加します。 赤血球数が増えているのは生体の防御反応であり、そのまま放置すると徐々に赤血球を作ることもできなくなります。そのため、MCHCが低くて赤血球が多い場合、放置せずに内科や血液内科を受診し適切な判断を仰ぎましょう。

すぐに病院へ行くべき「mchcが低い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

mchcが低いとどうなる？

MCHCが低い場合、ヘモグロビンが十分に作れていない状態で、体の細胞に十分な酸素を運ぶことができなくなります。すると頭痛、息切れ、めまい、疲れやすい、だるいなどの症状が出現します。MCHCの低下がゆっくりの場合は貧血症状が出現しないこともあります。 なんとなくだるい、といった症状が実は貧血によるものであることもあります。

mchcが低い場合は、内科へ

MCHCが低い場合は原因を調べる必要があります。原因は鉄欠乏性貧血が最も多いとされています。鉄欠乏性貧血がみつかった場合は、その原因を調べる必要があります。胃がんや大腸がんなどが隠れている場合があるため、内科を受診しましょう。月経量が多い場合は婦人科を受診し相談するのが良いでしょう。

受診・予防の目安となる「mchcの低さ」のセルフチェック法

• めまい症状がある場合
• だるさが強い場合
• 便が黒いあるいは便が赤い場合
• 月経量が多い場合

「mchcが低い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「mchcが低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、どのように対策すれば良いのか、など病気について気になる事項を解説します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、赤血球に含まれるヘモグロビンの材料である鉄が不足することで、ヘモグロビンが作られなくなる病気です。MCHCが低くなり貧血が出現します。 高度の貧血となるとめまいや疲れやすさが出現しますが、ゆっくり貧血が進行すると症状が出現しないこともあります。 月経量が多い場合や、胃がんや大腸がんなどが隠れている場合があります。極端な偏食で鉄分を摂っていない場合も鉄欠乏性貧血になります。 健診でMCHCが低いことを指摘された場合は、内科を受診しましょう

慢性炎症

長期間の感染症や自己免疫疾患（リウマチなど）、悪性腫瘍などの疾患があり体内で慢性炎症が起こっている場合は、炎症によりうまく鉄を利用することができなくなり貧血が出現します。 血液検査では、血清鉄は低くなりますがフェリチンという体内の貯蔵鉄の値は上昇します。鉄欠乏性貧血は貯蔵鉄もなくなるため、フェリチンは低下します。そのため、フェリチンを測定し鉄欠乏性貧血と慢性炎症を鑑別します。 慢性炎症が原因である場合は、その原因となっている病気を治療することが重要です。MCHCが低く、なんらかの慢性炎症疾患を指摘された場合は、医師に相談し適切な治療を行ってください。

「mchcが低いとき」の正しい対処法は？

MCHCが低い場合、鉄分を積極的に摂りましょう。食事から1日に10ｍgの鉄を摂取することが推奨されています。鉄はレバーや赤身の肉、ひじき、かつおなどに多く含まれています。鉄のサプリメントを摂取することでも効率良く鉄が摂取できます。 赤血球の材料は鉄だけではないので、バランスの良い食事をとることが大切です。 しかしなにかしらの原因が隠れている場合もあるため、対症療法だけでなく一度内科を受診し原因を検査することが良いでしょう。